試合が行われたのは2026年7月11日。FIFAワールドカップ準々決勝の舞台となったアローヘッド・スタジアム(米国ミズーリ州カンザスシティ)には69,045人が詰めかけた。
アルゼンチンはリオネル・スカローニ監督の下、リオネル・メッシを中心に攻撃を組み立てた。一方、ムラト・ヤキン監督率いるスイスはグラニト・ジャカやブレール・エンボロを軸に対抗。守備を固めながらカウンターを狙う展開となった。
前半はアルゼンチンが先制したものの、後半にはスイスが同点に追いつく。さらにエンボロの退場という大きな転換点を経て、延長戦でアルゼンチンが2点を奪った。
試合の基本情報は次のとおりだ。
- 大会:2026 FIFAワールドカップ準々決勝
- 対戦カード:アルゼンチン代表対スイス代表
- 開催日:2026年7月11日(現地時間)
- 会場:アローヘッド・スタジアム(カンザスシティ)
- 観客数:69,045人
- 試合結果:アルゼンチン 3-1 スイス(延長戦)
- 次戦:アルゼンチンは準決勝でイングランドと対戦
ロイター通信の試合報道でも、アルゼンチンは延長戦で勝利をつかみ、準決勝進出を果たしたと伝えられた。スイスにとっては1954年以来となる準決勝進出への挑戦だったが、あと一歩届かなかった。
【試合経過を時系列で解説】先制点から同点弾、退場、延長戦の決着まで

アルゼンチン対スイスの試合経過で注目すべきなのは、スコアが動いたタイミングと、72分の退場によって試合の構図が変わったことだ。
FIFA公式の試合レポートとロイター通信の報道を基に、主要な出来事を整理する。
アルゼンチン3 - 1
スイス
10分|マック・アリスターが先制
メッシのCKからヘディングシュート。アルゼンチンが1-0とリード。
44分|エンボロにイエローカード
レアンドロ・パレデスへのファウルで警告を受ける。
67分|エンドイェが同点ゴール
リカルド・ロドリゲスとの連係から右足で決め、1-1。
72分|エンボロが退場
VAR確認後、シミュレーションによる2枚目のイエローカードで退場。
90分|後半終了
1-1のまま決着がつかず、延長戦へ。
112分|フリアン・アルバレスが勝ち越し
ペナルティーエリア外からの見事なシュートで2-1。
120分+1分|ラウタロ・マルティネスが追加点
アルマダのシュートのこぼれ球を押し込み、3-1。
この試合の流れをさらに理解するため、得点者とプレーの関係を一覧にした。
特に重要なのは、スイスが同点に追いついた直後に退場者を出したことだ。数的優位を得たアルゼンチンは攻撃の圧力を強めたが、スイスも守備を崩さず、90分間では勝敗が決まらなかった。
ロイター通信の報道によると、アルゼンチンは後半のアディショナルタイムにもメッシが惜しいシュートを放ったが、決勝点には至らなかった。
【アルゼンチン対スイスのスタメン】メッシ、ジャカ、エンボロらの布陣を比較
両チームの先発メンバーを見ると、アルゼンチンはメッシとフリアン・アルバレスを前線に配置し、中盤にはマック・アリスター、エンソ・フェルナンデス、ロドリゴ・デ・パウルらをそろえた。
スイスはグレゴール・コベルを最後尾に置き、マヌエル・アカンジ、ニコ・エルベディらが守備を担当。中盤ではジャカとレモ・フロイラーが試合を組み立て、エンドイェとエンボロが前線で攻撃を担った。
アルゼンチン代表のスタメン
- GK:エミリアーノ・マルティネス
- DF:ナウエル・モリーナ、クリスティアン・ロメロ、リサンドロ・マルティネス、ニコラス・タグリアフィコ
- MF:レアンドロ・パレデス、ロドリゴ・デ・パウル、アレクシス・マック・アリスター、エンソ・フェルナンデス
- FW:リオネル・メッシ、フリアン・アルバレス
スイス代表のスタメン
- GK:グレゴール・コベル
- DF:リカルド・ロドリゲス、マヌエル・アカンジ、ニコ・エルベディ、デニス・ザカリア
- MF:グラニト・ジャカ、レモ・フロイラー、ジブリル・ソウ、ファビアン・リーダー、ダン・エンドイェ
- FW:ブレール・エンボロ
試合の公式記録を掲載するCONCACAFの試合データとSky Sportsの先発メンバー情報でも、両チームの主力選手の出場が確認できる。
アルゼンチンの強みはメッシを起点とした攻撃の連動アルゼンチンの攻撃で大きな役割を果たしたのはメッシだった。前半10分の先制点も、メッシのコーナーキックから生まれている。
ただし、メッシだけに依存した攻撃ではない。マック・アリスターがゴール前に入り込んで得点し、延長戦ではアルバレスが個人技で均衡を破った。さらに途中出場のラウタロが最後の得点を決めた。
先発選手だけでなく、交代選手が延長戦で結果を残した点も、この試合におけるアルゼンチンの強みだった。
スイスは同点後の退場が大きな痛手にスイスは67分に同点に追いついたことで、試合を振り出しに戻した。エンドイェの得点は、左サイドでリカルド・ロドリゲスとパス交換を行い、最後は右足で仕留めたものだった。
そのわずか5分後にエンボロが退場。前線でボールを収め、相手守備陣に圧力をかける役割を担っていた選手を失ったことは、スイスにとって戦術的にも大きな損失だった。
【ブレール・エンボロの退場理由】VAR判定の経緯とIFABの後日見解
この試合で最も議論を呼んだのが、72分のブレール・エンボロの退場だ。
単に危険なタックルで一発退場になったわけではない。前半の警告に続く2枚目のイエローカードによる退場であり、その判定にはVARによる確認が関係していた。
退場までの流れ前半44分、エンボロはパレデスへのファウルでイエローカードを受けていた。
後半72分、エンボロがパレデスとの競り合いで倒れた際、主審のジョアン・ピニェイロは当初、パレデスにイエローカードを提示した。
ところが、その後VARによる確認が入り、主審は映像を確認。パレデスのファウルではなく、エンボロがシミュレーションを行ったと判断した。
結果としてパレデスへの警告が取り消され、エンボロにイエローカードが提示された。すでに1枚警告を受けていたエンボロは2枚目となり、退場処分になった。
ロイター通信とBBCの報道は、この判定が「誤認による選手の特定」というVARの運用をめぐる問題として議論されたことを伝えている。
IFABは7月28日に判定手続きの問題を明らかにしたさらに注目すべきなのは、試合後の2026年7月28日に国際サッカー評議会(IFAB)が公表した見解だ。
IFABは、VARの「誤った選手の特定」に関する規定について、警告を受ける選手を取り違えた場合の修正には利用できるものの、警告の対象となった反則そのものを再審査して変更するためには使えないと説明した。
つまり、今回のケースでは、パレデスに対する警告をエンボロへの警告に変更する形で、シミュレーションの有無までVARが判断したことが、当時の運用規定に照らして問題になった。
退場判定をめぐる重要な整理
主審の最終判断
エンボロに2枚目のイエローカードを提示し、退場処分。
IFABの説明
当時のVAR規定では、誤認による選手の特定を理由に反則自体を再審査・変更することは認められていなかったと説明。
この問題は試合結果そのものを変更するものではない。アルゼンチンの3-1という公式結果はそのままだが、スイスが数的不利になった判定の手続きには問題があったことが、後日明確になった。
ロイター通信によれば、IFABは2026年ワールドカップでのこの運用をVARプロトコルの詳細な見直しの対象とし、見直しが終わるまでは同様の方法で適用できないと説明した。
試合直後にはスイスのムラト・ヤキン監督も判定への不満を示していた。退場が勝敗に影響したことは否定できず、今回の一戦はVARの適用範囲を考えるうえでも重要な事例となった。
【アルゼンチン対スイスの過去の対戦成績】2014年W杯との違い
アルゼンチンとスイスは、2026年の準々決勝以前にもワールドカップや国際親善試合で対戦してきた。
特に比較されるのが、2014年ブラジル大会の決勝トーナメント1回戦だ。このときも両国の試合は延長戦に突入し、アルゼンチンが1-0で勝利している。
2014年はディ・マリア、2026年はアルバレスが決着をつけた2014年7月1日の試合では、通常の90分間で得点が生まれず、延長戦に突入した。
そして118分、メッシのパスを受けたアンヘル・ディ・マリアが決勝ゴールを記録。アルゼンチンが1-0でスイスを下し、準々決勝へ進んだ。
2026年も延長戦で決着した点は共通している。しかし、今回はマック・アリスターが先制し、エンドイェが同点に追いつき、アルバレスとラウタロが終盤に得点するという、より多くのゴールが生まれた試合だった。
両国の主な対戦記録国際A代表の対戦記録を確認すると、2026年の試合を含め、確認できる対戦は計8試合。アルゼンチンが6勝2分けで、スイスは勝利を挙げていない。
| 年 | 大会・試合 | 結果 |
|---|---|---|
| 1966年 | ワールドカップ | アルゼンチン 2-0 スイス |
| 1980年 | 国際親善試合 | アルゼンチン 5-0 スイス |
| 1984年 | 国際親善試合 | スイス 0-2 アルゼンチン |
| 1990年 | 国際親善試合 | スイス 1-1 アルゼンチン |
| 2007年 | 国際親善試合 | スイス 1-1 アルゼンチン |
| 2012年 | 国際親善試合 | スイス 1-3 アルゼンチン |
| 2014年 | ワールドカップ | アルゼンチン 1-0 スイス |
| 2026年 | ワールドカップ | アルゼンチン 3-1 スイス |
2012年の親善試合ではメッシがハットトリックを記録している。2014年にはディ・マリアが決勝点を決め、2026年にはアルバレスが延長戦で試合を動かした。
こうして振り返ると、両国の対戦ではアルゼンチンが優勢を維持している一方、スイスもワールドカップの舞台では簡単に崩れない試合を演じてきたことが分かる。過去の対戦記録はNational Football TeamsやUEFAなどの試合資料でも確認できる。
【2026年最新試合ハイライト】見逃せない3つのプレーと勝敗の分岐点
試合のハイライトを振り返るなら、単純に3つのゴールだけを見るのではなく、その前後に起きたプレーにも注目したい。
1. マック・アリスターの先制ヘディング
メッシのコーナーキックに反応し、ゴール前でヘディング。相手の守備陣に囲まれながらも先制点を奪った。
2. エンドイェの同点ゴール
リカルド・ロドリゲスとのパス交換から右足でシュート。アルゼンチンの守備を崩し、試合を1-1に戻した。
3. アルバレスの延長戦スーパーゴール
ゴールから距離のある位置から放ったシュートがゴール上隅へ。均衡を破る2-1の勝ち越し弾となった。
そして最後に、ラウタロ・マルティネスがアルマダのシュートのこぼれ球を押し込み、3-1。試合終了間際の追加点でアルゼンチンの勝利が確実になった。
FIFAは2026年7月12日付で、この試合の公式ハイライトと試合レポートを公開している。得点シーンだけでなく、エンボロの退場判定や延長戦の攻防を確認する際には、FIFAの公式映像・記録が参考になる。
【サッカーアルゼンチン代表対スイス代表試合経過】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:アルゼンチン代表対スイス代表の試合結果は?
アルゼンチンがスイスに3-1で勝利した。90分間は1-1で、延長112分にフリアン・アルバレス、120分+1分にラウタロ・マルティネスが得点した。
Q2:アルゼンチン対スイス戦で得点した選手は誰?
アルゼンチンはアレクシス・マック・アリスター、フリアン・アルバレス、ラウタロ・マルティネスの3人。スイスはダン・エンドイェが1得点を記録した。
Q3:ブレール・エンボロはなぜ退場になった?
前半44分に警告を受けていたエンボロは、後半72分にシミュレーションと判断されて2枚目のイエローカードを提示された。ただし、このVAR運用については7月28日にIFABが当時の規定上の問題を説明している。
Q4:リオネル・メッシはゴールを決めた?
この試合でメッシ自身の得点はなかった。一方、前半10分のマック・アリスターの先制点につながるコーナーキックを蹴っている。
Q5:2014年ワールドカップのアルゼンチン対スイス戦は何対何だった?
2014年7月1日の決勝トーナメント1回戦では、アルゼンチンが1-0で勝利した。延長118分にアンヘル・ディ・マリアがメッシのアシストから決勝点を決めた。
Q6:2026年の試合はどこで開催された?
米国ミズーリ州カンザスシティのアローヘッド・スタジアムで開催された。観客数は69,045人だった。
2026年FIFAワールドカップ準々決勝のアルゼンチン対スイスは、3-1という結果以上に、多くの見どころと議論を残した試合だった。
マック・アリスターの先制点、エンドイェの同点弾、エンボロの退場、そしてアルバレスとラウタロの延長戦での連続得点。これらが試合の流れを大きく変えた。
アルゼンチンの勝利を支えたのは、メッシのセットプレーから始まる攻撃の連動、延長戦でも得点を奪える選手層、そして最後まで攻撃の機会を作り続けた姿勢だった。
一方、エンボロの退場については、試合後のIFABの説明によってVARの適用範囲という新たな問題が浮き彫りになった。試合の勝敗と判定の正当性は、分けて考える必要がある。
2014年大会に続いて延長戦でスイスを破ったアルゼンチン。2026年大会のこの一戦は、結果だけでなく、VAR運用の議論という面でも記憶される準々決勝となった。