2026年現在、井納翔一は読売ジャイアンツが運営するジャイアンツアカデミーのコーチとして、子どもたちへの野球指導に取り組んでいる。
現役引退後に選んだのは、プロ野球の現場から完全に離れることではなく、自身の経験を次世代の選手に伝える道だった。
2022年12月27日に現役引退を公表した際、井納はジャイアンツアカデミーで指導者として活動することも明らかにしていた。引退発表時には、巨人に誘ってもらいながら十分な結果を残せなかったことへの申し訳なさと、今後できることで恩返ししたいという思いを語っている。
2026年も野球教室や普及活動に参加2026年の活動を確認すると、井納がコーチとして継続的に野球普及に携わっていることが分かる。
2月7日には、ジャイアンツアカデミーとホークスジュニアアカデミーの創設20周年を記念した合同野球教室が宮崎県で開催された。福岡ソフトバンクホークスの公式告知では、ジャイアンツアカデミー側の講師として井納翔一の名前が掲載されている。
また、9月5日に新潟県南魚沼市で開催された世界少年野球推進財団の野球教室では、投球のデモンストレーションを披露。週刊ベースボールONLINEの2026年9月6日付記事は、ジャイアンツアカデミーで子どもたちを指導して4年目を迎えた井納の姿を紹介している。
2026年6月にも、宮崎の野球スクール体験会で井納コーチがゲスト指導者として案内されていた。
こうした活動から、引退後のキャリアが一時的なものではなく、継続した指導者活動として定着していることがうかがえる。
ジャイアンツアカデミーとは?ジャイアンツアカデミーは、幼児から小学生を主な対象とする野球スクールだ。
プロ野球OBなどの指導者が、野球の基本動作や技術だけでなく、スポーツを楽しむ姿勢を伝えることを目的としている。
井納の担当領域は投手としての経験を生かした指導。プロで培った投球技術や実戦経験を、子どもたちにも理解しやすい形で伝える役割を担っている。
なお、井納は巨人の一軍監督や二軍投手コーチとして登録されているわけではない。ジャイアンツアカデミーという育成・普及部門で活動する指導者である。
井納翔一は1986年5月1日生まれ、東京都出身。右投右打の投手で、身長188センチ、体重94キロという恵まれた体格を持つ。
プロ入りまでの経歴は、木更津総合高校、上武大学、NTT東日本という流れだ。
上武大学で実力を伸ばし、社会人野球へ大学時代は上武大学でプレー。4年時には関甲新学生野球リーグで春秋連覇に貢献し、2季連続で最優秀防御率のタイトルを獲得した。
卒業後は社会人野球のNTT東日本に入社。即座にプロへ進むのではなく、社会人野球で実力を磨く道を選んだ。
スポーツコミュニケーションズの新人紹介記事では、NTT東日本入社4年目に都市対抗野球のマウンドを経験し、1勝1敗、防御率2.63を記録したことも紹介されている。
2012年ドラフト3位でDeNAに入団井納のプロ入りは2012年。横浜DeNAベイスターズからドラフト3位指名を受けた。
当時26歳という年齢は、一般的な高卒・大卒選手と比較すると遅いスタートだった。
しかし、社会人野球で培った経験と完成度の高い投球を武器に、2013年には一軍で18試合に登板。5勝7敗、防御率5.34という成績を残した。
プロ1年目から一軍のマウンドを経験したことは、その後の飛躍につながる重要な一歩だった。
【DeNA時代】2014年の11勝が井納翔一の代表的な実績

井納翔一の現役時代を語るうえで、最も重要なシーズンが2014年だ。
プロ2年目の井納は先発投手として存在感を高め、25試合に登板して11勝9敗、防御率4.01を記録した。
特に注目したいのは、159回1/3を投げて104奪三振を記録した点である。
単に勝ち星を積み上げただけではなく、年間を通じて先発投手として一定の投球回数を確保したことが評価できる。
2014年5月には月間MVPを受賞2014年5月には、日本野球機構が選定する日本生命月間MVP賞のセ・リーグ投手部門を初受賞した。
当時のDeNAは、チームの再建と上位進出を目指していた時期。井納は先発陣の一角として、チームを支える存在になっていった。
また、2013年から2015年にかけて侍ジャパンのトップチームにも選出され、国際試合を経験している。
DeNAでの8年間は先発と救援の両方を経験2014年以降も井納はDeNAの投手陣を支えた。
2015年は5勝、防御率3.27。2016年は7勝、防御率3.50、2017年は6勝、防御率3.84だった。
2018年には救援も経験し、6勝1セーブ8ホールドを記録。先発だけでなく、チーム事情に応じた役割を担った。
2017年にはチームの日本シリーズ進出も経験している。
DeNA時代の8年間は、井納のプロ野球人生の土台となった期間だ。
【年代別の年表】DeNA・巨人・引退後の転換点を比較
井納翔一のキャリアは、DeNA時代、巨人へのFA移籍、引退後の指導者転身という3段階に整理できる。
| 年・時期 | 所属・出来事 | 主な実績・状況 |
|---|---|---|
| 1986年 | 東京都で誕生 | 5月1日生まれ |
| 学生時代 | 木更津総合高校・上武大学 | 大学4年時に2季連続最優秀防御率 |
| 2012年 | NTT東日本からDeNAへ | ドラフト3位でプロ入り |
| 2013年 | DeNA | 18試合、5勝7敗 |
| 2014年 | DeNA | 25試合、11勝9敗、5月度月間MVP |
| 2015~2017年 | DeNA | 先発ローテーションを支える |
| 2018~2020年 | DeNA | 救援も経験。2020年オフに国内FA権を行使 |
| 2021年 | 読売ジャイアンツ | 5試合、0勝1敗、防御率14.40 |
| 2022年 | 読売ジャイアンツ | 7試合、1勝0敗、防御率1.80 |
| 2022年10月 | 巨人から戦力外通告 | 来季の契約を結ばないと発表 |
| 2022年11月 | 12球団合同トライアウト | 現役続行を模索 |
| 2022年12月 | 現役引退を発表 | ジャイアンツアカデミーで指導者へ |
| 2026年 | ジャイアンツアカデミー | 野球教室などで子どもたちを指導 |
※成績は日本野球機構の公式記録に基づく。年度別の成績はレギュラーシーズンの記録。
この年表から分かるのは、井納のキャリアにおいて2020年オフと2022年が大きな転換点になったことだ。
DeNAで8年間プレーした後、FA移籍によって新天地を選択。しかし、巨人では期待された役割を十分に果たせず、2年で戦力外通告を受けた。
その後は野球から離れるのではなく、指導者として新しい道を歩み始めている。
【巨人FA移籍の理由】井納翔一はなぜDeNAを離れたのか
井納翔一は2020年オフ、国内FA権を行使して読売ジャイアンツへの移籍を決断した。
当時34歳。翌年には35歳を迎えるタイミングだった。
FA権を行使した理由は年齢と将来への判断2020年11月27日、井納は国内FA権の行使を表明した。
スポニチの報道によれば、本人はFA権について「来年35歳で、持っていてもしょうがない」という趣旨の説明をしていた。
DeNAは宣言残留を認めていたため、FA宣言は必ずしも退団を意味するものではなかった。
他球団の評価を聞き、自分の市場価値や今後のキャリアを考える機会として権利を使った面があった。
ヤクルトより巨人を選んだ理由は金額ではなかったFA交渉では、巨人と東京ヤクルトスワローズが井納の獲得に動き、DeNAも残留を認めていた。
興味深いのは、最も高い金銭条件を提示したのがヤクルトだったという点だ。
2024年3月のFull-Countの記事では、高橋尚成氏のYouTubeチャンネルに出演した井納本人が、当時の交渉内容を振り返っている。
本人の説明では、提示額はヤクルト、巨人、DeNAの順だった。
それでも井納は巨人を選んだ。
当時のヤクルトは2019年、2020年と2年連続最下位。一方、巨人はリーグ連覇を達成していた。
井納は当時のチーム状況を踏まえ、強いチームで挑戦したいという考えを持っていた。
つまり、FA移籍の理由は単純な年俸アップではない。優勝を目指せる環境で、自分の力を試したいという競技者としての判断だった。
ただし、結果は予想とは異なった。
ヤクルトは2021年、2022年とリーグ連覇を達成。巨人は同じ2年間を3位、4位で終えている。
井納自身も後年、この結果に驚きを示していた。
【戦力外通告と引退理由】巨人での2年間に何があった?
井納翔一の引退理由を理解するには、巨人移籍後の成績と2022年オフの経緯を確認する必要がある。
2021年は期待に応えられず、防御率14.40巨人移籍1年目の2021年、井納は先発ローテーションの一角として期待されていた。
しかし、開幕直前にジャイアンツ球場のフェンスで頭部に裂傷を負うアクシデントがあった。
その後のシーズンは苦しいものとなり、一軍では5試合登板、0勝1敗、防御率14.40に終わった。
井納自身も2022年12月の引退発表で、このアクシデントについて自分の不注意だったと振り返り、そこから結果が出せなかったことに言及している。
2022年は1勝を挙げたが、登板機会は限られた2年目の2022年は救援を中心に7試合に登板。
1勝0敗、1ホールド、防御率1.80を記録した。
数字だけを見ると前年から改善しているが、一軍での登板機会は限られたままだった。
巨人での2年間を合計すると、12試合登板、1勝1敗、防御率8.10となる。
DeNAで長年先発として活躍した選手に対する期待を考えると、本人にとっても納得しきれない結果だったはずだ。
2022年10月7日に戦力外通告2022年10月7日、巨人は井納に来季の契約を結ばないことを発表した。
ここで現役生活が直ちに終わったわけではない。
井納は現役続行を希望し、11月8日の12球団合同トライアウトに参加。日刊スポーツの報道によれば、最速147キロを計測している。
それでも新たな所属先は決まらず、他球団でプレーする可能性を模索した後、12月26日に現役引退を決断した。
翌27日、自身のInstagramで正式に引退を発表した。
引退理由は戦力外通告だけではない井納の引退には、複数の事情が重なっていた。
- 巨人での登板機会が減少したこと
- 2022年10月に戦力外通告を受けたこと
- トライアウトを受けて現役続行を模索したこと
- 将来の道筋について家族とも話し合ったこと
- 巨人移籍後の結果について本人が振り返っていたこと
日刊スポーツは、本人が現役続行への意欲を持ちながらも、将来への道筋を家族と話し合って引退を決断したと報じている。
また、井納は引退発表の際、巨人での2年間についても自分の野球人生にとってプラスになる経験だったという趣旨を述べ、悔いはないと表明した。
したがって、井納翔一の引退は単に年齢を理由に自らユニホームを脱いだという話ではない。
戦力外通告を受けた後も現役続行を目指し、トライアウトまで挑戦したうえで、次のキャリアを選んだ決断だった。
【プロの結論】井納翔一の現在は選手から指導者への第二のキャリア
井納翔一のプロ野球人生を振り返ると、26歳でのプロ入り、DeNAでの11勝、巨人へのFA移籍、そして引退後の指導者転身という大きな節目がある。
特に注目したいのは、選手としての実績と引退後の活動を切り離して考える必要がないことだ。
通算成績180試合・51勝・防御率3.98の評価日本野球機構の公式記録による井納の通算投手成績は次のとおり。
- 登板:180試合
- 勝利:51勝
- 敗戦:61敗
- セーブ:1
- ホールド:11
- 奪三振:640
- 投球回:917回1/3
- 防御率:3.98
特筆すべきは、DeNAで168試合に登板し50勝を挙げたことだ。
巨人では12試合、1勝にとどまったものの、キャリア全体を見れば、DeNAの先発陣を長年支えた実績が大きい。
2014年の11勝はその象徴であり、年間を通じて先発投手として働ける能力を示したシーズンだった。
指導者として生かせる経験とは井納は高卒・大卒の若手選手とは異なり、社会人野球を経て26歳でプロ入りした。
そのため、学生野球、社会人野球、プロ野球という異なる環境を経験している。
加えて、DeNAでは先発と救援の両方を経験し、巨人では移籍後の苦しい時期も味わった。
こうした経験は、子どもたちに野球の技術を伝える際にも生かせる可能性がある。
特に、投手にとって重要な基本動作や、結果が出ない時期の向き合い方などは、現役時代の経験を通じて伝えられるテーマだ。
2026年9月の野球教室で投球のデモンストレーションを披露していることからも、現在の活動が単なる肩書きではなく、実際の指導現場に根付いていることが分かる。
井納の第二のキャリアは、プロで積み重ねた経験を次世代に還元する仕事へと移っている。
【井納翔一に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:井納翔一は2026年現在、何をしている?
A1:ジャイアンツアカデミーのコーチとして活動している。2026年にも宮崎や新潟などの野球教室に参加し、子どもたちへの野球指導を続けている。
Q2:井納翔一はなぜ引退した?
A2:2022年10月に巨人から戦力外通告を受け、11月の合同トライアウトで現役続行を模索した。その後、家族とも将来について話し合い、同年12月に引退を決断した。
Q3:井納翔一は巨人にFA移籍した理由は?
A3:当時の巨人がリーグ連覇を達成しており、強いチームで挑戦したいという考えがあった。本人の後年の説明によると、金銭条件はヤクルトの方が高かった。
Q4:井納翔一のDeNA時代の最高成績は?
A4:2014年の11勝9敗、防御率4.01が代表的な成績。25試合に登板し、159回1/3を投げて104奪三振を記録した。5月には月間MVPも受賞している。
Q5:井納翔一のプロ通算成績は?
A5:180試合登板、51勝61敗1セーブ、11ホールド、防御率3.98、640奪三振。DeNAで50勝、巨人で1勝を記録した。
Q6:井納翔一は巨人の一軍コーチなの?
A6:一軍・二軍のプロチームのコーチではなく、ジャイアンツアカデミーのコーチ。幼児や小学生を中心に、野球の基本技術や楽しさを伝える活動をしている。
井納翔一は、DeNAで8年間、巨人で2年間プレーし、通算51勝を挙げた元プロ野球投手だ。
2014年の11勝は現役時代を代表する実績であり、2020年オフの巨人FA移籍は、強いチームで挑戦したいという本人の思いが反映された選択だった。
一方、巨人では期待された結果を残せず、2022年に戦力外通告を受けた。その後もトライアウトに挑戦したが、最終的に現役引退を決断している。
2026年現在はジャイアンツアカデミーのコーチとして活動。野球教室や投球指導を通じて、子どもたちに野球の技術と楽しさを伝えている。
井納翔一の現在を知るうえで大切なのは、2022年の引退をキャリアの終着点と捉えないことだ。
プロとしての10年間で培った経験を次世代に伝える新しい挑戦は、2026年も続いている。
主な事実確認資料: 日本野球機構の個人年度別成績、福岡ソフトバンクホークスの2026年野球教室告知、週刊ベースボールONLINEの2026年9月記事、日刊スポーツの引退報道、Full-CountのFA移籍に関する本人談。