高齢者マークの対象となるのは、普通自動車を運転できる免許を持つ70歳以上の人です。70歳になった時点で一律に表示を強制されるわけではなく、加齢に伴う身体機能の低下が運転に影響するおそれがある場合、車の前面と後面に表示するよう努めることとされています。
ここで注意したいのが、75歳以上の扱いです。道路交通法第71条の5には、75歳以上の運転者に標識の表示を求める規定がありますが、2009年4月24日の法改正によって、その義務規定は当分の間適用しないことになりました。
そのため、2026年11月現在も、75歳以上だけが高齢者マークを必ず付けなければならないという制度にはなっていません。70歳以上75歳未満と同様、表示は努力義務です。警察庁も70歳以上を対象とする表示の促進を案内しています。
75歳以上には別の免許更新ルールがある75歳という年齢が注目される理由は、運転免許の更新制度にもあります。免許更新期間満了日の年齢が75歳以上の人には、認知機能検査が義務付けられています。また、一定の違反歴がある人は運転技能検査の対象にもなります。
つまり、75歳以上の認知機能検査と、高齢者マークの表示義務は別の制度です。この2つを混同すると、75歳になったらマークも強制になるという誤解につながります。
【罰則はある?】高齢者マークの表示義務と道路交通法第71条の5
高齢者マークを付けずに運転した場合、罰金や反則金を科されるのでしょうか。
答えは、表示しなかったこと自体に罰則はありません。70歳以上の運転者に対する表示は努力義務であり、初心者マークのような表示義務違反とは異なります。
道路交通法第71条の5と2009年の改正法附則第22条を合わせて読むと、75歳以上の表示義務規定は当分の間適用されず、70歳以上の運転者に対する努力義務が適用される仕組みです。
マークを付けた車への幅寄せ・割り込みは違反一方で、高齢者マークを表示した車を運転する人には、周囲のドライバーによる保護が認められています。
道路交通法第71条第5号の4では、高齢運転者標識を付けた普通自動車に対し、危険防止のためやむを得ない場合を除いて、側方への幅寄せや、必要な車間距離を保てなくなるような進路変更を禁止しています。
違反した場合の処分は次のとおりです。警察庁が公表している内容を整理しました。
| 項目 | 違反した場合の処分 |
|---|---|
| 法定刑 | 5万円以下の罰金 |
| 大型車・中型車などの反則金 | 7,000円 |
| 普通自動車・自動二輪車の反則金 | 6,000円 |
| 小型特殊自動車の反則金 | 5,000円 |
| 違反点数 | 1点 |
ここで重要なのは、保護されるのはマークを実際に表示して走行している車だという点です。マークは単なる年齢の目印ではなく、周囲に安全な車間距離や配慮を求める交通安全上の役割を持っています。
なお、マークを付けているからといって、運転者自身が交通ルールを守らなくてよいわけではありません。安全確認や合図、適切な車間距離の確保は、すべてのドライバーに求められる基本です。
【もみじマークとの違い】シルバーマークはデザインが変更されている
高齢者マークには、現在のデザインと旧デザインがあります。昔のマークを「もみじマーク」、現在のマークを「四つ葉マーク」と呼ぶことがあります。
2011年2月1日に高齢運転者標識のデザインが変更されました。新しいデザインは、黄緑色や黄色、橙色などを組み合わせた四つ葉のような形が特徴です。
ただし、デザイン変更によって旧マークが無効になったわけではありません。警察庁は、2011年1月以前に使用されていた従来のマークも、引き続き高齢運転者標識として使用できると案内しています。
現行デザインと旧もみじマークの比較| 比較項目 | 現行デザイン | 旧デザイン |
|---|---|---|
| 通称 | 四つ葉マーク | もみじマーク |
| デザイン | 黄緑・黄色・橙色などの四つ葉状 | 黄色と橙色の葉の形 |
| 導入時期 | 2011年2月1日 | 2011年1月以前 |
| 法律上の扱い | 高齢運転者標識 | 高齢運転者標識 |
| 2026年の使用 | 使用できる | 引き続き使用できる |
つまり、昔から使っているもみじマークを、デザイン変更だけを理由に買い替える必要はありません。
また、「シルバーマーク」は一般的な呼び方であり、道路交通法上の正式名称は「高齢運転者標識」です。呼び名が違っても、同じ交通安全標識を指しています。
【貼る位置はどこ?】高齢者マークは車の前後に表示する
高齢者マークは、車の後ろだけに貼ればよいわけではありません。道路交通法に基づき、普通自動車の前面と後面の両方に表示するよう努める必要があります。
警視庁が案内する表示位置は、地上から0.4メートル以上1.2メートル以下の範囲にある、周囲から見やすい場所です。
貼り付けるときの4つの注意点1.車の前と後ろに1枚ずつ表示する
前方と後方の両方から確認できるようにします。後部だけに表示しても、前方から見た車にはマークがない状態になります。
2.地上40~120センチの範囲に設置する
高さの基準を守り、周囲の車から見やすい位置を選びます。車体の形状によって取り付けやすい場所は異なります。
3.フロントガラスには貼らない
道路運送車両の保安基準との関係から、フロントガラスへの取り付けはできません。運転席・助手席の側面ガラスも避けてください。
4.運転の妨げになる場所を避ける
視界を遮る場所、ランプやナンバープレートに重なる場所、ワイパーの作動を妨げる場所には設置しないようにしましょう。
特に吸盤タイプを使用する場合は、リアガラスの熱線部分を避けるなど、製品の取り扱い説明も確認してください。
【どこで買える?】高齢者マークの購入場所と値段
高齢者マークは、特別な申請や運転免許証の提示をしなくても、一般的な販売店で購入できます。
主な購入場所- カー用品店
- ホームセンター
- 100円ショップ
- 交通安全協会
- 運転免許試験場などの関連販売窓口
- インターネット通販
JAFの案内でも、運転免許試験場やカー用品店、ホームセンターなどが購入先として紹介されています。ただし、すべての店舗で取り扱っているわけではありません。
高齢者マークの値段の目安販売価格は、素材や取り付け方式、枚数によって異なります。実際の販売例を見ると、比較的安価に購入できるものもあります。
| 販売例 | 商品タイプ | 公表価格 |
|---|---|---|
| ダイソー公式通販 | ステッカータイプ1個 | 110円 |
| 岡山県交通安全協会 | マグネットタイプ2枚入り・非会員 | 600円 |
| 岡山県交通安全協会 | マグネット非対応車用2枚入り・非会員 | 950円 |
ダイソー公式通販ではステッカータイプが税込110円、岡山県交通安全協会では通常のマグネットタイプ2枚入りが非会員価格600円で販売されています。
これらは販売元が公表している価格例であり、全国共通の定価ではありません。在庫や販売価格は購入時に確認してください。
マグネット・ステッカー・吸盤はどれがいい?購入時には、車のボディ素材と取り付け場所を確認することが大切です。
- マグネットタイプ:金属製のボディに取り付けたい人向け。取り外しや位置変更が簡単です。
- ステッカータイプ:アルミや樹脂など、磁石が付かないボディにも対応する製品があります。
- 吸盤タイプ:リアガラスに内側から取り付ける製品などがあり、外装に直接貼りたくない人に向いています。
マグネットタイプは、アルミボディや樹脂製パネルには付かない場合があります。購入前に車種や取り付け部分の素材を確認しましょう。
【いつから付けるべき?】70歳になったら考えたい安全運転の判断基準
高齢者マークは、運転が危険になってから付けるものではありません。周囲のドライバーに配慮を促し、安全に運転を続けるための予防的な標識です。
警察庁も、加齢に伴って身体機能が変化し、運転技術に影響が出る可能性があることを踏まえ、安全確保の手段として高齢運転者標識の活用を呼びかけています。
こんな変化を感じたら表示を検討年齢だけで運転能力を決めつけることはできません。70歳を過ぎても安全に運転している人は多くいます。一方で、本人が気づかないうちに運転時の負担が増えている場合もあります。
例えば、次のような変化があれば、高齢者マークの表示を検討するきっかけになります。
- 駐車や車庫入れに以前より時間がかかる。
- 交差点で左右を確認する動作が負担に感じる。
- 夜間や雨天時の運転に不安がある。
- 車線変更や合流で周囲の状況を把握しにくい。
- 長時間運転すると疲れやすくなった。
- 後続車との距離や速度の判断に迷うことが増えた。
こうした変化があるからといって、直ちに運転をやめなければならないという意味ではありません。標識の表示に加え、運転する時間帯や距離を見直したり、家族と運転について話し合ったりすることも安全対策になります。
高齢者マークは運転能力の証明ではない高齢者マークを付けているからといって、運転技術が低いと決まるわけではありません。また、マークがないからといって、70歳以上の人が必ず安全に運転できるという意味でもありません。
マークの本来の目的は、年齢を理由に運転者を評価することではなく、周囲に安全な距離や思いやりのある運転を促すことです。
家族が高齢ドライバーにマークの使用を勧める場合も、「もう高齢だから付けて」という伝え方ではなく、「周りの車に気を配ってもらえるので、安全のために使ってみないか」と提案すると受け入れられやすくなります。
【シルバーマークは何歳からに関するよくある質問(FAQ)】
Q1:高齢者マークは70歳になった誕生日から付けなければいけませんか?
A1:70歳以上の人が対象ですが、表示は努力義務です。加齢による身体機能の低下が運転に影響するおそれがある場合に、表示するよう努めることとされています。誕生日当日からの一律の表示義務や罰則はありません。
Q2:75歳以上になると高齢者マークの表示は義務になりますか?
A2:2026年現在、75歳以上も表示は努力義務です。2009年の法改正で75歳以上への表示義務規定は当分の間適用しないことになっています。ただし、75歳以上は運転免許更新時の認知機能検査など、別の制度があります。
Q3:高齢者マークを付けないと罰金を取られますか?
A3:表示しなかったことによる罰金や反則金はありません。一方、マークを付けて走行している車に対して、危険防止のためやむを得ない場合を除き、幅寄せや無理な割り込みをしたドライバーには処分があります。
Q4:古いもみじマークは2026年も使えますか?
A4:使えます。2011年2月に新しいデザインへ変更されましたが、それ以前のもみじマークも引き続き使用できます。買い替える必要はありません。
Q5:高齢者マークは後ろだけに貼ってもよいですか?
A5:前後両方への表示が基本です。車体の前面と後面の見やすい位置で、地上0.4メートル以上1.2メートル以下の範囲に設置してください。
Q6:高齢者マークは100円ショップでも買えますか?
A6:購入できます。ダイソー公式通販では税込110円のステッカータイプが販売されています。店舗によって取り扱いや在庫が異なるため、事前に確認すると安心です。
シルバーマーク(高齢者マーク)は、普通自動車を運転できる免許を持つ70歳以上の人が対象です。70歳から74歳までと75歳以上で表示義務が異なるという情報を見かけることがありますが、2026年現在、どちらも表示は努力義務であり、付けなかった場合の罰則はありません。
押さえておきたい要点は次のとおりです。
- 対象年齢は70歳以上。
- 75歳以上も表示は努力義務。
- 表示しなくても罰金や反則金はない。
- 車の前面と後面の両方に表示する。
- 設置位置は地上0.4~1.2メートルの範囲。
- 旧もみじマークも引き続き使用できる。
- マークを付けた車への危険な幅寄せや割り込みは禁止されている。
- 100円ショップやカー用品店、交通安全協会などで購入できる。
高齢者マークは、運転を続ける人の自立を否定するものではありません。周囲のドライバーに安全運転への協力を求め、自分自身も安心して道路を利用するための仕組みです。
70歳を迎えたら、年齢だけで判断するのではなく、日頃の運転状況や身体機能の変化を振り返り、必要に応じて早めに表示を始めることが大切です。本人も家族も、マークを安全運転を考える一つのきっかけとして活用しましょう。
主な確認資料:警察庁「高齢運転者標識を活用しましょう!」、道路交通法、衆議院制定法律情報(平成21年法律第21号)、警視庁「自動車の運転者が表示する標識について」、JAF、岡山県交通安全協会、ダイソー公式通販。2026年11月時点。