『ラストレター』の映像的な魅力を支えているのが、岩井俊二監督の故郷である宮城県の風景です。
撮影は2018年夏に宮城県内で実施されました。仙台市の都市風景と、白石市の城下町らしい情景を組み合わせ、現在と高校時代の記憶を視覚的に描き分けています。
仙台市内の主なロケ地
ホテルメトロポリタン仙台
劇中の仲多賀井高校の同窓会会場。裕里が未咲の死を伝えようとする重要な場所です。
カフェモーツァルト アトリエ
裕里が鏡史郎への手紙を書く場面で登場。広瀬川に面した緑豊かなロケーションが印象的です。
宮城学院女子大学図書館
裕里が働く図書館として撮影に使用されました。実際の図書館は学生・大学関係者向けで、一般開放されていません。
愛宕神社
裕里と子どもたちが祖母を探しに訪れる場面の撮影地。仙台市街を見渡せる高台にあります。
白石城周辺
高校時代の記憶をたどる場面の背景となる城下町。歴史ある町並みが作品の郷愁を支えています。
沢端川
高校時代、裕里と鏡史郎が生物部の活動をする場面に登場する清流。青春時代の記憶を象徴する場所です。
滑津大滝(七ヶ宿町)
劇中の滝の場面で使用された撮影地。水量豊かな滝の風景が作品の自然描写を印象づけています。
ロケ地巡りで注意したいのは、撮影場所のすべてが観光客向けに開放されているわけではないことです。
宮城学院女子大学図書館、常盤木学園高校、宮城県岩出山高校は、一般の見学に制限があります。また、撮影に使われた旧白石高校の校舎は、すでに解体されて更地になっています。
加えて、仙台のロケ地の一つとして紹介されている石巻港津田鮮魚店は、2020年8月29日に閉店しています。
訪問する場合は、現在の施設の営業状況や立ち入り条件を優先しましょう。
【原作小説と主題歌】文春文庫『ラストレター』と「カエルノウタ」

『ラストレター』には、岩井俊二が執筆した同名の原作小説があります。
文藝春秋から刊行され、単行本は2018年10月25日発売。映画公開に先立ち、文春文庫版も2019年9月3日発売となりました。
『ラストレター』
著者:岩井俊二
- 出版社:文藝春秋
- 文庫発売日:2019年9月3日
- ページ数:256ページ
- ISBN:978-4-16-791346-5
- ジャンル:小説
原作小説は映画の背景にある人物の心理や、手紙の意味をより深く味わいたい人に向いています。
特に鏡史郎が書く小説と未咲への思いは、作品全体を理解するうえで重要な要素です。
映画を見てから小説を読むと、映像では描ききれない人物の内面や、手紙に込められた感情を改めて考えられます。
主題歌は森七菜の「カエルノウタ」
「カエルノウタ」
森七菜・歌手デビューシングル
- 歌:森七菜
- 作詞:岩井俊二
- 作曲:小林武史
- 発売日:2020年1月15日
主題歌「カエルノウタ」は、森七菜にとって歌手デビュー作品です。
注目したいのは、森七菜が出演者であると同時に、映画の音楽的な世界観を担う歌い手でもあることです。
作詞を岩井俊二、作曲を映画音楽を担当した小林武史が手がけています。
映画の登場人物として高校時代の裕里を演じ、現在の颯香も演じる森七菜が主題歌を歌うことで、作品の中の過去と現在というテーマが音楽面でもつながっています。
主題歌のシングルには、小泉今日子の「あなたに会えてよかった」、荒井由実の「返事はいらない」のカバーも収録されました。
【評判・感想・2026年上映情報】今見ても楽しめる作品なのか?
映画の評判は?レビューから見える評価の傾向映画の評価を確認する際に参考になるのが、実際に鑑賞した人のレビューです。
Filmarksでは、2026年11月初旬の確認時点で評価3.7/5.0、約3万9,000件のレビューが掲載されています。
レビューの傾向としては、次のような評価が見られます。
映像美と音楽
岩井俊二監督らしい光の使い方、宮城の自然、音楽の組み合わせを評価する声があります。
キャストの演技
松たか子の自然な演技、広瀬すずの二役、森七菜の存在感、神木隆之介の高校時代の表現などが注目されています。
手紙がつなぐ人間関係
手紙というアナログな手段を通じて、過去の記憶がよみがえる物語を好意的に受け止める人がいます。
物語のテンポと展開
複数の人物の恋愛や過去が交差するため、展開が複雑に感じられるという意見もあります。
Filmarksのレビューでは、映像やキャストを評価する感想がある一方、物語の展開や人物の行動に疑問を感じる感想も見られます。
つまり、誰にとっても分かりやすい一直線の恋愛映画ではありません。
登場人物の心情を想像しながら見る作品であり、伏線をすべて説明してほしい人よりも、余白のある物語を楽しめる人に向いています。
2026年の再上映情報は?2026年は、岩井俊二監督の映画監督としての活動を振り返る作品企画が展開されています。
その公式作品ページには『ラストレター』の上映情報も掲載されました。
確認できる上映記録は次のとおりです。
- 2025年12月26日: TOHOシネマズ日比谷ほかでの上映情報。
- 2026年3月21日: 特集上映の日程。
- 2026年3月23日: 特集上映の日程。
- 2026年3月26日: 特集上映の日程。
3月の上映館として、TOHOシネマズ日比谷、ミッドランドスクエア シネマ、大阪ステーションシティシネマ、T・ジョイ博多が掲載されています。
ただし、これらは過去の上映日程です。2026年11月4日時点で、公式作品ページに11月以降の新しい劇場上映日程は掲載されていません。
再上映を希望する場合は、岩井俊二監督の企画上映情報や各映画館の最新スケジュールを確認するのが確実です。
【プロの結論】『ラストレター』がおすすめの人・おすすめできない人作品の特徴を整理すると、鑑賞する人の好みによって評価が分かれやすい映画です。
おすすめできる人
- 『Love Letter』など岩井俊二監督の作品が好きな人。
- 初恋や青春時代の記憶を扱う映画が好きな人。
- 松たか子、広瀬すず、福山雅治、神木隆之介、森七菜の演技を楽しみたい人。
- 親子や姉妹など、世代を超えた人間関係を描く作品に興味がある人。
- 宮城の自然や街並みを楽しみたい人。
好みが分かれる人
- 明快な事件解決や強いサスペンスを期待する人。
- すべての登場人物の行動に合理的な説明を求める人。
- 恋愛の結末がはっきり決着する作品を好む人。
- テンポの速い展開を重視する人。
この作品の価値は、初恋が成就するかどうかだけでは測れません。
むしろ、長い時間を経て初めて分かる相手の気持ちや、本人がいなくなった後に残された言葉の意味にあります。
そのため、結末を知ってからもう一度見ると、冒頭の卒業答辞や、鮎美が母の手紙を開けられない場面にも違った印象を受けるはずです。
【ラストレターの映画に関するよくある質問(FAQ)】
Q1:映画『ラストレター』の公開日はいつですか?
A1:2020年1月17日です。監督・脚本・原作・編集を岩井俊二が担当し、上映時間は121分です。
Q2:未咲の死の真相は何ですか?
A2:物語では、未咲は元夫の阿藤からのDVなどによって精神的に追い詰められ、自ら命を絶ったことが裕里から語られます。
Q3:広瀬すずは何役を演じていますか?
A3:未咲の娘・鮎美と、未咲の高校時代の二役です。
Q4:福山雅治と神木隆之介は同じ人物ですか?
A4:はい。二人とも乙坂鏡史郎を演じています。福山雅治が現在、神木隆之介が高校時代の回想を担当しています。
Q5:『ラストレター』は『Love Letter』の続編ですか?
A5:続編ではありません。どちらも岩井俊二監督作品で、手紙や初恋、喪失と記憶という共通するテーマを持っていますが、物語は独立しています。
Q6:主題歌は誰が歌っていますか?
A6:森七菜が歌う「カエルノウタ」です。岩井俊二が作詞、小林武史が作曲を担当しました。
Q7:原作小説はどこから出版されていますか?
A7:岩井俊二の同名小説が文藝春秋から出版されています。文春文庫版は2019年9月3日発売です。
Q8:2026年11月現在、映画館で上映されていますか?
A8:2026年3月には岩井俊二監督の作品企画で上映されました。ただし、11月以降の新たな上映日程は公式作品ページに掲載されていません。最新の上映情報は映画館や公式企画の告知で確認してください。
映画『ラストレター』は、亡くなった姉の名前をきっかけに始まった文通を通して、二世代の初恋と家族の記憶を描いた作品です。
松たか子演じる裕里、広瀬すず演じる未咲と鮎美、福山雅治と神木隆之介が演じる鏡史郎。それぞれの人物が過去と現在をつなぎ、伝えられなかった思いを少しずつ明らかにしていきます。
未咲の死の真相は物語の大きな転換点ですが、最後に残るのは悲劇そのものではありません。鮎美が母の最後の手紙を開き、卒業式の答辞を読み上げる場面にこそ、この映画の本質があります。
『Love Letter』との共通点を楽しむのもよし、宮城のロケ地を巡るのもよし、原作小説や主題歌から作品を深掘りするのもよし。
過去の恋を懐かしむだけでなく、残された言葉が未来へ受け継がれていく。その意味を考えながら鑑賞すると、『ラストレター』の印象はさらに深まります。
主な情報確認先:日本映画データベース(JFDB)、せんだい・宮城フィルムコミッション、文藝春秋、ソニーミュージック、岩井俊二監督作品企画公式ページ、Filmarks。