配偶者の不倫が発覚したとき、裏切られた夫、いわゆる「サレ夫」の心には、怒りや悲しみだけでなく、「相手にも同じ苦しみを味わわせたい」「不倫した妻と不倫相手に責任を取らせたい」という感情が生まれることがある。インターネット上で「サレ夫復讐」と検索する人が知りたいのは、実際にどのような仕返しが行われているのか、証拠をどう集めるのか、慰謝料を請求できるのか、そして復讐した人がその後どうなったのかという現実的な情報だ。
ただし、2026年現在、日本の法律で認められているのは、感情的な報復ではなく、証拠に基づく損害賠償請求や離婚、家庭裁判所での手続きといった正当な権利行使である。不倫相手へのSNS暴露や脅迫、無断でのアカウント侵入などは、反対に自分が法的責任を問われる原因にもなる。ここでは、不倫発覚後の対応から慰謝料の相場、弁護士費用、2026年4月に施行された離婚後の親権制度の変更まで、サレ夫が知っておくべき情報を整理する。
【基礎知識】サレ夫復讐とは?不倫された夫が仕返しを考える理由と実態
「サレ夫」とは、妻の不倫や浮気によって裏切られた夫を指すインターネット上の俗称だ。「サレ」は浮気や不倫をされた側、「夫」は男性配偶者を意味する。
不倫をされた夫が復讐を考える背景には、単純な嫉妬だけでは説明できない複数の感情がある。信頼していた配偶者への失望、自分の知らないところで関係が続いていたことへの屈辱、家庭生活を壊されたことへの怒り、そして不倫相手だけが何事もなかったように生活を続けることへの不公平感だ。
特に、長期間にわたる不倫や、不倫相手が既婚者であることを知りながら関係を続けていたケースでは、精神的な負担が大きくなりやすい。子どもがいる家庭では、夫婦間の問題だけでなく、今後の生活や養育環境に対する不安も加わる。
サレ夫が復讐を考える主な理由不倫発覚後に生まれる感情は人それぞれだが、相談実務で問題になりやすい論点を整理すると、次のようになる。
- 裏切りへの怒り:長年築いてきた夫婦の信頼を一方的に壊されたという感情。
- 不倫相手への不公平感:自分の家庭が傷ついた一方で、相手が責任を負わずに生活しているように感じること。
- 経済的な損失:婚姻生活の破綻や別居によって、住居費や生活費などの負担が変化すること。
- 自尊心の回復:裏切られたまま泣き寝入りしたくない、自分の尊厳を取り戻したいという気持ち。
- 再発防止への願い:不倫関係を終わらせ、同じ問題を繰り返さないよう責任を明確にしたいという考え。
ここで押さえておきたいのは、復讐を考えることと、実際に違法な行動を起こすことは別だという点である。慰謝料を請求する、離婚する、弁護士を通じて接触をやめるよう求めるといった行動は、一定の法的要件を満たせば認められる正当な手段だ。
サレ夫の復讐体験談を読むときの注意点ネット上には、妻と不倫相手に慰謝料を請求した話、離婚を決断した話、証拠を集めて不倫を認めさせた話など、さまざまなサレ夫の体験談が掲載されている。
一方、匿名掲示板やSNSの投稿は、当事者の一方から見た説明であることが多い。投稿内容だけでは、慰謝料が実際に支払われたのか、裁判でどのような判断が下されたのか、その後の生活がどう変わったのかまでは分からない。
体験談を参考にする場合は、少なくとも次の3点を確認したい。
- 不倫の事実を裏付ける証拠が存在するか。
- 慰謝料の金額が、請求額なのか、示談成立額なのか、裁判所の認容額なのか。
- 投稿者の主張と、客観的な法律上の判断が区別されているか。
「相手の人生を壊した」「数百万円を支払わせた」といった刺激的な見出しだけで、成功した復讐と判断するのは危険だ。実際の解決では、金額だけでなく、回収までにかかった費用や時間、離婚後の生活も考慮する必要がある。
【不倫発覚後の経緯】サレ夫が最初にやるべき証拠集めと対応手順
不倫が発覚した直後に避けたい行動妻の不倫を知った直後は、感情的になって相手に問い詰めたり、不倫相手に連絡したりしたくなるかもしれない。しかし、証拠が十分にそろっていない段階で相手に発覚を知らせると、メッセージの削除や説明の口裏合わせなどによって、事実関係を確認しにくくなる可能性がある。
また、怒りに任せて相手の勤務先へ連絡したり、家族や友人に不倫を言いふらしたりすることも避けたい。証拠を集める目的から離れた行動は、問題を複雑にする。
最初に行うべきなのは、発覚した日時、確認できた内容、夫婦の状況を整理することだ。離婚するか、関係修復を目指すかを直ちに決める必要はない。
不倫の証拠として有効になり得るもの不貞行為を理由に慰謝料を請求する場合、一般的には配偶者と不倫相手との間に性的関係があったことを裏付ける証拠が問題になる。
性交渉そのものを直接撮影した資料がなければ請求できないというわけではない。複数の間接証拠を組み合わせ、性的関係があったと推認できるかどうかが判断される。
証拠の代表例は次のとおりだ。
- LINE・メール:性的関係をうかがわせる具体的なやり取りや、本人が不貞を認めたメッセージ。
- 写真・動画:不倫相手とホテルに出入りする場面や、宿泊をうかがわせる状況を記録したもの。
- 自白の記録:配偶者や不倫相手が不貞行為を認めた録音や書面。
- ホテルの利用記録:宿泊施設の領収書やクレジットカードの利用明細など。
- 調査会社の報告書:調査日時、対象者の行動、写真などを整理した客観的な記録。
弁護士法人アディーレ法律事務所などの法律解説でも、LINEやメール、自白の録音、写真・動画、調査報告書などが証拠の候補として挙げられている。ただし、親密なメッセージだけで性的関係まで立証できるとは限らず、証拠の内容と組み合わせが重要になる。
証拠を保管するときの基本証拠は、加工した画像だけを残すのではなく、可能な限り元のデータを保管する。スクリーンショットについても、日付や相手が分かる情報、前後の会話を含めて保存しておくと、後から状況を説明しやすい。
自分が正当に閲覧できる資料を中心に、取得日時や発見した経緯を記録することも大切だ。元データを編集したり、都合のよい部分だけを切り取ったりすると、証拠の信用性をめぐる争いが生じることがある。
一方、他人のIDやパスワードを使った無断ログイン、相手の住居への侵入、無断GPS設置などは、状況によって不正アクセス禁止法、住居侵入、ストーカー規制法上の問題やプライバシー侵害につながる。
違法な手段で収集した資料が民事裁判で常に排除されるとは限らないが、それを理由に収集行為自体の責任がなくなるわけではない。証拠の取得方法に不安があれば、弁護士に確認するのが安全だ。
不倫発覚後の関係者と手続きの整理サレ夫の問題は、妻と不倫相手だけで完結するものではない。証拠、慰謝料、離婚、子どもの養育という複数の要素が関係する。
| 関係者・要素 | 主な関係・役割 | 確認すべきポイント |
|---|---|---|
| サレ夫 | 不倫による精神的苦痛を受けた配偶者 | 証拠保全、慰謝料請求、離婚の判断 |
| 不倫した妻 | 婚姻関係における不貞行為の当事者 | 不貞の事実、婚姻関係、今後の生活 |
| 不倫相手 | 不貞行為に関与した第三者 | 既婚者と知っていたか、故意・過失の有無 |
| 証拠資料 | 不貞行為や関係の経緯を裏付けるもの | 取得方法、真正性、証明できる事実 |
| 弁護士 | 法的な請求や交渉、裁判手続を支援 | 請求先、時効、費用、回収可能性 |
| 家庭裁判所 | 離婚調停や親権などの問題を扱う機関 | 離婚条件、親権、養育費、財産分与 |
| 子ども | 離婚後の養育環境に関係する当事者 | 生活の安定、親権、養育費、親子交流 |
この関係を整理すると、証拠を確保する段階と、法的な請求を行う段階は分けて考える必要があることが分かる。感情的な対立を広げず、誰に何を求めるのかを明確にすることが、その後の交渉を進めるうえで役立つ。
【慰謝料請求】不倫相手への法的措置と慰謝料の相場・弁護士費用
不貞行為の慰謝料はいくら請求できる?不倫慰謝料には、法律で一律に定められた金額や計算式はない。婚姻期間、不倫期間、不倫発覚前の夫婦関係、子どもの有無、不倫によって離婚や別居に至ったかなど、複数の事情を考慮して金額が判断される。
参考となる民間の調査として、不倫慰謝料を扱う法律事務所が2026年6月に更新した約310件の裁判例の分析がある。この調査では、慰謝料の平均額は158万円で、全体のおよそ8割が100万~200万円の範囲に収まっていた。
ただし、これは調査した法律事務所による裁判例の集計であり、全国の裁判所が公表した公式統計ではない。また、実際の示談金額や、個々の事案で回収できる金額を保証するものでもない。
金額を左右する主な事情には次のようなものがある。
- 婚姻期間が長いかどうか。
- 不倫関係が長期間継続していたか。
- 不倫が原因で別居や離婚に至ったか。
- 不倫相手が既婚者であると知りながら関係を続けたか。
- 不倫発覚後も関係を継続していたか。
- 不倫以前から夫婦関係が破綻していたか。
特に重要なのが、不倫相手の故意・過失である。不倫相手が相手の既婚を知っていた場合だけでなく、通常の注意を払えば既婚者だと分かった状況で関係を持った場合も、損害賠償責任が問題になることがある。
妻と不倫相手の両方に請求できる?不貞行為については、事情によって、不倫した配偶者と不倫相手の双方に慰謝料を請求できる場合がある。
ただし、同じ精神的損害について二重に慰謝料を受け取れるという意味ではない。双方の責任関係や既に支払われた金額などを考慮する必要がある。
また、不倫相手への請求が常に認められるわけでもない。2019年2月19日の最高裁判所第三小法廷判決では、不貞相手に対する離婚そのものを理由とした慰謝料請求について、特段の事情がない限り認められないという判断が示された。
これは、不貞行為そのものを理由とする慰謝料請求を否定した判決ではない。不倫相手への不貞慰謝料と、離婚に至ったこと自体への慰謝料は区別して考える必要がある。
慰謝料請求の時効にも注意民法724条では、不法行為による損害賠償請求権について、原則として、被害者が損害および加害者を知った時から3年間行使しない場合、または不法行為の時から20年間行使しない場合に時効によって消滅すると定めている。
不倫の事実を知った時期や不倫相手を特定できた時期、請求する損害の内容によって具体的な判断は異なる。時効が近い可能性がある場合は、証拠が完全にそろうまで何もしないのではなく、早めに弁護士へ相談したい。
不倫慰謝料の請求にかかる弁護士費用弁護士費用は、法律で統一された料金表があるわけではなく、事務所や依頼内容によって異なる。一般的には相談料、着手金、成功報酬、実費、必要に応じた日当などで構成される。
2026年の法律事務所の公開料金情報を参考にした場合、目安は次のようになる。
- 法律相談料:30分5,000~10,000円程度。初回無料の事務所もある。
- 着手金:10万~30万円程度を目安とする料金体系がある。
- 成功報酬:回収した慰謝料の10~20%程度とする事務所がある。
- 実費:郵便代、交通費、書類取得費、裁判所に納める費用など。
例えば、慰謝料200万円を回収できたとして、着手金20万円、成功報酬が回収額の15%なら、弁護士費用は合計50万円となる。実際には消費税や追加費用なども確認する必要がある。
重要なのは、請求できる慰謝料の金額だけでなく、弁護士費用を差し引いた後にいくら残るかを考えることだ。相手に支払能力がない場合には、裁判で勝っても回収できない可能性がある。
経済的な事情から依頼をためらっている場合は、法テラスの民事法律扶助制度も選択肢になる。収入や資産などの条件を満たせば、無料法律相談や弁護士費用の立替制度を利用できる。
【離婚の進め方】弁護士相談から家庭裁判所の調停まで
離婚するか、夫婦関係を修復するかを決める不倫が発覚したからといって、必ず離婚しなければならないわけではない。夫婦関係を修復する場合もあれば、別居を経て離婚する場合もある。
判断するときは、妻が不倫を認めているか、不倫相手との関係を解消しているか、再発防止に向けた対応があるか、夫婦間の信頼を回復できるかなどを整理したい。
離婚を選ぶ場合は、慰謝料だけでなく、財産分与、年金分割、婚姻費用、養育費、親権、親子交流なども検討する必要がある。特に子どもがいる場合、夫婦の怒りや対立を子どもの生活に持ち込まない配慮が欠かせない。
家庭裁判所の離婚調停を利用する夫婦間で離婚の話し合いがまとまらない場合、家庭裁判所の夫婦関係調整調停(離婚)を利用できる。
裁判所の案内によると、離婚調停では、離婚するかどうかだけでなく、未成年の子どもの親権、養育費、親子交流、財産分与、年金分割、慰謝料なども話し合うことができる。
申立てに必要な収入印紙は1,200円分で、これに連絡用の郵便切手代が加わる。郵便料は申立先の家庭裁判所によって異なる。
調停で合意できなければ、必要に応じて離婚訴訟などの手続きを検討することになる。
2026年4月施行の共同親権制度にも注意2026年の離婚問題で押さえておきたい大きな変更が、離婚後の親権制度である。
2024年5月に成立した民法等の改正法は、2026年4月1日に施行された。これにより、離婚後の親権について、父母双方を親権者とする共同親権と、父母の一方を親権者とする単独親権のいずれかを選択できる仕組みになった。
ただし、共同親権が自動的に適用されるわけではない。父母の協議や調停がまとまらない場合、家庭裁判所は子どもの利益を基準に判断する。
また、虐待のおそれがある場合や、DVなどによって父母が共同して親権を行うことが困難な場合、共同親権によって子どもの利益を害すると判断される場合などには、単独親権としなければならない。
不倫を理由に離婚するサレ夫にとっても、親権をめぐる問題は別途検討する必要がある。不倫をしたという事実だけで、親権が自動的に他方の親に認められるわけではない。子どもの養育実績、生活環境、安全性、本人の意思などを含めて判断される。
離婚弁護士への相談で確認したいこと弁護士に相談する際は、不倫の証拠を見せるだけでなく、自分が何を望んでいるかを明確にすると話が進めやすい。
- 妻との離婚を希望するのか、関係修復を考えているのか。
- 不倫相手にも慰謝料を請求したいのか。
- 現在の証拠で不貞行為を立証できる可能性はあるか。
- 請求できる慰謝料の見込みと、弁護士費用はいくらか。
- 別居する場合の生活費や婚姻費用をどうするか。
- 子どもがいる場合、親権や養育費をどう考えるか。
相談時には、時系列メモ、保存したメッセージ、写真、領収書などを持参するとよい。証拠が不足している場合でも、今後の収集方法や請求の見通しについて助言を受けられる。
【法的リスク】SNS暴露や不倫相手への仕返しはどこまで許される?
SNSで実名や勤務先を暴露すると何が起きる?サレ夫の復讐方法として検索されやすいものに、SNSで不倫相手の名前や顔写真、勤務先などを公開する行為がある。
しかし、相手の不倫が事実だったとしても、インターネット上で自由に公開してよいわけではない。
刑法230条の名誉毀損罪は、公然と事実を摘示して人の名誉を毀損した場合に成立する可能性がある。原則として、摘示した内容が真実かどうかだけで直ちに犯罪成立が否定されるわけではない。公共性、公益目的、真実性などに関する法律上の特例もあるが、個人的な報復目的の投稿が当然に保護されるわけではない。
また、具体的な事実を示さずに相手を侮辱する投稿でも、刑法231条の侮辱罪が問題になることがある。
2025年6月1日から刑法の拘禁刑が施行されたことを踏まえた現在の規定では、名誉毀損罪の法定刑は3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金、侮辱罪は1年以下の拘禁刑もしくは30万円以下の罰金、または拘留もしくは科料である。
不倫の事実を公開してもプライバシー侵害になる可能性名誉毀損とは別に、プライバシー侵害も問題になる。
例えば、不倫相手の住所、電話番号、家族の情報、勤務先、顔写真などを公開すれば、相手の私生活上の情報を不特定多数にさらすことになる。
その結果、民事上の損害賠償請求を受けたり、投稿の削除を求められたりする可能性がある。
加えて、不倫相手の家族や勤務先に繰り返し連絡して圧力をかける行為、脅迫的なメッセージを送る行為なども、内容や状況によっては別の法的問題に発展する。
つまり、不倫の被害者であることと、報復行為に対して法的責任を負わないことは同じではない。
復讐方法別に見る法的リスク- 慰謝料請求:不貞行為などの要件を満たせば、正当な民事上の権利行使となる。
- 弁護士を通じた交渉:証拠と請求根拠を整理したうえで進める方法。感情的な接触を減らしやすい。
- 不倫相手への実名SNS暴露:名誉毀損やプライバシー侵害のリスクがある。
- 脅迫や金銭の強要:恐喝などの刑事責任が問題になる可能性がある。
- 無断ログインや情報取得:不正アクセス禁止法やプライバシー侵害などの問題が生じる可能性がある。
- つきまといや無断GPS設置:ストーカー規制法やその他の法令に抵触する可能性がある。
- 職場への執拗な連絡:名誉毀損、業務妨害、プライバシー侵害などの問題に発展する場合がある。
両者の違いは、目的と手段にある。
慰謝料請求は、精神的苦痛に対する損害賠償を求める行為である。離婚調停は、夫婦関係や子どもの養育、財産などの問題を法的な手続きで解決するためのものだ。
これに対して、SNSで相手の個人情報をさらしたり、職場や家族を巻き込んで社会的制裁を与えようとしたりする行為は、正当な権利行使とは別物である。
法務省も、インターネット上の人権侵害について、投稿の削除依頼や発信者情報開示請求などの制度を案内している。SNSは投稿を削除しても転載や保存によって情報が残ることがあり、いったん公開した内容を完全に回収するのは難しい。
サレ夫が自分の権利を守るために取るべき行動は、相手を社会的に追い詰めることではなく、証拠と法律に基づいて責任を明確にすることだ。
【サレ夫復讐のその後】慰謝料請求・離婚を選んだ後の現実と判断基準
慰謝料を受け取れば問題はすべて解決するのか不倫問題が法的に解決しても、精神的な苦痛がすぐに消えるとは限らない。
慰謝料を受け取っても、配偶者への不信感が残る場合がある。離婚した場合は住居や生活費、子どもの養育、財産分与など、別の問題に向き合わなければならない。
また、請求した金額が必ず支払われるわけでもない。相手が支払いを拒否したり、経済的な事情で支払えなかったりすれば、回収までに時間がかかることもある。
そのため、サレ夫復讐のその後を考えるときは、慰謝料の獲得だけでなく、生活の再建まで視野に入れる必要がある。
復讐を優先することで失う可能性があるもの感情的な報復を優先すると、次のような負担が生じる可能性がある。
- 名誉毀損やプライバシー侵害など、自分が新たな紛争の当事者になる。
- 相手との対立が激化し、慰謝料や離婚の交渉が長期化する。
- 弁護士費用や裁判費用などの経済的負担が増える。
- 子どもが夫婦間の対立に巻き込まれる。
- 仕事や日常生活に支障が生じる。
- 復讐そのものに時間と精神的なエネルギーを使い続ける。
特に子どもがいる場合は、親同士の対立と子どもの生活を切り離して考えることが大切だ。親権や養育費、親子交流についても、感情的な制裁ではなく、子どもの利益を基準に判断する必要がある。
サレ夫にとって現実的な選択肢は3つ不倫発覚後の対応は、最終的に何を望むのかによって変わる。
1. 夫婦関係の修復を目指す場合
不倫関係の解消、事実関係の説明、今後の生活ルールなどについて話し合う。必要に応じて夫婦カウンセリングや弁護士への相談も検討する。
2. 離婚せず慰謝料を請求する場合
不貞行為の証拠を整理し、妻や不倫相手への慰謝料請求を検討する。夫婦関係を継続する場合でも、不貞行為について損害賠償を求められる可能性はある。
3. 離婚と慰謝料請求を進める場合
証拠を保全したうえで、離婚条件、慰謝料、財産分与、親権、養育費などを整理する。相手との直接交渉が難しい場合は、弁護士を代理人として交渉や調停を進める方法がある。
【プロの結論】復讐の成功は相手へのダメージではなく、自分の生活を取り戻せたかで判断するサレ夫復讐を考える人にとって、本当に大切なのは、相手がどれほど苦しんだかではない。
自分が受けた精神的な苦痛について正当な補償を求められたか、今後の生活を安定させられたか、子どもを守れたか、そして不倫問題に振り回されない日常を取り戻せたかが、長期的な意味での解決を左右する。
特に、次のような判断基準を持つとよい。
- 法的な根拠があるか:慰謝料請求や離婚の条件を法律に照らして検討できているか。
- 証拠が十分か:感情や推測ではなく、客観的な資料で事実を説明できるか。
- 費用対効果が合うか:慰謝料の見込みと弁護士費用、時間的負担を比較できているか。
- 将来の生活にプラスになるか:自分や子どもの生活再建につながる行動か。
- 自分自身が法的リスクを負わないか:相手への報復によって新たな問題を作っていないか。
怒りを感じること自体は不自然ではない。しかし、その怒りをどのような行動に変えるかは、自分で選ぶことができる。正当な権利行使に集中することが、結果的に自分の人生を守るための最も現実的な方法となる。
【サレ夫復讐】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:サレ夫が不倫相手に慰謝料を請求することはできますか?
A1:可能な場合がある。不倫相手が既婚者であることを知っていた、または注意すれば知ることができた状況で不貞行為に及び、法律上の不法行為が成立する場合には、慰謝料を請求できる可能性がある。ただし、婚姻関係がすでに破綻していた場合などは判断が異なる。
Q2:不倫の証拠はLINEだけでも十分ですか?
A2:内容による。性的関係を具体的にうかがわせるLINEや、本人が不貞を認めるメッセージは証拠になり得る。ただし、親密な会話だけでは不十分な場合もあり、写真や宿泊記録など、ほかの証拠との組み合わせが重要になる。
Q3:不倫慰謝料の相場はいくらですか?
A3:一律の金額はない。民間の法律事務所による約310件の裁判例の調査では平均158万円、100万~200万円が広い意味での目安とされている。実際の金額は婚姻期間、不倫期間、離婚の有無などによって変わる。
Q4:不倫相手の名前や勤務先をSNSで公開しても問題ありませんか?
A4:法的リスクがある。事実であっても名誉毀損が成立する場合があり、住所や勤務先などの公開はプライバシー侵害にもつながり得る。慰謝料請求はSNSでの暴露ではなく、弁護士を通じた交渉などで進める方が安全だ。
Q5:不倫された夫は必ず離婚しなければなりませんか?
A5:その必要はない。夫婦関係の修復を目指すことも、離婚せず慰謝料を請求することも可能だ。離婚するかどうかは、夫婦関係の状況や今後の生活を踏まえて判断できる。
Q6:不倫の慰謝料請求には時効がありますか?
A6:ある。民法724条では、不法行為による損害賠償請求権について、原則として損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年という期間が定められている。具体的な起算点は請求内容によって異なるため、早めの法律相談が望ましい。
Q7:2026年の共同親権制度はサレ夫にも適用されますか?
A7:2026年4月1日以降の離婚について、父母双方の共同親権と一方の単独親権を選択できる制度が施行されている。どちらになるかは子どもの利益を基準に判断され、DVや虐待など一定の事情があれば単独親権としなければならない。
Q8:弁護士費用が払えない場合はどうすればよいですか?
A8:法テラスの民事法律扶助制度を検討できる。収入や資産などの条件を満たす場合、無料法律相談や弁護士費用の立替制度を利用できる。立替金は原則として分割返済する仕組みになっている。
サレ夫復讐という言葉には、不倫された夫の怒りや悲しみ、裏切られたことへの悔しさが表れている。しかし、実際に問題を解決するためには、感情的な仕返しと法律に基づく権利行使を明確に区別しなければならない。
まずは不倫発覚後の経緯を整理し、合法的な方法で証拠を保全する。そのうえで、不貞行為の成立や慰謝料請求の可能性、請求先、時効、弁護士費用を確認する。離婚を選ぶ場合は、慰謝料だけでなく財産分与や子どもの養育環境も含めて検討したい。
2026年4月からは離婚後の共同親権制度も施行されており、子どもがいる家庭では新しい法制度を踏まえた判断が必要になる。
SNS暴露や脅迫、違法な証拠収集などの報復行為は、自分自身の法的リスクを増やす可能性がある。相手に仕返しをすることだけを目的にせず、正当な慰謝料請求や離婚手続きによって、自分の権利と将来の生活を守ることが大切だ。
サレ夫にとって本当の意味での解決とは、不倫相手を傷つけることではなく、裏切りによって失われた自分の生活と尊厳を取り戻すことである。
主な法的・公的根拠: 法務省の民法改正資料、裁判所の離婚調停・親権案内、民法724条、刑法230条・231条、法テラスの民事法律扶助制度、および裁判例の調査資料。