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【学校のいじめ対応と保護者の対処法】被害を受けたときに取るべき行動

土森 弦 土森 弦 • 更新: • 公開: • 読了約 14 分
目次

名前を理由に子どもが傷ついている場合、最初に必要なのは、本人が安心して話せる環境をつくることだ。

「気にしなくていい」「そのうち終わる」といった言葉だけで済ませると、子どもが自分の苦痛を理解してもらえないと感じ、相談をためらう可能性がある。

保護者が最初に確認したい5つのこと

1. 子どもの話を否定せずに聞く

最初に、何を言われたのか、誰から言われたのか、どのような気持ちになったのかを聞く。

無理に詳しく話させる必要はない。「嫌だったんだね」「話してくれてありがとう」と伝え、本人の気持ちを受け止めることが大切だ。

2. 具体的な被害状況を記録する

学校に相談する際は、次の情報が役立つ。

- からかいが始まった時期
- 発生した日時や場所
- 相手の発言や行動
- 関係する児童生徒や目撃者
- 何回程度繰り返されているか
- 子どもの体調や登校状況の変化
- SNSの投稿やメッセージのスクリーンショット

2026年3月19日の文部科学省通知でも、重大事態の調査に備えて、「いつ」「どこで」「誰が」「誰に」「何を」「どうした」という情報を記録・保存する体制の整備が求められている。

3. 担任だけでなく学校の組織に相談する

最初は担任に伝えてもよいが、対応が進まない場合は校長や教頭にも相談する。

その際、学校いじめ対策組織で事案を共有し、事実確認と安全確保を行うよう求めることが重要だ。

4. 子どもの安全を最優先にする

からかいが続いている場合、加害児童との接触を減らす、席やクラスでの配置を工夫する、休み時間の見守りを増やすなど、具体的な対策を相談する。

本人が望まない謝罪の場や、加害側との強制的な話し合いを急ぐ必要はない。

5. 学校の対応を定期的に確認する

一度注意しただけで問題が解決したと判断せず、その後もからかいが続いていないか、登校時の不安が減っているかを確認する。

学校が対応しない場合はどうする?

学校に相談しても十分な対応が得られない場合、次の段階に進むことができる。



担任・学年主任

発生した状況と被害内容を具体的に伝え、事実確認を依頼する。


校長・教頭

学校全体での対応や学校いじめ対策組織への報告を求める。


教育委員会・学校設置者

学校の対応が不十分な場合、教育委員会や学校法人などに相談する。


外部の人権相談機関・警察

人権侵害の相談は法務局へ、暴力や脅迫など犯罪に相当する行為が疑われる場合は警察にも相談する。

いじめ重大事態に該当する場合の対応

いじめによって子どもに深刻な被害が生じた場合、いじめ防止対策推進法第28条に定める「重大事態」に該当する可能性がある。

主な要件は次の2つだ。

- いじめによって生命、心身または財産に重大な被害が生じた疑いがある場合
- いじめによって相当の期間、学校を欠席することを余儀なくされている疑いがある場合

不登校重大事態では、年間30日が欠席期間の目安とされている。ただし、連続して欠席している場合などは、30日に達する前でも迅速な調査が必要になる。

さらに重要なのは、本人や保護者から重大な被害が生じたとの申立てがあった場合だ。

学校側が当初、重大事態ではないと考えていたとしても、法の要件に照らして明らかに該当しない場合を除き、重大事態として報告・調査に当たることが求められる。

文部科学省の2026年3月19日付通知でも、重大な被害の疑いが生じた段階から対応できるよう、学校設置者が手順を明確にしておくことを求めている。

被害が深刻になってから初めて動くのではなく、早い段階で学校全体が対応することが重要だ。

【戸籍フリガナ制度】2025年開始・2026年の変更点とキラキラネームへの影響

キラキラネームいじめ

名前をめぐる2026年の大きな制度変更として、戸籍法改正による氏名のフリガナ記載制度がある。

この制度は2025年5月26日に始まり、2026年5月25日には既存戸籍のフリガナ届出期間が終了した。

戸籍フリガナ制度とは?

従来、戸籍には漢字による氏名が記載されていたが、フリガナは戸籍上の公証事項ではなかった。

自治体は出生届などに記載された読み方を、住民基本台帳事務などのために利用していた。

今回の戸籍法改正により、氏名のフリガナが新たに戸籍の記載事項となった。

法務省が説明する主な目的は次のとおり。

- 行政機関による氏名の検索や本人確認を正確にする。
- 氏名の読み間違いや情報処理上の混乱を防ぐ。
- 金融機関などでの本人確認を円滑にする。

2025年から2026年までの制度の流れ



2025年5月26日:制度開始

戸籍に氏名のフリガナを記載する制度がスタート。出生などによって新しく戸籍に記載される人は、届出時にフリガナも届け出る仕組みになった。


2025年5月以降:既存戸籍への通知

本籍地の市区町村から、戸籍に記載される予定のフリガナが順次通知された。


2026年5月25日:届出期間終了

既存戸籍の氏名について、通知と異なるフリガナに変更するための通常の届出期間が終了した。


2026年5月26日以降:戸籍への記載

届出がなかった場合、通知されたフリガナが市区町村長によって戸籍に記載される手続きが進められる。

キラキラネームは戸籍に登録できなくなる?

この点は誤解が多い。

新制度では、フリガナについて「氏名として用いられる文字の読み方として一般に認められているものでなければならない」という規律が設けられた。

法務省は、漢字との関連性をおよそ認められない読み方や、漢字の意味と反対になる読み方などを認められない例として示している。

例えば、法務省の説明では次のような例が挙げられている。

- 「太郎」を「マイケル」と読む。
- 「高」を「ヒクシ」と読む。
- 「健」を「ケンイチロウ」と読む。

一方、漢字の一般的な読み方以外でも、社会で受容され、慣用されているかという観点から判断される。法務省は、疑義がある場合には届出人に個別の説明を求めることも想定している。

したがって、個性的な名前がすべて禁止されるわけではない。

また、制度開始前から存在する名前については、すでに使用している読み方を尊重する経過措置が設けられている。一般的でない読み方を届け出る場合には、パスポートや預貯金通帳など、実際に使用していることを証明する資料が求められる場合がある。

2026年11月現在、フリガナを変更することはできる?

変更方法は、どのような経緯で戸籍に記載されたかによって異なる。

状況 変更方法
届出期間内に変更する場合 市区町村への届出
届出をせず通知どおりのフリガナが記載された場合 1回に限り、家庭裁判所の許可なしで変更届が可能
自分で届出をして記載されたフリガナを変更する場合 原則として家庭裁判所の許可が必要

ここで押さえておきたいのは、戸籍フリガナ制度が、名前によるいじめを直接解決するための制度ではないという点だ。

読み方を公的に確認できるようになっても、珍しい名前に対する偏見がなくなるとは限らない。

制度による読み方の整理と、学校や社会における人権意識の向上は、別々に取り組む必要がある。

【名前によるいじめの予防策】子どもの心を守る相談窓口と家庭・学校の取り組み

キラキラネームいじめを防ぐには、被害が起きた後の対応だけでなく、名前を理由に他人を評価しない環境づくりが欠かせない。

家庭でできる予防策

家庭で最も大切なのは、子どもが自分の名前を肯定的に受け止められるように支えることだ。

例えば、次のような取り組みが考えられる。

- 名前の由来や込められた願いを、子どもの年齢に合わせて伝える。
- 読み方を間違えられたときに、落ち着いて伝える方法を一緒に考える。
- からかわれたことを話しても怒られない、安心できる関係をつくる。
- 名前を理由に自分を否定するような発言がないか気にかける。
- SNSに子どもの氏名、学校、顔写真などを不用意に公開しない。

ただし、子どもに名前を好きになることを強制する必要はない。

自分の名前に複雑な感情を持つこともある。まずは本人の気持ちを尊重し、安心して相談できる家庭環境を整えたい。

学校で取り組むべき名前によるいじめの予防

学校には、名前の違いをからかいの材料にしない教育が求められる。

具体的には、次のような取り組みが有効だ。

名前を正しく呼ぶ

本人が希望する呼び方を確認し、教職員も含めて尊重する。

多様性を学ぶ機会を設ける

名前にはさまざまな由来や文化的背景があることを伝え、珍しさを理由に優劣をつけないよう指導する。

からかいを放置しない

「冗談だから」「仲が良いから」という理由だけで、本人の苦痛を軽視しない。

SNS上の人権教育を強化する

他人の名前や写真を無断で投稿すること、侮辱的なコメントを拡散することの問題点を具体的に学ぶ。

文部科学省も2026年3月の通知で、学校いじめ防止基本方針の周知や学校いじめ対策組織の実効性、情報の記録・保存などを改めて求めている。

子どものいじめ相談窓口一覧

学校や家庭だけでは解決が難しい場合、外部の相談機関を利用できる。


1. 法務省「こどもの人権110番」


0120-007-110



通話無料
受付:平日8時30分~17時15分
いじめなど、子どもの人権問題について相談できる窓口。法務局の職員や人権擁護委員が話を聞く。LINEによる人権相談や、24時間365日受付のSOS-eメールも用意されている(メールへの回答には日数がかかる場合がある)。
出典:法務省

2. 文部科学省「24時間子供SOSダイヤル」


0120-0-78310



24時間・通話無料
夜間・休日を含めて相談可能
いじめや学校生活の悩みなど、子どもや保護者がいつでも相談できる全国共通窓口。原則として、電話をかけた所在地の教育委員会の相談機関につながる。
出典:文部科学省

3. チャイルドライン


0120-99-7777



通話無料
対象:18歳まで/毎日16時~21時
子ども自身が悩みや不安を話せる電話相談窓口。チャット相談もある。
出典:厚生労働省掲載情報

相談することは、決して大げさな行動ではない。

名前を理由にした嫌がらせが続いているなら、本人が限界を迎える前に、学校以外の大人にも助けを求めてよい。

【キラキラネームいじめ】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:キラキラネームをからかわれたら、必ずいじめになりますか?

A1:必ずしもすべてのからかいが法律上のいじめになるわけではない。ただし、一定の人的関係にある相手から心理的な影響を受け、本人が心身の苦痛を感じている場合は、いじめ防止対策推進法第2条に該当する可能性がある。繰り返しの有無だけで判断することもできない。

Q2:名前を理由にいじめられた場合、学校にどのような対応を求められますか?

A2:学校に事実確認、学校いじめ対策組織での情報共有、被害児童の安全確保、加害児童への指導、再発防止策などを求められる。対応が不十分なら校長や教育委員会に相談できる。深刻な被害が疑われる場合は重大事態としての調査も検討される。

Q3:2025年から始まった戸籍フリガナ制度でキラキラネームは禁止されましたか?

A3:すべての個性的な名前が禁止されたわけではない。2025年5月26日以降、新たに戸籍に記載される名前のフリガナには、漢字との関連性や社会での受容・慣用などを踏まえたルールが適用されている。既存の名前には経過措置もある。

キラキラネームいじめを考えるうえで、最も重要なのは、名前の珍しさといじめの成立を混同しないことだ。

名前が一般的かどうかは、本人を傷つけてよい理由にはならない。

いじめ防止対策推進法第2条は、相手との一定の人的関係や、行為によって本人が心身の苦痛を感じているかを判断の基準としている。名前を理由とした侮辱やからかいも、その要件を満たせば法律上のいじめとして扱われる。

2026年には、文部科学省が重大事態ガイドラインの運用や平時からの備えを改めて求め、戸籍フリガナ制度も新しい段階に入った。

ただし、制度が整備されることと、名前に対する偏見がなくなることは同じではない。

今後、特に重視すべき判断基準は次の3点だ。

1. 名前ではなく行為を見る: 珍しい名前かどうかではなく、本人の尊厳や心身にどのような影響を与えているかを確認する。
2. 冗談という説明で終わらせない: 本人が嫌がっている場合は、軽いからかいとして片付けず、学校が組織的に対応する。
3. 被害を早期に相談する: 学校、教育委員会、法務省など複数の相談先を活用し、深刻化する前に支援につなげる。

子どもにとって、自分の名前は生まれたときから持っている大切なものだ。

その名前を笑われることで、自分自身まで否定されたように感じる子どももいる。

だからこそ、社会に必要なのは、名前を評価することではなく、名前の違いを尊重し、誰もが安心して自分の名前を名乗れる環境をつくることだ。

キラキラネームかどうかという議論を超えて、すべての子どもの人権と尊厳を守る姿勢が、いじめを防ぐための出発点になる。

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土森 弦

アニメ・漫画の制作発表を担当。制作会社と出版社の公式告知、原作者コメントを確認してから記事化します。

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