アクバシュ監督の指導方針を理解するうえで重要なのが、攻撃力の向上からブロックを含む総合的な守備力の強化へと、重点を段階的に移していることです。
1.攻撃力を高める取り組み就任1年目の2025年は、アタックの改善に重点を置きました。
日本は伝統的にレシーブや粘り強い守備を強みとしてきましたが、世界の強豪と対戦すると、攻撃力や高さで押し切られる場面もあります。
アクバシュ監督は、守備だけに依存するのではなく、攻撃でも主導権を握れるチームづくりを進めました。
その成果として、2025年はVNLと世界選手権の両方で準決勝に進出し、いずれも4位という結果を残しています。
2.2026年はブロックの改善に重点2026年5月のキックオフ会見では、監督が2年目の強化テーマとしてブロックを挙げました。
月刊バレーボールなどの報道によると、前年はアタックの改善に取り組み、2年目はブロックに重点を移す考えを説明しています。
日本の選手は世界の強豪国と比較して身長面で不利になることがあります。
そこで重要なのが、単純にブロックで相手のスパイクを止めることだけを目標にしない戦術です。
- ブロックで相手の攻撃コースを限定する。
- 相手のスパイクに触れてボールの勢いを弱める。
- 後衛のレシーブと連動してボールを拾う。
- 守備から素早く攻撃へ切り替える。
こうした一連の動きを総合的に強化することが狙いです。
3.サーブとレシーブの精度を高めるアクバシュ監督が重視しているのは、ブロックだけではありません。
サーブで相手の攻撃を制限し、安定したサーブレシーブから日本の攻撃を組み立てることも重要なテーマです。
相手に自由な攻撃を許せば、日本のブロックとレシーブは対応に追われます。
反対に、サーブで相手の攻撃を限定できれば、ブロック側も守備位置を予測しやすくなります。
つまり、サーブ、ブロック、レシーブを別々の技術としてではなく、ひとつの守備システムとして整備する考え方です。
4.2026年に明らかになった戦術上の弱点2026年10月20日のJVAシーズン総括会見で、アクバシュ監督は今季の課題を具体的に説明しました。
特に指摘したのは、次の3点です。
精神面の強化
大きなプレッシャーがかかる試合で、自分たちの力を発揮できる精神的な強さが必要です。
切り返しからの攻撃
相手の攻撃を拾った後、自分たちの得点につなげる攻撃の精度が課題として残りました。
速いコンビネーションへの対応
アジア選手権のタイ戦では、相手の速いコンビネーション攻撃への対応が遅れ、十分な解決策を見いだせなかったと振り返っています。
アクバシュ監督は、2026年シーズンを通じて改善点が明確になったと総括しました。
これは単に選手個人の技術不足という問題ではありません。守備から攻撃への移行をチーム全体でどれだけ速く、正確に行えるかという組織的な課題でもあります。
【監督の評価と実績】アクバシュ体制は成功しているのか

2026年11月時点での評価は、成果と課題の両方を見る必要があります。
2025年と2026年の成績を比較| 大会 | 2025年 | 2026年 |
|---|---|---|
| ネーションズリーグ | 4位 | 7位 |
| 世界選手権 | 4位 | 該当大会なし |
| 女子アジア選手権 | ― | 3位 |
| アジア競技大会 | ― | 2位 |
2025年は新体制として好調なスタートを切りました。
一方、2026年はVNLの順位が下がり、アジア選手権でも優勝を逃しています。
ただし、アジア競技大会では銀メダルを獲得し、国際大会での競争力を維持していることも事実です。
評価できる3つのポイント① 国際大会で結果を残す基盤がある
2025年のVNL・世界選手権で4位となり、2026年もVNLの決勝ラウンドに進出しました。
世界トップレベルとの対戦経験を継続して積んでいることは評価材料です。
② 若手を含めた選手層の強化
JVAの2026年度事業計画には、アクバシュ監督の意向を受けたBチームの編成が盛り込まれました。
目的は、主力選手とバックアップ選手の技量の差を縮めることです。
主力だけに依存しないチームづくりは、長期的な五輪強化に欠かせません。
③ 課題を具体的に分析している
2026年10月の総括では、精神面、切り返しからの攻撃、速いコンビネーションへの対応という改善点を明確にしています。
課題を具体化できていることは、次の強化段階につながります。
今後も検証が必要なポイント一方で、アジア選手権のタイ戦やVNLのブラジル戦など、重要な試合で勝ち切る力には改善の余地があります。
監督の評価を判断する際は、メダルの数だけでなく、次の観点も見る必要があります。
- 世界ランキング上位国との対戦成績
- 競った試合でのセット終盤の勝率
- ブロックとレシーブの連動性
- 若手選手の国際大会での成長
- 主力選手が不在でも戦える選手層
2026年の時点で、アクバシュ体制を成功とも失敗とも断定するのは早い段階です。 ただし、最短での五輪出場権獲得を逃したことは、明確な結果として受け止める必要があります。
【ロサンゼルス五輪2028】日本代表の出場権獲得と今後の強化方針
アクバシュ監督にとって最大の目標は、2028年ロサンゼルス五輪で日本女子代表をメダル争いのできるチームに育てることです。
2026年のアジア選手権で優勝できなかったため、今後は別の出場権獲得ルートに挑戦する必要があります。
日本が獲得した2027年女子ワールドカップの出場権2026年10月6日、JVAは2027年FIVB女子ワールドカップの出場国が決定したと発表しました。
日本はアジア選手権3位の成績によって出場権を獲得しています。
大会は2027年8月20日から9月5日まで、アメリカとカナダで開催される予定です。
この大会は単なる世界大会ではありません。
2027年女子ワールドカップでは、すでに五輪出場権を獲得している国を除いた最終順位上位3チームに、ロサンゼルス五輪の出場権が与えられます。
したがって、日本にとって非常に重要な大会となります。
ロサンゼルス五輪の出場権獲得ルート2026年に公表されたFIVBの出場国決定方式では、女子バレーボールの五輪出場枠は12チームです。
| 出場権獲得ルート | 枠数 | 条件 |
|---|---|---|
| 2026年大陸選手権 | 5 | 各大陸の優勝国 |
| 2027年ワールドカップ | 3 | 未出場権獲得国の上位3チーム |
| 2028年VNL終了時の世界ランキング | 3 | 未出場権獲得国の上位3チーム |
| 開催国枠 | 1 | アメリカ |
日本は2026年のアジア選手権で優勝できなかったため、大陸選手権からの直接出場権は獲得できませんでした。
しかし、2027年ワールドカップと2028年VNL終了時の世界ランキングという2つのルートが残っています。
JVAが掲げる2027年以降の強化方針JVAの2026年度事業計画からは、アクバシュ体制が目指す強化の方向性を読み取れます。
特に注目したいのが、次の4項目です。
1.Bチームを活用した選手層の拡大
主力と控えの実力差を縮めるため、Bチームを編成して国際経験と競争機会を増やす取り組みです。
2.攻守のプレーシステムの精度向上
VNLで高めた攻守の連係を、相手の特徴に合わせて調整することが大切です。
3.メンタル面とフィジカル面の強化
プレッシャーのかかる試合でも安定したプレーができるよう、技術面以外のサポートも充実させる必要があります。
4.アジア競技大会を五輪のシミュレーションとして活用
2026年のアジア競技大会について、JVAは2028年五輪のシミュレーションと位置づけていました。
実際に中国との決勝を経験したことは、次の国際大会に向けた重要な材料となります。
今後は結果だけでなく、どの選手が国際舞台で成長し、主力として定着するかも注目点です。
【女子バレーボール監督】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2026年の女子バレーボール日本代表監督は誰ですか?
A1:フェルハト・アクバシュ氏です。トルコ出身で、2025年2月21日に女子日本代表の新監督への就任が内定しました。2026年度も引き続き指揮を執っています。
Q2:アクバシュ監督は女子日本代表初の外国人監督ですか?
A2:はい。女子日本代表史上初の外国人ヘッドコーチです。ただし、2017~2018年には女子日本代表の外国人コーチとして指導した経験があります。
Q3:2026年の女子日本代表はアジア選手権で優勝しましたか?
A3:優勝していません。タイが優勝し、日本は3位で銅メダルを獲得しました。日本は2027年女子ワールドカップの出場権を確保していますが、アジア選手権優勝国に与えられる五輪出場権は獲得していません。
Q4:歴代の女子日本代表監督で五輪のメダルを獲得したのは誰ですか?
A4:近年では眞鍋政義監督が2012年ロンドン五輪で銅メダルを獲得しています。それ以前には大松博文監督や山田重雄監督なども五輪・世界選手権で輝かしい実績を残しました。
Q5:アクバシュ監督はどのような戦術を重視していますか?
A5:攻撃力の向上に加え、ブロックとレシーブを連動させた総合的な守備、サーブによるプレッシャー、攻守の切り替えを重視しています。2026年は特にブロックの改善を重点課題に掲げました。
2026年11月現在、女子バレーボール日本代表を率いているのはフェルハト・アクバシュ監督です。
日本女子代表初の外国人監督であり、2017~2018年の日本代表コーチ経験と、トルコ・ヨーロッパの強豪クラブで積んだ実績を持っています。
2026年シーズンの成績を整理すると、VNL7位、アジア選手権3位、愛知・名古屋アジア競技大会2位でした。
メダルを獲得した一方、最短でのロサンゼルス五輪出場権獲得には届きませんでした。
今後の焦点は、ブロックとレシーブの連係、切り返しからの攻撃、プレッシャーへの対応、そして若手を含めた選手層の拡大です。
2027年女子ワールドカップは、日本にとって五輪出場権を獲得する大きなチャンスになります。
アクバシュ監督の評価を最終的に決めるのは、外国人初という肩書ではなく、世界の強豪に勝ち、2028年ロサンゼルス五輪で結果を残せるかどうかです。
2026年の経験を次の成長につなげられるか。女子日本代表の新しい挑戦は、これからが本番です。
主な参照資料:公益財団法人日本バレーボール協会(JVA)、国際バレーボール連盟(FIVB)、日本オリンピック委員会(JOC)、Volleyball World、TBS NEWS DIG、月刊バレーボール。