2026年現在の樋口さんは、競技会で順位を争う選手から、アイスショーや振り付け、指導などを通してフィギュアスケートを表現するプロスケーターへと活動の軸を移している。
本人が引退発表で示したのは、スケートを辞めることではなく、スケートとの関わり方を変えることだった。
2026年3月「滑走屋~第二巻~」でプロとして活動プロスケーターとしての新たな活動の一つが、2026年3月に福岡で開催されたアイスショー「滑走屋~第二巻~」への出演だ。
同公演は3月19日から22日まで開催され、高橋大輔さん、村元哉中さん、村上佳菜子さん、友野一希さん、山本草太さんらとともに樋口さんも出演者に名を連ねた。
競技会ではジャンプの難度や技術点、演技構成点などが順位を左右する。一方、アイスショーでは作品全体の世界観、音楽との調和、観客に伝える表現力も大きな魅力となる。
樋口さんが現役時代に培ったスピード感や力強いジャンプ、感情を前面に出す演技は、ショーの世界でも生かせる強みだ。
引退発表で本人が語った「これまで以上におもしろいスケートを見せたい」という思いは、こうした舞台で形になり始めている。
振付師として新たな挑戦を開始2026年4月17日、共同通信系のフィギュアスケート専門情報サイト「Deep Edge Plus」は、樋口さんが振付師にも挑戦すると報じた。
本人のSNSプロフィールに新たに「Choreographer」という肩書が加わり、振付やレッスンの依頼を受け付ける形で活動を始めたという。
これは、単に演技を披露する側から、他のスケーターの演技を作り上げる側にも進むことを意味する。
振付には、音楽の解釈、動きの組み立て、ジャンプやステップの配置、演技者の個性を引き出す能力が求められる。
樋口さんには、世界選手権銀メダルや北京五輪での経験がある。競技者として何を意識し、どのような演技が観客や審判に伝わるのかを、自身の経験から考えられる点は大きな強みになる。
後進の指導にも取り組むもう一つ注目したいのが、若いスケーターの育成だ。
2026年9月のGOETHEのインタビューでは、樋口さんがプロスケーターとして活動しながら、後進の指導にも取り組んでいることが紹介された。
自身が経験してきた国際大会、五輪、長期休養、復帰、故障との向き合い方などは、若い選手にとって貴重な学びになる。
特に、トップレベルの選手であっても、競技人生には結果が出ない時期や精神的に苦しい時期がある。
樋口さんの場合、北京五輪後の休養を経て再び世界の舞台に戻った経験がある。単に技術を教えるだけでなく、選手の気持ちや競技への向き合い方を理解する立場としても期待される。
【2026年の新たな進路】大学院でスポーツ心理学を学ぶ理由
樋口新葉さんの引退後の活動で、特に注目を集めているのが大学院への進学だ。
2026年9月21日公開のGOETHEのインタビューによると、樋口さんは2026年春から大学院に進学し、スポーツ心理学を学んでいる。
22年間、フィギュアスケートを中心に生活してきた彼女が、なぜ新たに学問の道を選んだのだろうか。
競技人生だけでは経験できなかったことを学びたい樋口さんはインタビューで、幼少期からフィギュアスケートを中心に生きてきたため、競技以外の経験が少なかったことを振り返っている。
勉強や学校生活など、一般的な学生が経験することを十分にできなかったという思いもあり、まずはきちんと勉強したいと考えたそうだ。
そのうえで、自分が長年取り組んできたスポーツの経験を生かせる分野として、スポーツ心理学を選んだ。
競技を引退してから進学を決めたのではなく、実際には現役最後の1~2年から大学院進学を考えていたという。
競技を続けながら教授と連絡を取り、研究計画を立て、受験準備も進めていた。
研究テーマはコーチと選手の関係性GOETHEのインタビューで紹介された研究テーマは、コーチと選手の関係性がパフォーマンスにどう影響するかというものだ。
樋口さん自身は、細かな指示を与えるよりも、自分で考える力を伸ばすタイプの指導を受けてきたと説明している。
しかし、すべての選手に同じ指導方法が合うわけではない。
選手の性格や競技経験、精神状態によって、必要なサポートは変わってくる。
そこで、さまざまなスポーツの選手やコーチへのアンケート、インタビューなどを通して、よりよい指導のあり方を研究している。
このテーマは、現役時代の経験と引退後の指導活動を結びつけるものでもある。
出典:GOETHE 2026年9月21日掲載インタビュー
この大学院進学には、樋口さん個人の学び以上の意味もある。
フィギュアスケートは、幼少期から高度な技術を磨く必要があり、競技生活には長い時間と費用がかかる。
一方、トップ選手としての競技生活を終えた後の進路は一人ひとり異なる。
プロスケーター、振付師、コーチ、一般企業への就職など、さまざまな選択肢があるものの、競技生活の先をどう設計するかは難しい問題だ。
樋口さん自身もインタビューで、競技引退後のキャリア形成や、選手が安心して将来を考えられる環境について問題意識を語っている。
競技者としての実績を持ち、指導者としての経験を積み、さらに大学院でスポーツ心理学を学ぶ。
この3つを組み合わせたキャリアは、今後のフィギュアスケート界にも新しい可能性を示すものになりそうだ。
【引退をめぐる誤解】樋口新葉の現在について知っておきたい事実
引退発表後は、競技生活の終了と今後の活動について、混同されやすいポイントもある。
ここでは、特に間違えやすい情報を整理する。
引退はスケート活動そのものの終了ではない最も大きな誤解は、引退したことで氷上から完全に姿を消すというものだ。
実際には、本人が公式発表でアイスショーへの出演継続を明言している。
加えて、振付師としての活動や後進の指導、大学院での研究も始まっている。
つまり、終了したのは競技者としての活動であり、フィギュアスケートに関わる仕事や表現活動は続いている。
ミラノ・コルティナ五輪には出場していない樋口さんはミラノ・コルティナ五輪を目標にしていたが、2025年12月の全日本選手権で代表入りが厳しい状況となり、最終的に大会への出場は実現しなかった。
北京五輪に続く2度目のオリンピック出場を目指した挑戦だったが、最後の舞台は五輪ではなく全日本選手権となった。
世界選手権の銀メダルは2018年の実績世界選手権の銀メダルについても、時期を正しく把握しておきたい。
樋口さんが銀メダルを獲得したのは2018年大会。2025年の世界選手権では6位だった。
2025年の大会でも上位に入り、ミラノ五輪の出場枠確保に貢献している。
【樋口新葉の引退】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:樋口新葉さんが引退を発表したのはいつですか?
2026年3月9日です。本人の公式サイトで22年間続けたフィギュアスケート競技からの引退を正式に報告しました。最初に引退の意向を表明したのは2025年6月27日です。
Q2:樋口新葉さんの引退理由は何ですか?
ミラノ・コルティナ五輪への挑戦を最後の目標とし、そのシーズンを競技人生の区切りにすると決めていたことが背景にあります。最後の全日本選手権では五輪出場が厳しくなり、足の痛みも抱えながら演技を終えました。本人は最後まで最高のパフォーマンスを出し切ったという思いを語っています。
Q3:引退後はプロスケーターになったのですか?
はい。本人が2026年3月9日の発表でプロスケーターとして活動することを明らかにしています。アイスショーへの出演も続けています。
Q4:樋口新葉さんは引退後、振付師になったのですか?
はい。2026年4月にSNSプロフィールへ振付師を意味する「Choreographer」を追加し、振付やレッスンの依頼を受け付ける活動を始めました。
Q5:樋口新葉さんは現在、大学院に通っていますか?
2026年9月のインタビューによると、2026年春から大学院に進学し、スポーツ心理学を学んでいます。研究テーマはコーチと選手の関係性が競技パフォーマンスに与える影響です。
Q6:樋口新葉さんの北京五輪での成績は何ですか?
女子シングル5位、団体銀メダルです。個人ではトリプルアクセルを成功させ、団体戦でも日本の銀メダル獲得に貢献しました。
樋口新葉さんは2026年3月9日、22年間の競技生活に終止符を打った。
その歩みを振り返ると、2018年世界選手権銀メダル、北京五輪団体銀メダル、そして2024年スケートアメリカ優勝など、国内外で数多くの実績を残してきたことが分かる。
引退を決断した背景には、ミラノ・コルティナ五輪への挑戦と、最後のシーズンで自分の力を出し切ったという実感があった。
そして2026年現在、活動の中心は新たな段階へ移っている。
- プロスケーター: アイスショーで自身の表現を追求する。
- 振付師: 競技者としての経験を演技づくりに生かす。
- 指導者: 後進の育成に携わる。
- 大学院生: スポーツ心理学を学び、指導方法を研究する。
特に注目したいのは、大学院での研究と指導活動が結びついている点だ。
トップ選手としての経験を感覚だけで終わらせず、学問を通して分析し、次世代の選手に還元しようとしている。
樋口新葉さんの引退は、フィギュアスケートとの別れではなく、競技者から表現者・振付師・指導者へと役割を広げる転換点だった。
今後はアイスショーでどのような演技を見せるのか。そして、振付師や指導者として、どのようなスケーターを育てていくのか。22年間の競技生活で培った経験が、新しい形で氷上に受け継がれていくことに期待したい。