『初情事まであと1時間』の原作は、漫画家・ノッツによる同名の恋愛オムニバスコミックです。
KADOKAWAのMFコミックス フラッパーシリーズから全3巻が刊行されています。
原作漫画は全3巻| 巻数 | 発売日 | 作品の特徴 |
|---|---|---|
| 第1巻 | 2017年5月23日 | 高校生、幼なじみ、漫画家と編集者など多彩な関係を描く |
| 第2巻 | 2017年11月22日 | さまざまなカップルの初めての夜を描く続編 |
| 第3巻 | 2018年6月23日 | 十人十色の恋愛を描くシリーズ完結巻 |
原作漫画の基本コンセプトは、初めて結ばれる直前の60分間だけを描くことです。
物語の中心となるカップルは毎回変わり、付き合い始めたばかりの二人から、特殊な関係性を持つ男女まで、幅広い人物が登場します。
KADOKAWAの第1巻紹介でも、身近な恋愛だけでなく、ファンタジー的な設定を持つ二人など、幅広いシチュエーションが取り上げられています。
実写ドラマ版は原作の単純な再現ではない漫画とドラマの違いで最も注目したいのは、ストーリーの作り方です。
MBSの原作紹介ページに掲載されたノッツのコメントでは、今回の実写化について、原作をもとにしたエピソードだけでなく、ドラマオリジナルの物語も制作されたことが説明されています。
つまり、ドラマ版は漫画のエピソードをそのまま12話に置き換えた作品ではありません。
原作の核となる「初情事までの1時間」という発想を引き継ぎながら、4人の監督がそれぞれ脚本を書き下ろし、映像ならではの表現を加えています。
両作品の違いを整理すると、次のようになります。
| 比較項目 | 原作漫画 | 実写ドラマ |
|---|---|---|
| 作者・制作 | ノッツ | 4人の監督・脚本家 |
| 媒体 | コミック | テレビドラマ |
| 構成 | 恋愛オムニバス | 全12話のオムニバス |
| 表現方法 | 漫画のコマや時間表示 | 俳優の演技、表情、会話、映像 |
| ストーリー | 多彩なカップルの物語 | 原作をもとにした話とオリジナル脚本 |
| 作品の特徴 | 想像を膨らませる心理描写 | 間や視線、声によるリアルな感情表現 |
特に映像化によって変わるのが、会話の間と表情です。
漫画では、登場人物の視線や表情を読者が自分のペースで追えます。一方、実写では俳優の声の揺れ、沈黙、相手を見るタイミングまでが物語の一部になります。
例えば第2話では、初めてのお泊まりに緊張する大学生カップルの気まずさが、実際の俳優同士の掛け合いによって具体的な空気感を持ちます。
第3話では、松雪泰子と大森南朋が演じる大人の幼なじみの関係性が、言葉だけでは説明できない余韻を生み出します。
原作漫画は発想とシチュエーションを楽しみ、ドラマは俳優による感情表現を楽しむ。 この違いを意識すると、両方の作品をより深く味わえます。
なお、公式の原作紹介は、全12話それぞれについて漫画の収録CASEとの対応を一覧化したものではありません。個別エピソードをすべて原作の直接的な映像化と捉えるのは適切ではありません。
【監督・脚本・主題歌】4人の映画監督とAdoが生み出す世界観
本作の大きな魅力は、4人の監督がそれぞれの持ち味を生かしていることです。
恋愛という共通テーマを扱いながら、エピソードによって空気感や会話のテンポが異なります。
橋口亮輔:繊細な人間関係を描く担当エピソードは第1話「心の容れ物」、第8話「鍋の中」、第12話「ずっくん」です。
代表作には『恋人たち』『ぐるりのこと。』があります。
本作では、ドールを通してつながる男女や、複数の片思いが交錯する若者たち、カラオケ店の仲間たちなど、さまざまな人間関係を描いています。
三浦大輔:欲望と理性のせめぎ合い担当エピソードは第2話「初体験まであと1時間」、第6話「浮気の理屈」、第9話「『演出家』と『女優』」です。
代表作は『娼年』『愛の渦』など。
登場人物が抱える欲望や矛盾を、会話を通じて浮き彫りにする構成が見どころです。
第6話では、浮気を正当化しようとする男女の理屈が、物語の中心的な仕掛けになっています。
大九明子:ユーモアと切なさの融合担当エピソードは第3話「ビフォア」、第7話「プラスマイナス、インタレスティング」、第10話「ラスタカラーの夜」です。
代表作には『私をくいとめて』『勝手にふるえてろ』があります。
幼なじみの再会、極端な不幸体質を持つ女性の恋、ラジオを通じて知り合った男女など、異なるシチュエーションを担当しています。
谷口恒平:身近な人間関係の面白さ担当エピソードは第4話「姉と妹」、第5話「決戦の金曜日」、第11話「わたしオールタイムベスト」です。
代表作は『やりたいふたり』『おっさんのケーフェイ』など。
姉妹と恋人、職場の先輩と後輩、書店員同士など、身近な人間関係から生まれる恋愛模様が中心です。
4人の担当作品と代表作は、MBSの公式スタッフ情報にも掲載されています。
Ado「夜のピエロ」がオープニング主題歌
「夜のピエロ」
オープニング主題歌/2021年6月14日配信リリース
作詞・作曲・編曲:biz
ユニバーサル ミュージック/Virgin Music
本作のオープニング主題歌は、Adoの「夜のピエロ」です。
2021年6月14日に配信リリースされ、同年7月スタートのドラマに起用されました。Adoにとって初のドラマタイアップ曲でもあります。
夜の街を舞台にした楽曲の世界観は、恋愛の期待や不安が交錯する本作の雰囲気とも相性のよい組み合わせです。
エンディング主題歌はRain Drops「明日は日曜日」
「明日は日曜日」
エンディング主題歌
ユニバーサル ミュージック/Virgin Music
エンディングには、バーチャルライバーグループ「にじさんじ」に所属するメンバーによる音楽ユニット、Rain Dropsの「明日は日曜日」が採用されています。
オープニングのAdoとエンディングのRain Dropsという組み合わせも、本作の音楽面での特徴です。
劇伴音楽はMOKUが担当しています。
【放送・配信情報】2021年のMBS放送からBS松竹東急の完全版まで
『初情事まであと1時間』は、放送と配信で視聴できるエピソード数が異なっていた時期があります。
この点は、作品を検索する際に特に間違えやすい部分です。
2021年:MBS「ドラマ特区」で全8話を放送2021年7月22日、MBSとテレビ神奈川で放送がスタートしました。
その後、チバテレ、テレ玉、とちテレ、群馬テレビでも順次放送されました。
MBSの放送枠は木曜深夜0時59分からで、当時の見逃し配信はTVer、MBS動画イズム、GYAO!で行われていました。
ただし、地上波で放送されたのは第1話から第8話までです。2021年9月9日深夜の第8話「鍋の中」が、ドラマ特区における最終回でした。
2021年9月:全12話版が配信開始地上波放送終了後、9月10日24時から第9話~第12話の配信が開始されました。
当時はTELASA、J:COMオンデマンドなどで、地上波未放送の4話を含む全12話を視聴できる仕組みでした。
つまり、地上波の8話と、配信を含む完全版12話では作品のボリュームが異なります。
2022年:BS松竹東急で完全版をテレビ初放送
での完全版放送
2022年4月2日スタート
毎週土曜23時30分
地上波未放送だった第9~12話を含む全12話を放送。
2022年3月2日のMANTANWEBの報道によると、開局したばかりのBS松竹東急で本作の完全版が放送されることが発表されました。
同年4月2日から毎週土曜23時30分に、全12話を順次放送。これによって、配信でしか視聴できなかった4エピソードもテレビで楽しめるようになりました。
2026年現在の配信情報2026年11月に視聴先を探す場合は、過去の放送時の配信情報と現在の配信状況を分けて考える必要があります。
| サービス・媒体 | 確認できる情報 | 注意点 |
|---|---|---|
| TELASA | 作品ページ・各話ページあり | 見放題かレンタルかを確認 |
| J:COM STREAM | 過去に全12話の配信実績あり | 現在の取り扱いは要確認 |
| TVer | 2021年に見逃し配信を実施 | 当時の配信実績と現在の公開状況は別 |
| MBS動画イズム | 2021年に見逃し配信を実施 | 現在の配信状況は要確認 |
| BS松竹東急 | 2022年に全12話を放送 | 当時の放送は終了 |
2026年に確認できるTELASAの公式作品ページには、本作のエピソード情報が掲載されています。ただし、作品ページが存在することと、全話が追加料金なしで見放題になることは同じではありません。
視聴を決める際は、契約直前に各話の配信区分、料金、公開話数を確認するのが確実です。
【作品の見どころ】なぜ12組の恋愛模様が面白いのか?
本作を単なる恋愛ドラマとして見ると、少し物足りなく感じる人もいる可能性があります。
しかし、作品の魅力は恋愛の結果ではなく、結果が出る直前の心理状態にあります。
1. 60分という制限が生む緊張感本作では、物語の時間軸が非常に短く設定されています。
通常のドラマなら複数話をかけて描くような感情の変化を、約1時間の出来事に凝縮しています。
そのため、何気ない会話や視線の変化が重要な意味を持ちます。
相手に触れたいのに触れられない。言いたいことがあるのに言葉にできない。そうした小さな葛藤が、物語の緊張感を高めています。
2. 恋愛の正解を一つに限定していない第2話の初恋、第3話の大人の再会、第5話の職場での片思い、第6話の浮気など、登場人物の置かれた状況はさまざまです。
本作は、すべてのカップルを理想的な恋愛として描いているわけではありません。
登場人物の判断に共感できる場合もあれば、理解しにくい場合もあります。
だからこそ、視聴者自身の恋愛観や価値観を重ねながら楽しめる作品になっています。
3. 俳優の組み合わせが毎回変わる工藤阿須加と臼田あさ美、萩原利久と木竜麻生、松雪泰子と大森南朋など、異なる世代・キャリアの俳優が登場します。
同じ恋愛テーマでも、出演者が変わることで作品の印象も変わります。
特に、第2話と第3話を続けて見ると、若いカップルの初々しさと、大人の幼なじみの落ち着いた距離感の違いがよく分かります。
4. 恋愛ドラマと群像劇の両方を楽しめる第8話「鍋の中」や第12話「ずっくん」は、単純な男女二人の恋愛だけでは説明できない人間関係を描いています。
一人の人物を好きになる複数の人間、職場での仲間意識、周囲の人間による後押しなど、恋愛を取り巻く環境も重要な要素です。
このような群像劇的な視点があるため、恋愛だけに関心がない視聴者にも楽しめる余地があります。
どんな人におすすめ?視聴前の判断基準
おすすめできる人
- 1話完結型の恋愛ドラマが好き
- 俳優の演技や会話劇をじっくり楽しみたい
- 大人の恋愛や複雑な人間関係に興味がある
- 監督ごとの演出の違いを楽しみたい
- 短時間で見られるドラマを探している
好みが分かれそうな人
- 一組の主人公を最終話まで追い続けたい
- 王道の純愛や一貫したハッピーエンドを期待している
- 恋愛や性に関する生々しいテーマが苦手
- 登場人物の倫理的に複雑な行動を受け入れにくい
特に、12話を通じて同じカップルの結末を追う作品だと思って視聴すると、期待との違いが生じます。
本作は、毎回違う人物の恋愛を観察するオムニバス作品として楽しむのがおすすめです。
【よくある質問】『初情事まであと1時間』に関するFAQ
Q1:『初情事まであと1時間』は全何話ですか?
A1:全12話です。2021年のMBS「ドラマ特区」では第1~8話が放送され、第9~12話は配信限定エピソードとして公開されました。2022年にはBS松竹東急で全12話の完全版が放送されています。
Q2:『初情事まであと1時間』の最終回は何話ですか?
A2:作品全体の最終回は第12話「ずっくん」です。一方、MBSのドラマ特区で放送された8話構成の最終回は、第8話「鍋の中」です。この二つを混同しないことが大切です。
Q3:原作漫画とドラマ版は同じ内容ですか?
A3:完全に同じではありません。原作はノッツによる全3巻の恋愛オムニバス漫画で、ドラマ版は原作をもとにしたエピソードとオリジナルストーリーを組み合わせています。4人の監督が脚本も担当しているため、映像独自の表現も楽しめます。
Q4:2026年現在、どこで視聴できますか?
A4:TELASAには公式作品ページと各話ページが確認できます。配信区分や料金、全12話の公開状況は変わる可能性があるため、視聴前にサービス側の最新表示を確認してください。
『初情事まであと1時間』は、ノッツの原作漫画をもとに、橋口亮輔、三浦大輔、大九明子、谷口恒平の4人が実写化した恋愛オムニバスドラマです。
作品を理解するうえで押さえておきたい要点は次の5つです。
- 原作漫画はKADOKAWAから刊行された全3巻の作品。
- 実写ドラマは2021年にMBS「ドラマ特区」で放送開始。
- 地上波では全12話中8話を放送し、残り4話は配信で公開。
- 2022年にはBS松竹東急で全12話の完全版を放送。
- Adoの「夜のピエロ」とRain Dropsの「明日は日曜日」が作品を彩る。
本作の本質は、恋愛の成功や失敗を描くことだけではありません。人が誰かと近づこうとするときに感じる不安、期待、ためらい、そして相手を理解しようとする気持ちを、わずか1時間の出来事に凝縮している点にあります。
また、MBS放送版の8話と完全版の12話という違いを知っておくことは、視聴時の満足度にも直結します。全体を楽しむなら、最終話「ずっくん」まで含めた12話版がおすすめです。
【プロの結論】
『初情事まであと1時間』は、恋愛ドラマの定番である出会いや別れではなく、その間にある「決定的な一瞬」を描いた作品です。
原作漫画の独創的な設定、4人の監督による異なる演出、実力派俳優たちの自然な演技が組み合わさることで、一般的な恋愛ドラマとは違う魅力が生まれています。
2026年に初めて作品に触れる人も、以前に8話だけ見た人も、全12話という本来の構成を知ったうえで鑑賞すると、新たな発見があるはずです。