2026年11月現在、マイルチャンピオンシップ南部杯は、1988年の創設から39回の歴史を重ねてきたダートマイル路線の最高峰競走の一つだ。2026年10月12日に盛岡競馬場で開催された第39回は、3番人気のメイショウハチローが1分34秒7で優勝。吉原寛人騎手とのコンビで、JpnI初制覇を果たした。前年の覇者ウィルソンテソーロは3着に敗れ、世代交代を感じさせる結果となった。
南部杯の過去結果を振り返ると、メイセイオペラやトウケイニセイといった地方競馬の名馬から、コパノリッキー、アルクトス、レモンポップなどのJRAの強豪まで、時代を代表するダート馬が優勝馬に名を連ねている。歴代優勝馬と騎手、走破タイムを整理しながら、直近10年(2017~2026年)の人気別成績、枠番別成績、払戻金、盛岡ダート1600mの特徴を詳しく見ていこう。
【2026年最新】南部杯の過去結果と第39回レースを振り返る

2026年10月12日、盛岡競馬場のダート1600mで第39回マイルチャンピオンシップ南部杯が開催された。
出走したのはJRA所属馬7頭と岩手所属馬4頭の計11頭。前年の優勝馬ウィルソンテソーロが1番人気、ルクソールカフェが2番人気に支持されるなか、3番人気のメイショウハチローが勝利を収めた。
第39回・2026年10月12日・盛岡競馬場・ダート1600m・良馬場
| 着順 | 馬名 | 騎手 | 人気 | タイム |
|---|---|---|---|---|
| 1着 | メイショウハチロー | 吉原寛人 | 3番人気 | 1:34.7 |
| 2着 | ストレングス | 小崎綾也 | 6番人気 | 1:34.9 |
| 3着 | ウィルソンテソーロ | 川田将雅 | 1番人気 | 1:35.4 |
勝ち馬と2着馬の差はわずか3/4馬身。先行したストレングスを、好位でレースを進めたメイショウハチローがゴール前で捉えた。
注目されたウィルソンテソーロは3着。昨年の勝利を再現することはできなかった。
このレースの要点は、メイショウハチローが単純に逃げ切ったわけではないことだ。NARのレース回顧によると、ストレングスが先手を取り、メイショウハチローはその直後のポジションを確保。前半の流れを見極めながら、直線で末脚を発揮した。
吉原騎手は馬の過去のレース内容から前方の位置取りを想定しており、実際の展開もイメージに近かったと振り返っている。
また、管理する福永祐一調教師にとっても、調教師として初めてのGI・JpnI制覇となった。松本好雄オーナーから初めて預かった馬で大きなタイトルを獲得したことも、この勝利を印象深いものにしている。
2026年の払戻金一覧2026年の南部杯は、上位人気だけで決まったわけではない。2着に6番人気のストレングスが入ったことで、馬連や3連単は比較的高い配当になった。
| 券種 | 組み合わせ | 払戻金(100円) |
|---|---|---|
| 単勝 | 1 | 710円 |
| 複勝 | 1 | 160円 |
| 馬連 | 1-6 | 9,130円 |
| 馬単 | 1→6 | 20,110円 |
| ワイド | 1-6 | 1,440円 |
| 3連複 | 1-2-6 | 3,240円 |
| 3連単 | 1→6→2 | 46,530円 |
特に3連単は46,530円。1番人気のウィルソンテソーロを3着に押さえながら、2着に6番人気を組み込めたかどうかが明暗を分けた。
【1988~2026年完全版】南部杯の歴代優勝馬・騎手・走破タイム一覧
創設から39回の歴史を一覧で確認南部杯は1988年、当初「北日本マイルチャンピオンシップ南部杯」として創設された。
第1回から第8回までは水沢競馬場を舞台に開催。1995年に中央・地方の全国交流競走となり、1996年から現在の盛岡競馬場に開催場所を移した。1997年にはGIに格付けされている。
以下は岩手競馬の公式資料に掲載された1988~2022年の歴代優勝記録と、NAR地方競馬情報サイトなどの2023~2026年の記録を統合した一覧だ。
出典:岩手競馬「第36回マイルチャンピオンシップ南部杯」公式プログラム、NAR地方競馬情報サイトの歴代優勝馬データ。2011年は震災復興のため東京競馬場で開催。
南部杯の歴史は、大きく3つの時代に分けられる。
第1期:地方競馬の実力馬が活躍した創設期
1988~1994年は水沢競馬場で開催され、トウケイニセイが1993年と1994年に連覇を達成した。地方競馬を代表する名馬が歴史を築いた時代だ。
第2期:JRAと地方の実力馬が競う交流競走の発展期
1995年以降、全国交流競走としての性格が強まり、メイセイオペラやトーホウエンペラーといった地方所属馬も優勝。特に1998年のメイセイオペラの勝利は、岩手競馬の歴史を語るうえで欠かせない。
第3期:JRAのダートトップクラスが中心となる時代
2000年代以降はアグネスデジタル、アドマイヤドン、エスポワールシチー、コパノリッキーなど、中央競馬の一線級が勝利を重ねる。
2016年から2026年までの10年間に限ると、優勝馬はすべてJRA所属馬だ。ただし、地方馬が上位に食い込む余地は残っており、2023年には兵庫所属のイグナイターが2着に入っている。
【過去10年のデータ分析】南部杯の人気別・枠番別成績と配当傾向
ここからは2017~2026年の10開催を対象に、人気、枠番、配当を比較する。
人気別成績は1番人気が優勢過去10年の人気別成績では、1番人気が5勝。勝率50%、3着内率80%という安定した数字を残している。
一方、4~6番人気からも勝ち馬が3頭出ている。2020年のアルクトスは6番人気、2019年のサンライズノヴァと2025年のウィルソンテソーロは4番人気だった。
人気別の主な成績は以下のとおり。
- 1番人気: 5勝、3着内率80%
- 2番人気: 1勝、3着内率60%
- 3番人気: 1勝、3着内率20%
- 4~6番人気: 3勝、3着内率30%
- 7番人気以下: 10年間で優勝馬なし、3着内率5.6%
注目すべきは、1番人気が強い一方で、必ずしも単勝人気だけで決着が決まらないことだ。
2026年も1番人気のウィルソンテソーロが3着、3番人気のメイショウハチローが優勝し、6番人気のストレングスが2着に入った。
この結果は、上位人気を軸にしながらも、相手候補には中穴を含める余地があることを示している。
枠番別成績は7枠と2枠が好成績枠番別では、7枠と2枠が比較的高い3着内率を記録している。
過去10年の集計では、7枠が30%、2枠が29.4%。一方、4枠と5枠からは勝ち馬が出ていない。
ただし、枠順だけで有利不利を決めるのは早計だ。
盛岡ダート1600mはスタートから最初のコーナーまでの距離が長く、馬群が落ち着くまでにポジションを調整しやすい。岩手競馬のコース解説でも、枠の内外による大きな有利不利は少ないと説明されている。
2026年は1枠のメイショウハチローが勝利し、2枠のウィルソンテソーロが3着に入った。外枠だけを重視する予想では、この結果を見落とす可能性がある。
払戻金から見る南部杯の波乱度南部杯は比較的上位人気が強いものの、配当には大きな幅がある。
2017~2026年の3連単を比較すると、次のような結果になる。
- 最高配当:2017年の125,590円
- 2番目の高配当:2020年の119,250円
- 最低配当:2018年の3,820円
- 10年間の平均:40,634円
単勝の平均払戻金は494円。人気馬の勝利が多いことから単勝は比較的落ち着きやすいが、2着・3着に人気薄が入ると3連単が大きく跳ね上がる。
2026年の3連単46,530円も、10年間の平均を上回った。
つまり、南部杯は「1番人気を信頼しやすいレース」である一方、「3連単まで堅いとは限らないレース」でもある。
【盛岡競馬場ダート1600m】南部杯のコース特徴と勝ちパターン
南部杯の予想で欠かせないのが、盛岡競馬場のダート1600mという特殊な舞台だ。
単純にダートマイルの実績だけを比較するのではなく、コース形状、位置取り、馬場状態を合わせて考える必要がある。
スタート地点から長い直線が続くワンターンコース盛岡ダート1600mは、2コーナー奥の引き込み線からスタートする。
特徴は、スタート地点から3コーナー付近まで長い直線が続くこと。NARのコース紹介では約900mの直線区間があり、岩手競馬の2026年版コースガイドでは向こう正面が約800mに及ぶと説明されている。
コースの主な特徴は以下のとおり。
- 左回りのダート1600m
- スタートは2コーナー奥のポケット
- 3コーナーまで長い直線が続く
- 3コーナー付近から下り坂
- ゴール前には上り坂がある
- 最大高低差は4.4m
- フルゲートは16頭
長い直線によって序盤から極端にコーナーへ押し込まれる展開になりにくく、各馬がポジションを確保する余地がある。
ただし、最後の直線には上り坂が待っているため、単純なスピードだけで押し切れるとは限らない。最後まで脚を使える持続力も求められる。
逃げ・先行馬と差し馬の評価南部杯では、先行力と持続力を兼ね備えた馬が好走しやすい。
理由は、スタート後に長い直線があることで先行争いの形が決まりやすく、道中でペースが落ち着く展開も生まれるためだ。
一方、前半から速い流れになれば、好位で脚をためた馬や差し馬にもチャンスが生まれる。
2026年のメイショウハチローは、ストレングスの直後につけて勝利した。後方から一気に追い込む競馬ではなく、展開を読みながら前方の位置を確保したことが勝利につながった。
予想では、単純な逃げ馬だけでなく、好位を取れる自在性のある馬も評価したい。
走破タイムのレコードはアルクトスの1分32秒7
アルクトス
1:32.7
2020年10月12日・第33回南部杯
騎手:田辺裕信
南部杯の歴代最速タイムは、2020年のアルクトスが記録した1分32秒7。
この記録は盛岡ダート1600mのレコードであると同時に、ダート1600mの日本レコードとして紹介されている。
2020年はアルクトスが6番人気から勝利し、2着モズアスコット、3着モジアナフレイバーという組み合わせで3連単119,250円の高配当となった。
翌2021年にもアルクトスが優勝し、連覇を達成している。
なお、歴代の走破タイムを比較する際は、馬場状態を考慮したい。2023年は稍重で1分33秒8、2024年は良馬場で1分35秒9だった。時計の速さだけで馬の能力を単純比較することはできない。
【歴代名馬と優勝騎手】南部杯を彩った名コンビの関係性
南部杯の歴史を振り返ると、単独の優勝記録だけでなく、同じ馬と騎手が繰り返し結果を残している点も興味深い。
歴代最多勝利騎手は菅原勲の5勝南部杯の歴代優勝騎手で最多勝利を記録しているのは、岩手競馬を代表する菅原勲騎手だ。
これまでに以下の5回を制している。
- 1990年:グレートホープ
- 1993年:トウケイニセイ
- 1994年:トウケイニセイ
- 1998年:メイセイオペラ
- 2002年:トーホウエンペラー
特に1998年のメイセイオペラの勝利は象徴的だった。
地方所属馬が全国の強豪を相手に南部杯を制し、翌1999年にはフェブラリーステークスも勝利。岩手競馬の存在感を全国に示した名馬である。
菅原勲騎手とメイセイオペラの組み合わせは、南部杯の歴史を語るうえで欠かせない存在だ。
田辺裕信騎手とアルクトス・コパノリッキー近年の最多勝利騎手として注目されるのが田辺裕信騎手だ。
2016年、2017年のコパノリッキー、2020年、2021年のアルクトスで優勝。合計4勝を挙げている。
特にアルクトスとのコンビは、2020年のレコード勝ちと翌年の連覇という、南部杯の歴史に残る実績を持つ。
また、コパノリッキーも2016年と2017年に連覇しており、同一騎手・同一馬による安定したパフォーマンスが目立った。
レモンポップとウィルソンテソーロの近年の実績2023年・2024年に連覇。坂井瑠星騎手とのコンビで、2年連続の南部杯制覇を果たした。
2025年の優勝馬。川田将雅騎手とのコンビで1分34秒3を記録。2026年は3着だった。
2026年の優勝馬。吉原寛人騎手とのコンビで、JpnI初制覇を達成した。
この3頭の関係性を整理すると、近年の南部杯の変化がよく分かる。
レモンポップは連覇によってマイル適性と安定感を示し、ウィルソンテソーロは2025年の勝利でその後の主役候補となった。そして2026年には、メイショウハチローが新たな優勝馬として名を刻んだ。
南部杯では連覇する馬が過去にも複数存在するが、前年の勝ち馬が翌年も必ず勝つわけではない。ウィルソンテソーロの2026年3着は、リピーター評価と当日の展開評価を分けて考える必要性を示している。
【プロの結論】南部杯の過去データを2027年以降の予想に生かす方法
過去の結果から予想に生かせる要点は、単純な人気や枠順だけではない。
予想で重視したい4つの判断材料1. ダートマイルでの実績
南部杯はダート1600mのJpnI競走。過去の勝ち馬にはダートマイルで高い実績を残した馬が多い。
フェブラリーステークス、かしわ記念、武蔵野ステークスなど、中央・地方のマイル重賞での走りを確認したい。
2. 先行力と位置取りの自在性
盛岡の1600mでは、スタートから最初のコーナーまでの長さを利用して好位を確保できるかがポイントになる。
逃げ一辺倒ではなく、他馬の動きを見ながら位置を変えられる馬は評価しやすい。
3. 1番人気を軸にする場合も相手を広げる
1番人気の勝率50%は魅力的だが、残りの半数は勝利していない。
2020年のアルクトスや2025年のウィルソンテソーロのように、4~6番人気からも勝ち馬が出ている。人気だけで消去するのは避けたい。
4. 枠順よりも枠順と脚質の組み合わせ
7枠の好走率は高いものの、2026年は1枠のメイショウハチローが勝った。
枠順を単独で評価するのではなく、スタートの速さ、周囲の馬の脚質、好位を確保できるかを総合的に判断したい。
過去データを見るときの3つの誤解- 誤解1:南部杯は必ず1番人気が勝つ。 実際は10年間で5勝。残り5回は別の人気馬が勝利している。
- 誤解2:外枠なら無条件で有利。 7枠の好走率は高いが、公式コース解説では枠順による大きな有利不利は少ないとされている。
- 誤解3:過去のレコードに近い時計を出せる馬が必ず勝つ。 馬場状態や展開によって走破タイムは変化する。時計だけで能力を判断するのは危険だ。
特に重要なのは、2017~2026年の勝ち馬がすべてJRA所属馬だった点だ。地方所属馬が上位に入るケースはあるものの、優勝馬を探す際にはJRAのダート重賞実績を持つ馬をまず検討する価値がある。
一方で、2026年のメイショウハチローは3番人気から勝利した。人気順だけでなく、コース適性と当日の展開を評価することが、過去データを実戦的な予想に変える鍵になる。
【南部杯の過去】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:南部杯はいつ創設された?
1988年に創設された。最初は北日本マイルチャンピオンシップ南部杯として水沢競馬場で開催され、1995年に全国交流競走となった。1996年から盛岡競馬場が舞台になっている。
Q2:南部杯の歴代最速タイムは?
2020年のアルクトスが記録した1分32秒7。田辺裕信騎手とのコンビで優勝し、盛岡ダート1600mのレコードを樹立した。
Q3:2026年の南部杯の優勝馬と騎手は?
2026年10月12日に行われた第39回の優勝馬はメイショウハチロー。吉原寛人騎手とのコンビで1分34秒7を記録した。3番人気からの勝利で、2着ストレングス、3着ウィルソンテソーロという結果だった。
南部杯は1988年の創設以来、地方競馬とJRAの強豪が競い合うダートマイルの重要競走として発展してきた。
歴代優勝馬にはトウケイニセイ、メイセイオペラ、アグネスデジタル、コパノリッキー、アルクトス、レモンポップ、ウィルソンテソーロなど、時代を代表する名馬が並ぶ。
2026年にはメイショウハチローが新たな優勝馬となり、吉原寛人騎手とのコンビでJpnIタイトルを獲得した。
過去10年のデータでは、1番人気の安定感、7枠や2枠の好走傾向、先行力を生かせる馬の強さが注目材料となる。一方で、2020年のアルクトスや2026年のメイショウハチローのように、人気だけでは判断できない勝利もある。
【プロの結論】 南部杯の予想では、過去の人気別成績を出発点に、ダート1600mの実績、盛岡への適性、位置取りの自在性、当日の馬場状態を組み合わせることが大切だ。
歴代優勝馬の名前を覚えるだけでなく、それぞれがどのような展開で勝利したのかを比較することで、南部杯の本質が見えてくる。2027年以降も、過去の記録と新しい世代の台頭を照らし合わせながら、次のチャンピオン誕生に注目したい。