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セルビア男子バレー代表2026年最新体制と戦績、名門復活への課題を徹底解説

土森 弦 土森 弦 • 更新: • 公開: • 読了約 27 分
目次

2026年11月現在、バレーボールセルビア男子代表は、名門復活に向けた重要な世代交代の局面を迎えている。チームを率いるのはルーマニア出身のゲオルゲ・クレツ監督。主将にはセッターのニコラ・ヨボビッチが就任し、マルコ・イボビッチやドラジェン・ルブリッチら経験豊富な選手と、新たな代表候補が融合するチームづくりを進めてきた。

一方、2026年のバレーボールネーションズリーグ(VNL)では12試合5勝7敗の11位、CEV欧州選手権2026では13位という結果に終わった。かつて欧州選手権を3度制し、オリンピック金メダルも獲得したセルビアにとって、決して満足できるシーズンではない。最新の登録メンバー、ポジション別の戦力、主力選手の役割、世代交代の背景を整理しながら、現在の実力と復活への可能性を検証する。

【2026年のセルビア男子代表】クレツ監督と主将ヨボビッチが担う新体制

バレーボールセルビア男子代表

2026年のセルビア男子代表を理解するうえで欠かせないのが、ゲオルゲ・クレツ監督とニコラ・ヨボビッチ主将の存在だ。監督交代とベテラン選手の国際代表引退が重なったことで、チームは従来の勝利を支えてきた構造から、新しい戦い方へ移行している。

ゲオルゲ・クレツ監督の経歴と指導方針

ゲオルゲ・クレツ(Gheorghe Crețu)はルーマニア出身のバレーボール指導者で、2025年1月28日にセルビア男子代表の監督に就任した。

選手時代はミドルブロッカーとしてプレー。その後、1997年からオーストリアのクラブで指導者としてのキャリアをスタートさせた。ベルギー、イタリア、ポーランド、カタール、ロシアなど、複数の国のクラブで経験を積んでいる。

代表監督としても実績が豊富だ。2007~2008年には母国ルーマニア、2014~2019年にはエストニアを指揮。エストニアでは2016年と2018年に欧州リーグを制し、2018年にはチャレンジャーカップ銅メダルを獲得した。

特筆すべきクラブでの実績は、2021~2022年シーズンのポーランドのZAKSAである。クレツ監督は同チームを率いて、CEVチャンピオンズリーグ、ポーランドリーグ、ポーランドカップの3冠を達成。2022年にはCEVの年間最優秀男子チーム監督にも選ばれた。

さらにスロベニア代表では、2022年世界選手権4位、2023年欧州選手権銅メダル、2024年VNL準決勝進出、パリ五輪ベスト8という成果を残している。

FIVBの監督就任発表でクレツは、若い選手を特定のポジションから段階的にチームへ組み込み、経験豊富な選手とともに新しい代表をつくる考えを示した。

つまり、短期間で結果だけを求めるのではなく、選手層の再構築を並行して進めることが基本的な方向性となっている。複数の国で指導した経験を生かし、選手の特徴に合わせてチームを調整する能力も期待されている。

ニコラ・ヨボビッチ主将の役割と実績

2026年の主将を務めるニコラ・ヨボビッチ(Nikola Jovović)は、セルビア代表の攻撃を組み立てるセッターだ。

CEVが2026年9月3日に掲載した特集では、34歳のヨボビッチを、旧世代と新世代をつなぐ重要な存在として紹介している。2013年と2017年の欧州選手権銅メダル、2019年の欧州選手権金メダルを経験しており、国際大会の舞台を熟知する選手だ。

セッターは単にボールを上げるだけのポジションではない。レセプションの状態、相手ブロックの配置、各アタッカーの調子を判断し、攻撃の組み立てを決める司令塔である。

そのため、若手中心のチームにおいてヨボビッチが担う役割は大きい。経験を伝えるリーダーシップと、試合中の判断力の両方が求められる。

2026年9月のCEVインタビューで、ヨボビッチは若い選手と一緒に仕事をすることへの喜びを語り、クレツ監督が若手に時間をかけて成長の機会を与えていることを評価した。

主将としての役割は、勝敗の責任を背負うことだけではない。若手が国際大会のプレッシャーに慣れ、チームとして同じ方向を向けるようにすることも重要な仕事となっている。

出典:FIVBの監督就任発表、CEVの2026年9月3日付ヨボビッチ特集。

【2026年最新メンバー一覧】VNL登録30人をポジション別に紹介

セルビア男子代表の2026年VNL登録メンバーは、2026年5月21日にセルビア公共放送RTSが報じた代表発表によると、合計30人。クレツ監督が選出した選手は、セッター5人、オポジット5人、リベロ4人、ミドルブロッカー8人、アウトサイドヒッター8人という構成だ。

以下は、RTSがセルビアバレーボール連盟の発表をもとに掲載した30人の一覧である。

セッター(5人)
  • ニコラ・ヨボビッチ(Nikola Jovović)
  • ヴク・トドロビッチ(Vuk Todorović)
  • アレクサ・バタク(Aleksa Batak)
  • アンドレイ・ポロマツ(Andrej Polomac)
  • ダニロ・ヴェセリノビッチ(Danilo Veselinović)

攻撃の組み立てを担うポジション。経験豊富なヨボビッチに加え、トドロビッチやバタクらが選択肢に入っている。主将への負担を分散しながら、異なるタイプの攻撃を組み立てられるかがポイントだ。

オポジット(5人)
  • ドラジェン・ルブリッチ(Dražen Luburić)
  • ドゥシャン・ニコリッチ(Dušan Nikolić)
  • ヴェリコ・マシュロビッチ(Veljko Mašulović)
  • アレクサンダル・ショシャ(Aleksandar Šoša)
  • ペタル・プレモビッチ(Petar Premović)

オポジットは攻撃力が特に求められるポジションだ。ルブリッチは経験を持つ主力候補であり、ヴェリコ・マシュロビッチらとの競争が攻撃陣の厚みにつながる。

リベロ(4人)
  • ヴカシン・リスティッチ(Vukašin Ristić)
  • ステファン・ネギッチ(Stefan Negić)
  • ラザル・イェレミッチ(Lazar Jeremić)
  • ドゥシャン・ヨビッチ(Dušan Jović)

リベロは守備専門のポジションであり、相手の強いサーブやスパイクを正確に処理することが求められる。攻撃を安定させるためにも、リベロを中心とした守備連係が重要になる。

ミドルブロッカー(8人)
  • アレクサンダル・ネデリコビッチ(Aleksandar Nedeljković)
  • ネマニャ・マシュロビッチ(Nemanja Mašulović)
  • アレクサンダル・ステファノビッチ(Aleksandar Stefanović)
  • ステファン・コケザ(Stefan Kokeza)
  • アンドレイ・ルディッチ(Andrej Rudić)
  • ウラジミール・ガヨビッチ(Vladimir Gajović)
  • アレクサ・ポロマツ(Aleksa Polomac)
  • ドゥシャン・ペトロビッチ(Dušan Petrović)

中央からの速攻とブロックを担当するポジション。8人が登録されており、対戦相手や試合展開に応じた選手起用が可能な構成となっている。

アウトサイドヒッター(8人)
  • マルコ・イボビッチ(Marko Ivović)
  • ミラン・クユンジッチ(Miran Kujundžić)
  • パブレ・ペリッチ(Pavle Perić)
  • ニコラ・ブルボリッチ(Nikola Brborić)
  • ヴク・クルピナツ(Vuk Kulpinac)
  • ラザル・マリノビッチ(Lazar Marinović)
  • ジャルコ・ウビパリプ(Žarko Ubiparip)
  • ダニロ・イリッチ(Danilo Ilić)

アウトサイドヒッターは攻撃とレセプションの両面を担う重要なポジションだ。経験豊富なイボビッチとクユンジッチに加え、ペリッチやマリノビッチなどが選択肢に入っている。

欧州選手権2026の最終登録メンバーは14人

ここで注意したいのが、VNLの30人登録と、実際の大会に出場する最終メンバーは同じではないという点だ。

2026年9月7日のセルビアバレーボール連盟発表では、欧州選手権に向けて以下の14人が最終メンバーとして選ばれた。

  • セッター:ニコラ・ヨボビッチ、アレクサ・バタク
  • オポジット:ドラジェン・ルブリッチ、ヴェリコ・マシュロビッチ
  • リベロ:ヴカシン・リスティッチ、ステファン・ネギッチ
  • ミドルブロッカー:アレクサンダル・ネデリコビッチ、ネマニャ・マシュロビッチ、アレクサンダル・ステファノビッチ、ステファン・コケザ
  • アウトサイドヒッター:マルコ・イボビッチ、ミラン・クユンジッチ、パブレ・ペリッチ、ラザル・マリノビッチ

つまり、30人の登録リストは代表候補全体を把握するための資料であり、欧州選手権の14人は実際の大会に臨んだチーム構成を示している。両者を混同しないことが、最新メンバーを調べる際のポイントだ。

出典:セルビア公共放送RTSの2026年5月21日付発表、セルビアバレーボール連盟の2026年9月7日付発表。

【注目選手と関係者を比較】イボビッチ、ルブリッチ、若手の役割

2026年のセルビア代表を評価する際は、単純に有名選手の名前を並べるだけでは実態が見えない。監督、主将、攻撃の中心、守備とレセプションを担う選手、そして次世代候補の関係を整理すると、新体制の構造が分かりやすくなる。

人物・選手 ポジション・役割 2026年の注目点
ゲオルゲ・クレツ 代表監督 若手の段階的な登用と経験者との融合を担当
ニコラ・ヨボビッチ セッター・主将 攻撃の司令塔。2019年欧州王者の経験を次世代へ伝える
マルコ・イボビッチ アウトサイドヒッター 経験豊富な攻守の要。新世代を支えるベテランの一人
ドラジェン・ルブリッチ オポジット 攻撃を支える経験者。若手との競争と連係が焦点
ミラン・クユンジッチ アウトサイドヒッター レセプションと攻撃の両面で重要な選択肢
パブレ・ペリッチ アウトサイドヒッター 新体制の攻撃陣を構成する主力候補
ラザル・マリノビッチ アウトサイドヒッター 欧州選手権メンバーに選出された次世代の候補
ヴェリコ・マシュロビッチ オポジット 欧州選手権14人に選出。攻撃陣の世代交代を担う存在
ヴク・クルピナツ、ニコラ・ブルボリッチ アウトサイドヒッター VNL30人登録に入った次世代の選手層
マルコ・イボビッチはなぜ注目されるのか

マルコ・イボビッチは、2026年のセルビア代表で経験を持つアウトサイドヒッターの一人だ。

CEVが掲載したヨボビッチのインタビューでは、代表に残る経験豊富な選手として、ヨボビッチ、イボビッチ、ルブリッチの3人が挙げられている。つまり、イボビッチは単なる攻撃要員ではなく、チームの歴史を知る選手としても重要な存在だ。

アウトサイドヒッターには、得点を取る能力だけでなく、相手の強いサーブを受けるレセプション能力も求められる。新しい選手が多いセルビアでは、イボビッチのような経験者が攻守のバランスを保てるかが鍵になる。

ドラジェン・ルブリッチの存在感

ドラジェン・ルブリッチはオポジットとして登録されている経験豊富な選手だ。ヨボビッチのインタビューでも、イボビッチとともにベテランとして名前が挙がっている。

オポジットは、セッターの対角に位置し、重要な局面で攻撃を任されることが多い。特にレセプションが乱れた場面では、高いトスを打ち切る能力が必要になる。

セルビアのように若手を多く起用するチームでは、ルブリッチが攻撃の安定感を提供できるかどうかも、試合運びを左右する要素となる。

次世代を担う選手たち

2026年の30人登録には、ヴク・クルピナツ、ニコラ・ブルボリッチ、ラザル・マリノビッチ、ヴェリコ・マシュロビッチなどが名を連ねた。

全員が欧州選手権の最終14人に選ばれたわけではないが、代表候補として登録されたこと自体が、クレツ監督の選手層再編を示している。

特に注目したいのは、若手を単純にベテランと入れ替えるのではなく、複数のポジションで競争させている点だ。今後の評価では、登録人数だけでなく、国際大会での出場時間、攻守の安定性、重要な場面での判断力を確認する必要がある。

出典:CEVの2026年9月3日付インタビュー、セルビア代表のVNL登録および欧州選手権メンバー発表。

【2026年試合結果と戦績】VNL11位、欧州選手権13位の実態

2026年のセルビア男子代表を評価するうえで、最も重要な数字がVNL11位と欧州選手権13位だ。どちらもメダル争いからは遠い結果であり、チームの再建が簡単ではないことを示している。

バレーボールネーションズリーグ2026の結果

FIVB・Volleyball Worldの公式最終順位によると、セルビアは12試合を戦い、5勝7敗で11位。獲得要点は16、セット数は19勝25敗だった。

結果を開催週ごとに整理すると、次のようになる。

  • 6月10日:アルゼンチンに3-1で勝利
  • 6月12日:ベルギーに3-1で勝利
  • 6月13日:ブラジルに0-3で敗北
  • 6月14日:ブルガリアに3-0で勝利
  • 6月24日:日本に1-3で敗北
  • 6月26日:キューバに3-1で勝利
  • 6月27日:フランスに0-3で敗北
  • 6月28日:アメリカに1-3で敗北
  • 7月15日:トルコに0-3で敗北
  • 7月16日:ウクライナに3-1で勝利
  • 7月18日:ドイツに2-3で敗北
  • 7月19日:スロベニアに0-3で敗北

序盤はアルゼンチン、ベルギー、ブルガリアを破り、一定の競争力を示した。しかし、第2週はキューバ戦以外の3試合で敗北。第3週もウクライナには勝ったものの、トルコ、ドイツ、スロベニアを相手に苦戦した。

最終的に11位となり、上位8チームによるファイナルラウンド進出を逃している。勝利できる試合と強豪相手の試合で、パフォーマンスの差が生まれた点は大きな課題だ。

出典:Volleyball World「VNL 2026 Final Standings」。

CEV欧州選手権2026はグループ3位から13位へ

2026年9月に開催された第34回欧州選手権では、セルビアはフィンランドのタンペレを舞台とするグループCに入った。

グループリーグの成績は3勝2敗。ベルギーとフィンランドに続く3位で決勝トーナメントへ進出した。

主な結果は以下のとおりだ。

  • 9月11日:エストニアに3-1で勝利
  • 9月13日:フィンランドに0-3で敗北
  • 9月14日:オランダに3-2で勝利
  • 9月16日:デンマークに3-2で勝利
  • 9月17日:ベルギーに0-3で敗北

オランダとデンマークにはフルセットの末に勝利しており、接戦をものにする力は見せた。一方、フィンランドとベルギーにはストレートで敗れている。グループ内で勝ち切る試合と、主導権を握れない試合の差が表れた。

スロベニア戦の0-3が象徴した問題

9月21日のベスト16では、スロベニアと対戦。セルビアは14-25、13-25、22-25のセットカウント0-3で敗れた。

セルビアバレーボール連盟の試合報告によれば、第1セットからスロベニアに主導権を握られ、第2セットは序盤から大きくリードを許した。第3セットでは一時19-19まで追いついたものの、終盤にスロベニアが勝負強さを発揮した。

この敗戦によってセルビアは大会をベスト16で終え、CEVの公式最終順位は13位となった。

重要なのは、13位という数字がグループリーグの順位ではなく、大会全体の最終順位だという点だ。グループCでは3位だったものの、決勝トーナメント初戦で敗退したため、最終的には13位に落ち着いた。

出典:セルビアバレーボール連盟の9月17日・21日付大会報告、CEVの公式最終順位。

【世代交代の理由と歴代メダル実績】黄金時代から再建期へ

セルビア男子代表が2026年に苦戦している背景には、単なる戦術の問題だけでなく、代表チームの構成そのものが変化したことがある。

パリ五輪後に進んだ主力選手の引退

大きな転換点となったのが2024年のパリ五輪だ。

FIVBが2025年4月に掲載した記事では、アレクサンダル・アタナシエビッチ、ウロシュ・コバチェビッチ、マルコ・ポドラシュチャニンの3選手について、パリ五輪後に代表でのキャリアを終えたことが紹介されている。

この3人は長年セルビアの国際大会を支えてきた中心選手だった。彼らが代表を離れたことによって、攻撃、ブロック、試合経験など、複数の面でチームの構成を見直す必要が生じた。

特に代表チームはクラブとは違い、選手が年間を通じて一緒に練習できるわけではない。経験豊富な選手が一度に減ると、新しいメンバー同士が国際大会のスピードやプレッシャーに適応するまで時間がかかる。

2026年にヨボビッチ、イボビッチ、ルブリッチが重要視されているのも、こうした事情と無関係ではない。

セルビア男子バレーの歴代成績とメダル獲得数

現在のセルビア男子代表には、ユーゴスラビア、セルビア・モンテネグロ時代から続く豊かな競技の歴史がある。

CEVの記録では、これらの代表チームの系譜を含めた欧州選手権のメダル獲得数は合計12個。内訳は金3個、銀1個、銅8個だ。

主な欧州選手権の金メダル獲得年は次の3大会である。

  • 2001年:ユーゴスラビアとして優勝
  • 2011年:セルビアとして優勝
  • 2019年:セルビアとして優勝

2019年大会ではスロベニアとの決勝を制し、3度目の欧州王者に輝いた。これが現在の代表にとって、最後の欧州選手権金メダルとなっている。

銀メダルは1997年、銅メダルは1975年、1979年、1995年、1999年、2005年、2007年、2013年、2017年に獲得した。

欧州選手権以外にも、輝かしい実績がある。

  • 1996年アトランタ五輪:ユーゴスラビアとして銅メダル
  • 2000年シドニー五輪:ユーゴスラビアとして金メダル
  • 1998年世界選手権:ユーゴスラビアとして銀メダル
  • 2010年世界選手権:セルビアとして銅メダル
  • 2016年ワールドリーグ:セルビアが優勝

なお、これらは代表の歴史的系譜を含む実績であり、すべてを現在のセルビア共和国名義のタイトルとして数えるものではない。この区別は歴代成績を理解するうえで大切だ。

出典:CEVの代表チーム歴史資料、Volleyball Worldの大会歴代優勝記録。

2019年以降、メダルから遠ざかっている現実

歴史的な実績と現在の成績には、大きな隔たりがある。

2026年9月のCEVインタビューでヨボビッチは、2019年の欧州選手権以降、代表がメダルを獲得できていない状況に触れている。

その間に主力選手の入れ替わりが進み、従来の経験と実力に依存したチームから、新たな戦力を中心とするチームへの転換が必要になった。

つまり、2026年の世代交代は突然始まったものではない。2019年の欧州制覇以降に続く国際大会での停滞と、2024年パリ五輪後の主力引退が重なった結果なのである。

【サーブとレセプションの課題】セルビア男子代表は復活できるのか

現在のセルビア代表を分析するとき、注目すべき技術的な要素がサーブとレセプションだ。

特にレセプションは、セッターがどれだけ多彩な攻撃を組み立てられるかを左右する。相手の強いサーブによってレセプションが乱れると、中央の速攻やコンビネーションを使いにくくなり、攻撃がアウトサイドヒッターやオポジットの高いトスに偏りやすい。

ヨボビッチ自身が指摘した改善ポイント

CEVが2026年9月3日に掲載したインタビューで、ヨボビッチは欧州選手権に向けた準備について、レセプション、高いトスからの攻撃、サーブに重点を置いていると説明した。

この発言は重要だ。代表の主将自身が、技術的な改善点を具体的に認識していたことを示しているからだ。

セルビアは高さとパワーを生かした攻撃を得意とする一方、強いサーブを受けた後の攻撃展開を安定させられるかが問われている。

スロベニア戦のレセプションデータ

CEVが公開した2026年9月21日のスロベニア戦の試合統計では、セルビアのレセプションに関して、ポジティブ率36%、エクセレント率23%という数字が記録されている。

これは大会全体の平均ではなく、スロベニア戦1試合のデータだ。しかし、0-3で敗れた試合の内容を考えるうえで、最初のボールを安定させる難しさを示す参考材料となる。

同試合ではスロベニアが第1セットを25-14、第2セットを25-13で奪った。セルビアは第3セットで競り合いに持ち込んだものの、試合を立て直すことはできなかった。

レセプションが安定しなければ、ヨボビッチが攻撃の選択肢を増やすことは難しい。加えて、相手ブロックに攻撃パターンを読まれやすくなり、ルブリッチらの決定力にも負担がかかる。

サーブについても、単に強く打つだけでは十分ではない。相手を崩す効果と、サーブミスによって相手に得点を与えるリスクを両立させる必要がある。

出典:CEVのヨボビッチ特集、2026年欧州選手権スロベニア対セルビア戦の公式試合統計。

セルビア男子代表が復活するための3つの条件

今後の復活を考えるうえで、注目したいのは次の3点だ。

1. レセプションの安定化

まず必要なのは、相手の強いサーブを受けても攻撃の選択肢を失わないことだ。イボビッチ、クユンジッチ、ペリッチらアウトサイドヒッターの攻守のバランスが重要になる。

2. 若手の国際経験を増やすこと

クレツ監督が進める世代交代を成功させるには、若手選手に代表戦の出場機会を与え続ける必要がある。登録メンバーに名前があるだけでなく、強豪との試合で実際に役割を果たせる選手を増やすことが求められる。

3. ベテランの経験をチーム全体に共有すること

ヨボビッチ、イボビッチ、ルブリッチの経験は、若手にとって大きな財産となる。試合終盤の判断、連続失点時の立て直し、相手の戦術への対応など、数字だけでは測れない部分を次世代へ伝えられるかが重要だ。

【プロの結論】2026年のセルビアは復活前の土台づくりにある

2026年の結果だけを見れば、セルビア男子代表は欧州のトップクラスから一歩後退している。VNL11位、欧州選手権13位という順位は、かつての優勝候補というイメージとは大きく異なる。

しかし、すべての試合で競争力を失ったわけではない。VNLでは5勝を挙げ、欧州選手権でもオランダやデンマークとの接戦を制した。問題は、強豪との対戦で同じ水準のパフォーマンスを安定して発揮できなかったことにある。

今のセルビアを評価するなら、歴代のメダル数だけで判断するのではなく、若手がどれだけ国際舞台で成長しているか、レセプションが改善しているか、ベテランと若手の連係が深まっているかを見るべきだ。

2026年欧州選手権の優勝国には2028年ロサンゼルス五輪の出場権が与えられたが、13位のセルビアはこの直接獲得の機会を逃した。今後の国際大会で競争力を取り戻すためにも、代表チームの再構築は重要な課題となる。

【バレーボールセルビア男子代表に関するよくある質問(FAQ)】

Q1:セルビア男子代表の2026年の監督は誰ですか?
A1:ゲオルゲ・クレツ(Gheorghe Crețu)監督です。2025年1月に就任し、2026年は世代交代を進めながら代表を指揮しました。ZAKSAでの2022年3冠など、クラブ・代表の両方で実績を持つ指導者です。

Q2:2026年のセルビア男子代表の主将は誰ですか?
A2:セッターのニコラ・ヨボビッチです。2019年欧州選手権優勝を経験しており、2026年は新世代の選手をまとめる役割も担っています。

Q3:セルビア男子代表の2026年VNL最終順位は何位ですか?
A3:11位です。12試合で5勝7敗、16ポイントを獲得しました。上位8チームによるファイナルラウンドには進出できませんでした。

Q4:2026年欧州選手権でセルビアは何位でしたか?
A4:最終順位は13位です。グループCを3勝2敗の3位で通過しましたが、ベスト16でスロベニアに0-3で敗れました。

Q5:マルコ・イボビッチとドラジェン・ルブリッチはどのポジションですか?
A5:イボビッチはアウトサイドヒッター、ルブリッチはオポジットです。どちらも2026年の代表で経験豊富な選手として位置づけられています。

Q6:セルビア男子代表の歴代欧州選手権優勝回数は何回ですか?
A6:ユーゴスラビア、セルビア・モンテネグロ、セルビアの代表史を通じて3回です。優勝年は2001年、2011年、2019年。欧州選手権のメダル総数は12個です。

2026年のバレーボールセルビア男子代表は、ゲオルゲ・クレツ監督と主将ニコラ・ヨボビッチを中心に、新しいチームづくりを進めたシーズンだった。

VNL11位、欧州選手権13位という結果は、かつての欧州王者として考えれば厳しい。しかし、パリ五輪後の主力引退による世代交代の影響を考慮すると、現在は戦力を再構築する過程にある。

今後の注目選手は、経験豊富なヨボビッチ、イボビッチ、ルブリッチに加え、ペリッチ、マリノビッチ、クルピナツ、ブルボリッチら新しい世代だ。

復活の鍵は、レセプションの安定、サーブの精度、若手の成長、そして経験者から次世代への技術と判断力の継承にある。

かつて欧州選手権を3度制し、シドニー五輪の頂点にも立ったセルビア。その伝統を再び国際大会の結果につなげられるか。2027年以降の代表選考と主要大会での戦いは、名門復活の可能性を測る重要な試金石となる。

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土森 弦

アニメ・漫画の制作発表を担当。制作会社と出版社の公式告知、原作者コメントを確認してから記事化します。

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