同じ場所で同じように生活し、毎年スギ花粉が飛び交う季節を迎えているのに、花粉症になる人とならない人がいるのはなぜなのか。親子でも、一方はくしゃみや鼻水、目のかゆみに悩まされ、もう一方はほとんど症状が出ないケースがある。実は、この違いを決めているのは単純な体質だけではない。遺伝的なアレルギー素因、花粉を浴びる量、免疫システムが作るIgE抗体、そして症状が現れるまでの個人差が複雑に関係している。
環境省が2026年3月4日に公開した花粉症に関する最新の解説でも、発症には数年から数十年にわたる花粉への曝露と免疫反応の積み重ねが関係すると説明されている。2019年の全国疫学調査では花粉症全体の有病率が42.5%に達した。では、花粉症にならない人にはどのような特徴があるのか。親が花粉症なら子どもも発症するのか。感作していても症状が出ないのはなぜなのか。医学的な仕組みと公的データから、その違いを詳しく解説する。
【花粉症になる人とならない人の違い】遺伝的な体質と生活環境が関係する

花粉症になる人とならない人の違いを理解するうえで、最初に押さえておきたいのがアレルギー体質と環境要因の組み合わせだ。
花粉症は、植物の花粉を身体が異物として認識し、過剰な免疫反応を起こすことで発症するアレルギー疾患である。しかし、花粉を吸い込んだ人全員に同じ免疫反応が起こるわけではない。
もともとアレルギー反応を起こしやすい体質を持つ人は、花粉に対してIgE抗体を作りやすい傾向がある。一方、同じ花粉に接触しても、アレルギー反応が起こりにくい人や、抗体が作られても症状が現れない人もいる。
アレルギー体質は遺伝する?花粉症を含むアレルギー疾患には遺伝的な要因が関係している。東京都保健医療局の「東京都アレルギー情報navi.」でも、親やきょうだいにアレルギー疾患がある場合、子どもがアレルギー疾患を発症するリスク因子になると説明されている。
ただし、遺伝するのは特定の花粉症そのものというより、アレルギー反応を起こしやすい体質に関係する要素だ。遺伝的要因だけで発症が決まるわけではなく、生活環境や花粉への曝露など、複数の条件が関係する。
そのため、親がスギ花粉症だからといって、子どもも必ずスギ花粉症になるわけではない。両親とも花粉症ではなくても、子どもが発症する可能性はある。
花粉症になりやすい人に見られる傾向アレルギー性鼻炎やアトピー性皮膚炎、気管支ぜん息など、ほかのアレルギー疾患を持つ人は、アレルギー体質という観点から注意が必要になる。
また、生活環境も無視できない。花粉の多い地域で長時間屋外にいる人や、通勤・通学などで継続的に花粉を浴びる人は、曝露量が多くなる可能性がある。
ただし、屋外で働いている人が必ず発症するわけではなく、室内中心の生活をしていれば発症しないという単純な関係でもない。遺伝的素因、免疫反応、花粉の種類や曝露量などが重なって、個人差が生まれる。
【IgE抗体とアレルギー感作】花粉症が発症するまでの仕組み
花粉症になる人とならない人の違いを医学的に理解するために欠かせないのが、IgE抗体とアレルギー感作という2つのキーワードだ。
花粉症は、花粉を吸い込んだ瞬間に突然完成する病気ではない。免疫システムが花粉を認識し、抗体を作り、再び花粉に接触したときにアレルギー反応が起こるという段階を経て発症する。
第1段階:花粉を異物として認識するスギやヒノキなどの花粉が鼻や目の粘膜に付着すると、花粉に含まれるタンパク質が体内に取り込まれる。
アレルギー反応を起こしやすい体質の人では、免疫システムが花粉をアレルゲンとして認識し、それに対応するIgE抗体を作り始める。
第2段階:IgE抗体が作られて感作が成立する作られたIgE抗体は、鼻や目などの粘膜に存在する肥満細胞(マスト細胞)に結合する。この状態をアレルギー感作という。
感作とは、特定のアレルゲンに対して免疫システムが反応できる状態になったことを指す。つまり、花粉に対するIgE抗体が作られた段階であり、必ずしもくしゃみや鼻水などの症状が出ているわけではない。
第3段階:再び花粉に接触して症状が現れる感作が成立した状態で再び同じ種類の花粉が侵入すると、花粉とIgE抗体が反応し、肥満細胞が活性化する。
その結果、ヒスタミンやロイコトリエンなどの化学伝達物質が放出される。これらが鼻や目の粘膜に作用し、くしゃみ、透明な鼻水、鼻づまり、目のかゆみ、涙目などを引き起こす。
林野庁の森林・林業白書でも、このような花粉の侵入、抗体の形成、肥満細胞の活性化という発症メカニズムが説明されている。
感作しても花粉症にならない人がいる理由ここが花粉症の発症を理解するうえで特に要点だ。
花粉に対するIgE抗体が検出されることと、実際に花粉症の症状が出ることは同じではない。
血液検査でスギ花粉に対する特異的IgE抗体が陽性になっていても、花粉の飛散時期に症状が現れない人がいる。これは、アレルギーの感作と臨床的な花粉症の発症が別の状態だからだ。
症状の発現には、抗体の量や粘膜の状態、花粉への曝露量、免疫反応の強さなど、複数の条件が関係する。感作していても症状が現れる水準に達していない場合や、実際の曝露が少ない場合も考えられる。
環境省の花粉症環境保健マニュアルでも、感作が成立した後、すぐに全員が発症するわけではなく、数年から数十年という時間差が生じることが説明されている。
つまり、現在花粉症ではない人も、将来にわたって発症しないと保証されているわけではない。
【2019年全国調査で判明】花粉症の有病率とスギ・ヒノキの違い
花粉症になる人がどのくらいいるのかを把握するには、全国疫学調査のデータが参考になる。
日本では1998年、2008年、2019年に、全国の耳鼻咽喉科医とその家族を対象とする鼻アレルギーの全国調査が実施されている。林野庁や環境省が紹介している調査結果でも、花粉症の有病率は継続的に増加している。
花粉症の有病率は約20年で2倍以上に厚生労働省の花粉症対策関連資料に掲載された数値を整理すると、次のようになる。
| 調査年 | 花粉症全体 | スギ花粉症 | スギ以外の花粉症 |
|---|---|---|---|
| 1998年 | 19.6% | 16.2% | 10.9% |
| 2008年 | 29.8% | 26.5% | 15.4% |
| 2019年 | 42.5% | 38.8% | 25.1% |
出典:鼻アレルギーの全国疫学調査2019、厚生労働省資料。調査対象は全国の耳鼻咽喉科医とその家族。各項目には重複があるため、数値を合計して花粉症全体の割合を算出することはできない。
注目したいのは、花粉症全体の有病率が1998年の19.6%から2019年には42.5%に上昇したことだ。スギ花粉症も16.2%から38.8%へ増加している。
ただし、42.5%という数値は2019年調査の推定値であり、2026年に実施された新しい全国調査の結果ではない。2026年現在の公的な解説でも、全国的な比較データとしてこの2019年調査が紹介されている。
スギ花粉症とヒノキ花粉症は何が違う?日本で特に多いのがスギ花粉症とヒノキ花粉症だ。どちらも春に症状が出やすいが、飛散時期や原因となるアレルゲンには違いがある。
スギ花粉は一般的に2〜4月頃、ヒノキ花粉は3〜5月頃に飛散する。地域やその年の気象条件によって時期は前後する。
加えて、スギとヒノキは同じヒノキ科に属し、花粉に含まれる主要アレルゲンの構造が似ている。
スギの主要アレルゲンであるCry j 1・Cry j 2と、ヒノキのCha o 1・Cha o 2には共通抗原性がある。日本農芸化学会の専門解説では、両者の主要アレルゲンに高い相同性があり、交差反応を起こすことが説明されている。
そのため、スギ花粉症の人がヒノキ花粉の飛散時期にも症状を起こすことがある。春先から5月頃まで鼻水や目のかゆみが続く場合は、ヒノキ花粉への反応も考えられる。
なお、花粉症の原因はスギとヒノキだけではない。北海道などではシラカンバ、ほかの地域ではハンノキ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギなども原因となる。春だけでなく秋に症状が出る人もいるため、季節だけで原因を決めつけないことが大切だ。
【花粉症にならない人の特徴と実態】曝露量と免疫反応の個人差
花粉症にならない人には、共通した特徴があるのだろうか。
医学的には、花粉症を生涯発症しない人だけに当てはまる、確立された体質や身体的特徴は明らかになっていない。現在症状がない人の中にも、花粉に対する感作が成立している人や、今後発症する可能性がある人が含まれる。
それでも、発症リスクに関係する要素を整理すると、花粉症になりにくい状態を考える手がかりが見えてくる。
特徴1:花粉に対するアレルギー感作が起きていない特定の花粉に対するIgE抗体が作られていない人は、その花粉に対する典型的なIgE依存性アレルギー反応が起こりにくい。
ただし、現在感作していないことは、将来も感作しないことを意味しない。長期間にわたって花粉に接触することで、免疫反応が変化する可能性がある。
特徴2:花粉を浴びる量が比較的少ない花粉への曝露量は、発症や症状の強さを考えるうえで重要な要素だ。
例えば、花粉の飛散量が多い地域に住んでいる人、屋外で長時間活動する人、通勤・通学で花粉の多い場所を頻繁に通る人は、花粉に接触する機会が増える可能性がある。
反対に、花粉の侵入を日常的に減らしている人は、体内に取り込む花粉量を抑えられる。
厚生労働科学研究の成果にも、学童を対象とした調査で、スギ花粉の飛散量が多い地域ほど感作率が高い傾向が示されている。花粉の曝露量が免疫反応に関係することを示す研究結果だ。
特徴3:花粉に反応しても症状が現れにくい花粉に対するIgE抗体が存在していても、鼻や目の粘膜で症状が現れない人がいる。
この場合、検査ではアレルギー反応の兆候が見つかっても、本人には日常生活で自覚できる症状がないことがある。
花粉症の発症は、抗体の有無だけで決まるものではない。免疫反応の程度や花粉への曝露量などを含めて考える必要がある。
特徴4:特定の花粉に反応しにくい花粉症は、植物の種類によって原因となるアレルゲンが異なる。
スギ花粉に反応しない人でも、ブタクサやイネ科の花粉に反応する可能性がある。反対に、スギ花粉の飛散時期には症状がなくても、秋になると鼻水やくしゃみが出る人もいる。
つまり、春に花粉症の症状がないことだけで、花粉全般に対してアレルギーがないとは判断できない。
また、花粉症にならない人は免疫力が強いという説明も正確ではない。アレルギーは免疫機能が単純に弱いことで起こるのではなく、特定の物質に対して免疫反応が過剰になることで発症する疾患だからだ。
【花粉症を発症する前にできる予防方法】今から始めたい5つの対策
まだ花粉症になっていない人にとって気になるのが、発症を防ぐ方法だろう。
現在、花粉症を絶対に発症させないと保証できる方法は確立されていない。しかし、花粉をできるだけ体内に取り込まないようにすることは、環境省が推奨する基本的な予防行動であり、将来の発症を遅らせる観点からも重要だ。
1. 花粉の多い時間帯や天候を把握するスギ花粉は一般的に昼前後と夕方に多く飛散する。特に晴れて気温が高い日、空気が乾燥して風が強い日、雨が降った翌日は飛散量が増える傾向がある。
花粉情報を確認し、飛散量が多い時間帯の長時間の外出を避けるだけでも、曝露を減らすことにつながる。
2. マスクと眼鏡を着用するマスクは鼻や口から花粉が侵入するのを防ぎ、眼鏡は目に付着する花粉を減らすために役立つ。
環境省が紹介する日本医科大学耳鼻咽喉科の実験では、マスクを着用しない場合と比較して、通常のマスクで鼻に入る花粉が約70%、花粉症用マスクでは約84%減少した。
眼鏡についても、通常の眼鏡で目に入る花粉が約40%、防御カバー付きの花粉症用眼鏡では約65%減少する結果が紹介されている。
マスクは顔にフィットするものを選び、眼鏡も顔との隙間が少ないタイプを使用するとよい。
3. 衣服や髪に付いた花粉を室内に持ち込まない外出から戻ったときには、玄関に入る前に衣服に付いた花粉を払い落とす。帰宅後は手洗い、洗顔、うがいを行い、必要に応じて洗髪することも効果的だ。
花粉が付着しやすいウール素材の衣服よりも、綿や化学繊維など比較的花粉が付着しにくい素材を選ぶことも対策になる。
4. 室内への花粉の侵入を減らす花粉の飛散シーズンには、洗濯物や布団を屋外に干すことを控える。換気をする際は、窓を大きく開けず、10cm程度の幅にしてレースカーテンを使用すると、室内への花粉の流入をある程度抑えられる。
室内に入った花粉は床やカーテンなどに残るため、こまめな掃除やカーテンの洗濯も心がけたい。
5. 睡眠や生活習慣を整える環境省は、十分な睡眠と規則正しい生活習慣を正常な免疫機能を保つための土台として紹介している。
風邪をひかないように気をつけること、飲酒や喫煙を控えることも鼻の粘膜を正常に保つうえで大切だ。
ただし、睡眠や食生活を改善するだけで花粉症の発症を確実に防げるわけではない。花粉への曝露を減らす対策と組み合わせて取り組みたい。
【花粉症のアレルギー検査と見分け方】血液検査が陽性なら発症している?
花粉症になっているかどうかを正しく知るには、症状だけでなく、医療機関での問診や検査が役立つ。
特に、花粉の飛散時期に鼻水やくしゃみが出る場合、風邪なのか、花粉症なのか、あるいはダニなどによる通年性アレルギー性鼻炎なのかを区別する必要がある。
花粉症と風邪の主な違い花粉症では、透明で水っぽい鼻水、繰り返すくしゃみ、鼻や目のかゆみなどが特徴的だ。特定の季節になると毎年同じような症状が現れる場合は、花粉症が疑われる。
一方、風邪では喉の痛み、発熱、倦怠感などを伴うことがあり、症状が数日から1週間程度で変化していく場合が多い。
ただし、両者の症状は重なることがあり、症状だけで確実に判断することはできない。
代表的なアレルギー検査血液検査(特異的IgE抗体検査)は、スギやヒノキ、ブタクサ、ダニなど、特定のアレルゲンに対するIgE抗体の有無や程度を調べる検査だ。
これとは別に、血液中の総IgE量を調べる検査もある。ただし、総IgEが高いからといって花粉症が確定するわけではなく、正常値だから花粉症ではないとも判断できない。
皮膚反応検査では、アレルゲンのエキスを皮膚に接触させ、赤みや腫れなどの反応を確認する。
鼻粘膜誘発テストでは、原因と考えられるアレルゲンを鼻の粘膜に接触させ、実際にくしゃみや鼻水などの反応が生じるかを確認する。
これらの検査は、問診や症状の経過と合わせて判断することが重要になる。
検査で陽性でも花粉症とは限らないここでも、感作と発症の違いが重要になる。
特異的IgE抗体検査で陽性になった場合、特定の花粉に対して免疫システムが反応する状態にあることが示唆される。しかし、検査結果だけで実際に症状を引き起こしているとは断定できない。
日本鼻科学会会誌に2025年掲載されたスギ花粉症疑い557症例の研究でも、症状からスギ花粉症が疑われた人の検査結果には個人差があり、特に9歳以下では検査値と症状を慎重に評価する必要性が示されている。
花粉症が疑われる場合は、耳鼻咽喉科やアレルギー科で相談し、症状が出る時期や生活環境も含めて原因を確認することが望ましい。
【環境省の2026年最新花粉症情報】国が進める対策と今後の動向
2026年の花粉症対策で注目したいのが、環境省が3月4日に公開した広報記事「環境から考える、花粉症との付き合い方」だ。
この資料では、花粉症の発症メカニズムや有病率の推移だけでなく、花粉の発生源を減らす取り組みや、飛散量の観測、日常生活でできる予防策が紹介されている。
2026年春は全国26地点で花粉飛散量を調査環境省は、スギ・ヒノキ花粉の飛散状況を把握するため、毎年2〜5月に花粉飛散量調査を行っている。
2026年春の調査地点は全国26地点。医療機関や研究機関などの協力を得て、スライドガラスに付着した花粉を顕微鏡で数えるダーラム法が採用された。
また、スギ花粉の飛散予測に役立てるため、前年11〜12月にはスギ雄花の花芽調査も実施されている。春に飛散する花粉の生産量を把握するため、雄花の着花状況を確認する仕組みだ。
花粉症対策は3つの柱で進められている国の花粉症対策は、個人の予防行動だけではなく、花粉そのものを減らす取り組みも含んでいる。
環境省が紹介する対策は、主に次の3つに分けられる。
発生源対策:花粉の少ないスギ品種の開発・普及や、スギ人工林の伐採・植替えを進め、将来の花粉発生量を減らす。
飛散対策:スギの雄花の状況や実際の花粉飛散量を調査し、民間事業者による飛散予測の精度向上を支援する。
発症等対策:花粉症の治療法に関する研究や、医療情報の普及、日常生活でできる予防行動の周知を進める。
スギ人工林の現状も花粉症増加の背景に環境省の2026年3月公開資料によると、花粉発生源となる樹齢20年を超えるスギ人工林は全国で429万ヘクタールに及ぶ。
戦後の拡大造林によって造成されたスギ人工林が成長し、花粉を多く生産する樹齢に達したことは、花粉症の有病率が増加してきた背景の一つとして指摘されている。
政府は花粉発生源となるスギ人工林を減らすため、伐採や花粉の少ないスギへの植替えを進めている。政府広報オンラインでは、2033年度までに花粉発生源となるスギ人工林を約2割減少させる目標も紹介されている。
ただし、森林の植替えは短期間で効果が現れるものではない。個人ができるマスクや眼鏡による対策と、国による長期的な発生源対策を並行して進める必要がある。
2026年時点で花粉症ではない人にとっても、環境省が発信する花粉情報や予防策を活用し、花粉をできるだけ体内に取り込まない生活を続けることが現実的な対策となる。
【花粉症になる人・ならない人に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:花粉症になる人とならない人の一番大きな違いは何ですか?
A1:遺伝的なアレルギー素因、花粉に対するIgE抗体の形成、花粉への曝露量などの違いが関係する。特定の要素だけで発症が決まるわけではなく、免疫反応や生活環境など複数の条件が重なって症状が現れる。
Q2:親が花粉症だと子どもも花粉症になりますか?
A2:親にアレルギー疾患がある場合、子どももアレルギー疾患を発症しやすくなる傾向はある。ただし、遺伝だけで発症が決まるわけではない。親が花粉症でも子どもが発症しない場合はあり、逆に両親が花粉症でなくても子どもが発症することもある。
Q3:IgE抗体が陽性でも花粉症にならないことはありますか?
A3:ある。IgE抗体が陽性であることは、花粉に対する感作が成立していることを示すが、必ずしも臨床的な症状があることを意味しない。検査結果は、実際の症状や花粉の飛散時期と合わせて判断する必要がある。
Q4:今まで花粉症にならなかった人が大人になって発症することはありますか?
A4:ある。花粉への曝露が積み重なり、免疫反応が変化することで、大人になってから初めて症状が現れる場合がある。これまで症状がなかったことだけで、将来も発症しないとはいえない。
Q5:花粉症にならないために今からできることは何ですか?
A5:花粉の多い日の外出を控える、マスクや眼鏡を着用する、帰宅時に衣服や髪の花粉を落とす、室内への花粉の侵入を減らすといった対策が基本となる。花粉への曝露を減らすことは、将来の発症を遅らせるためにも役立つ。
Q6:スギ花粉症でなければヒノキ花粉症にもなりませんか?
A6:そのようなことはない。スギとヒノキには共通するアレルゲンがあるが、異なるアレルゲンに反応する場合もある。スギ花粉症がなくてもヒノキ花粉症になる可能性はあり、原因の特定にはアレルギー検査が役立つ。
Q7:花粉症の血液検査で何が分かりますか?
A7:特異的IgE抗体検査では、スギ、ヒノキ、ブタクサ、ダニなど、特定のアレルゲンに対する免疫反応を調べられる。ただし、陽性だから必ず症状があるとは限らないため、問診や症状の経過と合わせた診断が必要になる。
花粉症になる人とならない人の違いには、遺伝的なアレルギー体質、IgE抗体による感作、花粉への曝露量、免疫反応の個人差などが関係している。
親が花粉症だからといって子どもの発症が確定するわけではなく、血液検査でIgE抗体が陽性になっても、必ずしも花粉症の症状が出るわけではない。感作と実際の発症を区別することが、花粉症を正しく理解するための要点だ。
2019年の全国疫学調査では花粉症全体の有病率が42.5%に達しており、花粉症は多くの人に関係する健康問題となっている。2026年の環境省の情報でも、花粉の発生源対策や飛散量の観測、日常生活での曝露対策が紹介されている。
今は花粉症ではない人も、将来の発症リスクをゼロと考えることはできない。花粉情報を確認し、マスクや眼鏡を活用し、帰宅時には花粉を室内に持ち込まない。こうした日々の行動が、花粉への曝露を減らすための第一歩になる。
大切なのは、花粉症になりやすい体質かどうかだけで判断するのではなく、免疫の仕組みと自分の生活環境の両方を理解することだ。症状が現れた場合は早めに医療機関で原因を調べ、適切な対策につなげたい。