ブロッコリーの茎には、花蕾と同じく複数のビタミンやミネラル、食物繊維が含まれている。特に注目したいのが、ビタミンC、カリウム、食物繊維の3つだ。
ただし、茎の栄養を説明する際には、食品成分表の数値と部位別の研究結果を分けて理解する必要がある。
1.ビタミンC:茎の内側にも豊富に含まれるビタミンCは、コラーゲンの生成を助ける水溶性ビタミンだ。皮膚や血管などの健康維持に関わり、抗酸化作用を持つ栄養素として知られている。
ブロッコリーのビタミンCというと花蕾をイメージしがちだが、茎にも含まれている。
2014年に日本食品保蔵科学会誌に掲載された、ブロッコリーの部位別ビタミンC含有量を調べた研究では、未調理の試料について、ビタミンC含有量は次の順に高かった。
- 花茎
- 茎の内側
- 花蕾
- 茎の外側
つまり、茎の内側は花蕾を上回るビタミンCを含んでいたという結果だ。
一方、硬い外側の部分は最も低かった。茎を食べる際に外皮をむくことは、食感を改善するだけでなく、内側の食べやすい部分を活用することにもつながる。
なお、この研究結果は特定の試料を使った部位別分析であり、すべてのブロッコリーに共通する固定的な含有量を示すものではない。
2.食物繊維:捨てずに取り入れたい栄養素ブロッコリーの茎には植物の組織を構成する繊維質があり、食物繊維を摂取するための食材としても活用できる。
食物繊維には、便のかさを増やしたり、腸内環境を整えたりする働きがある。
ただし、ここでも注意したいのは数値の扱いだ。
文部科学省の食品成分データベースに掲載されている食物繊維の数値は、ブロッコリーの花序など、成分表で定義された食品区分に対するものだ。茎だけの食物繊維量として、その数字をそのまま当てはめることはできない。
茎の硬い外皮には繊維質が多く、食べにくさの原因にもなる。皮を厚めにむき、内側を適切な大きさに切ることで、食べやすさを調整できる。
3.カリウム:茎で注目したいミネラルカリウムは、体内の水分や電解質のバランスを維持するために必要なミネラルだ。
ブロッコリーの茎については、花蕾よりもカリウムが多いという研究結果が報告されている。
2024年の日本調理科学会大会で発表された研究では、生の状態と3分・4分ゆでた状態のそれぞれについて、茎と花蕾のカリウム含有量を比較した。その結果、いずれの条件でも茎の方が有意に多かった。
茎は硬いという理由だけで取り除いてしまうには惜しい部分なのだ。
ただし、カリウムはゆで汁に移る可能性があるため、栄養をなるべく逃がしたくない場合は、電子レンジや蒸し調理も選択肢になる。
【花蕾と茎を比較】公的な栄養成分値と研究結果の違い
ブロッコリーの茎と花蕾では、どちらの方が栄養豊富なのだろうか。
この疑問に答えるには、文部科学省の公的な食品成分値と、大学などが実施した部位別研究を組み合わせて考える必要がある。
文部科学省の食品成分データベースで確認できる数値2026年11月時点で参照できる「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」のブロッコリーの食品番号06263は「花序・生」だ。
可食部100g当たりの主な栄養成分は以下の通り。
- エネルギー:37kcal
- たんぱく質:5.4g
- 食物繊維総量:5.1g
- カリウム:460mg
- ビタミンC:140mg
これらは茎だけの数値ではない。
また、同じ成分表には「花序・ゆで」のデータもある。ゆで調理後の数値はビタミンC55mg、カリウム210mg、食物繊維4.3gとなっている。
ゆでると水溶性の栄養素が減少することが、数値からも読み取れる。
花蕾と茎の栄養比較表| 比較項目 | 花蕾・花序 | 茎 |
|---|---|---|
| ビタミンC | 公的数値あり | 内側が花蕾を上回った研究あり |
| 食物繊維 | 生100g当たり5.1g | 独立した公的数値は確認できない |
| カリウム | 生100g当たり460mg | 花蕾より多いという部位別研究あり |
| カルシウム | 公的数値あり | 花蕾より少ないという研究結果あり |
| 食感 | つぼみ特有の柔らかさ | 中心部はコリコリ、外側は硬め |
| おすすめの調理 | ゆでる・蒸す・サラダ | 炒める・漬ける・スープ |
注:公的成分値は花序の食品区分に対する数値。茎の比較は部位別研究の定性的な結果であり、同一条件で測定した数値の直接比較ではない。
2026年の研究でも茎のカリウムに注目加えて、2026年9月1日から2日に開催された日本調理科学会の2026年度大会では、「ブロッコリーの未利用部位の特性―冷凍によるミネラル含有量の変化―」という研究発表が行われた。
金城学院大学などの研究グループは、花蕾と外皮を除いた茎を分け、生の状態と電子レンジで2分間ブランチングした状態で試料を作成。カリウムとカルシウムの含有量を比較した。
その結果、茎のカリウム含有量は花蕾より有意に多かった。
また、生・ブランチングのいずれも、冷凍前後で100g当たりのカリウムとカルシウムの含有量に差は認められなかった。
ただし、これは大会発表要旨に掲載された実験結果であり、あらゆる冷凍条件で栄養が完全に維持されることを証明したものではない。
この研究と2024年の発表を合わせて考えると、茎は単なる花蕾の残りではなく、特にカリウムの摂取源として活用する価値があることが分かる。
【下処理の基本】ブロッコリーの茎の皮をむく方法
茎をおいしく食べるための最大の要点は、外側の硬い皮を適切に取り除くことだ。
茎の中心部は比較的柔らかい一方、外側には筋張った硬い部分がある。皮をむかずに大きく切って調理すると、加熱しても口に繊維が残ることがある。
包丁を使った基本のむき方1. 花蕾と茎を切り分ける。
2. 茎の根元を少し切り落とし、断面を確認する。
3. 外側の緑色の皮と白い筋張った部分を包丁で厚めにむく。
4. 中心の白っぽく柔らかい部分を取り出す。
5. 料理に合わせて輪切り、短冊切り、角切りにする。
目安として、輪切りや短冊切りは2mm程度にすると火が通りやすい。歯ごたえを残したい場合は3〜4mm程度でもよい。
キユーピーの調理解説でも、切り口に見える白い線より外側の部分を硬い皮として取り除く方法が紹介されている。
電子レンジを使うと皮がむきやすい包丁で厚い皮をむくのが苦手な人には、電子レンジを使う方法もある。
1. 茎の外側に縦の切り込みを1本入れる。
2. 耐熱皿に置く。
3. ふんわりとラップをかける。
4. 600Wで約1分加熱する。
5. 粗熱を取ってから、切り込み部分を起点に皮をむく。
加熱によって外皮が柔らかくなり、手でむきやすくなる。
なお、皮むき用の加熱と、料理として食べられる状態まで火を通す加熱は別だ。むいた後は料理に合わせて追加加熱しよう。
皮は全部捨てなくてもよい実は、むいた皮も調理に使える。
硬い皮をそのままサラダに入れるのはおすすめしにくいが、細く切ってきんぴらにすれば、食感を生かせる。
皮の繊維が気になる場合は、細かく刻んでスープに加える方法もある。
【茹で時間・電子レンジ調理】茎をおいしく仕上げる加熱のコツ
ブロッコリーの茎は、花蕾よりも火が通るまでに時間がかかる。
花蕾と同じタイミングで鍋に入れると、茎が硬いまま残ることがあるため、加熱時間を調整したい。
茎の茹で時間の目安| 切り方 | 茹で時間の目安 | 仕上がり |
|---|---|---|
| 2〜3mmの薄切り | 1〜2分 | シャキッとした食感 |
| 5mm程度の輪切り | 2〜3分 | 適度な歯ごたえ |
| 1cm程度の厚切り | 3〜4分 | 柔らかめ |
※鍋の大きさや茎の太さ、火力によって調整する。
花蕾と一緒に茹でる場合は、茎を先に鍋へ入れ、約30秒後に花蕾を加える方法が便利だ。
キユーピーの調理解説でも、茎を先に入れてから花蕾を加える手順が紹介されている。
電子レンジなら短時間で調理できる茎だけを手軽に調理するなら、電子レンジもおすすめだ。
基本の加熱方法
- 茎:約50g
- 水:小さじ1程度
- 電子レンジ:600W
- 加熱時間:1〜2分
皮をむいて薄切りにした茎を耐熱容器に入れ、水を加えてふんわりラップをする。
まず1分程度加熱し、硬さを確認しながら追加加熱する。
加熱ムラを防ぐため、なるべく厚さをそろえることがポイントだ。電子レンジはゆで調理のように大量の湯を使わないため、水に溶けやすい栄養素の流出を抑えやすい。
実際、部位別ビタミンCの研究でも、ゆで調理よりも水の流出を抑えた調理方法でビタミンCの残存量が高くなることが示されている。
蒸し調理もおすすめフライパンに少量の水を入れ、薄切りにした茎を並べてふたをする。
中火で数分蒸せば、茎の甘みと歯ごたえを残しながら加熱できる。
水に直接浸す時間が短いため、栄養素の流出を抑えたい場合にも向いている。
【おすすめレシピ4選】ブロッコリーの茎を捨てずに食べる方法
ブロッコリーの茎は、花蕾と同じ料理に入れるだけでなく、茎だけを主役にしてもおいしい。
特に、シャキシャキした食感を生かせる料理との相性がよい。
1.茎のきんぴら
茎の内側や皮を細切りにし、にんじんと一緒にごま油で炒める。しょうゆ、みりん、少量の砂糖で味付けすれば完成。皮の活用にも向いている。
2.茎の甘酢漬け
薄切りにした茎を軽く加熱し、酢、砂糖、塩を合わせた調味液に漬ける。冷蔵庫で味をなじませると、さっぱりした副菜になる。
3.茎のポタージュ
茎を小さく切り、玉ねぎやじゃがいもと一緒に柔らかく煮る。牛乳や豆乳を加えてミキサーにかければ、繊維質の食感が気になりにくいスープに仕上がる。
4.茎のシャキシャキサラダ
外皮をむいた茎を薄くスライスし、好みで軽く加熱する。マヨネーズ、ごまドレッシング、ポン酢などで和えれば手軽な一品になる。
ブロッコリーの茎は生でも食べられる。
キユーピーの調理解説でも、ブロッコリーは生食が可能とされ、茎の中心部分はサラダや甘酢漬けに適すると紹介されている。
生で食べる場合は、流水でよく洗い、硬い外皮をむいてから薄く切ることが基本だ。
特に根元に近い太い部分は筋が残りやすいため、ピーラーなどで外皮を取り除くと食べやすい。
生のまま食べることに抵抗がある場合は、電子レンジで短時間加熱してからサラダに加えるとよい。
【冷凍保存方法】茎の栄養と食感を生かして長持ちさせる
ブロッコリーの茎は、一度に使い切れないことも多い。
そんなときは冷凍保存が便利だ。あらかじめ下処理しておけば、炒め物やスープに必要な分だけ使える。
生のまま冷凍する方法1. 茎をよく洗う。
2. 硬い外皮をむく。
3. 輪切りや短冊切りなど、使いやすい大きさに切る。
4. キッチンペーパーで水気を拭き取る。
5. 1回分ずつラップで包む。
6. 冷凍用保存袋に入れて冷凍する。
食感を調整したい場合は、軽く茹でてから冷凍してもよい。
茎を食べやすい大きさに切り、短時間加熱する。冷ましてから水気を十分に拭き取り、小分けにして冷凍用保存袋に入れる。
冷凍保存期間の目安| 保存状態 | 保存期間の目安 |
|---|---|
| 生のまま冷凍 | 約1か月 |
| 加熱して冷凍 | 約1か月 |
東広島市が紹介する地域活動栄養士による保存方法でも、茎は生のまま、または茹でてから冷凍でき、保存期間は約1か月が目安とされている。
解凍するときの注意点冷凍した茎は、自然解凍すると水分が出て食感が悪くなることがある。
そのため、次のような使い方がおすすめだ。
- 炒め物:凍ったままフライパンへ入れる。
- スープ:凍ったまま鍋に加える。
- 煮込み料理:ほかの具材と一緒に加熱する。
- 温野菜:凍った状態から蒸す。
冷凍前に薄切りにしておけば、調理時に包丁を使う手間も省ける。
【プロの結論】ブロッコリーの茎は栄養と食品ロスの両面から活用したい
ブロッコリーの茎を食べる最大のメリットは、これまで捨てていた部分を、もう一品の食材として活用できることだ。
栄養面では、特にカリウムとビタミンCに関する部位別研究が興味深い。
花蕾だけが栄養豊富というイメージとは異なり、茎の内側には花蕾を上回るビタミンCが確認された研究があり、カリウムについても茎の方が多いという研究結果が複数報告されている。
一方、茎単独の食物繊維量やビタミンC量を示す公的な標準成分値は、一般的な食品成分表の花序の数値とは区別して扱わなければならない。
茎を食べるのに向いている人- 野菜を無駄なく使い切りたい人
- 食物繊維やミネラルを含む食材を食事に取り入れたい人
- 食費を抑えながら副菜を増やしたい人
- 作り置きや冷凍ストックを活用したい人
反対に、下処理をせずに硬い茎を大きく切り、そのまま短時間だけ加熱する方法はおすすめしにくい。
外皮が残ったままでは筋張った食感になりやすく、せっかくの食材をおいしく食べられない可能性がある。
また、カリウムの摂取制限を医療機関から指示されている人は、茎を含めた食事量について個別の指導に従いたい。
2026年4月からブロッコリーは農林水産省の指定野菜に追加された。 日常的に食卓へ取り入れる機会が増える野菜だからこそ、花蕾だけでなく茎まで使い切る工夫にも意味がある。
【よくある質問】ブロッコリーの茎の栄養に関するFAQ
Q1:ブロッコリーの茎は花蕾より栄養が少ないですか?
茎が一律に花蕾より栄養が少ないとはいえない。部位別研究では、茎の内側のビタミンCが花蕾を上回り、カリウムも茎の方が多いという結果が報告されている。ただし、すべての栄養素で茎が優れているわけではない。
Q2:ブロッコリーの茎は皮をむかずに食べられますか?
花蕾に近い上部の柔らかい部分なら、皮をむかずに食べられる場合もある。一方、根元に近い太い部分は硬いため、外側の皮を厚めにむくのがおすすめだ。
Q3:ブロッコリーの茎は生で食べられますか?
食べられる。よく洗って硬い皮をむき、中心部を薄切りにすればサラダや甘酢漬けに使える。硬さが気になる場合は軽く加熱するとよい。
Q4:ブロッコリーの茎の茹で時間は何分ですか?
薄切りなら1〜2分、5mm程度なら2〜3分、1cm程度の厚切りなら3〜4分が目安。花蕾と一緒に茹でる場合は茎を先に入れると火が通りやすい。
Q5:ブロッコリーの茎は冷凍できますか?
できる。皮をむいて食べやすく切り、生のまま、または軽く茹でてから冷凍する。保存期間の目安は約1か月。使うときは自然解凍せず、凍ったまま加熱するのがおすすめだ。
ブロッコリーの茎には、ビタミンC、食物繊維、カリウムなど、日々の食事に取り入れたい栄養素が含まれている。
特に注目したいのは、部位別研究で茎の内側のビタミンCや、茎のカリウムが花蕾を上回る結果が報告されていることだ。
一方、文部科学省の食品成分表は花序などの食品区分を基準にしており、茎だけの栄養成分値と混同してはいけない。
家庭で実践するなら、次の4つを覚えておきたい。
1. 硬い外皮を厚めにむく。
2. 2〜3mm程度に薄く切ると火が通りやすい。
3. 栄養の流出を抑えたいなら、電子レンジや蒸し調理を活用する。
4. 使い切れない分は小分けにして冷凍する。
きんぴら、サラダ、甘酢漬け、スープなど、茎の使い道は意外と幅広い。
これまで調理のたびに捨てていた茎も、少し下処理を工夫すれば立派な副菜になる。次にブロッコリーを買ったときは、花蕾だけでなく茎まで食卓に取り入れてみてほしい。