百貨店の地下や駅の売店で見かける、赤あんと白あんがたっぷり詰まった丸い焼き菓子「御座候(ござそうろう)」。関東では今川焼き、全国各地では大判焼きや回転焼きと呼ばれるお菓子ですが、御座候は一般的な今川焼きと何が違うのでしょうか。
実は、御座候は兵庫県姫路市で1950年に始まった回転焼きのブランドです。2026年11月現在、公式商品情報では赤あん・白あんともに1個110円(税込)。カロリーは赤あんが201kcal、白あんが196kcalです。北海道産小豆へのこだわりや、卵・乳を使用しない生地、創業から受け継がれる店頭での実演販売にも特徴があります。
【結論】御座候は今川焼きなのか?一般的な回転焼きとの違い

まず結論からいえば、御座候は今川焼きと同じ系統のお菓子です。小麦粉を主体とした生地であんを包み、丸い焼き型で両面を焼き上げるという基本的な構造は共通しています。
違いがあるのは、お菓子の分類というよりも、ブランド、原材料、製造方法、販売スタイルです。御座候は単なる一般名称ではなく、兵庫県姫路市に本社を置く株式会社御座候が製造・販売する独自の商品名です。
今川焼きと御座候は別のお菓子ではない今川焼き、大判焼き、回転焼きは、基本的には同じ種類の和菓子を指す呼び名です。
今川焼きという名称は、江戸時代中期の安永年間(1772~1780年)ごろ、江戸の神田にあった今川橋付近で販売されていたことに由来するとされています。国立国会図書館のレファレンス協同データベースでも、1777年刊行の『富貴地座位』に今川焼きの記載があることが紹介されています。
一方、回転焼きは焼き方に由来する名称です。大判焼きは、比較的大きな形状を表す名称として広まりました。地域や販売店によって呼び方が異なり、全国的に一つの名称へ統一されているわけではありません。
御座候の場合は、こうした一般名称とは異なり、特定の企業が販売するブランド名が、そのままお菓子の呼び方として定着した点が特徴です。
御座候という名前の由来株式会社御座候の公式サイトによると、名前には二つの思いが込められています。
「お買い上げ賜りありがたく御座候」
「私が焼いた回転焼で御座います」
前者は購入してくれたお客様への感謝、後者は自分たちが焼き上げた商品への自信と誇りを表しています。
もともと御座候は屋号として使われていた名称でした。創業当初は回転焼きとして販売していましたが、来店客が屋号を使って「御座候」と注文するようになり、商品名としても定着した経緯があります。この経緯は、Lmaga.jpが2022年に掲載した御座候への取材記事でも紹介されています。
つまり、御座候は今川焼きとは別の製法で作られた特別なお菓子というわけではありません。地域で親しまれてきた回転焼きが、企業独自のブランドとして発展した存在なのです。
【呼び方を比較】今川焼き・大判焼き・回転焼き・御座候の違い
同じような丸い焼き菓子でも、住んでいる地域によって呼び名が変わるのは興味深いところです。
特に関西では「回転焼き」と「御座候」が使われる一方、関東では「今川焼き」という呼び方が広く知られています。全国的な名称の違いには、地域の食文化だけでなく、店舗の進出や商品名の浸透も関係しています。
地域によって呼び方が変わる理由方言研究者の岸江信介氏による「今川焼きの呼び方、その違いを探る」という研究では、このお菓子に100種類を超える異名があることや、地域ごとに異なる呼び方が定着した背景が解説されています。
特に興味深いのは、店舗の看板やのれんが呼び名の定着に影響するという指摘です。地域で使われていた名称とは異なる商品名を掲げる店舗が進出すると、そのブランド名が日常的な呼び方になる場合があります。
御座候はその代表例です。姫路を中心に兵庫県や大阪府でブランド名が広く浸透し、一般的な回転焼きの意味でも使われるようになりました。
4つの呼び方を比較| 呼び方 | 主な意味・由来 | 特徴 |
|---|---|---|
| 今川焼き | 江戸の今川橋付近に由来 | 関東で広く使われる |
| 大判焼き | 大きな形状に由来 | 全国各地で使われる |
| 回転焼き | 焼き方に由来 | 大阪・兵庫・九州などで親しまれる |
| 御座候 | 姫路発祥の企業ブランド名 | 兵庫県を中心に商品名が定着 |
マイナビニュースが2024年1月に紹介した地域別アンケートでも、近畿地方の呼び方には明確な違いが見られました。
大阪府では回転焼きが59.5%、兵庫県では回転焼きが45.6%を占めています。京都府では今川焼きが71.6%と、同じ近畿地方でも地域差がありました。
なお、この数値は同記事で紹介されたアンケート結果であり、2026年の全国民を対象とする最新調査の割合ではありません。地域によって呼び方が違うことを示す参考データとして見るのが適切です。
御座候という名称が特に兵庫県で親しまれているのは、単なる方言の違いではなく、地元で長く営業してきたブランドの歴史とも深く結び付いています。
【赤あん・白あんを徹底比較】値段110円で味やカロリーはどう違う?
御座候を購入するときに迷うのが、赤あんと白あんのどちらを選ぶかという問題です。
2026年11月現在、公式商品ページに掲載されている価格は両方とも1個110円(税込)。価格差はありませんが、使われている豆の種類や味わい、栄養成分には違いがあります。
赤あんは北海道産小豆の風味が魅力赤あんは、御座候を代表する定番商品です。
中身には北海道産小豆を使用した小豆あんが入っています。公式サイトによれば、原料となる小豆は独自の品質基準で選別され、風味や色合い、粒の大きさなどにも配慮されています。
北海道の十勝地域の農協や企業との直接契約栽培によって、原料品質、選別品質、保管品質の向上にも取り組んでいます。
小豆本来の風味を楽しみたい人や、昔ながらのあんこが好きな人には、まず赤あんがおすすめです。
白あんはてぼう豆を使用した滑らかな味わい白あんは、小豆ではなくインゲン豆の一種である「てぼう豆」を使用しています。
公式サイトでは、白あんの特徴として、絹のように滑らかな口当たりを挙げています。赤あんとは異なる豆の風味を楽しめるため、小豆あん以外の和菓子が好きな人にも向いています。
さらに注目したいのが、2026年から使用を開始した新しい品種「白つむぎ」です。
従来使用してきた絹てぼうは、滑らかな口当たりが魅力でした。一方、北海道でのてぼう豆の生産減少などを背景に、御座候は生産面の課題を改善した新しい品種を開発。2023年に品種登録を出願し、2026年から使用を開始しています。
昔ながらの味を守るだけでなく、原材料の安定供給まで考えた取り組みが進められている点は、御座候の特徴といえます。
赤あん・白あんの価格とカロリー比較表| 比較項目 | 赤あん | 白あん |
|---|---|---|
| 価格(税込) | 110円 | 110円 |
| 1個のカロリー | 201kcal | 196kcal |
| たんぱく質 | 5.4g | 6.0g |
| 脂質 | 0.6g | 0.8g |
| 炭水化物 | 46.2g | 45.9g |
| 食塩相当量 | 0.6g | 0.6g |
| 主なあんの原料 | 北海道産小豆 | てぼう豆 |
| 特徴 | 小豆の風味 | 滑らかな口当たり |
出典:株式会社御座候公式商品ページ。数値は1個あたりの公式栄養成分表示。
カロリーだけを見ると、赤あんは201kcal、白あんは196kcalで、白あんのほうが5kcal低くなっています。
ただし、両者の差はわずかです。白あんだから大幅に低カロリーというわけではありません。脂質も赤あん0.6g、白あん0.8gと、ほぼ同水準です。
どちらを選ぶかは、カロリーの差よりも、あんこの風味や食感の好みを基準にするのがよいでしょう。
【原材料を検証】御座候は卵・乳不使用?アレルギーや北海道産小豆へのこだわり
御座候の特徴は、あんこだけではありません。生地の原材料にも独自のこだわりがあります。
赤あん・白あんの原材料公式商品ページに掲載されている原材料は次のとおりです。
赤あん
- 小豆あん(国内製造)
- 小麦粉
- 水あめ
- 膨張剤
白あん
- てぼうあん(国内製造)
- 小麦粉
- 水あめ
- 膨張剤
あんはすべて兵庫県姫路市にある自社工場で製造されています。また、膨張剤にはアルミニウムを含まないものを使用しています。
赤あんの小豆には北海道産のものが使用されており、素材の風味を大切にする商品づくりが続けられています。
卵・乳を使わない生地が特徴御座候の赤あん・白あんは、公式情報によると、卵や乳などの動物性原材料を使用していません。
これは一般的な今川焼きとの比較でも注目したい特徴です。一般的な今川焼きには卵を使った生地の商品もありますが、御座候は卵・乳を使わないシンプルな配合を採用しています。
ただし、卵・乳不使用だからといって、すべてのアレルギーに対応しているわけではありません。
公式のアレルギー表示では、赤あん・白あんともに小麦が表示されています。小麦アレルギーの人は食べられません。また、重いアレルギーがある場合は、製造環境や混入の可能性について購入前に店舗へ確認する必要があります。
卵や乳を避けたい人にとっては選択肢になりますが、食物アレルギーへの対応を判断する際には、原材料表示だけでなく販売元への確認も欠かせません。
【姫路発祥の歴史】1950年創業から2026年まで続く御座候の歩み
御座候の歴史を語るうえで欠かせないのが、兵庫県姫路市です。
株式会社御座候の公式会社案内によると、事業の始まりは1950年4月。冷菓業と回転焼業を開業したことが創業の起点となっています。
その後、1955年10月には姫路市に御座候本店を開業。1959年6月には株式会社御座候が設立されました。
つまり、1950年は事業の創業年、1959年は現在の会社の設立年です。この二つを区別すると、御座候の歴史がより正確に理解できます。
御座候の主な歴史年表| 年代 | 主な出来事 | 意味・背景 |
|---|---|---|
| 1950年4月 | 冷菓業・回転焼業を開業 | 姫路で事業を開始 |
| 1955年10月 | 御座候本店を開業 | 姫路に本店を構える |
| 1959年6月 | 株式会社御座候を設立 | 法人として事業を展開 |
| 1960年代 | 商品価格を12円、15円、20円などへ改定 | 事業の発展と価格の変化 |
| 2006年5月 | 工場ショップ開業・工場見学開始 | 製造現場を公開 |
| 2009年6月 | あずきミュージアム開館 | 小豆文化の発信を開始 |
| 2022年4月 | 手仕事喫茶「御座候」書写山麓店オープン | 手仕事と食文化を発信 |
| 2023年1月 | 商品価格を110円(税込)に改定 | 現行価格の起点 |
| 2026年 | 白あんに新品種「白つむぎ」を使用開始 | 原材料の安定供給と品質への取り組み |
この年表から分かるように、御座候は回転焼きの販売だけでなく、あんの製造、工場運営、小豆文化の発信などにも事業を広げてきました。
なぜ姫路発祥のブランドが全国に広がったのか御座候の事業展開を理解するうえで重要なのが、商品づくりの理念です。
公式商品紹介では、開業当時から北海道産小豆と良質な砂糖を使い、当時の市価の倍額で回転焼きを販売したことが紹介されています。
単に価格を抑えるのではなく、素材にこだわりながら、納得できる価格で提供する。この考え方は、現在も公式サイトに掲げられている「美味しくて、廉い」という商品づくりの理念につながっています。
また、2009年には姫路市にあずきミュージアムを開館。小豆の歴史や文化、栽培、食生活との関係を紹介する施設として、商品そのものを超えた情報発信にも取り組んでいます。
回転焼きという身近なお菓子を中心に、原料の調達から製造、販売、文化発信までをつなげていることが、長く親しまれてきた背景にあります。
【店舗・販売場所】御座候はどこで買える?焼きたての実演販売も魅力
御座候は、スーパーなどで一般的な冷凍食品として販売されている商品とは異なり、基本的に店舗で焼き上げたものを購入するスタイルです。
公式店舗案内によると、2026年5月時点で全国82店舗を展開しています。北海道から関東、東海、関西、中国、四国地方まで店舗があり、百貨店や駅周辺、商業施設などで見つけることができます。
店舗での実演販売が御座候の大きな特徴御座候の魅力は、商品を購入するだけでなく、職人が焼き上げる様子を目の前で見られることです。
店舗では、生地を焼き型に流し、あんを包み込むように焼き上げる作業が行われています。焼き台の前で職人が手際よく作業する姿は、御座候ならではの販売風景です。
焼き上がった商品は販売員によって包装され、温かい状態で手渡されます。公式サイトも、創業以来続く実演販売を大切にしていると説明しています。
焼きたてを購入できることは、食感や香りを楽しむうえでも大きな魅力です。持ち帰って食べる場合も、温め直すことで焼きたてに近い味わいを楽しめます。
店舗を探すときのポイント公式店舗案内では、都道府県別に店舗を検索できます。掲載対象地域は北海道、埼玉、千葉、東京、神奈川、静岡、愛知、岐阜、三重、京都、滋賀、大阪、兵庫、奈良、和歌山、岡山、広島、徳島などです。
店舗によって営業時間や施設の営業日が異なるため、訪問前に公式店舗案内で確認しておくと安心です。
また、公式オンラインショップでは袋入りのつぶあんなどを購入できますが、御座候そのものは生菓子として扱われ、季節商品と同様に店頭販売に限られています。
そのため、焼きたての赤あん・白あんを食べたい場合は、実演販売を行う店舗へ足を運ぶ必要があります。
【よくある質問】御座候に関するFAQ
Q1:御座候と今川焼きは同じものですか?
A1:基本的には同じ系統のお菓子です。御座候は兵庫県姫路市発祥の企業ブランド名であり、商品としては回転焼きに分類されます。
Q2:御座候の赤あんと白あんは2026年現在いくらですか?
A2:公式商品ページに掲載されている価格は、赤あん・白あんともに1個110円(税込)です。
Q3:御座候のカロリーは1個何kcalですか?
A3:赤あんは201kcal、白あんは196kcalです。どちらも公式の栄養成分表示に基づく1個あたりの数値です。
Q4:御座候は卵や牛乳を使っていますか?
A4:赤あん・白あんともに、公式情報では卵や乳などの動物性原材料を使用していません。ただし、小麦は使用しており、アレルギー表示にも記載されています。
Q5:御座候のあんこには北海道産小豆が使われていますか?
A5:赤あんには北海道産小豆が使用されています。白あんにはてぼう豆が使用されており、2026年からは新しい品種の白つむぎも使われています。
Q6:御座候はどこの県で生まれたお菓子ですか?
A6:兵庫県姫路市です。1950年4月に冷菓業と回転焼業を開業したことが事業の始まりで、1955年には姫路市に御座候本店が開業しました。
Q7:御座候は通販やオンラインショップでも買えますか?
A7:袋入りのつぶあんなどは公式オンラインショップで購入できます。一方、赤あん・白あんの焼きたて商品は基本的に店頭販売限定です。
【プロの結論】御座候の魅力は110円の価格だけではない
御座候を今川焼きや回転焼きと比較すると、基本的なお菓子の種類は同じでも、ブランドとしての歴史、素材へのこだわり、製造方法に独自性があることが分かります。
2026年11月現在、赤あん・白あんともに110円(税込)という価格で購入でき、カロリーはそれぞれ201kcalと196kcal。北海道産小豆を使った赤あん、てぼう豆を使った白あんという明確な違いもあります。
加えて、卵・乳不使用の生地、姫路の自社工場で製造するあん、2026年から導入された白つむぎなど、長年の伝統を守りながら原材料や製造面の改善も続けています。
購入する際の判断基準はシンプルです。
- 小豆本来の風味を楽しみたい人:北海道産小豆を使った赤あん。
- 滑らかな白あんが好きな人:てぼう豆を使った白あん。
- 卵・乳を避けたい人:両商品とも公式情報では卵・乳不使用。ただし小麦は含まれる。
- 焼きたてを楽しみたい人:実演販売を行う店舗で購入する。
1950年に姫路で始まった回転焼きが、屋号を商品名として定着させ、全国に82店舗を構えるブランドへと成長した御座候。その背景には、単に昔ながらの味を守るだけではなく、素材の品質や職人の技術を磨き続ける姿勢があります。
今川焼きなのか、回転焼きなのか、御座候なのか。呼び方は違っても、あんを生地で包んだ丸いお菓子を楽しむ文化は共通しています。次に店舗を見かけたときは、赤あんと白あんを食べ比べながら、姫路から続く手仕事の味を楽しんでみてはいかがでしょうか。