1928年に日本語の号令が整備されてから約1世紀が経過しましたが、陸上競技のスタート手順は現在も厳密に管理されています。
日本陸上競技連盟(JAAF)の公式サイトが公開するルール解説は、2025年10月1日現在の競技規則を基準にしています。2026年に読むうえでも、国内競技のスタート手順を確認するための重要な資料です。
日本国内の陸上競技では距離によって号令が異なる日本陸連の説明によると、400mまでの競走と400mを超える競走では、スタート時の掛け声が異なります。
400mまでの競走位置について → 用意 → 号砲

英語:On your marks → Set → Gun
400mを超える競走位置について → 号砲
英語:On your marks → Gun
短距離走では、選手がスターティングブロックを使ってスタート姿勢を整えるため、「用意」という段階が設けられています。一方、400mを超える競走では、クラウチングスタートを必要としない種目があり、号令の手順も異なります。
このように「よーい」という言葉は、すべての陸上競技で必ず使われるわけではありません。
1928年から2006年、国際大会の号令はどう変わった?1928年の国際ルール改正によって、開催国の言語を使ったスタート合図が認められました。そのため、1964年の東京オリンピックでも日本語の「位置について」「用意」が使われていました。
笹川スポーツ財団が公開する野﨑忠信氏のインタビューでは、東京オリンピック開幕前、海外選手に日本語の号令を理解してもらうための練習が行われていたことが明かされています。
野﨑氏は、スターターの補助役員として、海外選手に「On Your Mark」と「位置について」、「Set」と「用意」の対応を伝えていたと振り返っています。
その後、2006年の国際陸上競技連盟の規則改正をめぐって、英語の号令が国際競技で標準化される流れが進みました。TBS NEWS DIGも、この変化をスタート合図の歴史における大きな転換点として紹介しています。
ただし、2026年版の世界陸連(World Athletics)の競技規則を見ると、現在もすべての大会で英語だけが使われるわけではありません。世界ランキング競技の指定カテゴリーなどでは英語のみ、それ以外の競技では開催地の言語、英語、フランス語が認められる規定があります。
つまり、英語が国際大会の重要な共通基準になった一方、競技会のカテゴリーによって言語の扱いは異なっています。
スタート合図の歴史を年代順に整理
明治時代
「ひい、ふう、みい」と数えたり、傘を振り下ろしたりするスタート方法があったと、野﨑忠信氏がTBSの取材で証言しています。
1925年
日本陸上競技連盟が創立。当初の名称は全日本陸上競技連盟でした。
1928年
国際ルール改正を背景に、日本語のスタート合図を選定。「位置について」「用意」が採用されました。
1929年
国内の陸上競技規則にも、二段階の号令と約2秒後の拳銃によるスタートが記載されました。
1964年
東京オリンピックでも日本語の号令を使用。海外選手に向けた事前のスタート練習が行われました。
2006年
国際大会のスタート合図に関する英語の標準化が進みました。
2026年
国内競技では日本語の号令が使われ、世界陸連の規則では大会カテゴリーに応じて使用言語が定められています。
日本陸連の公式沿革によれば、1925年に全日本陸上競技連盟として創立され、1945年までその名称が使われました。1928年の日本語号令の制定は、国内競技団体の歴史とも重なる出来事です。
【英語表現】「よーいスタート」は英語で何と言う?
「よーいスタート」を英語にするときは、映画撮影なのか、運動会なのかによって表現を変える必要があります。
日本語の「よーいスタート」を、そのまま「Ready, Start!」と訳せば意味は伝わる場合があります。しかし、実際の映画撮影現場や陸上競技で使われる表現は異なります。
映画・ドラマ撮影なら「Action!」
撮影開始の合図Action!
アクション!
準備状況を確認する場合
Ready?
準備はいいですか?
撮影部門への指示
Roll camera!
カメラを回してください。
映画撮影で日本語の「よーい、スタート!」に最も近い機能を持つ掛け声は「Action!」です。出演者に演技を始めるよう伝える、監督の最終的な開始合図として使われます。
ただし、英語圏の撮影現場では、録音やカメラの準備確認を先に行うため、すべてを「Action!」だけで済ませるわけではありません。
運動会や陸上競技なら「On your marks」「Set」| 日本語 | 英語 | 意味 |
|---|---|---|
| 位置について | On your marks | スタート位置につく |
| 用意 | Set | 最終的なスタート姿勢を整える |
| 号砲 | Starting gun / Gun | スタートを知らせる銃声 |
| よーい、ドン! | Ready, set, go! | 日常的な競走の掛け声 |
「Ready, set, go!」は英語圏の日常的な競走やゲームでも使われる表現です。ただし、公式の陸上競技では、競技規則に従った号令の後にスターターの号砲でレースが始まります。
英語表現を覚える際は、映画撮影なら「Action!」、競走なら「On your marks」「Set」と区別すると、場面に合った自然な使い方ができます。
【よくある質問】「よーいスタート」に関するFAQ
Q1:「よーいスタート」と「よーいドン」は同じ意味ですか?
A1:どちらも準備の後に開始することを知らせる表現ですが、使用場面が違います。「よーいスタート」は映画やドラマなどの撮影現場で使われ、「よーいドン」は運動会や徒競走などで競走を始めるときに使われます。
Q2:「位置について、用意、ドン」は1928年に決まったのですか?
A2:1928年に採用された正式な号令は「位置について」「用意」の二つです。1929年版の競技規則にも、その後に拳銃を発射する手順が記録されています。「ドン」は号砲の音を表現する言葉として区別するのが適切です。
Q3:映画撮影でカチンコを鳴らすのは誰ですか?
A3:日本の一般的な撮影現場では助監督が担当し、規模の大きい現場ではサード助監督やフォース助監督が担います。主な役割は、映像と音声を編集時に同期させることです。
Q4:「よーいスタート」は英語で何と言いますか?
A4:映画やドラマの撮影なら「Action!」が代表的な開始合図です。運動会などの競走なら「Ready, set, go!」が日常的な表現として使われます。正式な陸上競技では「On your marks」「Set」と号砲が基本です。
「よーいスタート」は、撮影現場で準備を整えた出演者やスタッフに、演技や撮影の開始を知らせる言葉です。映画やドラマでは監督や演出スタッフが発し、カチンコや各部門の準備確認と連動して本番が始まります。
一方、運動会の「よーいドン」は競走の開始を知らせる表現です。陸上競技の正式な号令の歴史をたどると、1928年の国際ルール改正と、日本語のスタート合図を公募した全日本陸上競技連盟の取り組みに行き着きます。
今回の歴史資料から読み取れる要点は、「位置について」「用意」と、号砲の「ドン」は同じものではないということです。1928年の規則と1929年の国内規則を確認すると、二つの号令の後に拳銃を発射する仕組みが明確に記録されています。
言葉の違いを正確に理解するには、次の3点を押さえると整理しやすくなります。
- 撮影現場: 「よーいスタート」は演技と撮影の開始合図。
- 運動会: 「よーいドン」は準備と号砲をまとめた日常的な掛け声。
- 陸上競技: 1928年に日本語の号令が整備され、現在も距離や大会規則に応じたスタート手順が存在する。
何気なく耳にする「よーいスタート」という言葉には、日本の映像制作の現場文化と、約100年前のスポーツ競技の国際化という、異なる歴史が重なっています。その背景を知れば、映画の撮影シーンや運動会のスタートラインを見る目も少し変わるはずです。
主な参考資料:国立国会図書館レファレンス協同データベース、1928年版『国際陸上競技規則』、1929年版『陸上競技規則』、日本陸上競技連盟公式サイト、World Athletics 2026年版競技規則、TBS NEWS DIG(2023年8月26日)、映画.com(2026年3月3日)、東京映画映像学校(2020年6月19日)、笹川スポーツ財団。