「本職とは、どのような意味の言葉なのか」「本業や副業、専門職とは何が違うのか」と疑問に感じたことはありませんか。本職(ほんしょく)は、その人が主として従事する職業を指す言葉ですが、実はもう一つ、「ある分野を専門とする人、いわゆるプロ」という意味も持っています。小学館『デジタル大辞泉』や『精選版 日本国語大辞典』でも、この2つの意味が記載されています。
2026年現在、副業・兼業や複数の仕事を掛け持つ働き方が広がるなかで、自分の仕事をどのように説明するかは、日常会話だけでなくビジネスシーンでも大切です。本職の読み方と意味をはじめ、本業・副業・専門職・生業との違い、正しい使い方や例文、類語・対義語まで整理します。
【基本知識】本職とは?読み方と2つの意味をわかりやすく解説

本職の正しい読み方は「ほんしょく」です。「本」は主となるものや根本を意味し、「職」は仕事や職務を表します。この2文字が組み合わさり、本来の仕事や専門とする職業という意味になります。
読み方で迷いやすい言葉ですが、「ほんじょく」「ほんしき」などとは読みません。一般的な会話からビジネス文書まで、読み方は「ほんしょく」で統一されます。
意味1:その人が主として従事する職業最も一般的なのが、本人が中心として取り組んでいる職業や仕事を表す意味です。
例えば、平日は会社員として働き、休日に写真撮影の仕事をしている人がいるとします。この場合、会社員としての仕事を本職、写真撮影を副業と表現できます。
また、複数の仕事を持つ人が、自分のキャリアの中心となる仕事を説明する場合にも使われます。必ずしも勤務先が一つである必要はありません。
小学館『デジタル大辞泉』では、この意味を「その人が主とする職業」と説明し、本業を類語として挙げています。
意味2:ある分野を専門とする人、プロフェッショナルもう一つの意味は、特定の仕事や技術を専門としている人です。一般的な言葉に置き換えると「プロ」「専門家」「玄人(くろうと)」に近い意味になります。
例えば、次のような使い方があります。
- 本職の料理人に味を見てもらう。
- この仕上がりは本職にも負けない。
- 難しい修理は本職に任せたほうがよい。
この場合、話題の中心は本人の主な職業ではなく、専門的な技術や経験です。
特に「本職にはかなわない」「本職に任せる」という表現では、専門家としての経験や技量に対する評価が含まれます。
歴史的には官吏の自称という意味もある辞書には、もう一つの意味として、官吏が職務上、自分を指して使う自称も記載されています。「本官」に近い用法です。
ただし、これは一般的な現代のビジネス会話で使う自称とは異なります。通常の会社員が自分を「本職」と呼ぶことを、標準的な敬語表現として扱うのは避けたほうが無難です。
【徹底比較】本職・本業・副業・専門職・生業の違いとは?
本職と似た言葉には、本業、副業、専門職、生業などがあります。これらは仕事に関係する言葉ですが、注目しているポイントが異なります。
違いを理解するには、何を中心に説明しているのかを考えるとわかりやすくなります。
| 言葉 | 読み方 | 主な意味 | 使われる場面・特徴 |
|---|---|---|---|
| 本職 | ほんしょく | 主な職業、専門家 | 本人の中心的な仕事やプロとしての技量を表す |
| 本業 | ほんぎょう | 本来の職業・仕事 | 副業と対比して中心となる仕事を説明する |
| 副業 | ふくぎょう | 本業のかたわらに行う仕事 | 本業以外に収入や活動の機会を得る仕事 |
| 専門職 | せんもんしょく | 専門的な知識や技術を必要とする職種 | 職業の専門性や職種の性質を説明する |
| 生業 | なりわい・せいぎょう | 生活を営むための仕事 | 生計を立てる手段としての仕事を表す |
本職と本業は非常に近い意味を持ち、場合によっては置き換えて使えます。しかし、ニュアンスには違いがあります。
本業は仕事そのものが中心であること、本職はその人の主な職業や専門性を含めて表現できることが特徴です。
例えば、「本業は会社員です」といえば、主な仕事が会社員であることを説明しています。一方、「本職はエンジニアです」といえば、主な職業を説明するだけでなく、専門的な職業としての位置付けも伝えられます。
ただし、両者の意味は重なるため、日常会話では厳密に区別されないこともあります。
本職と副業の違い本職と副業の違いは、仕事における中心性です。
本職は本人が主として従事する仕事であり、副業はその仕事とは別に取り組む仕事を指します。
例えば、企業で営業職として勤務しながら、休日にイラスト制作の依頼を受けている場合、営業職が本職、イラスト制作が副業という整理ができます。
なお、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」では、複数の仕事を持つ働き方について、雇用される形だけでなく、起業や業務委託などさまざまな形態を想定しています。
副業と兼業の呼び分けは企業や個人によって異なる場合もあります。必ずしも収入額だけで本職と副業が決まるわけではありません。
本職と専門職の違いこの2つは混同されやすいものの、意味の軸が異なります。
本職は「その人にとって中心となる仕事」、専門職は「専門知識や技術を必要とする職種」です。
例えば、医師として病院に勤務する人は、医師が本職であると同時に専門職に従事している人でもあります。
一方、会社員が本職であっても、必ずしも専門職とは限りません。営業職や一般事務職なども本人の本職になり得ます。
日本看護科学学会の専門用語解説では、専門職について、専門的な知識や技術だけでなく、専門職倫理や自律性、社会への貢献といった側面も説明しています。したがって、単に仕事が得意というだけで専門職に分類されるわけではありません。
本職と生業の違い生業は「なりわい」または「せいぎょう」と読み、生活を営むための仕事を意味します。
本職が本人の主な職業や専門性に注目するのに対して、生業は生活を支える仕事という側面に重点があります。
例えば、「農業を生業とする」といえば、農業によって生活を営んでいることを表します。
「本職は農業です」といえば、本人が中心として従事している職業を説明しています。
つまり、両者は重なる部分がありますが、表現したい内容によって使い分けられます。
【ビジネスシーン】本職の正しい使い方と注意したい表現
本職は、仕事の内容や専門分野を説明する際に使える言葉です。ただし、ビジネスシーンでは相手との関係や文章の目的によって、より適切な言い換えが存在します。
自分の主な職業を説明するとき自分が中心としている仕事を説明する場合には、本職を使えます。
例えば、異業種交流会や仕事関係の会話で、自分の専門分野を簡潔に伝えたいときに適しています。
「私の本職はシステムエンジニアです」という表現なら、中心となる職業が伝わります。
ただし、履歴書や職務経歴書など、正確な職務情報が必要な書類では、職種や役職、雇用形態などを具体的に記載するほうが適切です。
専門家に依頼するとき専門知識や経験を持つ人に仕事を任せる場面でも、本職は使用できます。
例えば、専門的な修理や調理、デザインなどを依頼するときに「本職にお願いしましょう」と表現できます。
ただし、取引先や顧客に対しては「専門家に依頼する」「専門業者に確認する」としたほうが、具体的で丁寧な印象になります。
メールや社内文書で使うときビジネスメールでは、本職という言葉自体が誤りになるわけではありません。しかし、意味が複数あるため、読み手が誤解しないようにする必要があります。
特に注意したいのが、自分を指す言葉としての使用です。
「本職が対応いたします」という表現は、通常の会社員が自分を指すビジネス敬語としては不自然に受け取られる可能性があります。
この場合は、次のような言い換えが自然です。
- 私が対応いたします。
- 担当者が対応いたします。
- 当方で確認いたします。
- 弊社の担当部署にて対応いたします。
また、「本職は営業です」という説明よりも、「主な担当業務は法人営業です」とすれば、職務内容まで明確になります。
本職を使うときに避けたい誤用本職を使う際には、次のような表現に注意しましょう。
- 誤解を招きやすい:本職が副業をしています。
- 自然な表現:本職のほかに副業にも取り組んでいます。
また、専門家という意味で使用する場合も、単に経験がある人を指して本職と呼ぶと、実際の職業や専門性について誤解を生むことがあります。
「本職のデザイナー」「プロのデザイナー」など、対象となる仕事を具体的に示すと伝わりやすくなります。
【まとめ】本職の例文10選!日常会話からビジネスまで
本職の使い方を理解するには、具体的な文章で確認するのが効果的です。ここでは、意味ごとに例文を紹介します。
主な職業という意味で使う例文例文1:私の本職は出版社で働く編集者です。
主な職業が編集者であることを説明しています。
例文2:彼は本職の傍ら、週末に写真家として活動しています。
中心となる仕事と、それ以外の活動を区別しています。
例文3:本職は教師ですが、休日には地域のスポーツ指導も行っています。
本人の中心的な職業を明らかにしたうえで、別の活動を紹介しています。
例文4:本職に支障が出ない範囲で副業に取り組んでいます。
主な仕事を優先しながら、別の仕事にも従事している状況を表します。
例文5:彼女は本職で培った経験を生かし、新しい事業を始めました。
本来の仕事で得た知識や経験を別の活動に応用していることを示します。
専門家という意味で使う例文例文6:この料理の味付けは、本職の料理人にも評価されるほどです。
専門家から見ても高い水準であることを表しています。
例文7:自分で修理するより、本職に任せたほうが安心です。
専門知識や技術を持つ人に依頼することを勧めています。
例文8:趣味で始めた写真撮影ですが、仕上がりは本職顔負けです。
専門家と比較しても見劣りしない技量を評価する表現です。
例文9:この細かな作業は、やはり本職にはかないません。
専門家の経験や技術の高さを認めています。
例文10:専門的な判断が必要なので、本職の方に相談してみましょう。
その分野を仕事としている専門家に相談する場面で使います。
例文を使うときのポイント例文からわかるように、本職の意味は前後の言葉によって判断できます。
「本職は教師です」であれば主な職業、「本職に任せる」であれば専門家を指すのが一般的です。
読み手にどちらの意味で伝えたいのかを意識すると、文章の曖昧さを減らせます。
【言い換え一覧】本職の類語・対義語と適切な使い分け
本職には複数の類語があります。ただし、すべてが完全に同じ意味ではありません。文章の目的に合わせて選ぶことが大切です。
本職の主な類語1. 本業
本人が中心として従事する仕事を意味します。本職の最も近い類語で、副業との対比にもよく使われます。
2. 本務
本来担当するべき任務や、複数の職務のうち中心となる職務を意味します。会社や組織の業務を説明する際に適しています。
3. 専門家
特定の分野について高度な知識や経験を持つ人を意味します。本職の「プロ」という意味を言い換えるときに使えます。
4. 玄人(くろうと)
その道に精通した人や、専門的な技術を持つ人を指します。素人との対比で使われることが多い言葉です。
5. プロフェッショナル
ある分野を職業としている人や、高度な専門性を備えた人を指します。ビジネスや技術、芸術など幅広い分野で使われます。
6. 専業
特定の仕事や活動に専念することを意味します。「専業主婦」「専業農家」などの表現があります。
本職の対義語は何?本職には、すべての意味に共通する一つの固定された対義語があるわけではありません。どの意味で使うかによって反対の言葉が変わります。
主な職業という意味の場合:
- 副業:本業以外に取り組む仕事。
- 兼業:複数の仕事や事業を兼ねること。
専門家という意味の場合:
- 素人:その分野を専門としていない人。
- 初心者:経験や知識がまだ十分でない人。
ただし、初心者と専門家は必ずしも厳密な反対語ではありません。経験の程度を比較する表現として使い分けます。
また、「内職」を本職の直接的な対義語として扱うのも適切ではありません。内職は自宅などで行う仕事を指す場合があり、仕事の中心性とは別の観点を表すためです。
文章の目的に合わせた言い換え方- 主な仕事を説明する:本業、主たる職業。
- 会社での担当業務を説明する:本務、主要業務。
- 専門的な能力を説明する:専門家、プロ、玄人。
- 生活を支える仕事を説明する:生業、稼業、職業。
- 本業以外の仕事を説明する:副業、兼業。
特にビジネス文書では、抽象的な本職よりも「主な担当業務」「専門分野」「職種」などを使ったほうが、情報が正確に伝わる場合があります。
【誤解を防ぐ】本職のよくある疑問と正しい判断基準
本職という言葉には二つの主要な意味があるため、使い方を間違えると、仕事の内容や本人の立場について誤解が生じる可能性があります。
本職は必ず正社員の仕事を意味する?いいえ。本職は雇用形態を限定する言葉ではありません。
正社員だけでなく、個人事業主やフリーランス、職人、芸術家などにも使用できます。重要なのは、本人が主として従事している仕事かどうかです。
本職と副業は収入の多さで決まる?必ずしもそうではありません。
本職は本人が主としている職業を指す言葉であり、収入額だけで機械的に決まるものではありません。本人の職業上の位置付けや、仕事に取り組む実態なども関係します。
例えば、本職として会社員を続けながら、副業の事業収入が一時的に本業の給与を上回ることも考えられます。
雇用契約や税務、社会保険などの制度上の判断については、それぞれの制度に定められた基準を確認する必要があります。
本職と専門職は同じ意味?同じではありません。本職は主な職業や専門家という意味で使われますが、専門職は専門知識や技能を必要とする職種を指します。
専門職に従事している人が必ずしもその仕事を本職にしているとは限らず、専門的な技能を持っていても、別の仕事を主としている場合があります。
ビジネスメールで「本職」を使っても問題ない?主な職業や専門家という意味なら使用できます。ただし、自分を指す一人称として使用することは一般的なビジネス表現としておすすめできません。
「私」「当方」「弊社」など、文脈に合った表現を選ぶと自然です。
本職の意味を判断するときの3つの基準使い方に迷った場合は、次の3点を確認してください。
- 誰の仕事を説明しているか:本人の中心的な職業なのか、専門家としての立場なのかを確認する。
- 何と比較しているか:副業との比較なら主な仕事、素人との比較なら専門家という意味になりやすい。
- どのような場面か:日常会話なら本職でも自然だが、契約書や社外文書では具体的な職種や担当業務を使う。
この3つを意識すれば、本職の意味を取り違える場面は大きく減ります。
【本職とは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:本職とは簡単にいうとどういう意味ですか?
A1:本人が主として従事している職業、または特定の分野を専門とする人を意味します。文脈によって「主な仕事」と「プロ・専門家」の2通りに解釈できます。
Q2:本職の正しい読み方は何ですか?
A2:「ほんしょく」です。「ほんじょく」などとは読みません。
Q3:本職と本業の違いは何ですか?
A3:どちらも主な仕事を意味する点では共通しています。本業は仕事そのものが中心であることを表し、本職には専門家という意味もあります。
Q4:本職と副業の対義語は何ですか?
A4:主な職業という意味では、副業が対になる言葉です。ただし、本職には専門家という意味もあるため、その場合は素人が対照的な表現になります。
Q5:本職と専門職の違いは何ですか?
A5:本職は本人の主な仕事や専門家としての立場を表す言葉で、専門職は専門知識や技術を必要とする職種を指します。
Q6:本職はビジネスメールで使えますか?
A6:主な職業を説明したり、専門家を指したりする場合には使えます。ただし、自分自身を指す敬語表現としては避け、「私」「当方」などを使うほうが自然です。
Q7:本職の類語には何がありますか?
A7:主な職業という意味では、本業や本務があります。専門家という意味では、プロ、専門家、玄人、プロフェッショナルなどが類語です。
Q8:生業と本職は同じ意味ですか?
A8:意味が重なる部分はありますが、生業は生活を営むための仕事、本職は主な職業や専門とする仕事という違いがあります。
本職とは、「ほんしょく」と読み、本人が主として従事する職業、または特定の分野を専門とする人を意味する言葉です。
本業とは近い意味を持ちますが、本職には専門家やプロという意味もある点が特徴です。一方、副業は本業以外の仕事、専門職は専門知識や技術を必要とする職種、生業は生活を営むための仕事を表します。
2026年現在、厚生労働省は副業・兼業に関するガイドラインや、令和7年(2025年)3月31日改定版の解説パンフレットなどを公開しています。複数の仕事を持つ働き方が広がるなかでは、自分の中心となる仕事と、それ以外の活動を明確に説明することも大切です。
言葉を使い分ける際に押さえておきたい要点は、次の3つです。
- 主な職業を説明するなら「本職」または「本業」。
- 専門家としての技量を説明するなら「本職」「プロ」「専門家」。
- ビジネス文書では、誤解を防ぐため「主な職業」「担当業務」「専門分野」なども活用する。
本職という言葉は、単に仕事の種類を示すだけでなく、その人が何を中心に働いているのか、どの分野に専門性を持っているのかを伝える表現です。意味の違いを理解し、会話や仕事の文書で適切に使い分けましょう。