稲垣那奈子のプロキャリアを語るうえで欠かせないのが、2025年6月1日の「リゾートトラスト レディス」だ。
プロ2年目で迎えたこの大会で、稲垣は最終日を首位からスタート。最終的に通算7アンダー、281ストロークで逃げ切り、待望のツアー初優勝を達成した。
最終18番で見せた冷静な判断大会は徳島県鳴門市のグランディ鳴門ゴルフクラブ36で開催された。
最終日、稲垣は一時通算8アンダーまでスコアを伸ばし、2位に2打差をつけて最終18番を迎えた。
しかし、2打目をグリーンに乗せたものの、残ったバーディーパットは約14メートル。簡単に沈められる距離ではなかった。
ここで稲垣が意識したのは、カップをオーバーさせることだった。
前日までに短いバーディーパットを何度かショートしていた反省を踏まえ、ファーストパットを強めに打つ判断をしたのである。
結果は約2メートルオーバー。その後のパットを外してボギーとしたが、リードを守り切り、1打差で優勝した。
最終日のスコアは73。派手なバーディーで締めくくる勝利ではなかったが、プレッシャーのかかる最終ホールで優勝を守り抜いたことに価値がある。
優勝を支えたドライバーの安定感JLPGAの大会総括で特に注目されたのが、フェアウェイキープ率だ。
稲垣は大会期間中、82.14%という高い数字を記録した。
最終日は1オーバーと苦戦したものの、難しいグリーンを攻略するためにフェアウェイからセカンドショットを打てる状況を多く作ったことが、優勝を支えた。
また、シーズン前にはプロ野球選手の自主トレーニングに参加し、走り込みによる下半身強化にも取り組んでいたという。
飛距離だけでなく、最終日までドライバーを振り切れる身体づくりが結果につながった。
早稲田大学出身の女子プロとしても歴史的な優勝この優勝には、もう一つの意味があった。
デイリースポーツの報道によると、稲垣は早稲田大学出身者として初めて女子ツアーで優勝した選手となった。
高校卒業後すぐにプロを目指すのではなく、大学でスポーツ科学を学んでからプロになる道を選んだ。その選択が、プロ2年目の優勝という形で実を結んだ。
優勝後の報道では、大学での学びについて、本人が「間違っていなかった」と振り返ったことも紹介されている。
稲垣那奈子は、2025年のリゾートトラスト レディスで96期生として最初のツアー優勝を達成。大学で学んだ知識と競技経験を結果につなげた。
【2026年最新成績】賞金ランキング・メルセデスランキングを検証

2026年の稲垣那奈子は、初優勝を経験した翌シーズンも国内女子ツアーで安定して賞金を積み重ねている。
11月1日の樋口久子 三菱電機レディス終了後の集計では、賞金ランキング23位。メルセデス・ランキングは45位となっている。
2026年の主要ランキング
賞金ランキング23位
51,909,071円
メルセデス・ランキング45位
462.83ポイント
今季出場試合数33試合
トップ10入り4回
出典:ALBA Net、GDOの2026年度ランキング集計。メルセデス・要点は公表値の小数点以下を含む数値。
2026年の獲得賞金は約5,191万円。年間33試合に出場し、賞金ランキング23位につけている。
賞金面で大きく貢献した大会の一つが、6月のEARTH MONDAMIN CUPだ。
稲垣は同大会で2位タイに入り、通算11アンダー、277ストロークを記録。4日間を通して上位争いを演じた。
そのほか、2026年には次のような成績を残している。
| 大会 | 2026年の成績 |
|---|---|
| 富士フイルム・スタジオアリス女子オープン | 5位 |
| NEC軽井沢72ゴルフトーナメント | 7位タイ |
| EARTH MONDAMIN CUP | 2位タイ |
| NOBUTA GROUP マスターズGCレディース | 10位タイ |
| 樋口久子 三菱電機レディス | 16位タイ |
特にEARTH MONDAMIN CUPの2位タイは、2026年の代表的な好成績だ。初優勝後も優勝争いに加われる競技力を維持していることが分かる。
メルセデスランキング45位の意味賞金ランキングとメルセデス・ランキングは、同じ順位になるとは限らない。
ここは女子ゴルフの成績を見る際に間違えやすいポイントだ。
- 賞金ランキング:大会で獲得した賞金額の累計で順位を決める。
- メルセデス・ランキング:各大会の順位に応じてポイントを加算し、年間の総合的な活躍度を評価する。
JLPGAの公式説明によると、メルセデス・ランキングは決勝ラウンド進出者に順位に応じたポイントを加算する仕組みだ。
加えて、シーズン終了時および第46週の対象大会終了時点で上位50位に入ると、翌シーズンのJLPGAツアー出場資格に関わるシード権を獲得できる。
したがって、稲垣の賞金23位とメルセデス45位には大きな意味の違いがある。
賞金では上位に位置する一方、ポイントでは年間を通じた順位の積み重ねが課題となる。2026年11月時点ではメルセデスランキングも50位以内に入っているが、年間順位が確定するまではシード権を確定扱いできない。
2026年の日本女子オープンは42位タイ2026年10月1日から4日に開催された日本女子オープンゴルフ選手権では、稲垣は42位タイでフィニッシュした。
4日間のスコアは71、72、73、73の合計289ストローク。通算9オーバーだった。
前年の2025年大会では15位タイに入っているため、2026年は前年を上回る成績には届かなかった。
日本女子オープンは国内女子ゴルフの公式競技であり、通常の大会とは異なる難度や競技条件への対応も問われる。こうした大会で上位を狙えるかどうかは、今後の成長を測る材料の一つになる。
【プレースタイル分析】ドライバー飛距離249ヤードの強みと課題
稲垣那奈子の大きな武器はドライバーだ。
JLPGAのプロテスト合格者プロフィールでも、ドライバーの平均飛距離は250ヤードと記録されており、本人も得意クラブとしてドライバーを挙げている。
2026年の競技データでも、その強みは数字に表れている。
2026年のショット・パッティング指標| 指標 | 数値・順位 |
|---|---|
| ドライバー平均飛距離 | 249ヤード・9位 |
| フェアウェイキープ率 | 59.6%・77位 |
| パーオン率 | 66.7%・40位 |
| 平均ストローク | 72.5・65位 |
| 平均パット数 | 1.82・58位 |
| 平均バーディー数 | 3.07・35位 |
| パーセーブ率 | 82.0%・70位 |
平均249ヤードという数字は、国内女子ツアーでも上位に位置する。
2026年のドライビングディスタンスは9位。単純に飛ばせるだけではなく、長い距離を残すホールでセカンドショットを有利に運べる可能性がある。
2023年のプロテスト時点でも250ヤードの平均飛距離が記録されており、ドライバーはプロ入り前からの強みだった。
一方でフェアウェイキープ率には改善の余地注目したいのは、飛距離とフェアウェイキープ率の順位差だ。
飛距離が9位なのに対し、フェアウェイキープ率は77位となっている。
これは、飛距離を武器にしながらも、ショットの方向性や安定性に改善の余地があることを示すデータだ。
もっとも、フェアウェイキープ率だけでショットの良し悪しを判断することはできない。ラフからのリカバリー能力や、パーオン率、コースの難度も合わせて見る必要がある。
稲垣の場合、パーオン率は40位と比較的上位に位置する。ドライバーでフェアウェイを外した場合でも、セカンドショットでグリーンを狙う能力は一定水準にあると考えられる。
身体づくりと大学時代の学びが競技に生きる稲垣のプレースタイルを理解するうえで、早稲田大学時代のスポーツ科学の学びも見逃せない。
長い距離を飛ばすためには、スイング技術だけでなく、下半身の強さ、柔軟性、身体の使い方が関わってくる。
三菱電機の公式インタビューでは、稲垣は自身のプレーについて次のように表現している。
アグレッシブさと丁寧さを掲げ、常に上位を目指して戦っています。
この言葉は、単に飛距離で勝負するのではなく、攻める場面と慎重にプレーする場面を使い分ける競技姿勢を示している。
今後の注目点は、249ヤードの飛距離を維持しながら、フェアウェイキープ率とリカバリー率をどこまで改善できるかだ。
ドライバーの強さをスコアに結びつけられれば、賞金ランキングだけでなく、メルセデス・ランキングでもさらなる上昇が期待できる。
【プロの結論】稲垣那奈子の評価は初優勝から次の成長段階へ
稲垣那奈子のキャリアには、明確な一貫性がある。
高校時代から実績を積み、大学進学を通じて身体と競技について学び、2023年にプロテストを突破。2025年には96期生として最初のツアー優勝を果たした。
そして2026年は、賞金ランキング23位、メルセデスランキング45位という成績を残している。
現段階での評価を整理すると、次の3点が重要だ。
1. 競技基盤の強さ:大学でスポーツ科学を学び、身体づくりやコンディショニングを重視している。
2. 明確な武器:平均249ヤードのドライバー飛距離は国内女子ツアーでも上位。
3. 次の課題:ショットの方向性やリカバリーを改善し、上位フィニッシュを継続すること。
初優勝が偶然だったのかを判断するなら、その後のシーズン成績を見るべきだ。2026年にはEARTH MONDAMIN CUPで2位タイに入り、複数の大会でトップ10を記録している。
一方、メルセデスランキング45位という数字からは、年間を通じた安定性をさらに高める必要も見えてくる。
稲垣の次の目標として注目したいのは、複数回の優勝争いと年間ランキング上位への定着だ。
【よくある質問】稲垣那奈子に関するFAQ
Q1:稲垣那奈子の年齢は何歳ですか?
A1:2000年8月24日生まれで、2026年11月4日時点では26歳です。埼玉県川口市出身の女子プロゴルファーです。
Q2:稲垣那奈子の出身高校と大学はどこですか?
A2:高校は共立女子第二高校、大学は早稲田大学です。早稲田大学ではスポーツ科学部で学び、ゴルフ部でも活動しました。
Q3:稲垣那奈子はいつプロテストに合格しましたか?
A3:2023年11月のJLPGA最終プロテストに2度目の挑戦で合格しました。96期生としてプロキャリアをスタートさせています。
Q4:稲垣那奈子の初優勝はいつですか?
A4:2025年6月1日のリゾートトラスト レディスです。通算7アンダーで優勝し、国内女子ツアー初タイトルを獲得しました。
Q5:2026年の賞金ランキングは何位ですか?
A5:11月1日終了時点の集計では23位、獲得賞金は51,909,071円です。メルセデス・ランキングは45位となっています。
Q6:稲垣那奈子のドライバー飛距離はどれくらいですか?
A6:2026年の平均ドライバー飛距離は約249ヤードで、国内女子ツアー9位です。飛距離は大きな武器となっています。
稲垣那奈子は、早稲田大学での学びを経てプロ入りし、2025年にツアー初優勝を達成した女子プロゴルファーだ。
2026年は賞金ランキング23位、メルセデスランキング45位。EARTH MONDAMIN CUPの2位タイなど、優勝争いに絡む成績も残している。
今後の評価を左右する要点は、ドライバーの飛距離を維持しながら、ショットの精度と年間を通じた安定感を高められるかどうかにある。
2025年の初優勝はキャリアの到達点ではなく、次のステージへの出発点だった。
26歳という年齢、大学で培った専門知識、そして国内女子ツアー上位の飛距離。これらを生かして年間ランキングをどこまで引き上げられるか、2027年シーズンに向けても注目したい選手の一人である。