塚本堅一氏は、明治大学を卒業後、2003年にNHKへ入局した元アナウンサーです。
NHK入局後は、京都放送局、金沢放送局、沖縄放送局で勤務。地方局で経験を積み、2015年に東京アナウンス室へ異動しました。
東京ではニュース番組のリポーターを担当し、夕方の報道情報番組「ニュース シブ5時」にも出演。全国放送で視聴者に情報を届ける立場となりました。
主な経歴を整理すると、次のとおりです。
| 時期 | 出来事・活動 | 内容 |
|---|---|---|
| 2003年 | NHK入局 | 明治大学卒業後、アナウンサーとして勤務開始 |
| 入局後 | 京都放送局 | 地方局でアナウンサー経験を積む |
| 2007年 | 金沢放送局 | 地域ニュースなどを担当 |
| 2011年 | 沖縄放送局 | 地方勤務を継続 |
| 2015年 | 東京アナウンス室 | ニュース番組のリポーターを担当 |
| 2016年1月 | 危険ドラッグ事件 | 所持・製造に関する容疑で逮捕 |
| 2016年2月 | NHK懲戒免職 | 罰金50万円の略式命令後、懲戒免職 |
| 2019年8月 | 著書を出版 | 自身の事件と回復過程を公表 |
| 2020年代 | 依存症予防教育 | ASK理事として講演・啓発活動 |
※経歴はASKの講師紹介、報道各社の記事、本人の著書に基づくものです。
塚本氏のキャリアにおける大きな転換点は、2015年の東京異動でした。
本人は後年、東京アナウンス室への異動に伴うプレッシャーや、自分の内面にあった心の隙間について振り返っています。
ただし、東京への異動そのものが事件を引き起こしたと単純化することはできません。本人の回顧と、刑事事件として認定された事実は分けて理解する必要があります。
【事件の理由】2016年の危険ドラッグ「ラッシュ」事件とは?

塚本氏が世間から大きな注目を集めたのは、2016年1月に発覚した危険ドラッグ事件です。
当時37歳だった塚本氏は、NHK東京アナウンス室に所属し、報道番組のリポーターを務めていました。
事件で問題になったのは、液体状の危険ドラッグ「ラッシュ」と呼ばれる薬物の所持・製造です。
逮捕理由は単なる使用ではなく所持と製造2016年1月10日、厚生労働省関東信越厚生局麻薬取締部は、東京都文京区の自宅マンションで指定薬物を含む液体を所持していた疑いで塚本氏を逮捕しました。
翌11日にはNHKも職員の逮捕を公表しています。
当時の報道によれば、塚本氏は取り調べに対し、自分で使用するために所持していた趣旨の説明をしていました。
その後、1月29日には危険ドラッグを自宅で製造した疑いで再逮捕されています。
つまり、この事件は単に薬物を使用したという報道にとどまりません。指定薬物を含む液体の所持と製造が、医薬品医療機器法違反の問題として捜査された事件です。
ラッシュとはどのようなものだったのか事件を伝えた報道や塚本氏の著書の書誌情報では、問題となった液体状の危険ドラッグは「ラッシュ」と表現されています。
本人が著書をもとに寄稿したPRESIDENT Onlineの記事では、押収された液体から違法薬物の亜硝酸イソブチルが検出されたと説明されています。
また、文春オンラインに掲載された本人の手記では、過去に使用していたラッシュに似た効果を期待していたことや、違法性について曖昧な認識のまま購入した経緯を振り返っています。
ここで注目すべきなのは、本人の認識と法律上の判断は別だという点です。
違法かどうか確信がなかったという本人の説明があったとしても、実際に押収された液体から指定薬物が検出され、所持・製造に関する法的処分に至った事実は変わりません。
事件の背景について本人が語ったこと塚本氏は事件後、自身の経験を著書やメディアへの寄稿で明らかにしています。
本人の説明によれば、東京への異動後、仕事上のプレッシャーを感じていたことも背景の一つでした。
ただし、仕事のストレスだけで薬物問題を説明することはできません。
本人の手記には、違法性を十分に確かめないまま行動したことや、逮捕後に自分の行為を振り返ることになった過程が記されています。
この事件を理解するうえでは、本人の心理的背景と、法律に違反する行為をしたことへの責任の両方を見る必要があります。
【事件の経緯】逮捕から罰金50万円、NHK懲戒免職まで
塚本氏の事件で検索されることが多いのが、罰金50万円と懲戒免職の関係です。
この2つは別々の手続きによるものです。
罰金50万円は刑事手続き上の処分であり、懲戒免職はNHKが勤務先として決定した人事上の処分です。
2016年1月から2月までの時系列2016年1月10日:危険ドラッグ所持容疑で逮捕
東京都文京区の自宅マンションで指定薬物を含む液体を所持していた疑いにより、麻薬取締部に逮捕されました。
翌11日にはNHKが職員の逮捕を公表し、謝罪コメントを発表しました。
2016年1月29日:製造容疑で再逮捕
自宅で危険ドラッグを製造した疑いにより再逮捕されました。
報道では、1月上旬に製造したとされる液体についても伝えられています。
2016年2月9日:罰金50万円の略式命令
医薬品医療機器法違反の罪で略式起訴され、東京簡易裁判所から罰金50万円の略式命令を受けました。
略式手続きのため、通常の公開法廷で審理する正式裁判とは異なる形で刑事処分が決まりました。
2016年2月16日:NHKが懲戒免職を決定
NHK広報局は、塚本氏を懲戒免職とすることを発表しました。
処分の発令予定日は2月23日とされました。
NHKは、協会の信頼を揺るがせた責任は重いとの判断を示しています。
罰金と懲戒免職は何が違う?| 項目 | 内容 | 意味 |
|---|---|---|
| 罰金50万円 | 東京簡裁による略式命令 | 刑事手続き上の処分 |
| 懲戒免職 | NHKが決定 | 職員としての身分を失う人事処分 |
| 処分決定日 | 2016年2月16日 | NHKが正式に発表 |
| 発令予定日 | 2016年2月23日 | 懲戒免職の発令予定日 |
この事件では、刑事責任だけでなく、公共放送の職員としての社会的責任も問われました。
NHKは公共放送として、視聴者からの信頼を基盤に運営されています。報道を担うアナウンサーの薬物事件は、個人の問題にとどまらず、組織の信用にも影響する重大な出来事でした。
なお、罰金50万円と懲戒免職は同じ処分ではありません。罰金を支払えばNHK職員に戻れるという関係でもなく、両者はそれぞれ独立した判断です。
【事件後の人生】回復施設への通所と著書で明かした経験
NHKを懲戒免職となった塚本氏は、その後、依存症からの回復を目指す施設につながりました。
ASKの公式講師プロフィールによれば、塚本氏はRDデイケアセンターに通所し、リカバリーダイナミクスを学んでいます。
事件後の本人の歩みを考えるうえで、この回復支援との出会いは大きな意味を持っています。
逮捕後に直面した社会復帰の難しさ塚本氏は2021年の文春オンライン掲載の手記で、事件後の生活について振り返っています。
逮捕と懲戒免職によって、それまで築いてきた社会的な立場を失い、自分の行為を冷静に振り返ることも難しい状況に陥ったといいます。
また、本人は事件後の強い自己否定や孤立感、うつ状態についても明かしています。
その状況から抜け出すきっかけになったのが、回復施設のスタッフや依存症の仲間との関わりでした。
一人で反省や責任を抱え込むのではなく、支援を受けながら自分の行動を振り返ることが、社会復帰への足掛かりになったのです。
2019年に出版した著書とは?『僕が違法薬物で逮捕されNHKをクビになった話』は、塚本氏が2019年8月に出版した著書です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 僕が違法薬物で逮捕されNHKをクビになった話 |
| 著者 | 塚本堅一 |
| 出版社 | KKベストセラーズ |
| 発売時期 | 2019年8月26日 |
| ページ数 | 224ページ |
| 主なテーマ | 逮捕、薬物問題、依存症からの回復、社会復帰 |
この本では、NHKアナウンサーとして働いていた時期から逮捕、取り調べ、退職後の生活、回復支援につながるまでの経験が語られています。
事件を起こした本人が、自身の行為と向き合い、どのように人生を立て直そうとしたのかを知るための一次資料です。
特に注目したいのは、単なる事件の告白に終わっていない点です。
薬物問題を抱える人が社会から孤立することの危険性や、回復を支える環境の重要性もテーマになっています。
事件の報道だけでは見えにくい、逮捕後の生活や支援の実態を知りたい人にとって参考になる一冊です。
【現在】塚本堅一はASK理事として依存症予防教育に従事
2026年現在、塚本氏はNHKのアナウンサーではなく、依存症問題に関する教育・啓発活動に携わっています。
ASKの公式講師プロフィールには、次の肩書きが掲載されています。
- ASK理事
- ASK認定・依存症予防教育アドバイザー
- ASK認定・飲酒運転防止上級インストラクター
- 元NHKアナウンサー
ASKとは、アルコール薬物問題全国市民協会の略称です。アルコールや薬物をはじめとする依存症問題の予防、啓発、支援などに取り組む団体です。
依存症予防教育アドバイザーとしての活動塚本氏が取り組んでいる活動は、薬物問題だけに限定されていません。
ASKの講師紹介によると、具体的には次のような仕事を行っています。
1. 大学などでの講演活動
各地の大学などで、薬物問題や依存症の予防について講演しています。
自身の経験を交えながら、依存症に関する知識や社会復帰の課題を伝える活動です。
2. 予防講座の企画・コーディネート
依存症予防のための講座を企画し、教育機関などでの啓発活動を支援しています。
3. 依存症関連イベントの司会
依存症問題を扱うイベントなどで司会を担当し、当事者や専門家の話を社会に届けています。
4. 飲酒運転防止の職場研修
飲酒運転防止上級インストラクターとして、企業や職場向けの研修にも携わっています。
5. 啓発動画の制作
飲酒運転防止や回復に関するメッセージ動画などの制作にも取り組んでいます。
こうした活動から、現在の塚本氏は過去の事件を隠して別のキャリアを築いているというより、自身の経験を依存症予防教育に生かす方向へ活動の軸を移していることが分かります。
2025年のインタビューで語った依存症予防の考え方2025年5月28日に公開され、同年12月23日に更新されたアイセイ薬局の健康情報メディア「HELiCO」では、塚本氏へのインタビューが掲載されています。
テーマは「依存症予防教育アドバイザーとは」。
記事では、依存症予防教育の役割として、次の3つの視点が紹介されています。
- 依存症についての正しい知識を伝えること
- 回復できるという実感を社会に広めること
- 依存症を防ぐためのライフスキルを身につけること
また、予防活動を一次・二次・三次の3段階で捉える考え方も紹介されています。
| 予防の段階 | 目的 | 主な取り組み |
|---|---|---|
| 一次予防 | 依存症の発生を防ぐ | 学校や企業での啓発教育 |
| 二次予防 | 依存の進行を防ぐ | 早期発見、相談、治療への接続 |
| 三次予防 | 再発を防ぎ回復を支える | 回復支援、当事者の体験講演 |
この考え方は、薬物を使用しないよう呼びかけるだけではなく、問題が発生した後の支援まで含めて考えるものです。
同記事では、2025年3月31日時点で依存症予防教育アドバイザーが348名活動していたことも紹介されています。
塚本氏の現在の仕事は、こうした全国的な予防教育の枠組みの中に位置づけられています。
【プロの結論】塚本堅一の事件と現在から見える依存症問題の本質
塚本堅一氏の経歴を振り返ると、2016年の危険ドラッグ事件は、本人のアナウンサー人生を大きく変えた出来事でした。
罰金50万円の略式命令、NHKの懲戒免職という結果は、決して軽いものではありません。
一方、事件後に回復施設や自助グループなどの支援につながり、依存症予防教育に携わるようになったことも、本人の公開プロフィールやインタビューから確認できます。
この経歴から考えるべき要点は3つあります。
1. 事件の責任と回復の可能性は別の問題薬物事件を起こしたことに対する法的責任や社会的責任は、回復活動をしているからといってなくなるわけではありません。
しかし、過去に犯罪や依存症の問題を経験した人が、その後の人生を立て直す可能性まで否定する必要もありません。
責任を問うことと、回復を支えることは両立できます。
2. 依存症対策は本人だけに任せてはいけない塚本氏の経験からも、本人が問題を抱え込むことの危険性が見えてきます。
依存症は、単純に本人の意志の強さだけで解決できる問題ではありません。
正しい知識、専門家による支援、回復施設、自助グループ、家族や周囲の理解など、複数の支援が必要になります。
3. 過去の肩書きではなく現在の活動を評価する元NHKアナウンサーという肩書きは、塚本氏を知るきっかけにはなります。
しかし、現在の活動を理解するには、ASK理事として何をしているのか、どのような教育や啓発活動に携わっているのかを見る必要があります。
特に依存症予防教育では、本人の経験だけでなく、正確な知識や専門家との連携が欠かせません。
塚本氏の活動を評価する際も、事件への反省と、現在の仕事の具体的な内容を分けて考えることが大切です。
【よくある質問】塚本堅一に関するFAQ
Q1:塚本堅一は2026年現在、何をしている?
A1:ASK理事、依存症予防教育アドバイザーとして活動しています。大学などでの講演、予防講座の企画、依存症関連イベントの司会、職場向けの飲酒運転防止研修などに携わっています。
Q2:塚本堅一が逮捕された理由は?
A2:2016年1月、危険ドラッグの所持容疑で逮捕され、その後、自宅での製造容疑で再逮捕されました。医薬品医療機器法違反の事件として処理されています。
Q3:塚本堅一の罰金はいくらだった?
A3:2016年2月9日、東京簡易裁判所から罰金50万円の略式命令を受けました。
Q4:なぜNHKを懲戒免職になった?
A4:危険ドラッグの製造・所持事件によって、NHKが職員としての責任を重く判断したためです。2016年2月16日に懲戒免職が決定され、2月23日に発令予定と発表されました。
Q5:塚本堅一の著書は何という本?
A5:2019年8月に出版された『僕が違法薬物で逮捕されNHKをクビになった話』です。事件の経緯や逮捕後の生活、依存症からの回復について本人が語っています。
Q6:塚本堅一は現在もNHKに所属している?
A6:いいえ。2016年に懲戒免職となっており、現在は元NHKアナウンサーとして紹介されています。
塚本堅一氏は、明治大学卒業後にNHKへ入局し、京都・金沢・沖縄での勤務を経て、東京アナウンス室で「ニュース シブ5時」などのリポーターを担当していました。
しかし、2016年1月の危険ドラッグ所持・製造事件によって逮捕され、同年2月には罰金50万円の略式命令とNHKの懲戒免職という結果を迎えました。
その後は依存症回復施設で学び、2019年には自らの経験をまとめた著書を出版。現在はASK理事、依存症予防教育アドバイザーとして講演や啓発活動を続けています。
塚本氏の経歴を理解するうえで重要なのは、2016年の事件だけで人物像を固定しないことです。
過去の行為への責任と、現在取り組んでいる社会活動の両方を見つめることで、依存症問題や社会復帰についても、より立体的に理解できます。
主な参考資料