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警視庁機動隊とは何を担う?第1〜第9機動隊と専門部隊の実態を2026年最新解説

木原田 七海 木原田 七海 • 更新: • 公開: • 読了約 25 分
目次

2026年現在、警視庁機動隊は、首都・東京の治安維持だけでなく、大規模災害の救助、デモ警備、花火大会などの雑踏警備、爆発物処理、山岳・水難救助まで幅広い任務を担っている。第一機動隊から第九機動隊、特科車両隊までの計10隊を中心に、専門的な技能を持つ部隊が連携する警備組織だ。

2026年5月20日には、明治神宮外苑で警視庁機動隊観閲式が開催され、約1,700人の隊員、75台の車両、ヘリコプター3機、警備犬6頭が参加した。加えて、災害現場でドローンを運用するための拠点となるドローンベースカーも初めて登場。機動隊の活動が従来の集団警備から、専門的な救助・危機対応へと広がっていることを示す機会となった。

【基本知識】警視庁機動隊は何をする組織?警備部の仕組みと役割

警視庁機動隊
警視庁機動隊の基本的な任務

警視庁機動隊とは、東京都内で発生する大規模な警備事案や災害などに、組織的かつ機動的に対応する常設の警察部隊である。

一般的に機動隊というと、盾を持ってデモや暴動に対応する警察官をイメージする人も多い。しかし、実際の活動範囲はそれだけではない。

東京都公安委員会規則に基づく警視庁組織規則第54条では、機動隊の任務を治安警備、災害警備、雑踏警備などの警備・警戒活動と、各種犯罪の予防・検挙としている。

主な任務は次のとおりだ。

  • 治安警備:デモ行進、集団行動、重要施設周辺などの警備。
  • 雑踏警備:花火大会、祭礼、初詣、スポーツイベントなどの事故防止。
  • 災害警備:地震、台風、豪雨などの被災者の救出や避難誘導。
  • テロ対策:銃器、爆発物、化学物質などを使用した事案への対応。
  • 犯罪対策:多角的運用部隊などによる犯罪の予防・検挙活動。

重要なのは、機動隊が事件発生後の対応だけでなく、事件や事故を未然に防ぐための警戒活動も担っていることだ。大勢の人が集まる場所で安全を確保する仕事も、機動隊の重要な任務に含まれる。

警視庁警備部の組織と機動隊の位置づけ

機動隊は、警視庁本部の警備部に所属している。警備部には、警備第一課、警備第二課、災害対策課、警衛課、警護課などが設置されている。

それぞれの役割を整理すると、次のようになる。

  • 警備第一課:治安警備や雑踏警備の計画・実施、機動隊の運用や連絡調整を担当。
  • 警備第二課:警備に関する教養訓練、警備装備の研究・開発などを担当。
  • 災害対策課:災害警備の計画・実施や災害装備の運用、特殊救助隊に関する業務を担当。
  • 警衛課:皇室関係の警衛などを担当。
  • 警護課:内閣総理大臣や国賓などの要人警護を担当。

つまり、機動隊は警備部全体の警備体制の一部であり、各課との連携によって大規模な警備や災害対応を実施する。

なお、警備部と公安部は別の組織である。機動隊は警備部に所属し、公安部の警備情報収集や公安事件の捜査とは役割が異なる。

【組織比較】第一機動隊から第九機動隊までの特徴と特科車両隊

警視庁機動隊は全部で10隊

警視庁機動隊は、第一機動隊から第九機動隊までの9隊と、特科車両隊の合計10隊で構成される。

ただし、9つの機動隊がそれぞれ完全に異なる専門任務だけを担当しているわけではない。基本的な集団警備能力を備えながら、隊ごとに特色ある活動や専門部隊を持っている。

警視庁が公開している各隊の紹介情報をもとに、特徴を整理した。

部隊名 主な特色・公開されている活動 注目ポイント
第一機動隊 皇居一般参賀警備、G7広島サミット警備 「近衛の一機」。北の丸公園に拠点を置く歴史ある部隊
第二機動隊 デモ警備、祭礼警備、水難救助 「かっぱの二機」。水難救助の伝統を持つ
第三機動隊 重要施設周辺の警戒、G7サミット警備、雑踏警備 「ほこりの三機」。レスキュー隊員による活動も紹介
第四機動隊 渋谷の雑踏警備、神宮外苑花火大会警備 「鬼の四機」。2026年の大型イベント警備でも活動
第五機動隊 池上本門寺の御会式、デモ行進の警備 「学の五機」。雑踏・交通整理の活動を紹介
第六機動隊 臨海部初動対応、要人警護支援、重要警備 水上バイクなどを活用するWRTを編成
第七機動隊 銃器レンジャー、山岳救助レンジャー、水難救助 専門的なレンジャー部隊を持つ
第八機動隊 隅田川花火大会、G7広島サミット警備 「蜂の八機」。雑踏警備や重要施設警戒を担当
第九機動隊 水難救助、爆発物処理、警備活動 アメリカンフットボール部「イーグルス」の本拠地
特科車両隊 放水警備車両、災害重機、デモ警備 大型特殊車両や災害重機を運用する専門部隊
第一機動隊は「近衛の一機」

第一機動隊は、警視庁の公式紹介で「近衛の一機」「旗本の一機」という愛称が紹介されている。

昭和8年に発隊し、昭和32年には旧陸軍の近衛師団が置かれていた現在の千代田区北の丸公園内に移転した。こうした歴史的背景が愛称の由来となっている。

2023年の新年一般参賀では、皇居坂下門周辺の警備を担当した。また、同年のG7広島サミットでは、各国首脳が利用する主要道路の沿道警備にも従事している。

第二機動隊は水難救助でも知られる

第二機動隊の愛称は「かっぱの二機」。荒川や江戸川流域の風水害に際して救出活動に出動してきた歴史が、この呼び名に結び付いている。

現在も潜水士などの資格を持つ隊員による水難救助活動を行い、水上行事の警備や水中の証拠品捜索などにも対応している。

2023年8月の富岡八幡宮例大祭では、53基の神輿が安全に進行できるよう雑踏警備に従事した。

第七機動隊はレンジャー部隊の拠点

第七機動隊の大きな特色は、警視庁機動隊の中で唯一、レンジャー部隊を編成している点だ。

昭和44年に発足したレンジャー部隊は、平成13年に銃器レンジャーと山岳レンジャーに再編された。

銃器レンジャーは銃器使用事件や人質立てこもり事件などにおける犯人の逮捕、人質の救出を任務とする。一方、山岳レンジャーは山岳遭難者の捜索・救助を担当する。

同じレンジャーという名称でも、任務の性質は異なる。

第六機動隊の臨海部初動対応部隊WRT

第六機動隊には、臨海部初動対応部隊「ウォーターフロント・レスポンス・チーム(WRT)」が編成されている。

2019年5月14日、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて発足した部隊で、水上バイクやゴムボートなどを活用する。

臨海部における不審船、不審人物、不審物件の早期発見や犯罪の予防・検挙を目的とする点が特徴だ。

特科車両隊は大型車両と災害重機の専門部隊

特科車両隊は、第一から第九までの機動隊とは異なり、車両運用に特化した専門性の高い部隊である。

主力車両の一つが放水警備車。警備活動に必要な特殊車両を運用するほか、災害現場で重機を活用した支援活動にも対応している。

特に注目したいのが、特科車両隊にのみ編成されている災害重機部隊だ。

通称「ブルドッグ部隊」と呼ばれ、震災や風水害などの大規模災害が発生した場合に、災害重機車両を使用して現場活動を支援する。普段から重機の操作訓練を重ね、災害発生時に備えている。

また、2023年のG7広島サミットでは広島県に派遣され、会場周辺や平和記念公園周辺などの警備を担当した。

【現場の実態】デモ警備と雑踏警備はどのように行われる?

デモ警備は参加者と一般通行人の安全を守る仕事

機動隊の代表的な活動として知られるのがデモ警備だ。

デモ行進では、参加者の安全だけでなく、沿道の歩行者や一般車両の安全、周辺の交通環境にも配慮する必要がある。

警視庁の公式説明によると、機動隊はデモ行進や車両デモが実施される際、参加者と一般通行者の安全を確保し、付近一帯の交通を円滑にする目的で警備を行っている。

ここで押さえておきたいのは、デモそのものが違法行為というわけではないことだ。集会や表現活動の自由を尊重しながら、事故や違法行為を防止することが警備の基本となる。

警視庁の新隊員訓練では、デモ行進中の突発事案への対応や、集団での警備活動に必要な技能を習得する訓練が公開されている。

雑踏警備は花火大会や祭礼でも重要

雑踏警備は、多数の人が同じ場所に集まることで発生する事故や混乱を防止する活動だ。

具体的には、次のような行事が対象になる。

  • 隅田川花火大会や神宮外苑花火大会
  • 初詣や年末年始の参拝行事
  • 神社仏閣の祭礼や大規模な伝統行事
  • スポーツ大会や優勝パレード
  • ハロウィーンなどの大規模イベント

2026年6月21日には、FIFAワールドカップの日本対チュニジア戦に伴って多くのサポーターや来街者が見込まれた渋谷スクランブル交差点で、第四機動隊が雑踏警備に従事した。

同年8月8日の神宮外苑花火大会でも、第四機動隊が警備を担当している。

警備の中心となるのは、人の流れを把握し、事故が起きないよう誘導や広報を行うことだ。特に大規模イベントでは、主催者、自治体、交通事業者などとの連携も欠かせない。

警察庁の令和7年版警察白書でも、雑踏警備について、主催者への安全対策の指導、自治体との連携、公共交通機関への協力要請などを事前に進める仕組みが説明されている。

機動隊の警備は「何も起こさない」ことにも価値がある

警備活動は、事件や事故が発生したときだけ成果が見える仕事ではない。

大勢の人が集まったにもかかわらず、重大事故が発生せず、イベントが予定どおり終了する。その結果の背後には、事前の警備計画、関係機関との調整、現場での警戒活動がある。

機動隊の活動を評価する際には、出動人数や装備の規模だけでなく、参加者の安全と一般市民の生活をどの程度両立できたかという視点も必要になる。

【専門部隊】爆発物処理・特殊救助・山岳救助・水難救助の任務

爆発物処理部隊は不審物による被害を防ぐ

爆発物処理部隊は、爆発物や爆発物の疑いがある不審物件が発見された場合に出動する専門部隊だ。

警視庁の第九機動隊紹介ページでも、不審物件事案の通報を受けた際に現場へ急行し、専門的な資機材を活用して被害を防止する任務が紹介されている。

爆発物への対応では、周辺の安全確保や関係機関との連携も欠かせない。爆発物の処理だけでなく、一般市民への被害を防ぐための現場対応まで含めた専門的な活動となる。

なお、爆発物処理部隊と化学防護部隊は関連する危険事案に対応する専門部隊だが、任務は同一ではない。

化学防護部隊はNBCテロなどに対応

化学防護部隊は、化学物質や有害物質などが関係する事案に対応する専門部隊である。

警察庁が公表するテロ対処体制では、NBCテロ対応専門部隊が、生物剤・化学剤・放射性物質などを使用した事案に対する初動措置を担うと説明されている。

警視庁でも爆発物処理・化学防護部隊が活動しており、2025年7月に東京都小平市で実施されたテロ対策訓練では、警視庁機動隊の同部隊がNBCテロを想定した訓練に参加した。

こうした部隊の活動では、警察だけでなく消防などの関係機関との連携も重要になる。

特殊救助隊と機動救助部隊の違い

警視庁には、災害や重大事故などで高度な救助技術を必要とする現場に対応する特殊救助隊がある。

特殊救助隊は警備部の災害対策課に附置されており、東京都の警視庁組織規則では、機動救助隊の運用などと特殊救助の実施を分掌事務としている。

ここで混同されやすいのが、特殊救助隊と機動救助部隊の関係だ。

  • 特殊救助隊:高度な救助技術を持ち、特殊救助を実施する専門組織。
  • 機動救助部隊:機動隊側で救助活動に従事し、特殊救助隊と連携する部隊。

特殊救助隊は、地震や台風、洪水などの自然災害だけでなく、交通事故や山岳遭難といった現場にも出動する。国内外の災害救助に対応し、機動隊や各警察署に対する救助技術の指導も行っている。

山岳救助レンジャー部隊は第七機動隊に編成

山岳救助レンジャー部隊は、山岳遭難者の捜索や救助を専門とする部隊だ。

警視庁公式情報によれば、平成13年に銃器レンジャーとともに山岳レンジャーが編成された。

山間部では、車両や大型の救助機材を自由に使用できない場合がある。そのため、隊員には山岳地形への理解や救助技術、現場状況を判断する能力が求められる。

第七機動隊にのみ編成されているレンジャー部隊の中でも、山岳レンジャーは人命救助を中心とする専門分野を担っている。

水難救助部隊は河川・海辺・水中で活動

水難救助部隊は、河川や海辺で発生した事故、豪雨や台風による水害などで救助活動を行う。

潜水士などの資格を持つ隊員が所属し、水中での行方不明者の捜索や、水上行事の警備、水中の証拠品捜索などにも対応する。

第二機動隊の水難救助隊は、荒川・江戸川流域の風水害対応の歴史を持つ。また、第七機動隊の水難救助隊は昭和48年に発足し、2023年のG7広島サミットでも会場周辺の水上警備を担当した。

第九機動隊の公式紹介ページでも、水難救助部隊の活動が掲載されている。

広域緊急援助隊は都県を越えて災害現場へ

大規模災害が発生した場合、被災地だけの警察力では対応が難しくなることがある。

そこで重要になるのが、全国の都道府県警察に設置されている広域緊急援助隊だ。

警視庁の広域緊急援助隊は平成7年6月14日に発隊した。大規模災害時に被災地へ派遣され、救出救助や捜索などを行う体制が整えられている。

警察庁の説明によれば、広域緊急援助隊は主に次の3つの部隊で構成される。

  • 警備部隊:被災者の救出救助や捜索など。
  • 交通部隊:緊急交通路の確保や交通規制など。
  • 刑事部隊:検視や遺族への安否情報の提供など。

大規模災害では、救助活動だけでなく、救助車両が現場へ到達できる道路の確保や、行方不明者・犠牲者に関する情報提供も必要になる。

機動隊の救助能力は、こうした警察全体の災害対応体制の中で発揮される。

【歴史と2026年最新情報】警視庁機動隊の創設から観閲式まで

1948年に警視庁予備隊として発足

警視庁機動隊の歴史は、戦後の社会情勢と深く結び付いている。

戦後の混乱期には集団犯罪や労使紛争などが相次ぎ、大人数で迅速に対応できる警備部隊が必要とされた。そこで、昭和23年5月25日に警視庁予備隊が創設された。

その後、組織の改編を経て、昭和32年4月1日に警視庁機動隊へ改称。第一から第五機動隊が設置された。

警視庁機動隊の主な歴史年表
  • 1948年5月25日:警視庁予備隊が創設される。
  • 1950年9月16日:警視庁予備隊から方面予備隊に改称。
  • 1952年10月30日:方面予備隊から警視庁予備隊に改称。
  • 1957年4月1日:警視庁機動隊に改称し、第一から第五機動隊を設置。
  • 1969年1月10日:第六から第八機動隊を増設。
  • 1969年7月1日:特科車両隊を増設。
  • 1969年8月26日:第九機動隊を増設。現在につながる10隊体制が確立。
  • 1971年8月25日:第一機動隊と特科車両隊に爆発物処理班を設置。
  • 1972年8月30日:各隊に機動救助隊、第二機動隊に水難救助隊を設置。
  • 1987年12月1日:警視庁国際警察緊急援助隊が発隊。
  • 1995年6月14日:警視庁広域緊急援助隊が発隊。
  • 2001年3月29日:銃器対策部隊、災害対策部隊、山岳救助レンジャー部隊などが発隊。
  • 2012年4月1日:東京国際空港の警備専従部隊として空港警備中隊が発隊。
  • 2014年4月1日:東京国際空港テロ対処部隊に改組。
  • 2026年5月20日:警視庁機動隊観閲式を開催。

この年表から分かるのは、機動隊が集団警備を中心とする組織として誕生し、その後、災害救助やテロ対策、専門的な救助活動などへ対応範囲を広げてきたことだ。

2026年5月20日の機動隊観閲式で何が披露された?

2026年の大きなトピックが、5月20日に明治神宮外苑で実施された警視庁機動隊観閲式である。

報道によると、徒歩・車両部隊など約1,700人が参加。車両75台、ヘリコプター3機、警備犬6頭も参加した。

行進には第一から第九までの機動隊、特科車両隊、銃器対策部隊、山岳救助レンジャー部隊、水難救助部隊、爆発物処理部隊など、多様な専門部隊が参加した。

今回特に注目されたのが、災害現場でドローンを運用する際の離着陸拠点となるドローンベースカーの初登場だ。

災害現場では、被害状況の把握や行方不明者の捜索に情報収集が欠かせない。ドローンを運用するための支援車両が登場したことは、機動隊の災害対応にも新しい技術が取り入れられていることを示している。

また、筒井洋樹警視総監は観閲式で、社会情勢の変化にも柔軟に対応できる確かな実力を備える必要性を訓示した。

2026年の観閲式は、単なる隊員の行進ではない。警備、救助、テロ対策、特殊車両、航空支援など、警視庁機動隊が持つ総合的な能力を示す機会となった。

【隊員になるには】機動隊員の採用条件と訓練内容

機動隊員になるための採用ルート

機動隊員を目指す場合、基本となるのは警視庁の警察官採用試験を受験することだ。

警視庁の令和8年度採用情報では、警察官の採用区分としてⅠ類・Ⅲ類や社会人採用などが設けられている。機動隊だけを対象にした一般向けの独立した採用試験が設けられているわけではない。

警察官として採用された後は、警察学校で初任教養を受け、警察署などで勤務する。その後、本人の希望、能力、適性、勤務実績、各部署の人員状況などを総合的に考慮して専門分野への配置が決まる。

したがって、警察官採用試験に合格すれば必ず機動隊に入れるという仕組みではない。

機動隊に配属された後の新隊員訓練

機動隊に配属された隊員は、通常の警察実務に加えて、集団警備に必要な知識や技能を身につける。

警視庁が2025年6月に公開した新隊員訓練の内容では、次のような分野が紹介されている。

  • 集団行動の基礎:隊員同士の連携や規律ある行動。
  • 警備技能:警備現場で必要となる基本的な技能。
  • 防護訓練:盾などの装備を用いた防護対応。
  • デモ警備訓練:デモ行進中に発生する突発事案への対応。
  • 体力錬成:長時間の警備や災害対応に必要な体力の向上。

こうした訓練は、個人の身体能力を高めるだけでなく、集団として統一された行動を取るためにも必要になる。

特殊救助隊員には専門資格の取得も求められる

救助専門の特殊救助隊では、通常の警備技能とは異なる高度な専門知識や資格が必要になる。

2026年度の警視庁採用サイトに掲載された特殊救助隊員のインタビューでは、2018年の入庁後、警察署勤務、第三機動隊を経て、2023年に災害対策課の特殊救助隊へ配置換えとなった隊員の経歴が紹介されている。

この隊員は、2024年にテクニカルロープレスキューや潜水に関する講習、車両系建設機械の運転技能講習などを受講。2025年には移動式クレーンやエレベーター救出に関する講習にも取り組んでいる。

この経歴は、機動隊の中でも救助専門分野に進むためには、継続的な学習と技能習得が必要であることを示している。

また、同インタビューでは、救助技術だけでなく、被災者の不安を和らげるコミュニケーション能力の重要性も語られている。

救助現場では、体力や技術だけでは十分ではない。恐怖や混乱の中にいる人に安心感を与え、消防などの関係機関と協力しながら人命を救う力が求められる。

【プロの結論】警視庁機動隊を理解するために知っておきたい3つの視点

1. 機動隊はデモ対応だけの組織ではない

最も大きな誤解は、機動隊をデモや暴動の制圧だけを行う組織と捉えてしまうことだ。

実際には、災害救助、山岳遭難、水難事故、爆発物処理、化学防護、雑踏事故の防止など、日常生活の安全に直結する活動も担っている。

2. 10隊すべてが同じ役割を持つわけではない

第一から第九までの機動隊は基本的な集団警備能力を備えているが、隊ごとに歴史や特色、専門部隊の編成が異なる。

特に第七機動隊のレンジャー部隊、第六機動隊のWRT、特科車両隊の災害重機部隊などは、専門性を理解するうえで重要な存在だ。

一方、公開されている隊ごとの紹介は代表的な活動事例であり、各隊の担当任務を完全に限定するものではない。大規模警備では複数の隊が連携して活動する。

3. 2026年は救助と技術の融合にも注目

2026年の観閲式で初登場したドローンベースカーは、機動隊の今後を考えるうえで興味深い動きだ。

大規模災害では、救助活動を開始する前に被災状況を把握する必要がある。ドローンなどの技術を活用することで、情報収集や現場の状況把握を支援できる。

従来の人員・車両・専門技能に加えて、新しい技術をどう組み合わせるか。これが今後の機動隊の能力を考える際の一つの判断軸になる。

警視庁機動隊に関するよくある質問(FAQ)

Q1:警視庁機動隊は全部で何隊ありますか?
第一機動隊から第九機動隊までの9隊と特科車両隊を合わせた計10隊です。

Q2:警視庁機動隊で最も特殊な部隊はどこですか?
任務によって異なります。第七機動隊には銃器レンジャーや山岳レンジャーが編成され、第六機動隊には臨海部初動対応部隊WRTがあります。特科車両隊には災害重機部隊が編成されています。

Q3:機動隊員になるにはどうすればよいですか?
警視庁の警察官採用試験を受験し、警察官として採用された後、警察学校や警察署での勤務を経て、適性や能力、本人の希望、組織の人員状況などを踏まえて配属されます。

Q4:機動隊と交通機動隊は同じ組織ですか?
別の組織です。機動隊は警備部に所属し、治安警備や災害警備、雑踏警備などを担当します。交通機動隊は交通部に所属し、交通指導取締りや交通渋滞の解消などを担当します。

Q5:特殊救助隊と機動救助部隊は何が違いますか?
特殊救助隊は警備部の災害対策課に附置される救助専門組織です。機動救助部隊は機動隊側で救助活動に従事し、特殊救助隊と連携します。

Q6:2026年の警視庁機動隊観閲式はいつ開催されましたか?
2026年5月20日に明治神宮外苑で開催されました。約1,700人の隊員、75台の車両、ヘリコプター3機、警備犬6頭が参加しました。

警視庁機動隊は、1948年5月25日に警視庁予備隊として発足して以来、時代の変化に合わせて組織と専門能力を発展させてきた。

現在は第一から第九までの機動隊と特科車両隊による10隊体制を中心に、治安警備、デモ警備、雑踏警備、災害派遣、爆発物処理、山岳救助、水難救助など多様な任務に対応している。

特に注目すべきなのは、機動隊の役割が単純な集団警備にとどまらず、専門的な救助能力や技術を組み合わせた総合的な危機対応へと広がっていることだ。

2026年5月の観閲式で披露されたドローンベースカーも、その変化を象徴する出来事だった。

警視庁機動隊を理解するうえでは、隊員の装備や行進の規模だけでなく、各隊がどのような専門性を持ち、警備部全体の中でどのように連携しているかを見ることが大切だ。

首都で大規模な事件や災害が発生したとき、現場に迅速に対応し、都民の安全と人命を守る。そのための組織的な能力を支えているのが、警視庁機動隊なのである。