まず押さえたいのは、レストランのモデル、料理監修、撮影ロケ地は、それぞれ別の意味を持つという点だ。
『グランメゾン東京』の制作に協力した実在店を整理すると、次のようになる。
この関係は、TBSの公式スタッフ情報、番組公式インタビュー、撮影協力企業の資料などから確認できる。特にドラマ版では、岸田周三シェフだけでなく、トーマス・フレベルシェフも正式に料理監修者としてクレジットされている。
尾花夏樹に実在モデルはいる?主人公の尾花夏樹を演じるのは木村拓哉。脚本は黒岩勉が担当している。
尾花は、パリで二つ星を獲得した後、ある事件をきっかけに地位と仲間を失い、日本で再起を目指す料理人という設定だ。
岸田周三シェフや小林圭シェフの経歴を連想する人もいるが、両者とも尾花の人物モデルとして公式に発表されたわけではない。
整理すると、次の違いがある。
- 岸田周三:ドラマ版の料理監修者。
- トーマス・フレベル:gakuの料理監修者。
- 小林圭:映画版の料理監修者。
- 尾花夏樹:木村拓哉が演じるフィクション上の主人公。
つまり、料理人としてのリアリティーを実在の一流シェフが支えていることと、登場人物の人生が実在人物の伝記であることは別問題なのだ。
【カンテサンス】岸田周三シェフの料理と予約費用を調査
ドラマ版との関係で最も重要な実在店が、東京・北品川のフレンチレストラン「」だ。
オーナーシェフは岸田周三氏。2006年5月11日に開店し、翌2007年にはミシュランガイドで三つ星を獲得した。
TBSの公式番組情報でも、岸田シェフが『グランメゾン東京』の料理監修を担当したことが明記されている。2024年のスペシャルドラマでも、引き続き料理監修を務めた。
岸田周三シェフが監修したのは何?料理監修は、料理の見た目を整えるだけの仕事ではない。
フランス料理の技法、素材の扱い、味の構成、盛り付け、料理人としての所作など、画面に映る料理の説得力を支える役割がある。
TBSの撮影現場レポートでは、岸田シェフが料理を作り、盛り付け、料理にナイフを入れる手元まで協力したことが紹介されている。
つまり、俳優が料理人を演じるだけでは再現しきれない部分を、実際の三つ星シェフが支えていた。
これは作品の料理描写における大きな特徴だ。
カンテサンスの予約方法と2026年の料金実際に訪問できるレストランなので、料金や予約条件も確認しておきたい。
カンテサンス
東京都品川区北品川6-7-29 ガーデンシティ品川 御殿山1F
フランス料理・おまかせコース
公式メニューに掲載されている料金は以下のとおり。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| コース料金 | 41,250円(税込) |
| サービス料 | 10% |
| サービス料込み | 45,375円 |
| 料理構成 | 料理・デザート約13皿、食後の飲み物 |
| コース形式 | おまかせ1コース |
※サービス料込みの金額は、公式掲載料金から算出。飲み物などの追加料金は別途。
予約で知っておきたい注意点公式の予約案内によると、予約は電話とOMAKASEで受け付けている。
- 予約可能期間:3カ月先の同日まで
- 利用人数:2~6人
- 予約電話受付:13時30分~15時30分
- 営業時間:17時~20時、20時30分~23時30分の2部制
- 16歳未満の来店は不可
- 食材アレルギーや苦手な食材は事前申告が必要
コース内容はおおむね3カ月ごとにスペシャリテ以外の料理が入れ替わる。したがって、ドラマで見た料理がそのまま提供されるとは限らない。
また、店の所在地は東京都品川区北品川。劇中のグランメゾン東京と同じ建物ではない。
ドラマの世界をそのまま再現したテーマレストランではなく、岸田シェフの実際の料理を味わうためのレストランと理解して訪れるのが適切だ。
【ライバル店gakuの正体】INUAとトーマス・フレベルの関係
グランメゾン東京のライバルとして登場するレストランが「gaku」だ。
尾上菊之助が演じた丹後学がシェフを務めるこの店も、料理の完成度が高く、作品の重要な舞台となっている。
その料理監修を担当したのが、東京・飯田橋にあった「」のトーマス・フレベルシェフだ。
トーマス・フレベルはどんな料理人?フレベル氏は、デンマーク・コペンハーゲンのレストラン「」で10年間働き、料理人としてだけでなく研究開発部門でも経験を積んだ人物だ。
その後、日本でINUAのヘッドシェフを務めた。
INUAは2018年6月に開業。日本各地の食材を取り入れ、北欧の技法や発想と日本の食文化を融合させた料理を提供していた。
2019年にはミシュランガイド東京で二つ星を獲得。『グランメゾン東京』の放送時期と、実際のレストランの評価が重なったことも話題になった。
gakuの料理はINUAの料理そのもの?ここは誤解しやすいポイントだ。
TBSの公式noteに掲載されたフレベルシェフのインタビューでは、ドラマで扱う料理はフレンチであり、INUAのレストラン料理とは異なる一方、INUAの創造性を反映できることが協力の決め手になったと説明されている。
加えて、番組のために料理や提供方法を調整する必要もあったという。
つまり、gakuの料理はINUAのメニューをそのまま再現したものではない。フレベルシェフの発想や技術を、ドラマの設定に合わせて生かした料理だった。
この違いは、料理監修という仕事を理解するうえでも重要だ。
INUAは閉店した?2026年現在の状況残念ながら、INUAは現在営業していない。
2020年4月に新型コロナウイルス感染拡大の影響で休業し、その後営業を再開することなく、2021年3月末をもって閉店した。
当時の報道によると、閉店に際してフレベルシェフは、コロナ禍による休業に加え、父親や親しい親族を亡くしたことを明かし、日本を離れてヨーロッパに戻り、家族を支える決断をしたと説明している。
したがって、2026年現在、gakuの料理監修店だったINUAを予約して訪問することはできない。
ただし、INUAが閉店したからといって、ドラマで紹介された料理人としての仕事や作品への貢献まで失われるわけではない。
【グランメゾン東京のロケ地】gakuと本店の撮影場所はどこ?
作品の世界を実際に訪れてみたい人にとって、気になるのが撮影場所だ。
特に重要なのは、gakuの料理監修をしたINUAと、gakuの撮影に使用されたレストランが別々だったことだ。
gakuのロケ地はメゾン・ポール・ボキューズgakuの撮影場所として知られるのが、代官山の「」だ。
所在地は東京都渋谷区猿楽町17-16、代官山フォーラム地下1階。
TBSの公式インタビューでは、丹後学を演じた尾上菊之助が、gakuの撮影について実際のレストランの厨房を借りて撮影したと語っている。
また、フレベルシェフ自身もTBS公式インタビューで、INUAのチームがポール・ボキューズで撮影に参加した経験について触れている。
つまり、次のように整理できる。
- 料理を考案・監修したのはINUAのトーマス・フレベル。
- 撮影場所として使われたのはメゾン・ポール・ボキューズ。
- gakuは劇中の架空レストラン。
この3つは混同しないようにしたい。
メゾン・ポール・ボキューズは2026年も訪問できる?
メゾン・ポール・ボキューズ
東京都渋谷区猿楽町17-16 代官山フォーラムB1F
代官山駅から徒歩約6分
公式サイトに掲載されている営業時間は次のとおり。
| 区分 | 営業時間 |
|---|---|
| ランチ | 12:00~15:30 |
| ディナー | 18:00~22:30 |
| 定休日 | 月曜日(祝日の場合は翌日に振替) |
※ラストオーダーはランチ13時、ディナー19時30分。来店前に最新の営業案内を確認したい。
ここは作品の撮影場所としてだけでなく、実際にフランス料理を楽しめるレストランだ。
ただし、劇中のgakuの料理が通常メニューとして提供されているわけではない。
グランメゾン東京の本店はどこで撮影された?グランメゾン東京の厨房については、厨房設備メーカーのフジマックが撮影セットへの全面協力を公表している。
注目したいのは、単なる背景用のセットではなかった点だ。
撮影セットには、ガスレンジ、オーブン、冷蔵設備、調理台などの本格的な業務用厨房機器が導入されていた。
客席から厨房が見えるオープンキッチンも作られ、実際に調理ができる環境が整えられていたという。
これは料理ドラマとしての説得力を高めるための制作上の工夫だった。
なお、ロケ地情報サイトでは、日本橋小網町のアーキテクツオフィスもグランメゾン東京の主な撮影場所として紹介されている。ただし、ここも営業中のグランメゾン東京という飲食店ではない。
パリのロケ地は三つ星レストラン「ランブロワジー」ドラマの序盤で印象的なのが、尾花の過去を描くパリのシーンだ。
その撮影に協力した実在店が、パリの老舗フレンチレストラン「」である。
TBS公式発表では、同店をパリでの撮影開始場所として紹介している。鈴木京香も公式インタビューで、実際にランブロワジーでロケを行った経験を語った。
ランブロワジーは、料理人の世界を描く作品にふさわしい、本場フランスの名店だった。
ただし、ここもグランメゾン東京のモデル店という意味ではない。あくまでパリの撮影協力先である。
【映画グランメゾン・パリ】Restaurant KEIと小林圭シェフの関係
ドラマ版と映画版で、料理監修者が変わったこともシリーズを理解するうえで重要だ。
2024年12月30日に公開された映画『グランメゾン・パリ』では、パリの三つ星レストラン「」のオーナーシェフ、小林圭氏が料理監修を担当した。
小林圭シェフはなぜ映画版の監修に選ばれた?小林圭氏は長野県出身の料理人。
フランスに渡り、アラン・デュカス氏のレストラン「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」で7年間働いた。その後、2011年3月にパリでRestaurant KEIを開業している。
そして、2020年1月にフランス版ミシュランガイドで三つ星を獲得した。
これはアジア人シェフとして初めての快挙として大きな注目を集めた。
映画で描かれる尾花たちの目標は、フランス料理の本場パリで三つ星を獲得すること。実際にパリで三つ星を獲得した小林シェフが料理監修を務めることには、作品のテーマと現実を結びつける意味がある。
Restaurant KEIは実在する?現在も訪問できる?
Restaurant KEI
5 Rue Coq Héron, 75001 Paris, France
小林圭シェフが開業したパリのレストラン
2026年現在も、公式サイトで店舗情報と予約案内が掲載されている。
予約は2カ月先まで受け付け、毎月第1火曜日の午前9時30分に予約枠を公開する方式だ。
公式サイトに掲載されている営業日は以下のとおり。
- 火曜日・水曜日:ディナー
- 金曜日・土曜日:ランチ・ディナー
- 日曜日・月曜日:定休日
フランス旅行で訪問を考えている場合、予約開始日を意識して計画したい。
映画に登場した料理を実際に食べられる?映画の料理と現実のRestaurant KEIの料理には、関連性がある。
2024年12月31日付のMaison KEI公式発表では、映画公開を記念して、劇中の料理をオマージュしたメニューを2025年1月から期間限定で提供すると案内していた。
対象となった料理には、赤紫蘇のグラニテ、庭園風季節のサラダ、魚のうろこ焼き、ヴァシュランなどがある。
ただし、これは映画公開を記念した期間限定企画であり、2026年現在も同じメニューが提供されているという意味ではない。
ここで覚えておきたいのは、映画の料理監修を担当した店だからといって、劇中の料理が常設メニューになっているわけではないということだ。
【プロの結論】作品の料理を味わうなら、どの店を選ぶべき?
ここまでの情報を踏まえると、実際に訪問するレストランは目的によって選ぶべきだ。
目的別に選ぶ実在レストラン
料理監修の中心となった岸田シェフの料理を味わいたい人
劇中のグランメゾン東京を支えた料理監修者の実際の料理を楽しみたい人に向いている。予算はサービス料込みでコース約45,375円から。
gakuの撮影場所を訪れたい人
劇中のライバル店の撮影場所として知られる実在レストラン。代官山でフレンチを楽しみながら作品の舞台を感じられる。
映画版の料理監修者の店を訪ねたい人
小林圭シェフが開業したパリのレストラン。映画版との関係を最も直接的に感じられる訪問先。
- ドラマと同じ店舗内装を完全再現した場所で食事したい人:実在するグランメゾン東京はない。
- INUAの料理を当時のまま食べたい人:店舗は2021年に閉店している。
- 劇中の料理をそのまま注文したい人:監修店でも、通常メニューと劇中料理は異なる。
- 予約の取りやすさや価格を最優先する人:カンテサンスやRestaurant KEIは、事前の予約計画が必要になる。
『グランメゾン東京』の魅力は、実在する一軒のレストランをドラマ化したことにあるのではない。
実際の名店が持つ技術や料理人の哲学を取り入れ、架空の店を本当に存在するかのように描いたところにある。
岸田周三シェフの料理、トーマス・フレベルシェフの創造性、そして小林圭シェフが体現するパリでの挑戦。それぞれ異なる実績と専門性が作品に集約されている。
この構造を理解すれば、単純に「モデル店はどこ?」と探すよりも、作品を深く楽しめるはずだ。
【グランメゾン東京のレストラン】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:グランメゾン東京というレストランは実在しますか?
A1:実在しない。木村拓哉演じる尾花夏樹が率いる架空のレストランで、厨房も実際の営業店舗ではなく、フジマックが協力した撮影セットなどで構成されている。
Q2:カンテサンスはグランメゾン東京のモデル店ですか?
A2:岸田周三シェフがドラマ版の料理監修を担当した実在店。ただし、店舗全体の公式モデルと発表されたわけではない。料理のリアリティーを支えた中心的な協力店と考えるのが正確だ。
Q3:レストランgakuのロケ地はどこですか?
A3:代官山のメゾン・ポール・ボキューズが撮影場所として知られている。料理監修を担当したINUAとは別のレストランだ。
Q4:INUAは2026年現在も営業していますか?
A4:営業していない。2020年4月から休業し、2021年3月末に閉店した。料理監修を担当したトーマス・フレベルシェフの店として知られている。
Q5:映画『グランメゾン・パリ』の料理監修は誰ですか?
A5:パリのRestaurant KEIのオーナーシェフ、小林圭氏。2020年1月にフランス版ミシュランガイドで三つ星を獲得した料理人だ。
Q6:カンテサンスの予約費用はいくらですか?
A6:2026年11月時点で公式サイトに掲載されているコース料金は税込41,250円。別途サービス料10%がかかるため、サービス料込みで45,375円。飲み物などは別途となる。
Q7:尾花夏樹には実在のモデルがいますか?
A7:特定の実在シェフが尾花夏樹の公式モデルであるとは発表されていない。岸田周三シェフや小林圭シェフとの直接的な関係は、料理監修という立場にある。
『グランメゾン東京』のレストランは架空の存在だが、作品の料理や撮影には実在する一流レストランと料理人が深く関わっている。
ドラマ版の中心となったのはカンテサンスの岸田周三シェフ。ライバル店gakuにはINUAのトーマス・フレベルシェフが料理監修で参加し、撮影場所には代官山のメゾン・ポール・ボキューズが使われた。パリの場面ではランブロワジーも撮影に協力している。
そして映画『グランメゾン・パリ』では、Restaurant KEIの小林圭シェフが料理監修を担当。実際にパリで三つ星を獲得した料理人の経験が、作品の舞台設定に現実味を与えた。
2026年に実際に訪問するなら、岸田シェフの料理を味わえるカンテサンス、gakuの撮影場所として知られるメゾン・ポール・ボキューズ、映画版の監修者が営むRestaurant KEIが有力な候補となる。一方、INUAは閉店しているため、訪問先としては選べない。
作品のモデルを探すときは、店のモデル・料理監修・撮影場所を分けて考えること。それが、ドラマと現実のフランス料理界の両方を正しく楽しむための、一番確かな判断基準だ。
主な情報源:TBSテレビ公式番組情報・公式インタビュー・公式現場レポート、フジマック公式撮影事例、カンテサンス公式サイト、メゾン・ポール・ボキューズ公式サイト、Restaurant KEI公式サイト、Maison KEI公式プロフィール、INUA閉店に関する当時の報道。