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市町村とは何か?市・町・村の違いと役割、2026年最新の数・制度の仕組みを徹底解説

土森 弦 土森 弦 • 更新: • 公開: • 読了約 21 分
目次

市町村とは、住民に最も身近な行政サービスを担う地方公共団体です。日本の地方自治制度では、市・町・村が「基礎的な地方公共団体」として位置づけられ、住民票や戸籍の管理、子育て支援、福祉、教育、ごみ処理、地域の道路整備など、日常生活に直結する行政を担当しています。

2026年現在、日本の市町村数は全国町村会の公表によると、2026年4月1日時点で1,718団体(792市・743町・183村)です。ただし、市と町、町と村は単純に人口の多さだけで区別されているわけではありません。地方自治法による制度上の要件や都道府県との役割分担、東京23区の特別な位置づけを理解すると、市町村の仕組みがより明確になります。

【基本から理解】市町村とは?意味・定義と基礎自治体の役割

市町村とは

市町村とは、日本の地方公共団体のうち、市・町・村の3種類をまとめた呼び方です。住民が暮らす地域を行政区域として、それぞれの地域の実情に応じた行政運営を行っています。

法的な根拠となるのは、1947年に制定された地方自治法です。同法第1条の3では、地方公共団体を「普通地方公共団体」と「特別地方公共団体」に区分し、普通地方公共団体には都道府県と市町村が含まれると定めています。

市町村は「基礎的な地方公共団体」

地方自治法第2条第3項では、市町村を基礎的な地方公共団体として位置づけています。

ここでいう基礎自治体とは、住民の日常生活に密着した行政を総合的に担当する自治体を意味します。都道府県が広い地域を対象とした行政を担うのに対し、市町村は住民一人ひとりの生活に近い行政サービスを提供する役割を持っています。

例えば、引っ越しに伴う転入届、出生届、住民票の発行、国民健康保険、保育や子育てに関する相談などは、市町村の代表的な行政業務です。

市町村を構成する3つの自治体
  • 市:一定の人口規模や都市的な機能などの要件を満たして市制を施行した自治体。
  • 町:都道府県の条例で定められた町としての要件を満たす自治体。
  • 村:市や町とは異なる形で地域の自治を担う自治体。

いずれも地方自治法上の普通地方公共団体であり、地域住民の福祉を増進するために行政を行う点は共通しています。

市町村は単なる行政上の区分ではありません。それぞれが法人格を持ち、独自の予算や条例を設け、住民による選挙で選ばれた首長と議会を通じて地域の意思決定を行っています。

【人口だけでは決まらない】市と町の違い・町と村の違いを比較

市・町・村の違いを考えるとき、最初に知っておきたいのが人口要件です。特に市になるための条件は地方自治法第8条に規定されています。

市になるための4つの要件

地方自治法第8条第1項によると、市となる普通地方公共団体には、次の条件が大切です。

  1. 人口が5万人以上であること。
  2. 中心市街地を形成する区域内の戸数が、全戸数の6割以上であること。
  3. 商工業などの都市的な業態に従事する人と、その同一世帯に属する人の数が全人口の6割以上であること。
  4. 都道府県の条例で定める都市的施設など、都市としての要件を備えていること。

つまり、人口が5万人を超えれば自動的に市になれるわけではありません。住宅の集積状況、産業構造、都市的な施設など、複数の条件を満たす必要があります。

町になるための条件は都道府県ごとに異なる

町については、地方自治法第8条第2項で、当該都道府県の条例が定める町としての要件を満たすこととされています。

そのため、全国共通の人口基準があるわけではありません。人口や市街地の形成状況、産業構造などについて、都道府県ごとに異なる基準が設けられています。

町と村は人口だけで区別できない

町と村についても、全国一律の人口による境界線はありません。地方自治法では町となるための条件を都道府県条例に委ねており、村について全国共通の最低人口を定めているわけではありません。

そのため、人口の多い町が人口の少ない市よりも規模が大きくなるケースもあります。町だから行政サービスが劣る、村だから自治体としての権限が小さいという理解も正確ではありません。

市・町・村・都道府県・特別区の関係比較
区分 法律上の位置づけ 人口・制度上の特徴 主な役割
市 普通地方公共団体 市制施行には人口5万人以上などの要件がある 住民に身近な行政、都市機能の整備
町 普通地方公共団体 都道府県条例による町の要件を満たす 地域住民の生活に密着した行政
村 普通地方公共団体 全国一律の最低人口基準はない 地域の特性を生かした行政運営
都道府県 普通地方公共団体 市町村を包括する広域自治体 広域行政、連絡調整、市町村の補完
特別区 特別地方公共団体 東京都に23区が設置されている 基礎的な行政と都との事務分担

なお、市制施行のための人口要件と、既存の市が維持しなければならない人口要件は別の問題です。人口が5万人を下回ったからといって、自動的に町や村へ変更されるわけではありません。

市町村の名称や区分は、単純な人口ランキングではなく、法律上の要件と正式な行政手続きを踏まえて決まります。

【上下関係ではない】市町村と都道府県の違い・行政の仕組み

市町村と都道府県は、どちらも地方公共団体です。しかし、担当する行政の範囲や性質には違いがあります。

市町村は住民に近い行政、都道府県は広域行政

地方自治法第2条では、市町村と都道府県の役割を区別しています。

市町村は基礎的な地方公共団体として、地域における事務を一般的に処理します。一方、都道府県は市町村を包括する広域の地方公共団体として、広域にわたる業務、市町村間の連絡調整、市町村単独で処理することが適当でない業務などを担当します。

具体的には、次のような違いがあります。

  • 市町村:住民登録、戸籍、保育、介護、地域のごみ処理、身近な道路の管理など。
  • 都道府県:広域的な道路・河川の整備、県立高校、警察、産業振興、広域防災など。

ただし、実際の業務は法律によって細かく分担されており、同じ分野でも市町村と都道府県が協力して対応する場合があります。

市町村と都道府県は対等な地方公共団体

誤解されやすいのが、都道府県が市町村の上級組織に当たるという考え方です。

実際には、両者はそれぞれ独立した普通地方公共団体であり、単純な上下関係にはありません。都道府県が市町村を包括する二層構造を採用しているものの、それぞれが法律に基づいて自らの行政を行います。

東京都の公式な制度解説でも、都と市町村は対等な関係であり、処理する事務の範囲によって役割が分担されていると説明されています。

自治事務と法定受託事務の違い

市町村の行政事務は、大きく「自治事務」と「法定受託事務」に分けられます。

自治事務とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務に該当しないものです。地域の実情を踏まえた都市計画や行政サービスなどが代表例です。

法定受託事務とは、本来は国や都道府県が果たすべき役割に関係し、法律や政令によって地方公共団体が処理することとされた事務です。国政選挙に関する事務などが該当します。

市町村長と市町村議会の二元代表制

市町村の行政運営は、市町村長と市町村議会によって支えられています。

市町村長と議会議員は、どちらも住民の直接選挙で選ばれます。これを二元代表制と呼びます。

  • 市町村長:自治体を代表し、行政事務を管理・執行する。
  • 市町村議会:予算や条例などを審議・議決し、行政運営を監視する。

どちらも任期は原則4年です。首長が行政を執行し、議会が重要な意思決定や監視を担うことで、地域住民の意思を行政に反映させる仕組みになっています。

【生活に直結】市町村の行政サービスと具体的な仕事内容

市町村の役割を理解するうえで、最も身近なのが行政サービスです。市役所、町役場、村役場は、住民の生活に関するさまざまな手続きや支援を担当しています。

1. 戸籍・住民票などの行政手続き

転入・転出届、出生届、婚姻届、死亡届、住民票の写しや戸籍証明書の交付などは、市町村の代表的な窓口業務です。

住民基本台帳は、選挙人名簿への登録や各種行政サービスの基礎となる重要な情報です。引っ越しや家族構成の変化に伴う手続きも、原則として住所地などの市区町村の窓口で行います。

2. 子育て・教育・福祉

市町村は、子育て世帯や高齢者、障害のある人などを支援する行政サービスを提供します。

  • 保育所や子育て支援施設に関する業務
  • 児童手当などの申請受付や関連手続き
  • 介護保険や高齢者福祉に関する業務
  • 障害福祉サービスの相談や申請
  • 生活保護などの福祉行政
  • 公立小学校・中学校の設置や管理

ただし、教育分野では学校の設置者、教職員の任用、教育委員会の権限などが分かれているため、すべての業務を市町村だけで完結するわけではありません。

3. ごみ処理・道路・上下水道などの生活環境

地域の生活環境を維持することも、市町村の重要な仕事です。

家庭ごみの収集や処理、地域の公園の管理、道路の維持補修、上下水道の整備など、住民が日常的に利用する公共サービスを担います。

消防や水道などは、自治体によって広域連合や一部事務組合、都道府県などが担当する場合もあります。例えば、複数の市町村が消防業務を共同で運営するケースもあります。

4. 地域経済と防災への取り組み

市町村は、地域の農業、商工業、観光業などを支援するほか、地域防災計画の策定や避難所の運営、災害時の住民支援なども行います。

人口構成や地理的条件によって行政課題は異なります。都市部では交通、防災、住宅、保育需要が大きくなりやすく、農山村では高齢化、公共交通、医療へのアクセス、地域産業の維持などが重要な課題になります。

このように、市町村の行政サービスは全国一律の内容だけではなく、地域の条例や財政状況、人口構成、他の自治体との連携によって変わります。

【東京23区はどう違う?】特別区と市町村の関係を解説

市町村について調べる際に、特に混同されやすいのが東京23区です。東京都の区は、一般的な市町村や政令指定都市の行政区とは異なる制度で運営されています。

東京23区は市町村ではなく特別区

東京23区は、地方自治法上の「特別地方公共団体」に分類される特別区です。

普通地方公共団体である市町村とは法的な分類が異なりますが、特別区も基礎的な地方公共団体として、住民に身近な行政サービスを提供しています。

現在の23区制度につながる特別区は、1947年の地方自治法施行によって制度化されました。その後、自治権の拡充に向けた制度改正が重ねられています。

2000年の地方自治法改正で基礎自治体としての位置づけが明確に

大きな転換点となったのが2000年の地方自治法改正です。

この改正によって、特別区は基礎的な地方公共団体として位置づけられ、住民に身近な行政事務を担う自治体としての自主性・自律性が強化されました。

一般廃棄物の収集・運搬・処分に関する事務なども東京都から特別区に移管され、現在の役割分担につながっています。

東京都と特別区で分担する行政サービス

東京23区では、特別区が一般的な市町村の事務を担当する一方、大都市行政の一体性を確保する必要がある業務は東京都が担当しています。

代表例として、上下水道の設置・管理や消防などが挙げられます。

また、財政面でも特別な仕組みがあります。東京都と特別区の間で財源を調整する「都区財政調整制度」です。

この制度は、東京都と23区の間で行政サービスに必要な財源を配分し、特別区同士の財政力の差を調整するために設けられています。

東京都の公表資料によると、2025年度から都区財政調整の財源となる特別区の配分割合は56%に変更されています。

政令指定都市の行政区とは別の制度

もう一つ注意したいのが、横浜市、大阪市、名古屋市などに設置されている行政区との違いです。

政令指定都市の行政区は、市の内部を区分した行政単位であり、独立した地方公共団体ではありません。一方、東京23区の特別区は、それぞれが独立した地方公共団体として法人格や議会、区長を持っています。

したがって、同じ「区」という名称でも、東京23区と政令指定都市の行政区では法律上の位置づけが大きく異なります。

【2026年最新データ】市町村合併の経緯と全国の市町村数

現在の市町村数は、明治・昭和・平成の各時代に行われた大規模な市町村合併によって形成されました。特に平成の大合併は、現在の自治体の規模や行政区域に大きな影響を与えています。

明治・昭和・平成の大合併で自治体数は大幅に減少

日本の市町村合併には、大きく分けて3つの歴史的な動きがあります。

明治の大合併(1888~1889年)では、近代的な地方自治制度を整えるため、全国に存在した71,314の町村が15,859の市町村へと再編されました。小学校や戸籍などの行政事務を効率的に行うことが主な背景でした。

昭和の大合併(1953~1961年)では、戦後の地方自治制度の整備に伴い、市町村の行政能力を強化する目的で合併が進められました。市町村数は1953年の9,868から1961年には3,472へ減少しています。

平成の大合併(1999~2010年)では、地方分権の推進や行政・財政基盤の強化を背景に、国が合併を積極的に推進しました。合併特例債や地方交付税の合併算定替などの財政支援も活用されました。

平成の大合併で市町村数は3,232から1,727へ

平成の大合併による変化は、数字にも明確に表れています。

1999年3月31日時点で3,232だった市町村数は、2010年3月31日には1,727となりました。差し引き1,505団体の減少です。

2026年1月21日に財務省のランチミーティングで公表された日本総合研究所の調査資料でも、平成の大合併によって約3,200の市町村のうち約65%が合併に参加し、市町村の規模が大きく変化したことが示されています。

同資料によると、合併した自治体の平均人口は1999年の26,261人から2010年には92,339人へ増加し、平均面積も101.0平方キロメートルから358.3平方キロメートルへ拡大しました。

また、人口1万人未満の市町村の割合は、1999年の47.6%から2010年には26.5%に低下しています。

こうした変化は、自治体の財政基盤や行政組織の強化につながる一方、行政区域の拡大によって旧自治体の周辺地域から役所までの距離が遠くなるなど、住民サービスの提供方法にも新たな課題を生みました。

2026年4月1日現在の市町村数は1,718

全国町村会が公表している2026年4月1日現在の市町村数は、次のとおりです。

  • 市:792
  • 町:743
  • 村:183
  • 合計:1,718

平成の大合併が終わった2010年3月末の1,727団体と比較すると、2026年4月時点では9団体少なくなっています。大規模な再編が続いた平成期と比べ、現在の市町村数はおおむね安定した状態にあります。

なお、統計の数え方には注意が必要です。政府統計の総合窓口であるe-Statでは、北方領土にある6村を含めた市町村計が1,724と表示される集計があります。全国町村会が公表する1,718という数字は、この6村を含めない集計です。また、東京23区の特別区23団体は、この市町村数とは別に扱われます。

今後の市町村に求められる課題

2026年の地方行政を考えるうえで、避けられないのが人口減少と高齢化です。

小規模自治体では、税収の減少や職員の確保、公共施設の維持、医療・福祉サービスの提供などが課題になります。一方、大規模自治体でも、人口が集中する地域と周辺地域のサービス格差や、公共施設の老朽化への対応が必要です。

そのため、今後の自治体運営では、市町村合併だけでなく、複数自治体による広域連携、行政手続きのデジタル化、公共施設の共同利用、専門職員の共同確保なども重要な選択肢になります。

自治体の数を減らすことだけが行政改革ではありません。地域の実情に合ったサービスを、持続可能な形で提供できるかどうかが問われています。

市町村とは何かに関するよくある質問(FAQ)

Q1:市町村とは簡単にいうと何ですか?
A1:市町村とは、市・町・村の総称で、住民に身近な行政サービスを提供する基礎的な地方公共団体です。住民票や戸籍、子育て、福祉、ごみ処理、地域の公共施設の管理などを担っています。

Q2:市と町の違いは人口だけですか?
A2:いいえ。市になるには人口5万人以上に加え、中心市街地の戸数割合、都市的な産業に従事する人の割合、都市的施設などの要件を満たす必要があります。町については都道府県の条例で要件が定められています。

Q3:町と村の違いは何ですか?
A3:町は地方自治法第8条第2項に基づき、都道府県条例で定められた要件を満たす自治体です。村には全国一律の最低人口基準がありません。両者とも普通地方公共団体であり、人口だけで優劣を判断することはできません。

Q4:市町村と都道府県ではどちらが上ですか?
A4:法律上、単純な上下関係ではありません。市町村は住民に身近な基礎行政を担当し、都道府県は広域行政や自治体間の調整、市町村の補完などを担います。それぞれ独立した地方公共団体です。

Q5:東京23区は市町村に含まれますか?
A5:法律上は市町村ではなく、特別地方公共団体である特別区に分類されます。ただし、基礎的な地方公共団体として市町村に近い行政サービスを提供しており、東京都と役割を分担しています。

Q6:2026年現在、日本の市町村はいくつありますか?
A6:2026年4月1日現在、全国町村会の公表値では1,718団体です。内訳は792市、743町、183村です。東京23区は別の区分であり、北方領土の6村を含める統計では1,724と集計される場合があります。

市町村とは、住民に最も近い立場で地域行政を担う基礎的な地方公共団体です。地方自治法に基づき、市・町・村の3種類に分類され、それぞれが地域の実情に応じた行政サービスを提供しています。

【プロの結論】市町村を理解する3つの判断基準

第一に、自治体の区分と人口を混同しないこと。市には人口5万人以上などの市制施行要件がありますが、町と村には全国共通の人口基準がありません。自治体の規模と法的な区分は分けて考える必要があります。

第二に、都道府県と市町村の役割を区別すること。市町村は住民に近い行政、都道府県は広域行政を中心に担当します。両者は上下関係ではなく、法律に基づいて業務を分担しています。

第三に、東京23区の特別な制度を理解すること。東京23区は一般の市町村とは異なる特別地方公共団体ですが、基礎的な地方公共団体として住民生活を支えています。

2026年現在、日本には1,718の市町村が存在します。人口減少や高齢化、行政サービスのデジタル化が進むなか、自治体には地域の特色を生かしながら行政機能を維持することが求められています。

市町村の仕組みを理解することは、住民票や福祉などの日常的な手続きだけでなく、地方選挙、地域の財政、公共サービスのあり方を考えるうえでも役立ちます。自分が暮らす市町村の役割や行政サービスを知ることが、地域の自治に参加する第一歩になります。

主な事実確認資料

- 地方自治法・e-Gov法令検索:
- 全国町村会・2026年4月1日現在の市町村数:
- 政府統計e-Stat・市区町村数の集計:
- 東京都庁・都と特別区の制度、財政調整:
- 財務省掲載・2026年1月21日の平成の大合併に関する調査資料:
- 福岡県庁・地方自治体の役割と二元代表制:

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土森 弦

アニメ・漫画の制作発表を担当。制作会社と出版社の公式告知、原作者コメントを確認してから記事化します。

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