2026年11月現在、パー券をめぐる制度で特に押さえておきたいのが、購入代金の支払い方法と購入者情報の公開基準です。
2024年6月に成立した改正政治資金規正法では、透明性を高めるための複数の制度変更が盛り込まれました。
主な変更点は、次の2つです。
1. 2026年1月1日から、パーティー券代金の口座振込が原則義務化。
2. 2027年1月1日から、購入者の氏名などを公開する基準が20万円超から5万円超に引き下げ。
この施行時期は、2024年6月5日の衆議院政治改革特別委員会でも説明されています。
2026年1月からパー券の口座振込が原則義務に2026年1月1日以降に開催される政治資金パーティーについて、同日以降に支払う代金は、原則として開催者の預貯金口座への振込によって支払わなければなりません。
従来のように、現金を直接手渡す方法が自由に使えるわけではなくなりました。
この変更の狙いは、銀行口座の入出金記録を残すことで、資金の流れを追跡しやすくすることです。
ただし、例外もあります。
- パーティー開催日に開催場所で支払う場合。
- 口座振込以外の方法による支払いがやむを得ないと認められる場合。
こうした例外に該当する現金などの支払いについては、受け取った金銭を遅滞なく開催者の預貯金口座に預け入れる必要があります。
したがって、2026年からは「現金での支払いがあらゆる状況で禁止された」という理解も正確ではありません。原則と例外を区別する必要があります。
2026年と2027年で購入者の公開基準はどう違う?購入者の氏名などが公開される基準も変更されます。
20万円超

1回のパーティーについて、同一購入者からの支払合計が20万円を超える場合。
5万円超
対象となるパーティーについて、同一購入者からの支払合計が5万円を超える場合。
ここで注意したいのは、公開基準が年間の購入総額ではなく、一つの政治資金パーティーごとの購入額であることです。
また、購入者本人だけでなく、購入代金の支払いをあっせんした人についても、一定の金額を超える場合には氏名などが公開対象になります。
2027年1月1日以降に開催され、同日以降に収入を受け取るパーティーから新基準が適用されます。
一方、2026年12月31日以前に開催されたパーティーや、2027年以降の開催であっても2026年中に受け取った代金については、原則として旧基準の20万円超が適用されます。
2027年からは外国人・外国法人等の支払いにも規制もう一つの変更が、外国人や外国法人などによる政治資金パーティーの対価の支払いの禁止です。
2027年1月1日以降に開催され、同日以降に収入を受け取るパーティーについて、外国人・外国法人等から対価を受け取ることは原則として禁止されます。
ただし、法律上の特例上場日本法人に該当する場合は例外があります。
これにより、政治資金パーティーについても、資金提供者の属性や支払いの経路に対する規制が強化されます。
【パー券をめぐる誤解】購入者が公開されないと違法ではない?
パー券については、公開基準と収支報告義務が混同されやすく、制度への誤解も少なくありません。
特に重要なのは、購入者の氏名が公開されないことと、収入が報告されなくてもよいことは全く違うという点です。
誤解1:20万円以下なら収支報告書に記載しなくてよいこれは誤りです。
20万円超という基準は、購入者の氏名や住所、職業などを公表するための基準です。
パーティー券の収入そのものを報告しなくてよいという意味ではありません。
購入者の氏名などが公開基準に達していなくても、政治団体には収入を正しく記録し、報告する義務があります。
誤解2:パー券を買えば政治家への献金になる法律上、パー券の購入は原則として政治資金パーティーへの参加の対価です。
政治献金とは法的な性質が異なります。
ただし、主催者にとっては利益を政治活動に使用する資金調達の方法であるため、政治資金としての透明性が大切です。
誤解3:販売ノルマを超えたら違法になる販売ノルマを超えて券を販売したことだけで、直ちに政治資金規正法違反になるわけではありません。
問題になるのは、売上や還流した資金を実態に即して処理せず、収支報告書に不記載や虚偽記入を行うことです。
資金の移動と会計処理を分けて考える必要があります。
【パー券とは】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:パー券は1枚いくらで購入できますか?
一般的な国会議員の政治資金パーティーでは、1枚2万円程度が代表的な相場です。ただし、法律による全国一律の価格設定はなく、主催者や開催規模によって数千円から異なる金額まで幅があります。
Q2:パー券を20万円以下で購入すれば、名前は公開されませんか?
2026年中の旧基準では、同一のパーティーで同一購入者からの支払合計が20万円を超えると、氏名などが公開対象になります。20万円ちょうどの場合は、この基準を超えません。ただし、購入者情報の非公開と収入の報告義務は別の問題です。
Q3:2027年からの5万円超という公開基準は年間合計ですか?
いいえ。年間合計ではなく、1回の政治資金パーティーごとの基準です。同じパーティーで同一人物が複数枚購入した場合は、その支払額を合算して判断します。2027年1月1日以降に開催され、同日以降に代金を受け取るパーティーから適用されます。
パー券とは、政治資金パーティーに参加するための券であり、政治団体が政治活動に必要な資金を集めるための仕組みです。
購入費用は1枚2万円程度が代表的な相場ですが、法律で価格が統一されているわけではありません。
また、パーティー券の販売ノルマやキックバックそのものだけでなく、実際に発生した収入と支出が政治資金収支報告書に正確に記載されているかどうかが重要です。
2026年11月現在、読者が押さえておきたい要点は次の5つです。
- 意味: パー券は政治資金パーティーの参加券であり、法律上は原則として寄付ではなく対価として扱われる。
- 購入費用: 1枚2万円程度が代表的な相場だが、主催者によって異なる。
- 裏金問題: 販売ノルマ超過分の還流や収支報告書への不記載が政治資金問題の焦点になった。
- 2026年の変更: 1月1日からパーティー券代金の口座振込が原則義務化された。
- 2027年の変更: 購入者情報の公開基準が、1回のパーティーにつき20万円超から5万円超に引き下げられる。
今後、政治資金の透明性を判断する際には、単にパーティー券の販売枚数や購入者の氏名だけを見るのではなく、売上総額、開催経費、最終的な利益、資金の移動先、収支報告書の記載内容を一体として確認することが大切です。
パー券をめぐる問題の本質は、政治活動のために資金を集めること自体ではなく、その資金の出入りを国民が検証できる状態に保てるかどうかにあります。 2026年の振込義務化と2027年の公開基準引き下げが、政治資金の透明性を実際に高める制度として機能するかが、今後の大きな焦点です。