箱根駅伝の歴代区間記録は、2026年1月2日・3日に開催された第102回大会で大きく塗り替えられた。1区では國學院大學の青木瑠郁、2区では城西大学のキムタイ、5区では青山学院大学の黒田朝日らが区間新記録を樹立。さらに8区と10区でも新たな歴代最速タイムが誕生し、記録更新が相次ぐ大会となった。
2026年11月現在、箱根駅伝の1区から10区までの区間記録保持者は、青木瑠郁、キムタイ、イェゴン・ヴィンセント、黒田朝日、野村昭夢、佐藤圭汰、塩出翔太、中村唯翔ら10区間を代表するランナーたちだ。この記事では、第102回大会終了時点の最新記録、所属大学、達成年、2026年の区間賞を一覧で比較する。花の2区、山上りの5区、山下りの6区の歴史的な記録や、2017年の4区・5区のコース変更による記録の扱いも詳しく解説する。
【2026年最新】箱根駅伝の歴代区間記録は第102回大会でどう変わった?

2026年の第102回箱根駅伝は、歴代記録の観点からも特筆すべき大会だった。青山学院大学が10時間37分34秒で総合優勝を果たし、往路・復路・総合のすべてで大会新記録を樹立。3年連続9度目の総合優勝という結果とともに、個人記録でも大きな更新があった。
特に注目されたのは、全10区間のうち5区間で区間記録が更新されたことだ。1区では青木瑠郁が従来の記録を12秒縮め、2区ではキムタイが22秒更新。5区では黒田朝日が従来の記録を1分55秒も短縮した。
さらに8区では塩出翔太が4秒、10区では佐藤圭汰が19秒、それぞれ従来の記録を更新している。1区では中央大学の藤田大智も1時間00分37秒を記録し、従来の区間記録を上回った。
この大会では5区間で7人が従来の区間記録を上回るタイムを記録した。記録更新が一部のエース区間だけに集中したのではなく、往路から復路まで広がったことが特徴だ。
区間記録と区間賞は同じではない箱根駅伝の記録を調べる際に注意したいのが、「区間記録保持者」と「その大会の区間賞獲得者」の違いである。
区間記録保持者は、対象となる現行コースで歴代最速タイムを記録した選手を指す。一方、区間賞は特定の大会でその区間を最も速く走った選手に与えられる賞だ。
例えば6区では、2025年の第101回大会で青山学院大学の野村昭夢が56分47秒を記録している。2026年の第102回大会では創価大学の小池莉希が56分48秒で区間賞を獲得したが、野村の記録には1秒届かなかった。
したがって、2026年の区間賞選手を並べた一覧と、歴代区間記録保持者の一覧は必ずしも一致しない。
【完全一覧表】箱根駅伝1区から10区までの歴代最速タイム・記録保持者
以下が第102回大会終了時点の箱根駅伝区間記録一覧だ。日本テレビの大会記録と東京箱根間往復大学駅伝競走公式サイトの歴代最速ランキングを基準に、区間距離、記録保持者、所属大学、達成年を整理した。
| 区間・距離 | 歴代最速タイム | 記録保持者 | 所属大学 | 達成年 | 第102回区間賞 |
|---|---|---|---|---|---|
| 1区・21.3km | 1時間00分28秒 | 青木瑠郁 | 國學院大學 | 2026年 | 青木瑠郁 1時間00分28秒 |
| 2区・23.1km | 1時間05分09秒 | キムタイ | 城西大学 | 2026年 | キムタイ 1時間05分09秒 |
| 3区・21.4km | 59分25秒 | イェゴン・ヴィンセント | 東京国際大学 | 2020年 | 本間颯 1時間00分08秒 |
| 4区・20.9km | 1時間00分00秒 | イェゴン・ヴィンセント | 東京国際大学 | 2023年 | 鈴木琉胤 1時間00分01秒 |
| 5区・20.8km | 1時間07分16秒 | 黒田朝日 | 青山学院大学 | 2026年 | 黒田朝日 1時間07分16秒 |
| 6区・20.8km | 56分47秒 | 野村昭夢 | 青山学院大学 | 2025年 | 小池莉希 56分48秒 |
| 7区・21.3km | 1時間00分43秒 | 佐藤圭汰 | 駒澤大学 | 2025年 | 高山豪起 1時間00分54秒 |
| 8区・21.4km | 1時間03分45秒 | 塩出翔太 | 青山学院大学 | 2026年 | 塩出翔太 1時間03分45秒 |
| 9区・23.1km | 1時間07分15秒 | 中村唯翔 | 青山学院大学 | 2022年 | 佐藤有一 1時間07分38秒 |
| 10区・23.0km | 1時間07分31秒 | 佐藤圭汰 | 駒澤大学 | 2026年 | 佐藤圭汰 1時間07分31秒 |
※記録は第102回大会終了時点。参考記録を除いた現行コースの公式ランキングを基準としている。4区・5区は第93回大会以降のコースでの記録を掲載。
歴代記録保持者に共通する特徴一覧から見えてくるのは、複数区間で歴代最速記録を持つ選手の存在だ。
東京国際大学のイェゴン・ヴィンセントは3区と4区の記録保持者である。3区では2020年に59分25秒、4区では2023年に1時間00分00秒を記録した。
また、駒澤大学の佐藤圭汰は7区と10区の両方で歴代最速記録を保持する。7区は2025年、10区は2026年の記録だ。
同じ選手が複数区間の歴代記録を持つことは、単純なスピードだけでなく、異なるコース特性に対応できる走力を示している。
【2026年の記録更新】青木瑠郁・キムタイ・黒田朝日らの快走を検証
第102回大会の記録更新を理解するには、従来の記録と何秒差が生まれたのかを比較することが有効だ。
1区・青木瑠郁が12秒更新、藤田大智も歴代2位1区で歴代最速を記録したのは、國學院大學4年の青木瑠郁だ。タイムは1時間00分28秒。2022年の第98回大会で中央大学の吉居大和が記録した1時間00分40秒を12秒更新した。
さらに中央大学の藤田大智も1時間00分37秒を記録。青木に続く歴代2位のタイムで、従来の区間記録を3秒上回った。
この結果、2026年の1区は歴代ランキングの上位2枠が同じ大会で塗り替えられる展開となった。
2区・キムタイが花の2区で22秒の大幅更新城西大学のキムタイは、2026年の2区で1時間05分09秒をマークした。2025年に東京国際大学のエティーリが記録した1時間05分31秒を22秒短縮する新記録である。
23.1kmという長い距離を走る2区は、各大学が主力選手を配置することの多い区間だ。起伏や長距離への対応力に加え、終盤までスピードを維持するスタミナが求められる。
歴代記録が1時間05分台まで短縮されたことは、大学長距離界の競技水準の高さを示す結果でもある。
5区・黒田朝日が1分55秒の大幅更新2026年の第102回大会で最も大きなインパクトを残した記録の一つが、青山学院大学の黒田朝日による5区の快走だ。
黒田は1時間07分16秒で走破。前年の第101回大会で青山学院大学の若林宏樹が樹立した1時間09分11秒を1分55秒更新した。
5区は標高約874mの最高地点まで駆け上がる山上り区間。平地のスピードだけでは攻略できず、登坂力、心肺機能、筋持久力、気象条件への対応などが問われる。
黒田の記録は、現行コースにおける5区の歴代最速タイムを大幅に塗り替えるものとなった。
8区・塩出翔太、10区・佐藤圭汰も歴代最速へ復路でも記録更新が続いた。8区では青山学院大学の塩出翔太が1時間03分45秒を記録。2019年の第95回大会で東海大学の小松陽平が記録した1時間03分49秒を4秒上回った。
10区では駒澤大学の佐藤圭汰が1時間07分31秒を記録。2022年の第98回大会で青山学院大学の中倉啓敦が記録した1時間07分50秒を19秒更新した。
佐藤は2025年の7区に続き、10区でも歴代最速記録を保持する選手となった。往路だけでなく、復路の終盤にも記録更新を実現したことは第102回大会の大きな特徴だ。
【花の2区・山上り5区・山下り6区】特殊区間の歴代記録と見どころ
箱根駅伝には、距離や高低差、コース形状によって独自の難しさを持つ区間がある。中でも2区、5区、6区は大会の展開を左右する重要な区間として知られている。
花の2区:各大学のエースが集まる最長級の勝負区間2区は鶴見から戸塚までの23.1km。1区から受け取ったたすきをつなぎ、往路の主導権を握るための重要な区間だ。
各大学のエース級ランナーが配置されることが多く、「花の2区」と呼ばれている。長距離を走るスタミナだけでなく、他大学の有力選手との競り合いに対応するスピードも欠かせない。
歴代最速は2026年のキムタイによる1時間05分09秒。2025年のエティーリによる1時間05分31秒から、わずか1年で22秒も更新された。
なお、2区と9区はいずれも23.1kmで、現行コースの最長区間に当たる。2区が往路のエース区間なら、9区は復路の終盤に位置する重要な区間だ。
5区・山上り:黒田朝日が新たな基準を作った5区は小田原から箱根・芦ノ湖までの20.8km。箱根駅伝の象徴ともいえる山上り区間である。
コースは国道1号線の最高地点である標高約874mまで上り続ける。最高地点を過ぎた後には下りもあり、最後まで一定のペースを保てるわけではない。
2026年の黒田朝日の1時間07分16秒は、現行コースにおける新たな歴代最速記録となった。
5区の記録を見るときに注意したいのは、2017年のコース変更だ。変更前は23.2kmだったが、現在は20.8km。距離だけでなく中継所の位置も変わっているため、変更前の神野大地らの記録と現在の記録を単純に比較することはできない。
6区・山下り:野村昭夢の56分47秒が現在も最速6区は芦ノ湖から小田原までの20.8km。5区とは逆に、箱根の山を下る復路の難所だ。
2025年の第101回大会で青山学院大学の野村昭夢が56分47秒を記録し、歴代最速となった。
2026年の第102回大会では創価大学の小池莉希が56分48秒で区間賞を獲得。歴代記録との差はわずか1秒だった。
6区は単純に下り坂を速く走ればよい区間ではない。急なカーブ、路面状況、下りによる脚への衝撃、終盤の平地区間への対応などがタイムを左右する。
特に最後の数キロは、下りで消耗した脚を使ってペースを維持する必要がある。山下り特有の技術と脚力が求められる区間だ。
【記録の落とし穴】箱根駅伝4区・5区のコース変更で何が変わった?
歴代区間記録を比較するうえで、必ず押さえておきたいのが第93回大会から実施された4区・5区のコース変更である。
2017年の第93回大会から、小田原中継所の位置が変更され、4区と5区の距離配分が大きく見直された。
2017年に4区を延長、5区を短縮第92回大会までの4区は18.5km、5区は23.2kmだった。第93回大会からは4区が20.9km、5区が20.8kmへと変更されている。
つまり、4区は2.4km延長され、5区は2.4km短縮されたことになる。
変更の背景には、5区の負担が大きすぎるという問題があった。長い距離の山上りによって、低体温症や低血糖症などの症状を訴える選手が発生していたことに加え、5区の結果が総合順位に与える影響が大きすぎるとの議論もあった。
一方、4区については距離が短く、マラソンに適応できる選手の育成という観点から見直しが検討された。
コース変更前後の比較- 変更前:4区18.5km、5区23.2km
- 変更後:4区20.9km、5区20.8km
- 実施時期:2017年1月の第93回大会から
- 変更箇所:小田原中継所を小田原市本町のメガネスーパー前から、小田原市風祭の鈴廣前へ移動
この変更に伴い、4区と5区の区間記録は第93回大会以降の記録を新たな記録として取り扱うことになった。第92回大会以前の記録は参考記録となる。
旧コースの記録と現在の記録を混同しない例えば、かつての5区で記録された1時間10分台や1時間16分台のタイムを、現在の20.8kmの5区記録と同じ条件で比較することは適切ではない。
同じ5区という名称でも、走行距離や中継所、コース条件が異なるためだ。
4区についても同様である。現在のイェゴン・ヴィンセントの1時間00分00秒は、第93回大会以降の現行コースでの歴代最速記録として扱われている。
歴代記録を調べる際は、必ず大会回数とコース変更の有無を確認することが大切だ。
【プロの結論】箱根駅伝の歴代区間記録を正しく比較する3つの視点
箱根駅伝の区間記録は、単純なタイムの順位だけでは競技の奥深さを理解できない。記録を正しく評価するには、次の3つの視点が必要だ。
1. コース距離と変更時期を確認する最も基本的なのは、記録を比較する区間の距離とコースが同じかどうかだ。
特に4区と5区は2017年に大幅な変更があった。変更前の記録と変更後の記録を同じランキングとして扱わないことが、正確な歴代比較の第一条件となる。
2. 区間記録と大会ごとの区間賞を区別する区間賞はその年の最速選手を示すが、歴代最速とは限らない。
2026年の6区では小池莉希が区間賞を獲得した一方、歴代最速は野村昭夢の記録が維持された。こうした違いを理解しておけば、最新大会の成績と歴代ランキングを混同せずに済む。
3. タイムだけでなく区間特性も考慮する同じ1時間というタイムでも、走る区間によって難易度は異なる。
2区は長距離を高いスピードで走り続ける持久力、5区は登坂力と山岳への適応力、6区は下りの技術と脚への負担に耐える能力が求められる。
また、1区では集団の駆け引き、4区では細かなアップダウンへの対応、10区では優勝争いのプレッシャーなど、数字だけでは見えない要素もある。
箱根駅伝の歴代区間記録は、単に速い選手を並べたランキングではない。コース、時代、競技環境、選手の適性が重なって生まれた記録の歴史として見ることが重要だ。
箱根駅伝の歴代区間記録に関するよくある質問(FAQ)
Q1:箱根駅伝で最も速い区間記録を持つ選手は誰ですか?
A1:区間によって異なる。2026年の第102回大会終了時点では、3区のイェゴン・ヴィンセントが59分25秒で最も短いタイムを記録している。1区は青木瑠郁の1時間00分28秒、2区はキムタイの1時間05分09秒が歴代最速だ。
Q2:箱根駅伝の花の2区の歴代区間記録は何分ですか?
A2:2026年時点の歴代最速は、2026年の第102回大会で城西大学のキムタイが記録した1時間05分09秒。2025年のエティーリによる1時間05分31秒を22秒更新した。
Q3:箱根駅伝の5区・山上りの歴代最速記録は誰が持っていますか?
A3:青山学院大学の黒田朝日が保持している。2026年の第102回大会で1時間07分16秒を記録し、従来の記録を1分55秒更新した。
Q4:箱根駅伝の6区・山下りの歴代最速記録は何分ですか?
A4:青山学院大学の野村昭夢が2025年の第101回大会で記録した56分47秒。2026年の第102回大会では創価大学の小池莉希が56分48秒で区間賞を獲得したが、歴代記録の更新には1秒届かなかった。
Q5:2026年の第102回箱根駅伝で区間新記録はいくつ誕生しましたか?
A5:5区間で新記録が誕生した。1区、2区、5区、8区、10区である。1区では青木瑠郁と藤田大智の2人が従来の区間記録を上回り、合計7人が従来の記録を超えるタイムを記録した。
Q6:箱根駅伝の4区・5区はなぜコース変更されたのですか?
A6:2017年の第93回大会から、小田原中継所の移動に伴い距離が変更された。4区は18.5kmから20.9kmへ延長され、5区は23.2kmから20.8kmへ短縮された。5区の選手への身体的負担や、総合順位への影響が大きすぎるという問題などが見直しの背景にあった。
Q7:イェゴン・ヴィンセントは箱根駅伝で何区の記録を持っていますか?
A7:3区と4区の2つの歴代区間記録を持っている。3区は2020年の第96回大会で59分25秒、4区は2023年の第99回大会で1時間00分00秒を記録した。
Q8:佐藤圭汰は箱根駅伝の何区で歴代最速ですか?
A8:7区と10区の2区間で歴代最速記録を持っている。7区は2025年の第101回大会で1時間00分43秒、10区は2026年の第102回大会で1時間07分31秒を記録した。
第102回箱根駅伝の終了時点で、1区から10区までの歴代区間記録は大きく進化した。青木瑠郁、キムタイ、黒田朝日、塩出翔太、佐藤圭汰らが新たな歴代最速記録を樹立し、箱根駅伝の競技水準の高さを示した。
特に注目すべきは、黒田朝日の5区1時間07分16秒、キムタイの2区1時間05分09秒、青木瑠郁の1区1時間00分28秒だ。いずれも従来の記録を大きく上回るタイムであり、今後の大会で目標とされる基準になる。
一方、ヴィンセントの3区・4区、野村昭夢の6区、中村唯翔の9区など、過去の大会で生まれた記録も依然として歴代最速として残っている。
今後の第103回大会以降では、2026年に更新された記録がどこまで維持されるのか、新たな記録保持者が誕生するのかが注目される。
箱根駅伝の歴代記録を比較するときは、区間賞と歴代最速の違い、コース変更の有無、区間ごとの特性を押さえておきたい。タイムの数字だけでなく、その記録が生まれた背景まで理解することで、毎年の箱根駅伝をより深く楽しめるはずだ。
主な記録照合資料: 日本テレビ「箱根駅伝 大会記録」、東京箱根間往復大学駅伝競走公式サイト「歴代最速ランキング」「歴代の区間賞選手リスト」、関東学生陸上競技連盟のコース変更資料、日刊スポーツの第102回大会報道。