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没収試合とは?成立条件・9対0の理由、プロと高校野球の実例を徹底解説

三国 颯真 三国 颯真 • 更新: • 公開: • 読了約 19 分
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没収試合とは、野球の試合中に重大な規則違反や試合続行の拒否などが発生した際、審判員が試合終了を宣告し、違反のないチームの勝利とする制度です。英語では「Forfeited Game」と呼ばれ、公認野球規則にも成立条件や試合結果の扱いが定められています。

通常の勝敗は得点によって決まりますが、没収試合では実際の試合展開とは異なる結果が記録されます。特に「なぜ9対0になるのか」「登録外選手が1人出場しただけでも成立するのか」「メンバー表の名前を間違えただけで負けになるのか」は、野球ファンや選手、指導者が知っておきたいポイントです。

【基本知識】没収試合とは?野球の試合が強制終了になる仕組み

没収試合とは

没収試合は、試合の途中で発生した規則違反などに対して、審判員が最終的な措置として宣告するものです。

通常の野球では、9イニング(大会規定によっては短縮)を戦い、得点の多いチームが勝者になります。しかし、没収試合では最後までプレーを続けることが認められず、違反のないチームに勝利が与えられます。

重要なのは、単に試合が途中で終わったというだけでは没収試合にならないことです。天候や設備の問題で試合が中止になる場合とは異なり、規則に定められた理由に基づく審判員の判断が必要になります。

公認野球規則7.03が定める没収試合

2026年現在、没収試合に関係する基本規定は、公認野球規則7.03「フォーフィッテッドゲーム」です。

同規則では、チームが試合開始や続行に関する義務を果たさない場合などに、相手チームへ勝利を与える仕組みが設けられています。

没収試合は、選手や監督に対する単なる注意や警告とは異なります。試合結果そのものを左右する重い措置であり、審判員にとっても安易に適用するものではありません。

実際、全日本野球協会のアマチュア野球規則委員会は2023年12月26日の通達で、没収試合について「審判員がとるべき最終手段」と位置付けています。

【成立条件】公認野球規則7.03で没収試合になる主なケース

没収試合の成立条件は、単純な反則だけではありません。試合開始への不服従、意図的な遅延、選手不足、審判員の指示への違反など、複数のケースが対象になります。

1. 試合開始の指示に従わない

球審が試合開始を宣告してから5分が経過しても競技場に出てこない、または競技場に出ても試合を始めようとしない場合、没収試合の対象になります。

ただし、審判員が避けられない事情による遅延と判断した場合は例外です。単純な交通事情などを含め、具体的な事情を踏まえた判断が行われます。

2. 試合を意図的に長引かせる、または短縮しようとする

試合を不当に引き延ばしたり、反対に短く終わらせたりするため、明らかに策略を用いた場合も対象になります。

通常の作戦や選手交代ではなく、試合の公平性を損なう意図的な行為が問題になります。

3. 試合の続行を拒否する

審判員が試合の一時停止や終了を宣告していないにもかかわらず、チームが試合の続行を拒否した場合です。

判定への不満から選手をベンチに引き揚げさせたり、守備位置につくことを拒んだりする行為は、重大な問題につながります。

4. 試合再開の指示に従わない

一時停止していた試合について、球審が再開を宣告してから1分以内に競技を再開しない場合も、没収試合の対象になります。

5. 警告後も故意に規則違反を繰り返す

審判員から警告を受けたにもかかわらず、故意かつ執拗に規則違反を繰り返す場合です。

一度のミスや偶発的なプレーと、警告を無視した継続的な違反行為は区別されます。

6. 退場処分を受けた選手を退場させない

審判員から試合から除かれるよう命じられた選手を、相当な時間内に退場させない場合も対象です。

7. 9人の選手を配置できない

公認野球規則7.03(b)では、チームが競技場に9人の選手を配置できなくなった場合、または配置を拒否した場合に、没収試合とすることが定められています。

例えば、交代選手が残っていない状態で負傷者が発生し、9人でプレーを続けられなくなった場合が該当します。

野球は原則として9人で行う競技です。8人で試合を続けたいと申し出ても、通常の公認野球規則では認められません。

【スコアの仕組み】没収試合はなぜ9対0になる?個人成績の扱いも解説

没収試合について特に検索される疑問が、勝敗が9対0になる理由です。

これは、公認野球規則のフォーフィッテッドゲームの定義で、没収試合の勝利チームに9対0の勝利を与えると定められているためです。

9対0は実際に9点を取ったことを意味しません。規則に基づいて決定される試合結果です。

実際の得点が9対0ではなくても結果は変わる

例えば、試合途中までA高校が9対3でリードしていたとします。しかし、A高校側に没収試合の理由となる規則違反があり、没収試合が宣告されれば、原則としてB高校が9対0で勝利します。

つまり、通常の野球であれば勝っていたチームが、規則違反によって敗者になる可能性があります。

個人成績はすべて消えるわけではない

ここで注意したいのが、試合結果と個人成績は別に扱われることです。

公認野球規則9.04の原注では、記録員は没収試合のスコアを9対0とみなしてはならないとされています。これは、没収宣告時点までの実際のプレーに基づく記録を、勝敗上の9対0と混同しないためです。

試合が正式試合となった後に没収された場合には、それまでに記録された個人およびチームの成績が公式記録に算入される取り扱いがあります。

そのため、没収試合になったからといって、それまでの安打や奪三振などが一律に消えるわけではありません。試合の成立状況や適用される規定に応じて処理されます。

【徹底比較】没収試合と試合放棄・コールドゲームの違い

没収試合と混同されやすい言葉に「試合放棄」と「コールドゲーム」があります。いずれも通常の9イニングを最後まで行わずに終わる可能性がありますが、理由と結果の扱いは異なります。

比較項目 没収試合 試合放棄 コールドゲーム
基本的な意味 規則違反などによる試合終了の宣告 チームが試合を続けることを放棄する行為 大会規定などに基づく試合の打ち切り
主な理由 試合続行拒否、選手不足、規則違反など チーム側の意思による競技の中断 天候、点差、時間など
審判員の判断 必要 放棄の状況を踏まえて判断 大会規定などに基づいて判断
勝敗の決め方 原則9対0 没収試合として扱われる場合は原則9対0 規定された正式な得点で決定
規則違反の有無 成立理由に規則違反などがある 放棄という行為自体が問題になる場合がある 必ずしも違反を伴わない
没収試合と試合放棄の違い

試合放棄は、チームが試合の続行を拒否する行為を指す言葉として使われます。一方、没収試合は、そのような行為などを受けて審判員が宣告する正式な試合結果です。

つまり、試合放棄は没収試合につながる原因の一つであり、両者は完全に同じ意味ではありません。

また、現在の公認野球規則では「フォーフィッテッドゲーム(没収試合)」という用語が使われています。日本のプロ野球の歴史や報道では、昔から「放棄試合」という呼び方も広く使われています。

没収試合とコールドゲームの違い

コールドゲームは、天候や球場の状態、規定された点差などによって、試合を最後まで行わずに終了させる制度です。

高校野球では、規定イニングを経過した時点で一定の点差がついている場合などに、コールドゲームが適用されることがあります。

一方、没収試合は点差が理由ではありません。試合途中で大きくリードしていても、規則上の条件を満たせば宣告されます。

コールドゲームは大会運営上認められた試合終了方法であり、没収試合は規則違反などに対する措置という点が最大の違いです。

【実例検証】プロ野球と高校野球で実際に起きた没収試合

没収試合はプロ野球では極めて珍しい一方、アマチュア野球では選手登録やメンバー表の管理に関連した事例が報告されています。

1971年7月13日:阪急対ロッテのプロ野球史に残る一戦

日本プロ野球の代表的な没収試合として知られるのが、1971年7月13日に西宮球場で行われた阪急対ロッテ戦です。

7回表のロッテの攻撃中、打者の江藤慎一をめぐるハーフスイングの判定が問題になりました。

当初、砂川恵玄球審はスイングをしていないと判断しましたが、阪急の捕手・岡村浩二が抗議した後、判定がストライクに変更され、江藤は三振となりました。

これにロッテ側が強く反発。三塁ベースコーチの矢頭高雄が審判員に抗議し、退場処分を受けるなど、試合は騒然としました。

さらに監督の濃人渉らが抗議を続けましたが、ロッテは試合の続行を拒否。最終的に没収試合となり、阪急の勝利が決まりました。

千葉ロッテマリーンズの公式球団史にも、1971年7月13日の出来事は「史上10度目の放棄試合」として記録されています。同球団史によると、濃人監督は同月23日に更迭され、大沢啓二が1軍監督に昇格しました。

この一戦は、判定への不満がチーム全体の試合続行拒否に発展した、プロ野球の歴史的な事例です。2026年の報道でも、日本プロ野球で最後に発生した放棄試合として取り上げられています。

2020年7月29日:高校野球大阪大会の八尾対美原戦

高校野球の事例として知られるのが、2020年7月29日の大阪府独自大会2回戦、八尾高校対美原高校の試合です。

試合は7回裏、八尾が9対3とリードし、コールド勝ち目前の展開でした。しかし、八尾の登録外選手が代打として出場したことが判明します。

その選手は四球で出塁していましたが、公式記録を担当するスタッフがメンバー表に名前がないことに気付き、大会本部が確認。その結果、没収試合となり、美原が9対0で勝利しました。

当時の大会では、1校30人まで選手登録ができ、試合ごとに20人のベンチ入りメンバーを変更できる特別ルールが設けられていました。八尾側は登録メンバーを誤って認識していたと報じられています。

この事例が示しているのは、選手交代や登録確認のミスが、試合結果を根本から変える可能性があるということです。

ただし、この2020年の事例を2026年の高校野球にそのまま当てはめることはできません。現在は登録選手と単純な記載ミスを区別する取り扱いが明確になっています。

【2026年最新ルール】登録外選手・メンバー表の誤記は即没収試合なのか

没収試合をめぐって、特に誤解が多いのが登録外選手の出場です。

「メンバー表に名前がない選手が1人でも出場したら即9対0で負ける」という理解は、現在の高校野球の規則を正確に表していません。

2026年版の日本高等学校野球連盟「高校野球特別規則」では、選手の登録状況と誤記の内容に応じた取り扱いが示されています。

選手登録原簿・ベンチ入りメンバー表・打順表は別物

最初に、次の3種類の書類を区別する必要があります。

  • 選手登録原簿:選手が所属チームに登録され、大会への出場資格を持つことを示すもの。
  • ベンチ入りメンバー表:当日の試合に出場できる選手を記載したもの。
  • 打順表:先発選手と打順、守備位置などを記載したもの。

全日本野球協会の2023年12月26日付通達でも、この3種類の書類の役割が整理されています。単に当日のメンバー表に名前がないことと、所属チームに登録されていない選手が出場することは、同じ扱いではありません。

2026年の高校野球特別規則で定められた扱い

現在の高校野球では、メンバー表の誤記について、判明したタイミングと選手の所属登録状況によって対応が変わります。

試合前に誤記が判明した場合は、選手登録原簿と照合して氏名や背番号を訂正します。通常、この段階で没収試合にはなりません。

メンバー表の交換後から試合開始までに判明した場合は、原則として誤記の訂正は認められません。ただし、登録原簿に基づく出場資格の確認を行い、チーム全体の没収試合とはしない取り扱いです。

試合中に登録外選手の出場が判明した場合は、実際にプレーする前であれば、その選手の出場を差し止めます。

すでにプレーした後で判明した場合でも、当該選手が所属連盟に登録された部員であり、監督とマネージャーの連絡ミスなど単純な間違いであれば、没収試合の対象にはしません。その時点で正規の選手に交代させ、それまでのプレーも有効として試合を続けます。

一方、所属チームの登録部員ではない選手が出場した場合には、没収試合の対象となります。いわゆる替え玉なども、この区別に関わる重大なケースです。

アマチュア野球全体でも誤記防止が課題

全日本野球協会のアマチュア野球規則委員会は、2023年12月26日、日本野球連盟、日本学生野球協会、全日本大学野球連盟、日本高等学校野球連盟、全日本軟式野球連盟、全日本女子野球連盟に向けて「没収試合防止に向けて」という通達を出しました。

この通達では、登録外選手の出場やメンバー表の誤記など、単純なミスによる没収試合が後を絶たないことが問題視されています。

また、試合前の選手登録原簿とメンバー表の照合、交代時の確認、選手名のフルネーム記載など、具体的な予防策も示されました。

ただし、大学野球や社会人野球、軟式野球などでは、所属団体や大会ごとの規定も確認する必要があります。高校野球の特別規則を、すべてのアマチュア大会にそのまま適用できるわけではありません。

【プロの結論】没収試合を防ぐために知っておきたい判断基準

没収試合を理解するうえで最も大切なのは、試合中のミスと、試合を成立させる資格や義務に関する重大な問題を区別することです。

例えば、メンバー表の氏名や背番号に誤りがあった場合でも、選手登録原簿に正しく登録されているかどうかで扱いが変わります。書類の誤記があったという事実だけで、すぐに没収試合と判断することはできません。

実際に試合に参加する選手や指導者にとっては、次の確認が重要です。

  • 大会の選手登録原簿に正しく登録されているか。
  • 当日のベンチ入りメンバー表に選手が記載されているか。
  • 打順表と実際に出場する選手が一致しているか。
  • 選手交代の際に、審判員と大会本部への通告が適切に行われているか。
  • 所属団体や大会独自の出場資格規定を理解しているか。

一方、観戦するファンにとっては、試合が途中で終了したからといって、すべてを没収試合と考えないことも重要です。雨天中止、コールドゲーム、ノーゲーム、没収試合では、それぞれ成立条件と記録の扱いが違います。

没収試合は、勝敗を決めるための通常の競技ルールではなく、公平な試合運営を守るための最終的な措置です。だからこそ、規則の適用だけでなく、試合前の確認体制や関係者間の情報共有も欠かせません。

【没収試合とは】に関するよくある質問(FAQ)

Q1:没収試合は必ず9対0になりますか?

A1:公認野球規則上の原則は9対0です。実際の試合が9対3などのスコアで進んでいても、没収試合が宣告されれば、勝敗上は原則9対0で処理されます。個人成績は別途、宣告時点までの記録などに基づいて扱われます。

Q2:登録外選手が1人でも出場したら没収試合になりますか?

A2:必ずしもそうではありません。2026年の高校野球特別規則では、所属連盟に登録されている選手について、単純な連絡ミスなどでメンバー表に記載されていなかった場合は、没収試合の対象としない取り扱いがあります。一方、所属チームに登録されていない選手の出場は、没収試合につながります。

Q3:プロ野球で最後に没収試合が発生したのはいつですか?

A3:1971年7月13日の阪急対ロッテ戦です。ハーフスイングをめぐる判定への抗議からロッテが試合続行を拒否し、没収試合となりました。日本プロ野球で最後の事例として知られています。

Q4:没収試合とコールドゲームは同じですか?

A4:異なります。コールドゲームは天候や点差など、大会規定に基づいて試合を終了する制度です。没収試合は規則違反や試合続行の拒否などに対する措置です。

Q5:試合が成立する前に没収試合になった場合も記録は残りますか?

A5:記録の扱いは、試合が正式試合として成立していたかどうかや適用規則によって異なります。正式試合成立後の没収試合では、それまでの個人成績やチーム記録が公式記録に算入される場合があります。

没収試合とは、野球の規則違反や試合続行の拒否などを理由に、審判員が試合終了を宣告し、相手チームに勝利を与える制度です。公認野球規則7.03に基づき、原則9対0で決着します。

プロ野球では1971年7月13日の阪急対ロッテ戦が最後の事例として知られています。一方、高校野球やアマチュア野球では、登録外選手の出場やメンバー表の誤記が問題となることがあります。

ただし、2026年の高校野球特別規則では、所属連盟に登録された選手の単純な記載ミスと、所属チームに登録されていない選手の出場が区別されています。メンバー表に名前がないという理由だけで、必ず没収試合になるわけではありません。

没収試合を正しく理解するには、試合続行の拒否、選手の出場資格、審判員の判断、正式記録の扱いという4つの視点が欠かせません。野球の勝敗を公平に守るための制度として、公認野球規則と各大会の特別規則を併せて理解しておくことが大切です。

主な根拠資料: 日本高等学校野球連盟「高校野球特別規則(2026年版)」、全日本野球協会アマチュア野球規則委員会の2023年通達、日本野球機構の公式記録規則、千葉ロッテマリーンズの球団史、2020年大阪大会に関する報道。

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コンテンツディレクター 三国 颯真
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