「おっぱいが3つある人は本当に存在するの?」「胸の下や脇の下に、もう一つ乳房のような膨らみがあるのはなぜ?」――インターネットで見かける三つ目の乳房という話には、医学的に説明できる現象が含まれています。実際、人体には通常の左右の乳房とは別に乳腺組織が存在することがあり、これは副乳(多乳房症)と呼ばれています。
副乳は珍しい奇形というより、胎児期の発育過程で生じる先天的な身体のバリエーションです。ただし、乳首だけが余分に存在する副乳頭(多乳頭症)とは医学的に異なります。2026年11月時点の医学文献や乳腺診療情報をもとに、三つ目の乳房の実態、発生率、できる場所、思春期や妊娠による変化、授乳との関係、受診の目安、治療方法まで詳しく解説します。
【結論】おっぱいが3つある人は実在する?三つ目の乳房の正体は副乳

答えはYESです。医学的に、通常の左右の乳房とは別に乳腺組織を持つ人は実在します。
この状態は副乳、医学用語では多乳房症(Polymastia)と呼ばれます。通常の乳房が左右一対であるのに対し、それ以外の場所にも乳腺組織が存在する状態です。
副乳の特徴は、必ずしも独立した大きな乳房のような形をしているわけではないことです。
例えば、次のような形態があります。
- 脇の下に乳房に似た膨らみがある。
- 通常の乳房の下側に小さな乳腺組織が存在する。
- 胸部以外に乳首と乳腺組織が存在する。
- 乳首はないものの、皮下に乳腺組織だけが残っている。
- 通常の乳房とは離れた場所に、乳房に似た組織が発達している。
つまり、SNSや画像などで見かける「三つ目の乳房」という表現には、乳腺組織が余分に存在するケースも、乳首だけが余分に存在するケースも混在しています。
三つ目の乳房と呼べる状態とは?医学的に三つ目の乳房に近い状態といえるのは、通常の乳房とは別に、乳腺組織が形成されている多乳房症です。
ただし、乳首・乳輪・乳腺組織がそろった完全な形態は、副乳のすべてに当てはまるわけではありません。乳腺組織だけが残る不完全な形態もあります。
また、副乳は生まれつき存在するものです。大人になって突然、新しい乳房が作られるわけではありません。思春期や妊娠をきっかけに、それまで目立たなかった組織が大きくなり、初めて気づくことがあります。
この点が「大人になってから三つ目のおっぱいができた」と感じる理由の一つです。
【副乳と副乳頭の違い】多乳房症・多乳頭症は何が違う?
副乳を理解するうえで、最も重要なのが副乳と副乳頭の区別です。
両者は似た名前ですが、残っている組織が異なります。乳腺そのものがあるのか、それとも乳首だけが余分に存在するのかによって、医学的な意味が変わります。
| 名称 | 医学的な意味 | 主な特徴 |
|---|---|---|
| 副乳・多乳房症 | Polymastia | 通常の乳房以外に乳腺組織が存在する |
| 副乳頭・多乳頭症 | Polythelia | 通常の乳首とは別に余分な乳頭が存在する |
| 異所性乳腺 | Ectopic breast tissue | 通常の乳房の位置以外に乳腺組織が存在する |
| 完全型副乳 | 乳頭・乳輪・乳腺組織を伴う形態 | 乳房に近い構造を持つ |
| 不完全型副乳 | 乳頭や乳腺組織の一部が欠ける形態 | 皮下の膨らみだけの場合もある |
副乳は、正常な乳房と同じような乳腺組織が、通常とは異なる場所に存在する状態です。
そのため、ホルモンの影響を受けるという特徴があります。月経前に張ったり、妊娠中に膨らんだり、授乳期に乳汁を分泌したりする場合もあります。
乳首がない副乳も存在するため、見た目だけで判断することはできません。
副乳頭は乳首だけが余分に存在する状態一方、副乳頭は余分な乳頭が存在する状態です。医学的には多乳頭症と呼ばれます。
通常の乳首より小さく、茶色やピンク色の小さな斑点、ほくろのような見た目をしている場合があります。
そのため、生まれつきのほくろだと思っていて、医療機関で副乳頭と判明するケースもあります。
副乳頭には乳腺組織が伴わないものもあり、乳首のような見た目だからといって、その下に乳房が存在するとは限りません。
ニュージーランドの皮膚科医学情報サイトDermNetも、副乳頭と副乳を異なる状態として説明しています。多乳頭症は乳頭のみの場合があり、多乳房症は乳腺組織そのものが存在する状態です。
【できる場所と発生率】副乳ができる理由は乳腺堤・ミルクラインにある
副乳ができる理由を理解するには、胎児期の身体の発達を知る必要があります。
人間は胎児の段階で、胸の左右だけに乳腺の原型を作るわけではありません。発生初期には、脇の下から鼠径部(脚の付け根)に向かう左右一対の線状の構造が形成されます。
この構造が乳腺堤(乳腺線・ミルクライン)です。
乳腺堤が退縮しきらないことで副乳が生じる胎児期には、乳腺の原型となる組織が乳腺堤に沿って発達します。その後、通常の乳房が形成される胸部以外の組織は、発育過程で退縮していきます。
ところが、この退縮が完全に進まない場合、胸部以外の場所に乳腺組織や乳頭の原型が残ることがあります。
これが副乳や副乳頭の主な発生メカニズムです。
DermNetの発生学的解説では、乳腺堤は胎生4週ごろに形成され、6週ごろには乳腺芽が発達すると説明されています。通常の乳房以外の部分が退縮しきらないことが、余分な乳頭や乳腺組織につながります。
副乳ができやすい場所は脇の下副乳が最も多く確認される場所は脇の下です。
ただし、乳腺堤に沿った場所であれば、脇の下以外にも発生する可能性があります。
- 脇の下:副乳が最もよく見られる場所。腕を下ろしたときに膨らみが目立つことがある。
- 通常の乳房の下:乳房の下縁や胸部周辺に乳腺組織が残る場合がある。
- 腹部:乳腺堤に沿って腹部側に組織が存在することがある。
- 鼠径部:脚の付け根付近に副乳や副乳頭が現れる場合がある。
- その他の部位:まれに背中、首、太ももなど、通常の乳腺堤から外れた場所に副乳頭が確認されることもある。
DermNetによれば、副乳頭の約5%は通常の乳腺堤以外の場所に発生するとされています。首、背中、外陰部、太ももなどがその例です。
副乳の発生率はどれくらい?副乳の発生率については、医学文献によって数値に幅があります。
米国の放射線医学誌AJRに掲載された副乳組織の総説や、授乳期の乳房トラブルに関するAcademy of Breastfeeding Medicineの診療ガイダンスでは、副乳組織は女性の約2〜6%に認められるとされています。
一方、副乳頭については、DermNetなどの医学情報で人口の最大約6%に認められると説明されています。
これらは異なる状態を対象とした数値であり、単純に合算することはできません。また、調査対象や診断基準、地域によって発生率には差があります。
注目すべきなのは、副乳が存在していても、本人が気づかないまま生活している人が少なくないことです。
【思春期・妊娠・授乳】副乳の痛みや腫れ、乳汁分泌は起こる?
副乳は先天的なものですが、見た目や症状は一生同じとは限りません。
その理由は、副乳の乳腺組織も通常の乳房と同じように、体内のホルモンの影響を受けるためです。
思春期に副乳が目立つようになる理由思春期には女性ホルモンの分泌が増加し、乳腺が発達します。
副乳に乳腺組織が含まれている場合、通常の乳房と同様に発育することがあります。
それまで単なる皮膚の膨らみだと思っていた脇の下の組織が、思春期になって大きくなったり、触ると違和感が出たりすることもあります。
ただし、乳首だけの副乳頭が、思春期に突然完全な乳房へ成長するわけではありません。乳腺組織を伴うかどうかが大きな違いです。
月経前に副乳が腫れる・痛むことがある月経周期に伴うホルモン変動によって、副乳が張ったり、押すと痛みを感じたりする場合があります。
特に脇の下にある副乳は、腕を動かしたときや下着が当たったときに違和感が出ることがあります。
月経が終わると症状が軽くなる場合もありますが、痛みが強い、しこりが大きくなる、月経周期と関係なく症状が続く場合には、乳腺外科で検査を受けることが望まれます。
妊娠すると副乳が大きくなる?妊娠中は乳腺が発達するため、副乳にも変化が現れることがあります。
具体的には、次のような変化です。
- 脇の下の膨らみが大きくなる。
- 副乳の周辺に張りや圧迫感が生じる。
- 触れたときに痛みや敏感さを感じる。
- 乳輪や乳頭を伴う場合、色や形が変化することがある。
妊娠前には気づかなかった副乳が、妊娠をきっかけに初めて発見されるケースもあります。
これは新しく乳房が形成されたのではなく、もともと存在していた乳腺組織がホルモンの影響で発達したためです。
副乳から母乳が出ることはある?副乳と授乳の関係で気になるのが、三つ目の乳房から母乳が出る可能性です。
答えは、乳腺組織や乳管が発達している副乳では、乳汁が分泌されることがあります。
副乳に乳頭があり、乳管が皮膚表面につながっている場合には、その部分から乳汁が出るケースがあります。
一方、乳腺組織だけが存在し、乳頭や乳管の出口がない場合には、通常の乳首と同じように授乳できるとは限りません。
また、妊娠・出産後には副乳が張ったり、乳汁が内部にたまって腫れたりすることがあります。
Academy of Breastfeeding Medicineの授乳期の乳房トラブルに関する診療ガイダンスでも、副乳組織は妊娠・授乳期に充血や腫脹を起こすことがあると説明されています。出産後も腫れが数週間にわたって改善しない場合には、画像検査による評価が推奨されています。
副乳から乳汁が出ること自体が、直ちに異常や病気を意味するわけではありません。ただし、発熱、強い痛み、赤み、しこりなどを伴う場合には、乳腺炎やほかの疾患との鑑別が必要です。
【副乳の見分け方と受診目安】脂肪・リンパ節・しこりとの違いは?
脇の下に膨らみがあると、すぐに副乳だと思ってしまう人もいます。しかし、脇の下には乳腺組織だけでなく、リンパ節、脂肪組織、皮脂腺など、さまざまな組織が存在します。
そのため、見た目や触った感覚だけで副乳と決めつけることはできません。
副乳と間違えやすい身体の状態代表的なものは以下のとおりです。
- 脂肪組織:皮下脂肪が多いことで、脇の下が柔らかく膨らんで見える。
- リンパ節の腫れ:感染症や炎症などによってリンパ節が大きくなる。
- 脂肪腫:脂肪細胞からなる良性腫瘍で、皮下に柔らかいしこりができる。
- 粉瘤:皮膚の下に袋状の構造ができ、内部に角質などがたまる。
- 乳腺の病変:副乳の乳腺組織に良性腫瘍や炎症などが生じる場合がある。
米国UCLA Healthの放射線科による症例解説でも、腋窩の副乳組織はリンパ節の腫れ、脂肪腫、皮膚の嚢胞、悪性腫瘍などと見分ける必要があると説明されています。
副乳を疑うときのチェックポイント次のような特徴がある場合、副乳の可能性を考えるきっかけになります。
- 脇の下に乳房に似た柔らかい膨らみがある。
- 左右どちらか、または両側に似た膨らみがある。
- 月経前になると膨らみや痛みが強くなる。
- 妊娠や授乳をきっかけに大きくなった。
- 以前から同じ場所に存在し、長期間大きな変化がない。
- 小さな乳頭や乳輪のような皮膚の構造が見られる。
ただし、これらはあくまで受診の参考となる特徴です。副乳は片側だけに発生することもあり、左右対称であることは診断の必須条件ではありません。
病院ではどのような検査をする?副乳が疑われる場合、基本となるのは医師による診察と超音波検査です。
超音波検査では、皮下の組織が乳腺に似た構造を持っているか、リンパ節や脂肪腫など別の原因によるものかを調べます。
必要に応じて、年齢や症状、検査結果に合わせてマンモグラフィー、MRI、針生検などが検討されます。
特に脇の下のしこりは原因が幅広いため、触診だけで診断を確定することはできません。
こんな症状があれば乳腺外科へ次のような症状がある場合は、自己判断で様子を見続けず、医療機関に相談してください。
- 短期間でしこりや膨らみが大きくなっている。
- 硬いしこりがある、または動きにくい。
- 痛みや腫れが長期間続いている。
- 皮膚が赤くなる、熱を持つ、発熱がある。
- 血液が混じった分泌物が出る。
- 皮膚にへこみやただれなどの変化がある。
- 授乳後も脇の下の腫れが改善しない。
副乳そのものは多くの場合、良性の身体的特徴です。しかし、副乳の乳腺組織にも通常の乳房と同様に、炎症や良性腫瘍、まれに乳がんが発生する可能性があります。
したがって、「副乳だから病気ではない」と決めつけないことが大切です。
【副乳の治療・手術】放置しても大丈夫?切除が必要になるケース
副乳が見つかった場合、必ず手術を受けなければならないわけではありません。
症状がなく、診察や検査で問題のない副乳であれば、基本的には経過観察が選択されます。
副乳をそのままにしても問題ない?副乳は先天的な身体のバリエーションであり、存在するだけで治療が必要になるものではありません。
痛みがなく、膨らみの大きさも安定しており、医師による評価で問題がなければ、通常は積極的な治療を必要としません。
ただし、乳腺組織がある以上、通常の乳房と同じような乳腺疾患が発生する可能性はあります。副乳の存在を医師に伝え、必要な診察を受けることが重要です。
副乳を切除する手術とは?副乳の切除手術は、主に症状や生活上の問題がある場合、または外見上の悩みが大きい場合に検討されます。
代表的な適応は次のとおりです。
- 月経前や妊娠時の痛み・腫れが強い。
- 腕を動かす際に違和感や制限がある。
- 授乳期に副乳の腫脹や炎症を繰り返す。
- 副乳の大きさや形が日常生活に影響している。
- 検査で腫瘍などの病変が見つかり、治療が必要と判断された。
- 本人が外見上の悩みを抱え、手術を希望している。
手術では、副乳の乳腺組織や必要に応じて乳頭・乳輪などを切除します。脂肪組織の割合や大きさ、位置によっては脂肪吸引などが検討されることもあります。
ただし、すべての副乳に同じ手術方法が適用されるわけではありません。乳腺組織が主体なのか、脂肪組織が主体なのか、乳頭や乳輪を伴うのかによって、治療方針は変わります。
手術には傷跡、出血、感染、感覚の変化、左右差、輪郭の凹凸などのリスクもあります。美容目的の場合も含め、乳腺外科や形成外科で十分に相談する必要があります。
副乳をマッサージやダイエットでなくせる?副乳については、マッサージやダイエット、下着の着用によって小さくできるという情報を見かけることがあります。
しかし、先天的に存在する乳腺組織そのものを、マッサージや部分痩せによって消失させることはできません。
体重の変化によって周囲の脂肪が減り、膨らみの見え方が変わることはありますが、乳腺組織がなくなることとは別の話です。
また、強く揉んだり押したりすると痛みや皮膚の炎症につながる可能性があります。気になる膨らみがある場合は、自己流のケアを続けるよりも、まず診断を受けることが適切です。
【おっぱいが3つある人・副乳】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:おっぱいが3つある人は本当に存在するの?
A1:実在します。通常の左右の乳房とは別に乳腺組織が存在する多乳房症という状態があります。ただし、完全な乳房がもう一つ形成されているケースばかりではなく、脇の下の膨らみや乳腺組織だけのケースもあります。
Q2:副乳と三つ目の乳首は同じもの?
A2:厳密には異なります。副乳は乳腺組織が余分に存在する状態で、多乳房症と呼ばれます。副乳頭は余分な乳首が存在する状態で、多乳頭症と呼ばれます。乳首だけで乳腺組織を伴わないケースもあります。
Q3:副乳から母乳が出ることはある?
A3:あります。副乳に乳腺組織や乳管が発達している場合、妊娠・授乳期に乳汁が分泌されることがあります。ただし、すべての副乳から母乳が出るわけではありません。
Q4:副乳は生まれつき?大人になってからできることはある?
A4:副乳は胎児期の発育過程で生じる先天的な状態です。思春期や妊娠、授乳などをきっかけに組織が発達し、大人になってから初めて気づくことはあります。
Q5:副乳は放置すると乳がんになる?
A5:副乳があるだけで乳がんになるわけではありません。ただし、副乳の乳腺組織にも通常の乳房と同様に、まれに乳がんが発生する可能性があります。新しいしこりや急激な腫れなどがあれば、乳腺外科で検査を受けてください。
Q6:副乳は何科を受診すればいい?
A6:基本的には乳腺外科が適しています。外見上の悩みや切除を希望する場合は形成外科も相談先になります。子どもの場合は小児科などを通じて適切な専門診療につなげてもらう方法もあります。
Q7:副乳は手術しないと治らない?
A7:必ずしも手術は必要ありません。症状がなく、検査で問題がなければ経過観察が基本です。痛みや腫れ、日常生活への支障、外見上の悩みなどがある場合には、切除手術などを検討します。
おっぱいが3つある人は実在します。その医学的な背景にあるのが、副乳と呼ばれる多乳房症です。
副乳は胎児期に形成される乳腺堤の一部が退縮しきらず、通常の乳房以外の場所に乳腺組織が残ることで生じます。最も多い場所は脇の下ですが、胸部、腹部、鼠径部などに存在する場合もあります。
また、乳腺組織を伴う副乳と、乳首だけが余分に存在する副乳頭は区別する必要があります。見た目が似ていても、医学的な構造やホルモンへの反応は同じではありません。
副乳は思春期、月経、妊娠、授乳によって腫れや痛みが生じることがあり、乳腺組織や乳管の状態によっては乳汁が分泌されることもあります。一方、症状がない場合には治療を必要としないケースが大半です。
【プロの結論】 三つ目の乳房という言葉だけを見ると、極めて珍しい身体の異常を想像する可能性があります。しかし、医学的に重要なのは乳房の数ではなく、そこに乳腺組織が存在するか、どのような症状があるかという点です。
脇の下や胸部に膨らみがあっても、すぐに病気と考える必要はありません。ただし、副乳だと自己判断して、しこりや痛みを放置することも避けるべきです。新しい変化があれば乳腺外科で確認し、問題がなければ必要以上に心配せず、自分の身体の特徴として向き合うことが大切です。
副乳について正しく知ることは、身体への不安を減らすだけでなく、必要なときに適切な医療につながるための第一歩になります。