松本清張の短編小説『共犯者』は、銀行強盗で成功の足掛かりをつかんだ男が、かつての共犯者に過去を暴かれる恐怖から疑心暗鬼に陥り、やがて自滅していく犯罪心理サスペンスだ。1956年に発表された本作は、犯罪そのものよりも、犯罪を隠し続ける人間の心理と、成功の裏側に潜む不安を鋭く描いている。
原作の主人公は内堀彦介、かつての共犯者は町田武治。1958年には大映で映画化され、その後もテレビドラマとして繰り返し映像化された。2006年には賀来千香子、2015年には観月ありさが主演し、主人公の性別や犯罪の設定を大胆に変更した作品も制作されている。さらに2026年10月にはテレビ放送による再放送も確認され、現在も映像作品として視聴機会が続いている。
【作品の基本情報】松本清張『共犯者』の初出1956年と新潮文庫の収録内容

『共犯者』は、松本清張が1956年に発表した短編推理小説である。
初出は『週刊読売』1956年11月18日号。その後、1957年2月刊行の『森鷗外・松本清張集』にも収録された。
作品の中心にあるのは、銀行強盗によって得た金を事業資金に転用し、社会的な成功を収めた男の心理だ。犯罪によって得た富が、時間の経過とともに幸福ではなく恐怖の源へと変わっていく。
松本清張の作品には、犯罪の手口だけでなく、社会的地位や金銭欲、嫉妬、劣等感など、人間の内面に潜む動機を描くものが多い。『共犯者』も、その特徴が凝縮された短編の一つである。
新潮文庫版には全10編を収録現在、作品を読む際の代表的な選択肢となるのが新潮文庫版『共犯者』だ。1980年5月27日に刊行され、電子書籍版も配信されている。
表題作だけを収録した作品集ではなく、松本清張の異なる犯罪心理や人間関係を描いた短編をまとめた一冊となっている。
収録作品は次の10編だ。
- 共犯者
- 恐喝者
- 愛と空白の共謀
- 発作
- 青春の彷徨
- 点
- 潜在光景
- 剥製
- 典雅な姉弟
- 距離の女囚
特に表題作『共犯者』は、成功者になった男が自らの過去に追い詰められる構成が特徴的だ。短編でありながら、犯罪の発覚を恐れる心理が段階的に強まっていくため、最後まで緊張感が途切れない。
新潮社の公式書誌情報でも、内堀彦介が事業に成功した後、5年前に別れた共犯者の監視を始める物語として紹介されている。
【ネタバレあり】松本清張『共犯者』のあらすじと結末を詳しく解説
ここからは原作小説のネタバレを含む。物語の始まりから結末まで、内堀彦介の心理がどのように変化していくのかを整理する。
1.貧しい販売員だった内堀彦介と町田武治の出会い主人公の内堀彦介は、かつて食器具を扱う販売員として全国を回っていた男だ。長年、裕福とはいえない生活を続けていた彼は、同じように各地を回っていた漆器の外交員・町田武治と知り合う。
二人は境遇への不満や金銭的な欲求を共有し、やがて銀行強盗を計画する。
計画を実行した二人は銀行から金を奪い、その分け前を折半。犯行後は、今後一切連絡を取らず、互いに知らない人間として生きていくことを約束して別れた。
内堀にとって、この犯罪は人生を変える転機となった。長年の貧困から抜け出すために手を染めた犯罪が、その後の成功を支える資金になったのである。
2.銀行強盗の金で成功者になった内堀町田と別れた内堀は故郷の福岡へ戻り、家具を扱う商売を始める。
事業は順調に成長し、やがて彼は家具デパートを経営する社長へと上り詰める。資産だけでなく、社会的な信用や人脈も手に入れ、周囲から成功者として認められる存在になった。
かつての貧しい販売員だった頃とは、生活も立場も大きく変わっていた。
しかし、内堀には一つだけ消せない過去がある。現在の財産の出発点が銀行強盗だったという事実だ。
もし町田が現れて犯罪を告発すれば、築き上げた財産も名誉も失う可能性がある。内堀は、まだ何も起きていない段階から、町田の存在を恐れるようになっていく。
3.町田の消息を調べるために調査員を雇う内堀は町田の動向を探るため、業界紙を装った「商工特報」という組織を利用し、通信記者の竹岡良一を雇う。
表向きの依頼は、取引先候補となる事業者の調査。しかし、本当の目的は町田武治の生活状況を継続的に把握することだった。
竹岡は町田の営業状況や生活の変化を調べ、定期的に内堀へ報告する。
最初の報告では町田は順調に商売を続けていた。しかし、その後は営業不振や借金、事業の失敗など、次第に悪い情報が届くようになる。
町田は高崎での商売を失い、千葉、大阪、神戸、岡山、尾道などを移動しながら、仕事を転々とするようになっていた。
普通に考えれば、かつての共犯者が落ちぶれていくことは、内堀にとって安心材料のはずだった。
ところが、内堀の受け止め方は違った。
町田が各地を移動し、最終的に西へ向かっているという報告を読むたび、彼は自分の居場所を探しているのではないかと疑い始める。
4.【結末ネタバレ】内堀彦介は調査員を町田と誤認して自滅する竹岡から届く報告によれば、町田は仕事も住居も失い、生活が困窮した状態で下関方面へ移動していた。
内堀は、町田が自分の居場所を突き止め、過去の銀行強盗を材料に脅迫しようとしているのではないかと考える。
町田が実際に恐喝を計画しているという確かな証拠があるわけではない。それでも内堀の恐怖は膨らみ続け、ついには先手を打って相手を排除しようとする心理に変わっていく。
そして物語の終盤、内堀は町田本人ではなく、調査を担当していた竹岡良一を町田と取り違えて襲撃する。
小刀を使った殺人未遂に及び、最終的には警察に捕まる。
ここに作品の皮肉がある。
内堀は町田を監視することで自分の安全を確保しようとした。しかし、その調査行為がかえって犯罪への恐怖を増幅させ、無関係の人間まで敵に見える状態を招いた。
銀行強盗の発覚を恐れていた男が、自ら新たな犯罪を起こし、社会的成功を失う結果になったのである。
『共犯者』の結末は、過去の犯罪そのものよりも、それを隠し続けようとする疑心暗鬼が人間を破滅させるという構図にある。
【登場人物・相関図】内堀彦介と町田武治、竹岡良一の関係
原作を理解するうえで重要なのは、3人の関係性だ。特に竹岡良一は、内堀にとって町田の消息を探るために雇った人物でありながら、最後には疑心暗鬼の犠牲となる。
原作の主要登場人物内堀彦介:物語の主人公。かつて町田と銀行強盗を実行し、その金を元手に家具店経営で成功した。過去が発覚することを恐れ、町田の消息を調べさせる。
町田武治:内堀の元共犯者。漆器の販売外交員として働いていた人物で、内堀と銀行強盗を計画・実行した。別れた後の消息が分からなくなり、内堀の恐怖の対象となる。
竹岡良一:内堀に雇われた通信記者。町田の現在の生活や事業の状況を調査する。内堀が調査を依頼した相手であるにもかかわらず、最終的に町田と誤認される。
内堀の妻・愛人:内堀の私生活を構成する人物たち。社会的成功の裏側にある主人公の生活を描く存在でもある。
原作・映画・テレビドラマの人物関係比較| 作品・年代 | 主人公 | 共犯者・関係者 | 主な人物関係 |
|---|---|---|---|
| 原作・1956年 | 内堀彦介 | 町田武治・竹岡良一 | 銀行強盗の元共犯者と、その消息を調べる通信記者 |
| 映画・1958年 | 内堀彦介(根上淳) | 町田武治(高松英郎)・竹岡良一(船越英二) | 原作の男性主人公を中心とした犯罪心理サスペンス |
| ドラマ・2006年 | 内堀江梨子(賀来千香子) | 町田夏海(とよた真帆)・若杉千香子(室井滋) | 女性同士の窃盗の共犯関係と探偵による調査 |
| ドラマ・2015年 | 内堀美輪(観月ありさ) | 町田武治(山本耕史)・竹岡良子(仲里依紗) | 夫殺害の秘密を抱える女性社長と元探偵、共犯者の関係 |
原作では内堀と町田という男性二人の犯罪関係が中心だが、映像化作品では女性主人公や女性の共犯者を配置するなど、人物設定に大きな変更が加えられている。
それでも共通しているのは、犯罪によって得た成功が過去の秘密と結び付き、その秘密が現在の生活を脅かすという構造だ。
登場人物の名前だけで作品を比較すると混乱しやすい。特に2006年版では町田夏海という女性が共犯者として登場するため、原作の町田武治とは性別も人物設定も異なる。
【映像化の歴史】1958年映画と歴代テレビドラマ版の違い
1958年の映画版は大映が製作松本清張の『共犯者』は、発表から間もない1958年10月22日に大映によって映画化された。
監督は田中重雄、脚本は高岩肇。上映時間は95分で、犯罪を計画した銀行強盗が、犯行後に自らの犯罪に怯えていく姿を描くサスペンス作品となっている。
主な出演者は次の通り。
- 内堀彦介:根上淳
- 竹岡良一:船越英二
- 町田武治:高松英郎
- 叶順子、宮口精二ら
原作の中心人物である内堀、町田、竹岡の関係を映画でも描いている点が特徴だ。
映像化によって、内堀の成功者としての姿と、過去を暴かれる恐怖との落差が視覚的に表現される。原作の心理描写を、俳優の表情や演技、映像演出によって味わえる作品である。
テレビドラマ版は1960年代から2015年まで6度映像化『共犯者』は映画だけでなく、テレビドラマでも繰り返し取り上げられてきた。
作品データや映像化作品の紹介資料では、主に次の6つのドラマ版が挙げられている。
- 1960年:フジテレビ版。岩井半四郎、藤波洸子らが出演。
- 1962年:NHK版。加藤嘉、浜村純、西村晃らが出演。
- 1960年代半ば:渡辺文雄、藤田佳子、高松英郎らが出演した版。放送年については資料に1964年と1968年の表記がある。
- 1983年:TBS版。平幹二朗、尾藤イサオ、畑中葉子らが出演。
- 2006年:日本テレビ版。賀来千香子、とよた真帆、室井滋らが出演。
- 2015年:テレビ東京版。観月ありさ、山本耕史、仲里依紗らが出演。
初期のテレビドラマ版は、原作の基本構造を映像作品として再現する方向性が強かった。一方、2006年と2015年の作品では、主人公や共犯者の性別、犯罪の内容などを大胆に変更している。
同じタイトルであっても、原作の内堀彦介と町田武治の物語をそのまま映像化した作品ばかりではない点が、歴代ドラマを比較する際の要点だ。
2026年の再放送情報2026年は、観月ありさ主演の2015年版『共犯者』が再放送されている。
確認できる主な放送情報は次の通りだ。
- 2026年10月23日:BS11で「松本清張シリーズ」の一作として放送。
- 2026年10月26日:WOWOWプラスで14時15分から16時15分まで放送。
また、BS11の公式番組ページでは、1月1日の新春一挙放送スペシャルの再放送ラインアップにも観月ありさ主演の『共犯者』が掲載されている。
BS11は毎週金曜日18時45分から松本清張作品を放送するシリーズを展開しており、『共犯者』以外の作品もラインアップに含まれている。
再放送は放送局の編成によって変更されることがあるため、視聴する場合は各局の最新番組表で放送日時を確認したい。
【2006年・2015年版を比較】賀来千香子と観月ありさの『共犯者』は何が違う?
検索時に混同されやすいのが、2006年の賀来千香子主演版と2015年の観月ありさ主演版だ。
どちらも松本清張の短編『共犯者』を原作としているが、人物設定や犯罪の内容、物語の展開は大きく異なる。
2006年版:賀来千香子が内堀江梨子を演じる2006年5月9日に日本テレビで初回放送されたのが『松本清張スペシャル 共犯者』だ。
主人公は人気レストランチェーンの女性社長・内堀江梨子。賀来千香子が演じ、共犯者の町田夏海をとよた真帆が演じた。
この作品では、銀行強盗ではなく、神戸・芦屋の豪邸から現金1億円を盗み出した過去が物語の出発点となる。
江梨子は町田夏海と盗んだ金を折半し、その資金を元手に現在の地位を築いた。しかし、8年前の犯罪が明るみに出ることを恐れ、町田夏海の居場所を探ろうとする。
調査を依頼される探偵事務所の所長・若杉千香子を室井滋が演じている。
そのほかの主な出演者は以下の通り。
- 内堀江梨子:賀来千香子
- 町田夏海:とよた真帆
- 若杉千香子:室井滋
- 横山剛:細川茂樹
- 鈴木さやか:浅見れいな
- 松本健:小橋賢児
- 倭誠一:佐野史郎
- 内堀佳代子:加藤治子
脚本は西荻弓絵、監督は上川伸廣。原作の犯罪心理という骨格を残しながら、女性二人の共犯関係と、その後の成功や不安を中心に再構成した作品だ。
2015年版:観月ありさが内堀美輪を演じる2015年9月30日、テレビ東京で放送されたのが観月ありさ主演の『松本清張特別企画 共犯者』だ。
主人公は化粧品会社「ニンファ・ミワ」の社長・内堀美輪。美輪には、整形手術によって現在の美貌を手に入れた過去と、夫を殺害した秘密があった。
かつて美容整形外科で清掃員として働いていた美輪は、医師の秋月義彦から手術を受ける。その後、義彦と結婚するものの、夫の態度は次第に変わり、美輪は自由を奪われるような生活を強いられる。
そんな美輪の心の支えとなったのが、秋月家に出入りする造園業者の町田武治だった。
二人は関係を深めるが、ある出来事をきっかけに秋月義彦を殺害してしまう。殺人の秘密を共有することになった二人は別々の道を歩む。
その後、成功した美輪はネット上の書き込みをきっかけに過去を思い出し、町田が自分の秘密を暴露するのではないかと怯えるようになる。
主な出演者は以下の通り。
- 内堀美輪:観月ありさ
- 竹岡良子:仲里依紗
- 町田武治:山本耕史
- 村田佳子:YOU
- 秋月義彦:寺島進
- 島尾健作:大地康雄
- 杉本:ビートきよし
脚本は浅野妙子、監督は水谷俊之。原作の主要人物の性別を男性から女性へ変更し、「人魚姫」をモチーフにしたアレンジも加えられた。
テレビ東京の公式番組紹介では、主人公の美輪が整形、夫殺害、過去の隠蔽という秘密を抱える人物として説明されている。
2006年版と2015年版の決定的な違い両作品を比較すると、2006年版は盗んだ金で成功した女性社長と女性の共犯者の関係が中心であるのに対し、2015年版は整形と夫殺害という秘密を抱える女性の心理が中心になっている。
2015年版では、外見的な成功と内面の不安という対比がより強く打ち出されている。美輪が社会的に評価されるほど、過去を知られる恐怖が大きくなる構造だ。
原作の内堀彦介が抱えていた犯罪発覚への恐怖を、現代の女性社長という設定に置き換えたことで、作品の印象は大きく変わっている。
原作に忠実な銀行強盗と男性二人の関係を見たいなら原作小説や1958年の映画版、人物設定を大胆に変えた心理サスペンスを見たいなら2006年版・2015年版が向いている。
【作品テーマと読みどころ】松本清張が描いた共犯関係と犯罪心理
犯罪が終わっても共犯関係は終わらない『共犯者』の最大の特徴は、犯罪の実行そのものよりも、犯罪が終わった後の人間関係に焦点を当てている点だ。
内堀と町田は銀行強盗の後、二度と会わないと約束して別れた。しかし、物理的に離れたからといって、二人を結び付ける犯罪の記憶まで消えるわけではない。
内堀にとって町田は、かつての仲間であると同時に、自分の成功を根底から崩す可能性を持つ存在になっていた。
共犯関係とは、単に同じ犯罪を実行したという事実だけではない。互いが相手の秘密を知っているという、切り離しにくい関係でもある。
疑心暗鬼が生む自己破壊内堀が破滅する原因は、町田が実際に恐喝を始めたことではない。
重要なのは、町田の消息を知ろうとする行動そのものが、内堀の不安を強めていくことだ。
調査を始めた当初、内堀は相手の状況を把握することで安心を得ようとしていた。しかし、情報が増えるほど、町田の行動を自分への脅威として解釈するようになる。
これは、情報収集が必ずしも不安の解消につながらないことを示している。
自分の恐怖に合致する情報ばかりに注意が向き、相手の行動を悪意として読み取る。そうして内堀は、現実と自分の想像の区別を失っていく。
最後に調査員を町田と誤認して襲う展開は、その心理的な破綻が表面化した瞬間だ。
成功者の地位は過去の罪を消してくれない内堀は銀行強盗の後、商売で成功し、財産や信用を手に入れた。社会から見れば、努力によって成功した経営者に映る。
しかし、その成功の出発点には犯罪があった。
松本清張は、この表と裏の落差を利用して、社会的な成功が人間の内面まで保証するわけではないことを描く。
周囲から高く評価されるほど、内堀はその評価を失うことを恐れるようになる。財産を失う恐怖だけでなく、築き上げた人物像が崩れることへの恐怖も大きい。
この構造は、単なる銀行強盗の後日談ではなく、人間が自分の過去をどう受け止めるかという問題にもつながっている。
【プロの結論】『共犯者』の本当の恐怖は犯罪者自身の心にある本作を読み解くうえで最も重要なのは、町田が本当に脅迫するかどうかではなく、内堀が町田の存在をどう解釈していくかという点だ。
内堀は、自分の成功を守るために町田を監視する。しかし、その行動は次第に自分自身を追い詰める結果となる。
つまり、彼の最大の敵は、かつての共犯者だけではない。過去を隠し続けなければならないという意識と、その意識から生まれた恐怖そのものだった。
読書の観点では、次のような人に特におすすめできる。
- おすすめできる人:人間の心理が崩れていく過程を楽しみたい人、社会派ミステリーや犯罪心理サスペンスが好きな人、短編の中に強い皮肉や逆転がある作品を読みたい人。
- 好みが分かれる人:複雑な密室トリックや科学的な謎解き、派手なアクションを中心に楽しみたい人。
『共犯者』の魅力は、犯罪の巧妙さではなく、成功を守ろうとする人間が自らの恐怖によって判断力を失っていく過程にある。
だからこそ、発表から長い年月が経過した2026年にも、映像作品として繰り返し取り上げられるだけの普遍性を備えている。
【よくある質問】松本清張『共犯者』に関するFAQ
Q1:松本清張『共犯者』の原作の結末はどうなる?
A1:内堀彦介が、町田武治の消息を調べるために雇った通信記者・竹岡良一を町田と誤認して襲撃する。殺人未遂に及んだ内堀は、最終的に警察に捕まる。疑心暗鬼によって自ら破滅する結末だ。
Q2:『共犯者』の原作小説は何年に発表された?
A2:1956年11月18日号の『週刊読売』に掲載された。1957年2月には『森鷗外・松本清張集』にも収録され、1980年には新潮文庫版が刊行された。
Q3:観月ありさ主演の『共犯者』は何年のドラマ?
A3:2015年9月30日にテレビ東京で放送されたスペシャルドラマだ。観月ありさが内堀美輪、山本耕史が町田武治、仲里依紗が竹岡良子を演じた。
Q4:賀来千香子主演の2006年版と観月ありさ主演の2015年版は同じ内容?
A4:同じではない。2006年版は内堀江梨子と町田夏海という女性二人の窃盗事件を中心に描く。2015年版は内堀美輪と町田武治による夫殺害の秘密を軸にした心理サスペンスだ。どちらも原作の犯罪発覚への恐怖というテーマを引き継いでいる。
Q5:2026年に『共犯者』の再放送はある?
A5:2026年10月には観月ありさ主演の2015年版がBS11やWOWOWプラスで放送された。BS11の公式番組ページにも再放送のラインアップが掲載されている。今後の放送予定については各局の最新番組表を確認したい。
松本清張の短編『共犯者』は、銀行強盗で得た金を元手に成功した内堀彦介が、かつての共犯者・町田武治への恐怖から自滅していく物語だ。
1956年の初出以来、1958年の映画化、1960年代から2015年までのテレビドラマ化を経て、さまざまな形で映像作品として受け継がれてきた。
特に2006年の賀来千香子版と2015年の観月ありさ版は、女性を主人公に据えた大胆な再構成が特徴だ。原作の設定をそのまま再現するのではなく、時代に合わせて犯罪心理の描き方を変えている。
2026年にも再放送の機会があり、作品に触れる入口は複数ある。
原作の結末に込められた皮肉を知りたいなら新潮文庫版、1950年代の映画表現を味わいたいなら1958年の映画版、現代的な人間関係や女性主人公の心理サスペンスを楽しみたいなら2006年版・2015年版がおすすめだ。
何より印象的なのは、内堀が恐れていた過去の犯罪よりも、過去を隠そうとする自分自身の心理によって破滅したという点である。
犯罪を終わらせても、その記憶から逃れることはできない。『共犯者』は、その人間の弱さを短編ならではの鋭い構成で描き切った、松本清張の犯罪心理サスペンスの一作である。
主な事実確認資料: 新潮社の書誌情報、BS日テレの2006年版公式番組情報、テレビ東京の2015年版公式番組情報、映画.comの1958年映画作品情報、BS11およびWOWOWプラスの2026年放送情報。