2026年10月22日に開催されたプロ野球ドラフト会議で、巨人は支配下6人、育成5人の合計11人を指名した。今回の最大の注目点は、米国球界への挑戦を表明していた横浜高校の織田翔希を1位で単独指名したことだ。
2026年の支配下指名選手6名NPB公式の2026年ドラフト選択選手一覧によると、巨人の支配下指名は次の6人となった。
- 1位:織田翔希(投手・横浜高校)
- 2位:平田玲翔(投手・大分商業高校)
- 3位:池田聖摩(内野手・横浜高校)
- 4位:杉本真滉(投手・智辯学園高校)
- 5位:伊藤櫂人(内野手・中央大学)
- 6位:松平快聖(投手・神奈川大学)
特徴的なのは、高校生を中心に指名したことだ。1~4位まで高校生が続き、5位で大学生の伊藤櫂人、6位で大学生の松平快聖を指名した。将来性のある投手と内野手をまとめて確保する構成となった。
2026年の育成指名選手5名- 育成1位:谷渕瑛仁(捕手・大阪桐蔭高校)
- 育成2位:柳井球汰(内野手・宇部工業高校)
- 育成3位:嶋武仁(外野手・北越高校)
- 育成4位:松田陸斗(内野手・マツゲン箕島)
- 育成5位:関蓮太郎(捕手・川崎市立向丘中学校)
今回の育成指名で大きな話題となったのが、5位の関蓮太郎だ。中学3年生の捕手であり、ドラフト制度が始まった1965年以降、日本の中学校に在籍する中学3年生がドラフト指名を受けるのは初めてのケースとなった。
NPBは中学校卒業見込みの選手も指名対象になると説明している。ただし、野球協約上、義務教育を修了するまでは選手契約の承認を受けられず、キャンプや試合にも出場できない。育成選手の獲得方法に新しい可能性を示した指名だ。
織田翔希は巨人に入団するのか?
織田翔希
横浜高校・右投手・最速157キロ
2026年ドラフト1位。米国球界への挑戦を表明している高校生右腕。
織田は2026年10月15日、横浜高校で会見を開き、NPBを経由せず米国球界に挑戦する意向を表明した。その後、巨人が22日のドラフト会議で単独1位指名。球団は交渉権を獲得したものの、指名しただけで入団が決まったわけではない。
2026年11月4日にはMLB球団との面談が始まり、米国側との進路交渉が具体化している。報道によると、最大12球団との面談が予定され、初日にはレンジャーズの関係者が横浜高校を訪れた。巨人との入団交渉については、同日時点で日程が決まっていない。
この指名は、1985年の桑田真澄以来とも報じられる、進路希望を表明した選手への強行指名として注目された。桑田は当初の早稲田大学進学方針を変更して巨人に入団したが、織田が同じ道を選ぶかどうかは別問題だ。
巨人にとっては交渉権を獲得した段階であり、織田本人にとっては米国と日本のどちらでプロとしてのキャリアを始めるかを判断する段階にある。ドラフト1位という評価と、選手自身が希望する進路が一致するとは限らないことを示す事例となった。
竹丸和幸・石塚裕惺は2026年にどう成長した?
竹丸和幸(2025年1位)
鷺宮製作所出身・左投手
2026年は22試合に登板し、11勝9敗、防御率3.27、142奪三振を記録した。
石塚裕惺(2024年1位)
花咲徳栄高校出身・内野手
2026年は49試合に出場。通算58試合、26安打、打率.208を記録している。
竹丸は2026年のルーキーイヤーから先発投手として22試合に登板し、11勝を挙げた。142奪三振という数字も残しており、即戦力左腕としての期待に応えるシーズンとなった。
一方、石塚は2025年に一軍デビューし、2026年も出場機会を重ねている。現時点で打撃成績だけを見れば発展途上だが、まだ若く、長期的な育成と一軍定着が評価のポイントになる。
両選手の成績は2026年シーズン終了時点のNPB公式個人成績に基づく。
歴代ドラフト1位選手の現在の所属ドラフトで指名された選手が、全員巨人で現役を続けるわけではない。移籍、引退、他業界への転身など、キャリアはそれぞれ異なる。
日刊スポーツが2026年のドラフト直前に整理した過去10年間の1位指名選手の所属状況は、次の通りだ。
- 2016年・吉川尚輝:巨人
- 2017年・鍬原拓也:ソフトバンク広報
- 2018年・高橋優貴:社会人野球・ミキハウス
- 2019年・堀田賢慎:巨人
- 2020年・平内龍太:巨人
- 2021年・翁田大勢:巨人
- 2022年・浅野翔吾:巨人
- 2023年・西舘勇陽:巨人
- 2024年・石塚裕惺:巨人
- 2025年・竹丸和幸:巨人
2026年の織田翔希は、巨人が交渉権を獲得したものの、米国挑戦を希望しているため、入団済みの選手とは区別して扱う必要がある。
【データ検証】巨人ドラフトの指名順位別成功率と特徴

巨人のドラフトを客観的に評価するには、スター選手の名前だけではなく、指名順位ごとの長期的な成績も確認したい。
1位と2位以下では成功率に差がある?1965~2015年の巨人のドラフト入団選手について、野手は一軍1,000試合、投手は一軍300登板に到達したかを基準に集計した資料がある。ここでは、この基準を長期的な主力定着の目安として扱う。
その集計結果は以下の通りだ。
- 1位:40.0%(55人中22人)
- 2位:18.6%(43人中8人)
- 3位:19.1%(47人中9人)
- 4位:4.0%(50人中2人)
- 5位:9.8%(41人中4人)
- 6位以下:5.6%(71人中4人)
- 育成:2.0%(51人中1人)
この数字は、単に一軍に一度でも出場した割合ではない。長期間にわたって一軍でプレーした選手の割合を測るための指標だ。したがって、短期間でもチームに貢献した選手や、故障で出場期間が限られた選手の価値まで否定するものではない。
注目すべきは、2位と3位の実績が近いことだ。1位の成功率は高いものの、上位指名だけでチームの戦力が完成するわけではない。3位から中畑清や吉村禎章、4位から川相昌弘や鈴木尚広、5位から村田真一や松本匡史といった選手が生まれている。
一方、育成はこの長期定着基準では2.0%。山口鉄也や松本哲也のような成功例はあるものの、育成指名の選手を一軍の主力に育てることがいかに難しいかも分かる。
巨人のドラフトで成功しやすい年度に共通するもの歴代の指名結果からは、いくつかの特徴を読み取れる。
1つ目は、上位指名で中心選手を獲得できた年度が強いこと。1980年の原辰徳、1992年の松井秀喜、1997年の高橋由伸、2000年の阿部慎之助、2006年の坂本勇人など、長期間にわたりチームを支えた選手がいる。
2つ目は、抽選に敗れた後の再指名が重要であること。坂本勇人は堂上直倫の外れ1位であり、大勢も隅田知一郎の抽選に敗れた後の指名だった。最初の候補だけでなく、次の候補をどう評価するかが球団の編成力を左右する。
3つ目は、育成と下位指名の役割が異なること。即戦力を期待される上位指名と、数年かけて能力を伸ばす育成指名では、評価する時間軸が違う。山口鉄也のような選手を生み出すには、指名後の指導環境や二軍・三軍での出場機会も重要になる。
巨人のドラフトを評価するときの判断基準ドラフト直後の評価と、数年後の評価は分けて考えたい。
- 短期評価: 1年目から一軍で活躍できるか、即戦力としてチームの弱点を補えるか。
- 中期評価: 2~3年で支配下登録や一軍定着に近づいているか。
- 長期評価: 5年以上にわたり主力として活躍できるか。
- 育成評価: 支配下登録だけでなく、一軍でどのような役割を果たせるか。
- 編成評価: 同じポジションに偏らず、将来の世代交代を見据えた指名ができているか。
特に高校生の指名では、入団直後の成績だけで判断するのは早い。反対に、大学生や社会人の即戦力指名は、期待される役割に対してどの程度早く結果を残したかが評価材料になる。
【巨人ドラフト歴代】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:巨人の歴代ドラフト1位で最も成功した選手は誰ですか?
A1:評価基準によって異なる。NPB通算安打数では坂本勇人が2,474安打、阿部慎之助は2,132安打。阿部は406本塁打を記録しており、打点や本塁打では特に優れた実績を残した。MLBでの実績まで含めれば松井秀喜も歴代屈指の成功例だ。
Q2:巨人のドラフトで最も有名な当たり年はいつですか?
A2:1980年、1992年、1997~2000年、2006年などが代表的だ。原辰徳、松井秀喜、高橋由伸、上原浩治、阿部慎之助、坂本勇人といった球団を代表する選手を獲得している。
Q3:巨人の2026年ドラフト1位・織田翔希は入団が決まっていますか?
A3:2026年11月4日時点では入団は決まっていない。巨人は交渉権を獲得したが、織田は米国球界への挑戦を希望しており、MLB球団との面談を開始している。
Q4:巨人の育成ドラフトから成功した選手は誰ですか?
A4:代表例は山口鉄也、松本哲也、増田大輝だ。育成契約から支配下登録を勝ち取り、一軍で投手、外野手、内野手としてそれぞれ異なる役割を果たした。
Q5:巨人のドラフト1位は何人くらいいますか?
A5:1965~2026年の集計では67人。1966年は2回開催されたため2人の1位指名選手がいるほか、2001年以降の自由枠・希望枠や分離ドラフト時代の1巡目も含まれる。
読売ジャイアンツのドラフト史を1965年から2026年まで振り返ると、堀内恒夫から原辰徳、松井秀喜、高橋由伸、阿部慎之助、坂本勇人へと、球団を代表する選手が世代ごとに誕生してきたことが分かる。
一方、歴代の指名結果には、抽選に敗れた選手、期待された成績を残せなかった選手、他球団へ移籍した選手もいる。ドラフトは指名した瞬間に成功が決まる制度ではなく、入団後の育成、起用、環境整備まで含めて評価すべきものだ。
2026年は織田翔希の米国挑戦という異例の状況に加え、竹丸和幸の11勝、石塚裕惺の一軍経験、育成5人の指名など、将来を左右する話題が重なった。
今後の巨人の編成を見るうえで注目したいのは、次の3点だ。
- 織田翔希の進路:巨人との交渉が成立するのか、それとも米国球界を選ぶのか。
- 2026年指名選手の成長:高校生中心の支配下指名と育成5人が、数年後にどれだけ一軍戦力になるか。
- 育成からの新たな主力誕生:山口鉄也や松本哲也に続く選手を輩出できるか。
プロの視点で最も重視したいのは、ドラフト直後の話題性よりも、5年後、10年後にチームの中心を担う選手が何人育ったかという点だ。巨人の歴代ドラフトを本当に評価するなら、1位指名の華やかさだけでなく、下位指名や育成選手まで含めた戦力化の実績を見る必要がある。
2026年の織田翔希をめぐる動向も含め、巨人のドラフト戦略は次の世代のチームづくりを占う重要な材料になっている。