2026年11月4日現在、プロボクサー・那須川天心のボクシング戦績は10戦8勝(3KO)2敗。プロデビューから無敗を維持してきたキャリアは、2025年11月の井上拓真戦で初黒星を喫して転機を迎え、2026年4月には元世界2階級制覇王者フアン・フランシスコ・エストラーダを9回終了TKOで破った。しかし、同年9月27日の井上拓真との再戦でも判定負けとなり、世界王座獲得は持ち越しとなった。
一方、キックボクシング時代には42戦42勝(28KO)という圧倒的な記録を残し、RISEやISKAなど複数のタイトルを獲得。異なる競技で実績を積み上げてきた那須川は、現在どの位置にいるのか。帝拳ジムでのプロボクシング転向から全試合結果、獲得タイトル、KO率、井上拓真とのライバル関係まで、2026年11月時点の最新記録を整理する。
【2026年11月最新】那須川天心のボクシング戦績は10戦8勝3KO2敗

那須川天心のプロボクシング戦績は、10戦8勝2敗、KO勝利3回である。所属する帝拳プロモーションの公式選手プロフィールにも、この数字が掲載されている。
勝率に換算すると80%。8勝のうち3勝がKO・TKOによる決着で、勝利数を分母にしたKO率は37.5%となる。全10試合を分母にしたKO勝利の割合なら30%だ。KO率を比較するときは、どちらを分母にしているかを区別する必要がある。
特筆すべきなのは、2敗の相手がともに井上拓真である点だ。ほかの対戦相手には8戦全勝しており、世界トップクラスの選手との直接対決が現在の数字を形作っている。
2026年4月には元世界2階級制覇王者エストラーダをTKOで下し、世界王座への挑戦権を獲得した。ところが、その挑戦の舞台となった9月の再戦では井上に敗北。戦績だけを見ると2連敗だが、その間には世界的な実力者をストップした勝利も挟まっている。
ボクシング戦績の基本データ- 生年月日:1998年8月18日
- 出身地:千葉県松戸市
- 身長:165cm
- 所属:帝拳ジム
- 階級:バンタム級
- 構え:サウスポー
- プロデビュー:2023年4月8日
- ボクシング通算:10戦8勝(3KO)2敗
- 獲得したプロボクシングタイトル:第19代WBOアジアパシフィック・バンタム級王座
帝拳のプロフィールで興味深いのは、アマチュアボクシング戦績がないと記載されていることだ。那須川はボクシングのアマチュア競技を経てプロ入りした選手ではなく、キックボクシングで培った技術を土台に、プロボクシングの世界へ進んだ。
【全10試合を時系列で整理】那須川天心の全試合結果と対戦相手
那須川天心のプロボクシングデビューは2023年4月8日。有明アリーナで与那覇勇気と対戦し、6回判定勝ちを収めた。
その後、2024年に初のKO勝利を含む3連勝、2025年にはジェーソン・モロニーら実績ある選手を破り、世界挑戦へと進んだ。2026年11月時点の全10試合を時系列で整理すると、以下のようになる。
| 日付 | 対戦相手 | 試合の位置づけ | 結果 |
|---|---|---|---|
| 2023年4月8日 | 与那覇勇気 | プロデビュー戦 | ○ 6回判定 |
| 2023年9月18日 | ルイス・グスマン | プロ第2戦 | ○ 8回判定 |
| 2024年1月23日 | ルイス・ロブレス | プロ第3戦 | ○ 3回終了TKO |
| 2024年7月20日 | ジョナサン・ロドリゲス | プロ第4戦 | ○ 3回TKO |
| 2024年10月14日 | ジェルウィン・アシロ | WBOアジアパシフィック王座決定戦 | ○ 10回判定 |
| 2025年2月24日 | ジェーソン・モロニー | ノンタイトル戦 | ○ 10回判定 |
| 2025年6月8日 | ビクトル・サンティリャン | ノンタイトル戦 | ○ 10回判定 |
| 2025年11月24日 | 井上拓真 | WBC世界バンタム級王座決定戦 | ● 12回判定 |
| 2026年4月11日 | フアン・フランシスコ・エストラーダ | WBC世界バンタム級挑戦者決定戦 | ○ 9回終了TKO |
| 2026年9月27日 | 井上拓真 | WBC世界バンタム級タイトルマッチ | ● 12回判定 |
この10試合を振り返ると、2024年10月のジェルウィン・アシロ戦が最初の大きな節目だった。10回判定勝ちによってWBOアジアパシフィック・バンタム級王座を獲得し、単なる転向直後の注目選手から、プロボクシングのタイトル保持者へと立場を変えた。
2025年にはジェーソン・モロニーとビクトル・サンティリャンを連破。いずれも10回を戦い抜いて判定勝ちしており、試合を組み立てる能力と長いラウンドを戦う経験を積み重ねた。
その後の世界戦2連敗によって現在の通算成績は8勝2敗となったが、エストラーダ戦のTKO勝利は、世界トップレベルの選手に対しても試合をストップさせる力を持つことを示した一戦だった。
【井上拓真との2度の世界戦】初戦と再戦の結果を徹底比較
那須川天心のボクシングキャリアを語るうえで避けて通れないのが、井上拓真との2度の対戦だ。2025年11月の初戦、2026年9月の再戦はいずれもWBC世界バンタム級のタイトルを懸けた12回戦だった。
2025年11月24日:初の世界挑戦でキャリア初黒星初対決は2025年11月24日、TOYOTA ARENA TOKYOで開催されたWBC世界バンタム級王座決定戦だった。
当時、ボクシング転向後7戦全勝だった那須川にとって、8戦目での世界王座挑戦。相手は元世界王者で、ボクシング技術と経験を備えた井上拓真だった。
試合序盤は那須川がスピードと距離を生かして攻め、左の攻撃で存在感を示した。しかし、3回以降は井上が距離を縮め、接近戦で主導権を握る展開に変化する。
4回終了時点の公開採点は3者とも38対38。その後、井上が手数と攻撃の精度を高め、8回終了時点では2人のジャッジが井上を支持した。
最終結果は井上拓真の3-0判定勝ち(116-112、116-112、117-111)。那須川はプロボクシングで初めて敗れ、キックボクシングやMMAを含む無敗の格闘技キャリアにも初黒星が記録された。
この敗戦が示したのは、スピードや反射神経だけでは世界王者を攻略できないという現実だった。特に、距離を詰められた際の対応や近距離での攻防が大きな課題として浮かび上がった。
2026年4月11日:エストラーダ撃破で再び世界挑戦へ初戦の敗北から約5か月後、那須川は両国国技館でフアン・フランシスコ・エストラーダと対戦した。
エストラーダは世界2階級制覇の実績を持つメキシコの強豪。試合はWBC世界バンタム級の挑戦者決定戦として行われ、勝者が世界王座への挑戦権を手にする重要な一戦だった。
那須川は得意の左だけでなく、ボディーへの攻撃でも存在感を発揮。試合が進むにつれて優勢を広げ、9回終了後にエストラーダ陣営が棄権を申し入れたため、9回終了TKO勝ちが決まった。
世界的な実績を持つ相手をストップしたことは、初黒星からの再起として大きな意味を持った。この勝利で再びWBC世界バンタム級王座への挑戦権を獲得し、井上拓真との再戦が実現することになった。
2026年9月27日:再戦はダウンを奪うも判定負け2度目の対戦は2026年9月27日、TOYOTA ARENA TOKYOで開催されたWBC世界バンタム級タイトルマッチ。王者・井上拓真に対し、那須川は再び挑戦者としてリングに上がった。
今回の試合で特に注目されたのは7回だ。那須川の左ストレートが井上を捉え、ダウンを奪う場面が生まれた。初戦では敗れた相手から、明確なダメージを与える攻撃を成功させたのである。
しかし、ダウンだけで試合が決まるわけではない。井上は8回以降に立て直し、距離の管理や打ち終わりへの攻撃でポイントを重ねた。
最終判定は井上拓真の3-0勝ち(114-113、116-111、116-111)。那須川は2度目の世界挑戦でも王座獲得に届かなかった。井上はこの勝利でWBC世界バンタム級王座の2度目の防衛に成功した。
特に注目すべきなのは、114-113という接戦の採点が1人から出た一方、残る2人は116-111と井上を支持したことだ。7回のダウンは試合の流れを変えたものの、それ以前と以後の各ラウンドでポイントを積み重ねた井上の総合力が結果を左右した。
再々戦については、井上が試合直後のリング上で将来的な可能性に触れた一方、その後の記者会見では否定的な姿勢を示した。したがって、3度目の対戦が決定したという事実はない。
【キックボクシング戦績と獲得タイトル】42戦42勝の実績
ボクシング転向後の10戦だけを見ると、那須川天心の格闘家としてのキャリア全体は理解できない。むしろ、彼の名前を全国に知らしめたのは、キックボクシング時代に築いた圧倒的な無敗記録だった。
キックボクシングは42戦42勝(28KO)RISEの公式選手プロフィールによると、那須川のキックボクシング戦績は42戦42勝(28KO)。敗戦も引き分けもなく、KO勝利は28回に達している。
キックボクシングの勝利数に対するKO率は約66.7%。ボクシングの37.5%と比べても高い数字だ。ただし、競技ルール、対戦相手、試合時間、決着の判定基準が異なるため、単純な数字だけで競技能力を比較することはできない。
なお、RISEの公式プロフィールには、キックボクシング以外の競技記録も掲載されている。
- キックボクシング:42戦42勝(28KO)
- MMA:4戦4勝(3KO)
- MIX:1戦1勝(1KO)
- 競技別プロフィール上の総計:47戦47勝(32KO)
つまり、47戦47勝という数字はキックボクシングだけの記録ではない。キックボクシング単独の戦績は42戦42勝であり、MMAとMIXを含めた数字が47戦47勝となる。この違いは、那須川天心の戦績を調べる際に押さえておきたいポイントだ。
獲得タイトルと主な実績那須川がキックボクシング時代に獲得した主なタイトルは以下のとおりだ。RISE公式プロフィールに掲載されている実績を中心に整理した。
- RISE WORLD SERIES 2019 -58kg級王者
- 初代RISE世界フェザー級王者
- 第6代RISEバンタム級王者
- BLADE FC JAPAN CUP 55kg 2015トーナメント優勝
- RIZIN KICKワンナイトトーナメント(57kg)2017優勝
- ISKAオリエンタルルール世界バンタム級王者
- ISKAフリースタイルルール世界フェザー級王者
特にRISEでの複数階級・大会実績と、ISKAの異なるルールでの世界タイトル獲得は、当時の那須川が幅広いルールに対応していたことを示している。
THE MATCH 2022から帝拳ジムでのボクシング転向へキックボクシング時代の大きな節目となったのが、2022年6月19日のTHE MATCH 2022だ。東京ドームで武尊と対戦し、3回判定で勝利。長く注目されていた日本格闘技界のビッグマッチを制した。
この試合を最後にキックボクシングから離れ、次の競技人生として選んだのがプロボクシングだった。
2023年4月8日、有明アリーナで与那覇勇気を相手にプロボクシングデビュー。6回判定勝ちを収め、新しいキャリアをスタートさせた。その後は帝拳ジムに所属し、バンタム級を主戦場として世界ランキング上位を目指す道を歩んでいる。
キックボクシングで完成された実績を持つ選手が、あえて別競技の基礎から挑戦し直す。その決断こそ、那須川天心のキャリアを理解するうえで重要な転換点といえる。
【プロの結論】那須川天心の強みと世界王座獲得に向けた課題
2026年11月時点の戦績から見えてくるのは、那須川天心がボクシングの世界トップクラスと渡り合う能力を備えながら、世界王者になるための最後の壁に直面しているという現実だ。
強みはスピード、距離感、左ストレート那須川の大きな武器は、キックボクシング時代から培ってきた反応速度と距離感、そしてサウスポーから繰り出す左ストレートだ。
2026年9月の井上拓真戦では、その左ストレートで世界王者からダウンを奪った。さらに4月のエストラーダ戦では左ボディーを効果的に使い、9回終了TKO勝利につなげている。
この2試合は、那須川のパンチが世界的な実績を持つ選手にも通用することを示した。特に、顔面だけでなくボディーを攻める選択肢が増えている点は、ボクサーとしての成長を考えるうえで見逃せない。
課題は接近戦と12回を通じたポイント管理一方、井上拓真との2試合から浮かび上がった課題は、近距離での攻防とラウンドごとの試合運びだ。
初戦では井上が3回以降に距離を詰め、接近戦で主導権を握った。再戦でも7回にダウンを奪いながら、井上がその後のラウンドで試合を立て直している。
ボクシングは、相手を一度ダウンさせれば勝てる競技ではない。各ラウンドの有効打、攻防の質、試合全体のポイントを積み上げる必要がある。
那須川にとって今後の課題は、得意な距離で戦う時間を増やすだけでなく、相手に接近されたときにも攻撃と防御を両立させ、12ラウンドを通して安定した採点を獲得することだろう。
エストラーダ戦のTKO勝利をどう評価するべきか井上拓真に2連敗したからといって、那須川のボクシング能力を低く評価するのは適切ではない。2026年4月には、世界2階級制覇を経験したエストラーダを相手に明確なTKO勝利を挙げている。
ただし、エストラーダ戦の勝利はWBC世界王座そのものの獲得ではなく、挑戦者決定戦での勝利だ。この区別は重要である。
また、プロボクシングでは世界王座を獲得して初めて世界チャンピオンという肩書きを得られる。那須川はWBOアジアパシフィック王座を獲得しているが、2026年11月現在、WBC世界バンタム級王座は井上拓真が保持している。
したがって、現在の評価は「世界王者」ではなく、「地域タイトル獲得経験を持ち、世界タイトルに2度挑戦したバンタム級の実力者」とするのが正確だ。
今後の評価で注目したい3つのポイント- 接近戦への対応:相手に距離を詰められたとき、どのように自分の攻撃パターンを維持できるか。
- 試合全体の採点:一発のダウンだけでなく、12ラウンドを通してポイントを獲得できるか。
- 世界タイトルへの再挑戦:井上拓真との2連敗を踏まえ、別の世界王者やタイトル戦線でどのような結果を残すか。
この3点を見れば、単なる勝ち負けだけでは分からない那須川の成長を追いやすくなる。特に、世界戦で敗れた経験を次の試合にどう反映するかが、今後のキャリアを左右するポイントとなる。
【那須川天心の戦績】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:那須川天心のボクシング通算成績は? A1:2026年11月4日現在、10戦8勝(3KO)2敗。2敗はいずれも井上拓真とのWBC世界バンタム級の世界戦で記録したものだ。
Q2:那須川天心のキックボクシング戦績は? A2:42戦42勝(28KO)で無敗。RISE公式プロフィールでは、MMA4戦4勝、MIX1戦1勝も含めて47戦47勝(32KO)と掲載されている。
Q3:那須川天心はフアン・フランシスコ・エストラーダに勝った? A3:勝利している。2026年4月11日のWBC世界バンタム級挑戦者決定戦で対戦し、9回終了後にエストラーダ陣営が棄権したため、那須川のTKO勝ちとなった。この勝利で世界王座への挑戦権を獲得した。
2026年11月4日現在、那須川天心のボクシング戦績は10戦8勝(3KO)2敗。プロデビューから連勝を続けた後、井上拓真との世界戦で2度敗れた一方、フアン・フランシスコ・エストラーダには9回終了TKO勝利を収めた。
キックボクシング時代の42戦42勝(28KO)という記録や、RISE・ISKAなどで獲得した複数のタイトルは、現在のボクシングキャリアを支える大きな財産だ。帝拳ジムへの所属と2023年のプロ転向によって、新しい競技で世界の頂点を目指す挑戦が始まった。
しかし、2026年9月の井上拓真との再戦でも判定負けとなり、世界王座にはまだ届いていない。7回にダウンを奪った事実は成長を示す一方、12ラウンドを通じて勝ち切る難しさも浮き彫りにした。
那須川天心の現在を評価するうえで大切なのは、キックボクシング時代の無敗記録だけでも、ボクシングの2敗だけでも判断しないことだ。異なる競技への転向、世界王者との2度の対戦、エストラーダ戦での勝利を一つのキャリアとして見る必要がある。
世界王座獲得という目標はまだ達成されていない。だからこそ、次戦でどのような修正を見せるのか、そして再び世界タイトル戦線に戻れるのか。那須川天心のボクシング第2章は、今後の試合結果によって新たな評価が定まっていく段階にある。
主な事実確認資料
- 帝拳プロモーション公式選手プロフィール(ボクシング全10戦・戦績・タイトル)
- RISE公式選手プロフィール(キックボクシング戦績・獲得タイトル)
- スポーツナビ(2025年11月24日・井上拓真との初戦)
- 日刊スポーツ(2026年9月27日・井上拓真との再戦)
- スポニチ(2026年4月11日・エストラーダ戦)