ホーム スポーツ 全仏OPでボールガールが泣いた理由は?加藤未唯の返球事故と失格騒動の真相を徹底解説

全仏OPでボールガールが泣いた理由は?加藤未唯の返球事故と失格騒動の真相を徹底解説

桜庭 準 桜庭 準 • 更新: • 公開: • 読了約 21 分
目次

「テニスボールガール泣きすぎ」というキーワードで検索されているのは、2023年6月4日にフランス・パリのローラン・ギャロスで開催された全仏オープンで起きた、女子ダブルスの失格騒動です。日本の加藤未唯がポイント間に相手コートへ返そうとしたボールがボールガールに直撃し、少女が泣き続ける事態となりました。

対戦相手のマリー・ブズコバとサラ・ソリベス・トルモは、ボールガールが約15分間泣いていたと説明。当初は警告だった加藤未唯とアーディラ・スーチャディのペアに、最終的に失格処分が下されました。なぜ少女は泣いていたのか、加藤に故意はあったのか、そして約15分間の出来事がどのように重大な裁定へつながったのか。2026年時点のルールと、その後の展開まで整理します。

【事件の発端】テニスボールガールが泣いた理由は?加藤未唯の返球事故を解説

テニスボールガール泣きすぎ

騒動が発生したのは、2023年6月4日の全仏オープン女子ダブルス3回戦です。舞台となったのは、パリのローラン・ギャロスにあるコート14でした。

ポイント間の返球がボールガールに直撃

加藤未唯とインドネシアのアーディラ・スーチャディは、チェコのマリー・ブズコバとスペインのサラ・ソリベス・トルモと対戦していました。

第1セットはブズコバ、ソリベス・トルモ組がタイブレークを制して7-6(7-1)で先取。第2セットでは加藤・スーチャディ組が3-1とリードしていました。

問題が起きたのはポイントとポイントの間です。加藤は次のサーブに向け、相手側へボールを返そうとラケットを振りました。しかし、打球は想定した方向に収まらず、コート奥にいたボールガールに直撃しました。

この返球は、相手を威嚇したり、怒りをぶつけたりするためのショットではありませんでした。加藤自身も後日、相手側のボールキッズにボールを渡そうとしていたと説明しています。

ただし、故意ではなかったことと、実際に人へボールが当たったことは別の問題です。ボールガールは予期しない打球を受け、コート上で目に見えて動揺し、泣き出しました。

なぜ約15分間も泣いていたのか

報道によると、ボールは少女の頭部付近に当たりました。日本の報道では後頭部、海外の報道では首や肩付近など、接触した部位の表現には違いがあります。

少女は突然の衝撃を受けた後、泣き続けていたとされています。試合後、ブズコバは少女が約15分間泣いていたと説明しました。

ここで重要なのは、泣いていた理由を単純に「痛かったから」と断定できないことです。頭部付近への突然の接触による痛みや驚き、恐怖、緊張など、複数の要因が考えられます。しかし、少女本人による詳しい証言や医学的な診断内容は、当時の主要報道では公表されていません。

また、約15分間という数字はブズコバが試合後に説明したものです。大会側が公式に発表した泣いていた時間ではありません。

したがって、「泣きすぎだった」という評価だけで事件を判断するのは適切ではありません。ボールが人に直撃したこと、少女が強く動揺していたこと、そして審判団がその状況を確認したことが、失格騒動の出発点でした。

【約15分間の経緯】加藤未唯ペアはなぜ突然失格になったのか

この騒動が大きな議論になった理由は、最初の審判判断と最終的な処分が異なっていたことです。

最初の判断は警告だった

打球が当たった直後、主審のアレクサンドル・ジュゲは加藤に対して警告を出しました。

当初、ジュゲは加藤に故意がなかったことや、ボールガールが負傷していないことを説明していました。しかし、ネットの反対側にいたブズコバとソリベス・トルモは、この判断に異議を唱えます。

2人は少女が泣いていることや、出血している可能性を指摘しました。これを受け、主審は少女の状態を改めて確認することになりました。

大会スーパーバイザーと大会審判が協議

その後、現場にはグランドスラム・スーパーバイザーのウェイン・マッキューエンと大会審判のレミー・アゼマールが加わりました。

関係者による確認と協議が行われ、最終的に加藤とスーチャディのペアは失格と判断されました。これにより、試合は相手側のブズコバ、ソリベス・トルモ組の勝利となりました。

加藤はボールガールに直接謝罪していましたが、失格の決定を受けて涙を流しながらコートを去りました。パートナーのスーチャディも加藤を慰める姿を見せています。

観客席からは失格処分に対するブーイングが起こり、加藤とスーチャディがコートを離れる際には拍手も送られました。

事件の時系列を整理
時期・段階 出来事 確認できる内容
2023年6月4日 ボール直撃事故 加藤のポイント間の返球がボールガールに当たる。
直後 最初の審判判断 主審アレクサンドル・ジュゲが加藤に警告。
その後 対戦相手が異議 ブズコバとソリベス・トルモが少女の涙や出血の可能性を指摘。
審判団の協議 再確認と判断変更 大会審判レミー・アゼマールらが状況を確認。
同日 ペアの失格 加藤・スーチャディ組の失格が決定。
6月5日 加藤が謝罪 ボールガール、パートナー、応援する人々に謝罪を公表。
6月8日 混合ダブルス優勝 加藤がティム・プッツと組んでグランドスラム初優勝。
6月15日 異議申し立ての結果 賞金とランキングポイントの回復を求めた訴えが認められなかった。

この経緯で見逃せないのは、対戦相手が抗議したことと、最終的に失格を決定したことは別だという点です。対戦相手は審判に状況の再確認を求めることができますが、失格を決める権限は大会の審判側にあります。

【関係者を整理】加藤未唯・スーチャディ・ブズコバ・ソリベスの関係

今回の騒動を正しく理解するには、4人の選手と大会関係者の立場を区別する必要があります。

人物 国・所属 事件との関係
加藤未唯 日本 返球した本人。ボールガールに謝罪し、失格処分を受けた。
アーディラ・スーチャディ インドネシア 加藤の女子ダブルスパートナー。ペアとして失格となった。
マリー・ブズコバ チェコ 対戦相手。ボールガールの状態を指摘し、再確認を求めた。
サラ・ソリベス・トルモ スペイン 対戦相手。少女が泣いていることを主審に伝えた。
アレクサンドル・ジュゲ 主審 最初に警告を出し、その後の協議にも関わった。
レミー・アゼマール 大会審判 現場の状況を確認し、失格判断に関わった。
ウェイン・マッキューエン グランドスラム・スーパーバイザー 大会の規則と処分に関する協議に参加した。

特に混同されやすいのが、加藤とスーチャディの処分です。実際にボールを打ったのは加藤ですが、女子ダブルスではペアとして失格となりました。一方、個人に科される金銭的な処分については、加藤とスーチャディで異なる扱いになりました。

また、ブズコバとソリベス・トルモについても、抗議したことだけを理由に失格を決めた人物のように扱うのは正確ではありません。2人は少女の状態を審判に伝え、最終判断は大会側が行っています。

【テニスの失格ルール】故意でなくても失格になるのはなぜ?

今回の騒動で最も大きな疑問となったのが、「わざとではないのに、なぜ失格なのか」という点です。

その背景には、グランドスラムの行動規範に定められたボールの不適切な扱いに関する規則があります。

ボールを危険に打つ行為は処分の対象

2026年版の公式グランドスラム・ルールブックでは、第3条の選手のコート内外での違反行為に「Abuse of Balls(ボールの不適切な扱い)」が定められています。

この規定では、試合会場内で、正当なプレーを除き、暴力的、危険、または怒りに任せてボールを打つ、蹴る、投げる行為を禁止しています。

加えて、ボールの不適切な扱いには、次のような行為が含まれます。

  • 意図的にコート外へボールを打ち出す行為。
  • コート内で危険または無謀にボールを打つ行為。
  • 結果に対する注意を著しく欠いた状態でボールを打つ行為。

重要なのは、故意であることだけが処分の判断基準ではないという点です。意図的に人へ当てようとした場合だけでなく、危険性を顧みない打球も規則上の問題となり得ます。

失格は必ずしも3回目の違反で決まるわけではない

テニスの一般的なペナルティ制度では、違反に対して警告、ポイントペナルティ、ゲームペナルティと段階的に処分が重くなる仕組みがあります。

しかし、グランドスラムの規則では、重大な違反については1回の違反でも失格が可能です。

2026年版ルールブック第3条T項では、大会審判がグランドスラム・スーパーバイザーと協議したうえで、単独の違反を理由に失格を宣告できると定めています。

つまり、今回のような事故では、警告を何度も受けていたかどうかだけで処分が決まるわけではありません。

ダブルスではなぜパートナーまで失格になるのか

ダブルスの規定では、警告やポイントペナルティ、ゲームペナルティ、失格などの処分はチームに対して適用されます。

そのため、違反行為をしたのが加藤だけであっても、スーチャディとのペア全体が試合から除外されました。

一方、罰金については違反した個人に科される仕組みです。この違いが、今回の賞金やランキングポイントの扱いにも関係しています。

なお、2026年版の規則は現在の制度を理解するための資料です。2023年当時の個別の判断については、当時の報道と大会側の処分結果を分けて見る必要があります。

【ボールガールへの対応と選手の反応】加藤の謝罪と対戦相手の説明

騒動が注目を集めたのは、失格という結果だけではありません。事故直後の対応や、対戦相手の抗議の仕方についても議論が広がりました。

加藤未唯は事故直後に謝罪

加藤はボールガールに直接謝罪し、その後、自身のSNSでも謝罪文を公表しました。

「まったく故意ではありませんでした」

これは加藤が公表した英語の謝罪文の趣旨を日本語にしたものです。加藤はボールガールだけでなく、パートナーのスーチャディや応援していた人々にも謝罪しました。

また、女子ダブルスの失格後も混合ダブルスの試合が残っていたため、気持ちを切り替えて競技に臨む意思を示していました。

ブズコバとソリベス・トルモはなぜ抗議したのか

対戦相手の2人は、ボールガールが泣いていたことや、出血している可能性を主審に伝えました。

試合後、ブズコバは少女が約15分間泣いていたことを説明し、最初の警告では主審が少女の状態を十分に把握していなかった可能性があると話しました。

一方、ソリベス・トルモは翌日の取材で、批判に対して自分たちの立場を説明しています。

英ガーディアンの報道によると、ソリベス・トルモは、少女が泣いていたため何か起きたのではないかと心配し、主審が見ていなかった打球の状況も伝えたと説明しました。最終的な判断はスーパーバイザーが行ったという立場です。

この説明からも、2人の抗議の動機を単純に勝利目的だったと断定することはできません。実際に少女の状態を心配していた可能性と、試合結果に影響する判断を求めたことの両面から考える必要があります。

「失格は厳しすぎる」という声も広がった

一方、元選手やテニス関係者からは、加藤の行為が故意ではなかったことを重視し、失格処分は重すぎるという意見も出ました。

元スペイン代表選手でテニス解説者のアレックス・コレチャは、今回の処分について厳しすぎるとの見解を示しました。打球が故意ではなく、強いショットでもなかったという点を問題にしています。

また、元女子ダブルス選手やテニスファンの間では、ブズコバとソリベス・トルモが警告から失格へ判断を変えるよう求めたことについても批判が集まりました。

ただし、審判に状況を伝えること自体は競技上認められた行為です。問題の中心は、抗議の有無そのものよりも、その後の審判団の判断が適切だったのかという点にありました。

【騒動のその後】加藤未唯の失格処分・賞金没収と混合ダブルス優勝

2023年6月4日の失格処分は、加藤の女子ダブルスでの大会成績だけでなく、賞金やランキングポイントにも影響しました。

加藤が失った賞金は2万1500ユーロ

AP通信の報道によると、加藤は女子ダブルスで獲得する予定だった賞金2万1500ユーロとランキングポイントを失いました。

一方、パートナーのスーチャディは女子ダブルスで3回戦に進出した段階の賞金とポイントを受け取ることができました。

つまり、ペアとして試合から失格になったことと、個人の賞金・ポイントに関する処分は同じではありませんでした。

異議申し立ては認められなかった

加藤は失格の判断を不服として、大会側に異議を申し立てました。問題となったのは、失格という処分だけでなく、女子ダブルスで獲得するはずだった賞金とランキングポイントの扱いです。

しかし、2023年6月15日、加藤は自身のSNSで、賞金とポイントの回復を求めた訴えが認められなかったと報告しました。

翌16日にはテレビ朝日などもこの結果を報道。加藤は罰金も科されたことを明らかにし、前を向いて進む意向を示しました。

失格から4日後、混合ダブルスで優勝

今回の騒動の後に訪れた大きな転機が、混合ダブルスでの優勝です。

加藤はドイツのティム・プッツと組み、2023年6月8日の混合ダブルス決勝に進出。カナダのビアンカ・アンドレースクとニュージーランドのマイケル・ビーナスのペアを4-6、6-4、10-6で破りました。

これは加藤にとってグランドスラム初タイトルでした。

WTA公式サイトも、この優勝を大きく取り上げています。失格騒動で精神的に厳しい状況に置かれた加藤でしたが、最後まで大会に残り、別種目で結果を残しました。

この事実は、女子ダブルスの失格処分と、全仏オープン大会全体への出場資格が同じではなかったことも示しています。加藤は女子ダブルスでは失格となったものの、混合ダブルスへの出場は認められていました。

【プロの結論】ボールガールの涙と失格騒動から学ぶべき3つのポイント

今回の事件は、単にボールガールが泣いたことや、加藤が失格になったことだけで説明できるものではありません。テニスにおける安全管理、選手の責任、審判の裁量という3つの問題が重なった出来事でした。

1. 故意ではないことと責任がないことは違う

加藤の返球に故意がなかったという点は、本人の説明や当時の報道から確認できます。しかし、スポーツの現場では、故意ではなかったとしても、危険な結果を招いた行為について責任が問われる場合があります。

特にボールキッズや審判、観客など、プレーに参加していない人がコート周辺にいる環境では、選手には通常以上の注意が大切です。

2. ボールガールの涙だけで失格が決まったわけではない

ネット上では「15分泣いたから失格になった」という説明が広がりました。しかし、公式規則に15分間泣いたら失格になるという条文はありません。

判断の背景には、打球が人に当たったこと、少女が強く動揺していたこと、対戦相手からの指摘、そして大会審判による規則上の判断がありました。

したがって、少女が泣いていた時間だけを失格の直接的な理由として扱うのは正確ではありません。

3. 審判の裁量と処分の公平性は別に検証する必要がある

大会の安全を守るためには、選手の意図だけでなく、実際に発生した危険性も考慮する必要があります。一方で、偶発的な事故に対してどの程度の処分が妥当なのかという議論も残ります。

今回のように、最初の警告から失格へ判断が変更されたケースでは、どの事実を重視したのか、誰が最終判断を行ったのか、処分の根拠がどこにあるのかを明確にが必要です。

事故を防ぐための安全基準と、選手に科す処分の比例性。この2つを両立させることが、グランドスラムの審判制度に求められる課題です。

【よくある質問】テニスボールガールの涙と加藤未唯の失格騒動

Q1:テニスのボールガールはなぜ泣いていたのですか?
A1:加藤未唯がポイント間に打った返球が頭部付近に直撃し、突然の衝撃で動揺したためと報じられています。痛みや恐怖などが考えられますが、本人による詳しい説明は公表されていません。

Q2:ボールガールが15分間泣いていたというのは本当ですか?
A2:対戦相手のマリー・ブズコバが試合後に約15分間泣いていたと説明しています。ただし、大会側が公式に計測した時間として発表したものではありません。

Q3:加藤未唯はわざとボールガールにボールを当てたのですか?
A3:故意に当てようとしたという事実は確認されていません。加藤は相手側のボールキッズへボールを渡そうとしていたと説明し、事故直後にも謝罪しています。

Q4:なぜ加藤未唯だけでなくスーチャディも失格になったのですか?
A4:テニスのダブルスでは、規則違反に対する警告や失格などの処分がチーム単位で適用されるためです。ただし、賞金やポイントの扱いについては2人で異なりました。

Q5:ボールガールに抗議した選手は誰ですか?
A5:チェコのマリー・ブズコバとスペインのサラ・ソリベス・トルモです。2人は少女が泣いていることや出血の可能性を指摘し、主審に状況の再確認を求めました。

Q6:加藤未唯は失格後、全仏オープンに出場できなかったのですか?
A6:女子ダブルスでは失格となりましたが、混合ダブルスには出場できました。ティム・プッツと組んで決勝に進み、2023年6月8日に優勝しています。

Q7:加藤未唯の失格処分は取り消されたのですか?
A7:取り消されていません。2023年6月15日、加藤は賞金とランキングポイントの回復を求めた異議申し立てが認められなかったと公表しました。

「テニスボールガール泣きすぎ」と話題になった事件は、2023年6月4日の全仏オープン女子ダブルス3回戦で発生した、加藤未唯の返球事故が発端でした。

加藤がポイント間に打ったボールがボールガールに直撃し、少女は強く動揺して泣き続けました。ブズコバが約15分間泣いていたと説明したことも、事件への関心を高めた要因です。

当初は警告だったものの、対戦相手の指摘を受けて審判団が状況を再確認し、加藤とスーチャディのペアは失格となりました。その後、加藤の賞金とポイントの回復を求める訴えも認められませんでした。

一方、加藤は混合ダブルスでティム・プッツと組み、グランドスラム初優勝を達成しています。

2026年現在、この騒動を振り返る際に大切なのは、ボールガールの涙を軽視しないこと、加藤に故意があったと決めつけないこと、そして審判の判断と規則の適用を分けて考えることです。

少女の安全を守ることと、選手に対して公平で納得できる処分を行うこと。その両方が、国際大会の信頼性を支える基本です。今回の騒動は、テニスにおける安全管理と審判の裁量について、今も考えるべき論点を残した出来事でした。

主な検証資料

- BBC Sport:2023年6月4日の失格騒動、約15分間の涙、グランドスラム規則の報道。
- AP通信:賞金2万1500ユーロの没収と混合ダブルスへの出場。
- ITF・Grand Slam Tennis:2026年版公式グランドスラム・ルールブック。
- 日刊スポーツ・テレビ朝日:2023年6月15日の異議申し立て結果。
- The Guardian:ソリベス・トルモの反論と説明。
- WTA公式サイト:加藤未唯・ティム・プッツ組の混合ダブルス優勝。

同じカテゴリの記事

桜庭 準

全記事の校閲を担当。人名・日付・数字の整合性を確認し、断定できない内容は表現を弱めて掲載します。

おすすめの関連記事