2026年11月4日時点の仲邑菫は、韓国棋院所属の六段。韓国では客員棋士として活動しており、日本棋院から韓国棋院へ移籍した当初の三段から、着実に段位を上げてきた。
韓国棋院の公式棋士プロフィールによると、2026年3月8日に六段へ昇段。韓国棋院での通算成績は、同年11月時点で353局226勝127敗、勝率64%となっている。
仲邑菫の基本プロフィール| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 名前 | 仲邑菫(なかむら・すみれ) |
| 生年月日 | 2009年3月2日 |
| 年齢 | 17歳(2026年11月現在) |
| 段位 | 六段 |
| 所属 | 韓国棋院 |
| プロ入り | 2019年4月 |
| プロ入り時の年齢 | 10歳 |
| 父親 | 仲邑信也九段 |
| 日本での主なタイトル | 第26期女流棋聖 |
| 韓国移籍 | 2024年3月2日 |
特に注目したいのは、韓国女子囲碁界でのランキングだ。
2026年10月の韓国棋院発表では、仲邑は女子ランキング3位、全体ランキング50位に位置していた。韓国移籍後初めて女子トップ3に入ったのは2026年8月で、同年7月に10勝3敗を記録し、ランキングポイントを51点加算したことが躍進につながった。
日本棋院のプロフィールが三段なのはなぜ?仲邑菫を検索すると、日本棋院のプロフィールに三段と記載されている場合がある。
しかし、これは移籍当時の情報を掲載したプロフィールであり、2026年現在の段位とは異なる。
現在の段位を確認するなら、韓国棋院の公式プロフィールを基準にするのが適切だ。そこには2025年1月7日の四段昇段、2026年3月6日の五段昇段、同月8日の六段昇段が記録されている。
つまり、現在の仲邑菫を三段として紹介する記事は、段位情報が更新されていない可能性がある。
【韓国棋院への移籍経緯】2024年3月に日本を離れた理由とは?

仲邑菫のキャリアを語るうえで欠かせないのが、2024年3月の韓国棋院移籍だ。
この決断は、単なる活動拠点の変更ではなかった。世界トップレベルの棋士が集まる環境に身を置き、実力を高めるための本人主導の挑戦だった。
移籍を考え始めたのは2023年6月ごろ日刊スポーツの2023年10月30日の報道によると、仲邑は同年6月ごろから韓国移籍を考え始めていた。
両親にも相談したが、最終的には自分自身の意思で決断したという。
韓国にはプロ入り前から何度も足を運んでいた。KBS WORLDの報道では、7歳ごろから韓国の囲碁道場で修行を積んでいたことも紹介されている。
つまり、移籍先として韓国を選んだのは、突然の思いつきではなく、以前から知っていた囲碁環境を踏まえた選択だった。
本人が語った移籍の理由2023年10月30日の移籍会見では、仲邑は韓国の囲碁環境について、自分の成長に必要な場所だと説明した。
その考えを端的に表したのが、次の発言だ。
「より高いレベルの環境で勉強することが今の私には必要だと思い、決断に至りました」
韓国には強い棋士が多く、国際棋戦や若手限定の大会も充実している。そうした環境で日常的に強豪と対局することが、成長につながると考えたのだ。
韓国棋院が移籍を正式承認した流れ移籍までの手続きは次のように進んだ。
- 2023年9月11日: 日本棋院が本人の韓国移籍希望を公表。
- 2023年10月26日: 韓国棋院の理事会が客員棋士としての受け入れを承認。
- 2023年10月30日: 日本棋院で移籍会見を実施。
- 2024年3月2日: 韓国棋院への移籍が実現。
韓国棋院では、現地のプロ試験を受けて入段するのではなく、客員棋士として登録する形が認められた。
日本棋院の発表によると、2024年2月末までは日本で対局し、3月から韓国で活動する予定だった。これは日本棋院所属の日本人棋士による初の海外移籍としても注目された。
移籍後に掲げた目標は韓国女子ランキング2位2024年3月の韓国での記者会見で、仲邑は5年以内に韓国女子棋士ランキング2位を目指すと語った。
1位ではなく2位を目標にした理由についても、韓国には非常に強い棋士がいるため、現実的に実力を伸ばす目標として設定したと説明している。
2026年10月には女子ランキング3位まで上昇した。
移籍から約2年半でトップ3に到達したことを考えれば、当初の目標に向けて着実に前進している。
【仲邑菫の経歴・年表】女流棋聖の最年少記録から六段昇段まで
仲邑菫の経歴には、囲碁界の記録に残る節目がいくつもある。
3歳で囲碁を始め、10歳でプロ入り。13歳11カ月で女流棋聖を獲得し、韓国移籍後には公式戦初優勝も経験した。
主なキャリアと関係者・棋戦の相関日本での最大の実績は、2023年の第26期女流棋聖戦だ。
当時13歳11カ月だった仲邑は、上野愛咲美女流棋聖との挑戦手合三番勝負を2勝1敗で制し、初タイトルを獲得した。
これは当時の日本囲碁界における女性タイトル獲得の最年少記録だった。
単に若くしてタイトルを獲得したというだけではない。女流棋界の実力者である上野を直接破ってタイトルを手にした点にも意味がある。
2025年にはヒョリム杯未来の女帝最強戦で優勝韓国移籍後、最初の大きな転機となったのが2025年11月6日の第4期ヒョリム杯未来の女帝最強戦だ。
決勝では鄭有珍五段と対戦し、仲邑が黒番中押し勝ちで優勝した。
この大会は2003年以降に生まれた若手女性棋士を対象とする棋戦で、仲邑にとって韓国移籍後初の公式戦優勝となった。
当時の韓国女子ランキングでは仲邑が4位、鄭有珍が18位。実績面でも、韓国で上位を争う棋士として存在感を示した一戦だった。
【仲邑菫の2026年最新成績】IBK杯で上野愛咲美に勝利、ベスト8進出
2026年の仲邑菫は、韓国女子棋界の上位で安定して戦いながら、国際的な対局経験も積み重ねている。
韓国棋院の公式プロフィールでは、韓国棋院時代の通算成績が226勝127敗。2026年の年間成績については、11月4日更新の対局データ集計で60勝27敗、勝率約69%となっている。
2026年の主な実績- 3月8日:六段に昇段。
- 5月:第9回天台山杯で呉依銘七段、牛栄子四段に勝利。
- 7月:韓国女子ランキング上昇につながる好成績を記録。
- 10月2日:IBK杯で上野愛咲美六段に勝利。
- 10月3日:IBK杯で鄭有珍五段に勝利。
- 10月5日:IBK杯準々決勝で李小渓六段に敗退。
- 10月7日:SH水協銀行女子囲碁最強戦準決勝で呉侑珍九段に勝利。
- 10月22日:韓国女子国手戦準決勝で金恩持九段に敗退。
- 10月26~30日:SH水協銀行女子囲碁最強戦決勝五番勝負で準優勝。
仲邑菫六段
韓国棋院所属・2026年10月時点
10月2日のIBK企業銀行杯女子囲碁ワールドマスターズ32強戦で上野愛咲美六段と対戦し、白番中押し勝ちを収めた。
上野愛咲美六段
日本棋院所属
2023年の女流棋聖戦では仲邑の挑戦を受けた側。2026年のIBK杯では初戦で敗退した。
今回の勝利は、2023年の女流棋聖戦以来、再び大舞台で上野を破った結果となった。
さらに10月3日の16強戦では、韓国の鄭有珍五段にも169手で黒番中押し勝ち。連勝で準々決勝に進出した。
ただし、10月5日の準々決勝では中国の李小渓六段に敗れ、ベスト8で大会を終えている。
上野と仲邑の直接対決について、対局記録を集計する専門サイトでは、2026年10月29日時点で上野8勝、仲邑4勝となっている。
したがって、IBK杯の勝利は重要な一勝だが、通算ではまだ上野が優勢だ。
2026年の女子ランキングは3位韓国棋院が2026年10月に発表したランキングでは、女子3位に仲邑菫六段が入っている。
上位には金恩持九段、崔精九段がおり、仲邑はこの2人を追う位置にいる。
注目すべきは、移籍直後の2024年4月には全体217位からスタートしたことだ。約2年半で全体50位まで上昇したことは、韓国での対局経験が実力の向上につながっていることを示している。
【金恩持九段との対戦成績】SH水協銀行女子囲碁最強戦の決勝で何が起きた?
2026年10月の仲邑菫にとって、最も大きな注目を集めた対局が金恩持九段との連戦だった。
金恩持は韓国女子囲碁ランキング1位の実力者。19歳ながらトップ棋士として活躍しており、仲邑にとって大きな壁となっている。
韓国女子国手戦でも金恩持に敗れる2026年10月22日、第31期ハリム杯プロ女子国手戦の準決勝で、仲邑は金恩持と対戦した。
この一局では、仲邑が途中で優勢になる可能性もあったものの、終盤の攻防で金恩持に形勢を逆転され、敗退した。
囲碁棋譜.COMの対局記録によると、この時点で公式戦の直接対決は金恩持の7戦全勝だった。
つまり、SH水協銀行女子囲碁最強戦の決勝は、単なるタイトル戦ではなく、仲邑が金恩持との連敗を止められるかという意味でも重要なシリーズだった。
SH水協銀行女子囲碁最強戦とは?2026年に始まった韓国の女子棋戦で、優勝賞金は1億ウォン、準優勝賞金は3,000万ウォン。
韓国棋院が主催・主管し、SH水協銀行が後援する大会だ。
仲邑は本戦で勝ち上がり、10月7日の準決勝では呉侑珍九段を180手で破って決勝に進出した。
金恩持との決勝は五番勝負で、先に3勝した棋士が初代優勝者となる方式だった。
決勝第1局:金恩持が237手で先勝2026年10月26日
決勝第1局では、金恩持が黒番、仲邑が白番となった。
序盤から左辺で大規模な戦いが発生。金恩持はこの攻防で優位に立ち、仲邑は形勢を挽回できないまま進行した。
結果は237手で金恩持の黒番中押し勝ち。
この一局で、金恩持は対仲邑戦の連勝を8に伸ばした。
決勝第2局:左辺の攻防で再び金恩持が勝利2026年10月27日
第2局は仲邑が黒番となった。
序盤から右辺を中心に激しい戦いが続いたが、勝負を左右したのは左辺での攻防だった。
仲邑は実利を損なう判断をした後、失った分を取り戻そうと勝負手を放った。しかし、金恩持が正確に対応し、逆転の機会を与えなかった。
結果は212手で金恩持の白番中押し勝ち。
これでシリーズは金恩持の2勝0敗となり、仲邑は後がない状況に追い込まれた。
決勝第3局:仲邑が中盤まで優勢、しかし大石を取られる2026年10月30日・最終局
第3局は仲邑が白番となった。
ここでは、それまでの2局とは異なる展開が見られた。
仲邑は中央の厚みを生かし、中盤まではわずかに優勢を保っていた。シリーズ初勝利に向けて、反撃の可能性を残していたのである。
しかし、右辺の戦いで仲邑にミスが出た。
金恩持はその隙を逃さず、白の大石を捕獲。形勢を一気に逆転させ、そのまま勝利を確定させた。
結果は259手で金恩持の黒番中押し勝ち。決勝五番勝負は金恩持の3勝0敗で決着した。
SH水協銀行女子囲碁最強戦・決勝結果
優勝
金恩持九段3勝
賞金1億ウォン
準優勝
仲邑菫六段0勝
賞金3,000万ウォン
決勝3局の結果
| 対局日 | 結果 |
|---|---|
| 10月26日 | 金恩持・黒番中押し勝ち |
| 10月27日 | 金恩持・白番中押し勝ち |
| 10月30日 | 金恩持・黒番中押し勝ち |
出典:韓国棋院、聯合ニュースの大会結果
今回の決勝で特に注目されたのが、金恩持との直接対決の数字だ。
韓国メディアの報道によると、10月30日の最終局終了時点で、金恩持は仲邑との公式戦10局すべてに勝利している。
つまり、仲邑は金恩持に10連敗という状況にある。
この数字は重い。
仲邑は韓国女子ランキング3位まで上昇し、2026年にはIBK杯でも上位進出を果たしている。それでも、韓国女子ランキング1位の金恩持との間には、依然として明確な実力差が存在する。
ただし、SH水協銀行女子囲碁最強戦では、仲邑も決勝まで勝ち上がった。最終局では中盤まで優勢だった時間帯もある。
一方的に勝負にならなかったわけではなく、優勢を勝ち切る力や、相手の反撃に対する判断の精度が課題として残ったシリーズだった。
【プロの結論】仲邑菫は韓国トップを狙えるのか?今後の注目点3つ
2026年の仲邑菫を評価する際には、タイトルの獲得数だけで判断しないことが大切だ。
現在の彼女は、17歳にして韓国女子ランキング3位に入り、国際棋戦でも日本や中国の実力者と競い合う立場にいる。
その一方で、金恩持との対戦では10連敗。上位棋士との勝負を制する力には、まだ伸びしろがある。
今後の成長を見極める要点は3つある。
1. 金恩持に対して初勝利を挙げられるか最も分かりやすい指標が、金恩持との直接対決だ。
10連敗という数字は、単なる偶然として片付けられるものではない。
特に2026年のSH水協銀行女子囲碁最強戦では、最終局で中盤まで優勢だった局面を勝ち切れなかった。
今後、同じような局面で相手の反撃を受け止め、勝ちにつなげられるかが重要になる。
2. 韓国女子ランキング2位への到達2024年の移籍会見で掲げた目標は、5年以内に韓国女子ランキング2位になることだった。
2026年10月時点ですでに3位に入っているため、目標まであと一つ順位を上げる段階に来ている。
もちろん、2位には崔精九段などの強豪がいる。単純に勝ち星を増やすだけではなく、トップ棋士との直接対決で結果を残す必要がある。
3. 決勝で勝ち切るための対応力2025年のヒョリム杯未来の女帝最強戦では優勝した一方、2026年のSH水協銀行女子囲碁最強戦では準優勝に終わった。
この違いは、今後の成長を考えるうえで興味深い。
一発勝負で勝つ力と、五番勝負で相手に対応しながら勝ち続ける力は同じではない。
金恩持との決勝では、相手の読みの正確さや、優勢時に勝ちを逃さない終盤の判断が結果を左右した。
今後は、勝ち上がる力に加えて、タイトルを獲得するための安定感が問われる。
仲邑菫の現在地は、若手の有望棋士という段階を越え、韓国女子囲碁界のトップを本格的に争う段階に入ったところだ。
【仲邑菫の現在に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:2026年現在、仲邑菫は何段ですか?
A1:韓国棋院所属の六段です。2026年3月8日に六段へ昇段しました。日本棋院の古いプロフィールにある三段表記は、移籍当時の情報です。
Q2:仲邑菫が韓国棋院に移籍した理由は何ですか?
A2:より高いレベルの囲碁環境で勉強し、強い棋士との対局を通じて実力を高めるためです。本人が自分の意思で決断しました。2024年3月2日に移籍が実現しています。
Q3:仲邑菫は金恩持九段との決勝に勝ちましたか?
A3:いいえ。2026年10月のSH水協銀行女子囲碁最強戦決勝五番勝負で、金恩持九段に0勝3敗で敗れ、準優勝となりました。10月30日の最終局では中盤まで優勢でしたが、終盤の右辺の戦いで大石を取られました。
2026年11月現在の仲邑菫は、17歳の韓国棋院六段。2024年の移籍から約2年半で韓国女子ランキング3位に上昇し、2025年にはヒョリム杯未来の女帝最強戦を制した。
2026年のIBK企業銀行杯女子囲碁ワールドマスターズでは上野愛咲美六段を破り、準々決勝まで進出。一方、SH水協銀行女子囲碁最強戦では金恩持九段に決勝で0勝3敗となり、準優勝に終わった。
今回の結果から見えてくるのは、仲邑がすでに韓国女子囲碁界の上位で戦える実力を持ちながら、トップ棋士を相手にタイトルを獲得するための課題も残しているということだ。
日本での最年少女流棋聖獲得、韓国移籍後初優勝、六段昇段。そして金恩持との10連敗。
これらはすべて、仲邑菫という棋士の成長過程を示す重要な記録である。
今後の最大の注目点は、韓国女子ランキング2位への浮上と、金恩持からの初勝利だ。日本で才能を開花させた若き棋士が、韓国のトップタイトルを手にする日が来るのか。17歳の挑戦は、まだ続いている。