石破氏への投票者を調べるうえで、最も混同しやすいのが2024年9月27日の自民党総裁選と、10月1日の国会での首相指名選挙だ。
両者は投票者も選挙の目的も異なる。
2024年9月27日・自民党総裁選の決選投票結果215票

議員票189票+都道府県票26票
194票
議員票173票+都道府県票21票
石破氏は高市氏を21票上回り、第28代自民党総裁に選出された。
2つの投票結果を比較| 比較項目 | 自民党総裁選 | 首相指名選挙 |
|---|---|---|
| 投票日 | 2024年9月27日 | 2024年10月1日 |
| 選出する役職 | 自民党総裁 | 内閣総理大臣 |
| 投票者 | 自民党所属議員・党員等 | 衆参両院の議員 |
| 石破氏の得票 | 215票 | 衆院291票・参院143票 |
| 高市氏の結果 | 194票 | 衆院では石破氏に投票、参院では1票獲得 |
| 投票方式 | 無記名投票 | 記名投票 |
| 個人別投票先 | 原則特定できない | 公式記録で確認できる |
自民党の総裁公選規程では、投票は単記無記名で行うと定められている。一方、衆議院規則第18条と参議院規則第20条では、首相指名を記名投票で行うことが規定されている。
なぜ総裁選で高市氏を支持した議員も石破氏に投票できるのかここには、政治制度上の大切なポイントがある。
自民党総裁選は、自民党という政党の代表者を決める党内選挙だ。党所属議員は、自分が党の代表にふさわしいと考える候補者を選ぶ。
一方、首相指名選挙は国会議員として内閣総理大臣にふさわしい人物を選ぶ手続きである。
つまり、党内で高市氏を支持した議員が、国会では石破氏を首相に指名することも制度上可能だ。
実際、衆議院の石破氏への投票者一覧には高市早苗氏の名前が掲載されている。この事実は、総裁選の候補者別得票数だけを見て、首相指名選挙での投票先まで推測することができないことを示している。
【投票の仕組み】なぜ議員一人ひとりの名前まで分かるのか
首相指名選挙で個人名を確認できる理由は、国会の投票方式にある。
衆議院は投票者と指名対象者の氏名を記載衆議院規則第18条第1項では、内閣総理大臣の指名を記名投票で行うと規定している。
2024年10月1日の本会議でも、議長が投票用紙に指名される者と投票者の氏名を記載するよう求めた。
その後、議員の氏名が点呼され、各議員が投票した。投票箱を閉鎖して開票・点検を行い、得票数が発表された。
この手続きによって、誰が誰に投票したかを記録できる。
参議院も単記記名投票参議院規則第20条は、首相指名を単記記名投票で行うと定めている。
参議院でも投票者の氏名が確認できる方式であり、2024年10月1日の投票結果は、議院の公式資料として候補者別の投票者名簿とともに公表されている。
衆議院と参議院の投票結果が異なる場合日本の首相指名選挙では、衆参両院がそれぞれ指名を行う。
両院で異なる人物を指名した場合には、両院協議会などの憲法上の手続きを経ても意見が一致しなければ、衆議院の議決が国会の議決となる。
したがって、衆議院と参議院の票数は別々に集計される。291票と143票を単純に一つの選挙の得票数として扱うのは正確ではない。
【誤解を検証】石破氏に投票した議員は全員が石破支持派なのか
ここは、投票者一覧を読む際に注意したいポイントだ。
石破氏に投票した事実と、石破氏の政策や政治姿勢を全面的に支持していることは同じではない。
首相指名選挙の投票先から分かるのは、その議員が当該選挙で誰を首相に指名したかという事実である。
次のような解釈には注意が必要だ。
- 誤解1:291人全員が石破派である。 投票結果だけでは派閥や政治的な支持関係までは分からない。
- 誤解2:自民党議員だけが石破氏に投票した。 参議院では公明党27人と各派に属しない議員4人も投票している。
- 誤解3:総裁選で石破氏を支持した議員と首相指名選挙の投票者は同じ。 両選挙の投票者と投票方式が異なるため、個人単位で同一視できない。
- 誤解4:高市氏との総裁選で敗れた議員は石破氏に投票していない。 高市氏本人も衆議院の石破氏への投票者一覧に含まれている。
1. 投票日を確認する。 9月27日なら自民党総裁選、10月1日なら国会の首相指名選挙である。
2. 議院を確認する。 衆議院291票と参議院143票は別々の投票結果である。
3. 公式記録の種類を確認する。 得票数だけの資料と、投票者名簿まで記載した資料は区別する必要がある。
この3点を押さえるだけで、総裁選の議員票を首相指名選挙の投票者名簿として紹介するような誤りを避けられる。
【石破に投票した議員一覧】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:石破茂に投票した議員291人の名前はどこで確認できますか?
衆議院公式サイトの「第214回国会 本会議 第1号(2024年10月1日)」の会議録で確認できる。「石破茂君に投票した者の氏名」という項目に291人の氏名が掲載されている。
Q2:参議院で石破茂に投票した143人は全員自民党議員ですか?
違う。内訳は自民党112人、公明党27人、各派に属しない議員4人。自民党以外からも31人が石破氏に投票している。
Q3:高市早苗氏は石破茂氏に投票したのですか?
衆議院の2024年10月1日の首相指名選挙では、高市氏の名前が石破氏への投票者一覧に掲載されている。9月27日の自民党総裁選で石破氏と争ったこととは別の判断である。
Q4:自民党総裁選で石破茂氏に投票した議員の個人名も分かりますか?
2024年9月27日の総裁選は無記名投票であり、決選投票で石破氏に投票した189人の個人名を公式記録から特定することはできない。公表されているのは候補者別の得票数である。
Q5:石破茂氏の291票と143票を合計すると434票ですか?
そのとおり。衆議院291票と参議院143票を合計すると434票。ただし、これは二つの議院で行われた別々の投票の合計であり、一つの選挙での得票数ではない。
2024年10月1日の第214回国会における首相指名選挙では、石破茂氏が衆議院291票、参議院143票を獲得した。
今回確認した重要な事実は次のとおりだ。
- 衆議院では291人の投票者氏名が本会議会議録に掲載されている。
- 参議院では143人の氏名が公式投票結果資料に掲載され、会派別の内訳も確認できる。
- 参議院の内訳は自民党112人、公明党27人、各派に属しない議員4人。
- 高市早苗氏は総裁選の決選投票で石破氏と争ったが、首相指名選挙では衆議院で石破氏に投票した。
- 自民党総裁選の個人別投票先は、無記名投票のため公式記録から特定できない。
政治家の投票行動を正確に読み解くには、単純な得票数だけでなく、選挙の目的、投票方式、所属会派、実施日を切り分けることが欠かせない。
2026年時点で石破氏への投票者を調べる場合も、2024年10月1日の国会公式記録を基準にすることが、最も確実な確認方法となる。