舘ひろしの映画キャリアは、1976年の東映映画『暴力教室』から始まった。初期には東映の青春映画やアクション映画を中心に出演し、1980年代後半には『あぶない刑事』シリーズで全国的な知名度を獲得。その後はコメディ、社会派ドラマ、歴史映画、漫画原作の大作まで活動の幅を広げている。
舘プロの公式フィルモグラフィーを軸に、近年の出演映画と配信作品を加えた公開年順の一覧が以下のとおりだ。テレビドラマやテレビスペシャルは、劇場映画とは区別している。
※劇場公開作品と映画配信作品を中心に整理。テレビ映画・テレビスペシャルなどは含めていない。公開年は日本での公開・配信時期を基準としている。
特に注目したいのは、1994年の『免許がない!』から2026年の『免許返納!?』まで、映画スターを主人公とするコメディ作品に再び取り組んでいる点だ。
また、2024年以降は歴史アクション、人間ドラマ、刑事アクションと異なるジャンルの作品が続いている。単に過去の代表作を再演するだけではなく、新しい世代の俳優や監督との共同作業を続けていることも、近年の活動の特徴だ。
【2026年最新】舘ひろしの映画3作品と役柄を解説

2026年の舘ひろしは、主演作品と大作への特別出演という異なる立場で映画に参加している。
公開順に見ると、3月の歴史アクション、6月の主演コメディ、10月の国際的なサスペンスアクションという流れだ。
1. 『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』土方歳三役『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』は、野田サトルの人気漫画を原作とする実写映画シリーズの続編だ。
舘ひろしが演じるのは、元新選組副長の土方歳三。史実上の新選組副長をモデルにした人物であり、作品内では金塊をめぐる争奪戦に身を投じる重要な存在となっている。
2024年公開の映画『ゴールデンカムイ』でも同じ土方歳三を演じており、続編でも役柄を引き継いだ。
共演者には山﨑賢人、山田杏奈、眞栄田郷敦、玉木宏、北村一輝、井浦新らが名を連ねる。監督は片桐健滋、脚本は黒岩勉。東宝配給で2026年3月13日に公開された。
この役柄で注目されるのは、舘ひろしが長年培ってきた威厳と落ち着きが、土方歳三という歴史的人物の存在感に重なることだ。
『あぶない刑事』の鷹山敏樹とは異なる時代背景ながら、強い信念を持つ人物を演じる点には共通性がある。
2. 『免許返納!?』南条弘役2026年の主演作として大きな注目を集めるのが、河合勇人監督の『免許返納!?』だ。
作品の主人公は、南条弘という70歳の映画スター。俳優としてのキャリアを持ち、まだアクション映画への出演を望んでいる男性が、運転免許の返納問題をめぐる騒動に巻き込まれていく。
物語のきっかけは、長年の付き合いがある俳優仲間が起こしたバイク事故だ。南条が事故について発したコメントが世間で大きく取り上げられ、本人の意図とは違う形で解釈されてしまう。
やがてマネージャーや家族まで騒動に巻き込まれ、本人が望まない免許返納を求められる展開になる。
主な出演者は以下のとおり。
- 舘ひろし:南条弘
- 西野七瀬
- 黒川想矢
- 南野陽子
- 八嶋智人
- 大地真央
- MEGUMI
- 真矢ミキ
- 吉田鋼太郎
- 宇崎竜童
監督は河合勇人、脚本は林民夫。配給は東映だ。
この映画で興味深いのは、舘ひろし自身のパブリックイメージと主人公の設定が重なることだ。
長年、バイクや車を使ったアクション、クールな刑事役で知られてきた舘ひろしが、免許返納という社会的なテーマを笑いに変える。
1994年の主演映画『免許がない!』も、映画スターの南条弘が運転免許を取得しようと奮闘するコメディだった。
同じ南条弘という名前を用いた設定も興味深い。両作を見比べれば、年齢を重ねた映画スターという人物像を、約32年の時を経てどのように描き直しているのかが見どころになる。
ただし、両作品の物語上の直接的な続編関係については、公式作品紹介で明示されていない。
3. 『バッド・ルーテナント:トウキョウ』影山正次役2026年10月30日時点で、公開日が最も新しい舘ひろしの出演映画が『バッド・ルーテナント:トウキョウ』だ。
監督は三池崇史。主演は小栗旬で、ハリウッドと日本の制作陣が参加するサスペンスアクション作品となっている。
舘ひろしは影山正次役で特別出演する。
公式キャラクター紹介によると、影山正次は野村周平演じる影山翔一の祖父で、ドラッグの密造に関わる人物だ。両親を早くに亡くした翔一を男手ひとつで育てたという背景を持つ。
単なる顔見せではなく、物語の登場人物の過去や人間関係に関わる役柄となっている。
主な出演者は次のとおり。
- 小栗旬
- リリー・ジェームズ
- 間宮祥太朗
- リヴ・モーガン
- 野村周平
- 西野七瀬
- 向里祐香
- 岩田剛典
- 國村隼
- 舘ひろし
主題歌はAdoの「Raven Sky」。日本での公開日は2026年10月23日で、公式サイトでも上映中と案内されている。
この作品で見逃せないのは、舘ひろしが主演ではなく特別出演という立場で参加していることだ。
主演作『免許返納!?』ではコミカルな映画スターを演じる一方、本作では裏社会と関係する人物を演じる。同じ年に異なるジャンルの作品へ参加していることが、2026年の活動を象徴している。
【あぶない刑事の映画はどの順番?】劇場版歴代8作品を完全整理
舘ひろしの映画代表作を語るうえで欠かせないのが、『あぶない刑事』シリーズだ。
舘ひろしが演じるのは、横浜港警察署の刑事・鷹山敏樹。通称タカ。柴田恭兵演じる大下勇次、通称ユージとのコンビがシリーズの中心となる。
1986年に始まったテレビドラマは、型破りなキャラクター、スタイリッシュな衣装、コミカルな演出、派手なアクションによって人気を集めた。
東映の公式ヒストリーによると、当初2クールの予定だったテレビシリーズは、人気を受けて1年間に延長された。全51話が放送され、映画化へとつながった。
あぶない刑事の劇場版を見る順番映画だけを続けて鑑賞するなら、公開順に見るのが基本だ。
第1作
『あぶない刑事』
シリーズ劇場版の出発点。タカとユージのコンビの魅力を知るための基本作品。
第2作
『またまたあぶない刑事』
カーアクションや派手なアクションが強化された作品。
第3作
『もっともあぶない刑事』
シリーズの中でもハードボイルド色が強い作品。
第4作
『あぶない刑事リターンズ』
7年ぶりにタカとユージがスクリーンに帰ってきた作品。
第5作
『あぶない刑事フォーエヴァー THE MOVIE』
テレビスペシャルと連動した劇場版。
第6作
『まだまだあぶない刑事』
韓国・釜山での海外ロケも見どころ。
第7作
『さらば あぶない刑事』
当時はシリーズ完結を意識した作品として公開された。
第8作
『帰ってきた あぶない刑事』
タカとユージが探偵となって横浜に帰ってくる最新劇場版。
この8作品が、劇場版の公開順だ。公開年だけを見ても、1987年から2024年まで約37年にわたって続くシリーズであることが分かる。
テレビスペシャルと劇場版を混同しない注意したいのが、1998年の『あぶない刑事フォーエヴァー TVスペシャル'98』だ。
これは劇場公開作品ではなく、1998年8月28日に放送されたテレビスペシャルである。
その後、同年9月12日に『あぶない刑事フォーエヴァー THE MOVIE』が公開された。両者は連動する内容だが、劇場版8作品を数える際には、テレビスペシャルを別作品として扱う必要がある。
初めて見る人におすすめの鑑賞方法初めてシリーズに触れる人には、次の順番がおすすめだ。
- シリーズの原点を知りたい人: 第1作『あぶない刑事』から鑑賞する。
- アクションを楽しみたい人: 第2作『またまたあぶない刑事』と第3作『もっともあぶない刑事』を続けて見る。
- 長いキャリアの変化を感じたい人: 第6作『まだまだあぶない刑事』から第8作『帰ってきた あぶない刑事』までを見る。
- タカとユージの関係性を深く知りたい人: テレビシリーズも含めて公開・放送順に追う。
特に2024年の『帰ってきた あぶない刑事』は、過去作を知っているほど登場人物の再会や時間の経過を味わいやすい。
【舘ひろしの代表作】刑事・コメディ・歴史・人間ドラマで見せた演技
舘ひろしの代表作を考える場合、知名度だけでなく、俳優としてどのような役柄に挑戦してきたのかを見ることが大切だ。
ここでは、特にキャリアを理解するうえで重要な作品を紹介する。
『暴力教室』俳優としての原点1976年公開の『暴力教室』は、舘ひろしの俳優デビュー作だ。
当時の舘ひろしは、俳優としてのキャリアを歩み始めたばかりだった。1975年にはロックバンド「クールス」のボーカルとしてレコードデビューしており、音楽活動から映画の世界へと活動を広げていった。
つまり、最初から映画俳優として芸能界に入ったわけではない。
音楽とバイクカルチャーを背景に持つ人物が、映画の世界で独自の存在感を築いていったことが、後のアクション俳優としてのイメージにもつながっている。
『免許がない!』意外性のあるコメディ1994年の『免許がない!』は、舘ひろしのコミカルな魅力を知るうえで外せない作品だ。
舘ひろしが演じるのは映画スターの南条弘。誰もが認めるスターでありながら、運転免許を持っていないことが唯一のコンプレックスという人物だ。
映画の撮影を中断して自動車学校に通い始めるが、教習所では思うようにいかず、さまざまな騒動が巻き起こる。
監督は明石知幸、脚本は森田芳光。1994年2月11日に公開された。
この作品は、クールで完璧な男性という舘ひろしのイメージを、笑いに変えたところに面白さがある。
『終わった人』俳優としての新境地2018年の『終わった人』は、舘ひろしの演技を評価するうえで非常に重要な作品だ。
原作は内館牧子の同名小説。舘ひろしが演じるのは、定年を迎えた元エリート銀行員の田代壮介である。
仕事一筋で生きてきた男性が、定年後に社会的な役割や居場所を失い、自分の人生と向き合う姿を描いている。
これまでの刑事やアクションスターとは異なり、年齢を重ねた男性の戸惑い、孤独、再出発への葛藤を表現した作品だ。
舘ひろし自身の従来のイメージを大きく変えた役柄であり、国際映画祭での受賞にもつながった。
『アルキメデスの大戦』山本五十六役2019年公開の『アルキメデスの大戦』では、舘ひろしが山本五十六を演じた。
太平洋戦争前の日本を舞台に、巨大戦艦の建造計画をめぐる人間模様と頭脳戦を描く作品だ。
主演の菅田将暉をはじめ、柄本佑、浜辺美波、笑福亭鶴瓶らが出演。舘ひろしは、海軍の重要人物として物語に重厚感を与えている。
土方歳三や山本五十六といった歴史上の人物を演じる機会が増えている点も、近年のキャリアの特徴だ。
『ヤクザと家族 The Family』柴咲博役2021年公開の『ヤクザと家族 The Family』は、藤井道人監督と舘ひろしが関わった重要な作品の一つだ。
綾野剛演じる山本賢治を中心に、暴力団に関わる人々の人生と、時代の変化によって変わっていく社会との関係を描く。
舘ひろしが演じるのは柴咲博。組織の中で重要な立場を担う人物だ。
この作品での経験が、後の藤井道人監督との再タッグ作品『港のひかり』へとつながっていく。
『港のひかり』元ヤクザの漁師・三浦諒一役2025年11月14日公開の『港のひかり』は、舘ひろしが主演を務めた人間ドラマだ。
監督・脚本は藤井道人。撮影を木村大作が担当し、全編35mmフィルムで撮影された。
舘ひろしが演じるのは、三浦諒一という過去を捨てた元ヤクザの漁師。
日本海に面した小さな漁村で暮らす三浦は、弱視を患う少年・幸太と出会う。幸太は両親を亡くし、家庭でも学校でも孤独な境遇に置かれていた。
三浦は少年に自分の過去を重ね、次第に特別な絆を築いていく。
幸太役は幼少期を尾上眞秀、成長後を眞栄田郷敦が演じる。黒島結菜、斎藤工、ピエール瀧、市村正親、宇崎竜童、椎名桔平らも出演する。
公式作品紹介では、親子以上に年の離れた二人の12年にわたる友情が物語の軸として紹介されている。
『終わった人』が定年後の男性の人生を描いた作品なら、『港のひかり』は過去を背負った男性が誰かのために生きる姿を描いた作品だ。
両作を続けて見ると、舘ひろしが年齢を重ねた男性の孤独や人生の再出発をどのように表現しているのかがよく分かる。
【受賞歴を検証】『終わった人』とモントリオール世界映画祭の評価
舘ひろしの俳優としての評価を語るうえで、2018年公開の『終わった人』は大きな転換点となった。
この作品によって、従来のアクションスターとしての評価に加え、人物の内面を表現する演技力も国際的に認められた。
主要な受賞・表彰歴| 年 | 賞・表彰 | 内容 |
|---|---|---|
| 2018年 | 第42回モントリオール世界映画祭 | 『終わった人』で最優秀男優賞 |
| 2019年 | 第42回日本アカデミー賞 | 『終わった人』で優秀主演男優賞 |
| 2019年 | 第61回ブルーリボン賞 | 『終わった人』で主演男優賞 |
| 2020年 | 旭日小綬章 | 長年の芸能活動などに対する叙勲 |
2018年9月、カナダで開催された第42回モントリオール世界映画祭で、舘ひろしは『終わった人』の演技によって最優秀男優賞を受賞した。
演じたのは、定年退職を迎えた元銀行員・田代壮介。
社会的な肩書を失った男性が、自分の存在価値を見失いながらも新しい生き方を模索する姿を表現した。
この受賞は、長年にわたって刑事役やアクション映画で活躍してきた舘ひろしにとって、演技の幅を改めて示す実績となった。
日本アカデミー賞では最優秀賞ではなく優秀主演男優賞ここは混同しやすいポイントだ。
舘ひろしは第42回日本アカデミー賞で『終わった人』によって優秀主演男優賞を受賞している。
ただし、優秀賞と最優秀賞は別の賞区分である。日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を受賞したという意味ではない。
一方、第61回ブルーリボン賞では主演男優賞を受賞している。
したがって、正確な受賞歴は次のように整理できる。
- モントリオール世界映画祭:最優秀男優賞
- 日本アカデミー賞:優秀主演男優賞
- ブルーリボン賞:主演男優賞
それぞれ異なる映画賞であり、賞の名称と受賞区分を正しく理解することが大切だ。
【よくある質問】舘ひろしの映画に関するFAQ
Q1:舘ひろしの映画デビュー作は何ですか?
1976年公開の東映映画『暴力教室』です。舘ひろしの公式プロフィールでも、同作が俳優デビュー作として紹介されています。
Q2:舘ひろしの映画で最も有名な代表作は何ですか?
代表作として特に知られているのは『あぶない刑事』シリーズです。鷹山敏樹、通称タカを演じ、柴田恭兵とのコンビで人気を獲得しました。また、映画賞の受賞実績では『終わった人』も重要な代表作です。
Q3:舘ひろしの2026年最新映画は何ですか?
2026年10月30日時点で、公開日が最も新しい出演作は『バッド・ルーテナント:トウキョウ』です。10月23日公開で、舘ひろしは影山正次役として特別出演しています。
Q4:『免許返納!?』の公開日はいつですか?
2026年6月19日です。舘ひろしが映画スターの南条弘を演じる主演コメディで、監督は河合勇人です。
Q5:『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』で舘ひろしは何役ですか?
土方歳三役です。2024年公開の『ゴールデンカムイ』に続いて同じ役を演じています。続編の公開日は2026年3月13日です。
Q6:舘ひろしは『終わった人』でどのような賞を受賞しましたか?
第42回モントリオール世界映画祭最優秀男優賞、第42回日本アカデミー賞優秀主演男優賞、第61回ブルーリボン賞主演男優賞を受賞しています。
Q7:『あぶない刑事』の映画は全部で何作品ありますか?
2026年10月現在、劇場版は全8作品です。1987年の第1作から2024年の『帰ってきた あぶない刑事』まで、公開順に見るとシリーズの変遷を楽しめます。
舘ひろしの映画キャリアを1976年から2026年まで振り返ると、その魅力はダンディーな刑事役だけにとどまらないことが分かる。
『暴力教室』で俳優として出発し、『あぶない刑事』で国民的な人気を獲得。その後、『免許がない!』でコメディに挑戦し、『終わった人』では国際映画祭の最優秀男優賞を受賞した。
さらに『アルキメデスの大戦』『ヤクザと家族 The Family』『ゴールデンカムイ』『港のひかり』など、作品ごとに異なる人物像を演じている。
2026年の出演作も、それぞれ違った魅力を持つ。
- 歴史アクションを楽しみたいなら『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』
- 舘ひろしのコミカルな演技を楽しみたいなら『免許返納!?』
- 三池崇史監督のサスペンスアクションを見たいなら『バッド・ルーテナント:トウキョウ』
【プロの結論】
舘ひろしの映画を理解するうえで大切なのは、代表作の知名度だけで俳優としての評価を決めないことだ。
『あぶない刑事』のタカには、若々しさ、機敏さ、ユーモアがある。一方、『終わった人』の田代壮介や『港のひかり』の三浦諒一には、人生経験を重ねた男性ならではの孤独や葛藤がある。
この対比こそが、舘ひろしの俳優としての大きな魅力だ。
2026年には76歳を迎え、主演コメディから国際的なサスペンスアクションまで活躍の場を広げている。約50年にわたる映画キャリアは、過去の人気に頼るだけではなく、年齢や時代に合わせて役柄を更新し続けてきた歩みでもある。
今後の出演作を追う際にも、どのジャンルに挑戦するのか、どのような人物を演じるのかに注目したい。舘ひろしの映画は、公開年順に見ることで、その俳優人生そのものを楽しめる作品群となっている。