2026年11月4日現在、2027年1月2日・3日に開催される第103回箱根駅伝の関東学生連合チームについて、関東学生陸上競技連盟から選考対象となる大学10校と個人枠6選手が発表されている。今回注目されるのは、慶應義塾大学の成沢翔英、一橋大学の有川紘樹、立正大学の橋本将汰ら、予選会で個人の力を示した選手たちだ。
学生連合は、箱根駅伝の予選会で本大会への出場権を逃した大学の選手を中心に編成される特別チームである。第102回大会から選考制度が大きく変更され、2027年大会も「チーム枠10校」と「個人枠6選手」の合計16人を基本とする新方式が適用される。通常の出場校とは異なる順位や記録の扱い、過去の出走経験による制限も理解しておきたい。
【基本知識】箱根駅伝学生連合とは?通常の出場校と何が違う?

箱根駅伝の関東学生連合チームとは、予選会で本大会への出場権を獲得できなかった大学の選手を集めて編成する合同チームである。
主催するのは一般社団法人関東学生陸上競技連盟(関東学連)。通常の箱根駅伝は、前回大会のシード権を獲得した10校と、予選会を通過した10校の合計20大学が出場する。これに関東学生連合が加わり、21チームで大会が行われる。
ただし、学生連合は通常の大学チームと同じ立場ではない。
予選会で敗退した大学の選手にも箱根路を走る機会を与え、大学の枠を超えた選抜チームとして競技経験を積ませることが大きな目的となっている。
学生連合が編成される理由箱根駅伝は、関東学生陸上競技連盟に加盟する大学の選手が出場できる大会だ。
しかし、大学単位で出場権を獲得できるのは、原則としてシード10校と予選会通過10校に限られる。
そのため、個人として優れた走力を持っていても、所属大学が予選会で敗退すれば、通常の大学チームとして箱根駅伝に出場することはできない。
学生連合は、こうした選手に別の出場機会を設ける制度である。
大学ごとの順位争いとは異なる舞台で、普段はライバルとして競い合う選手たちが一つのたすきをつなぐ。ここに学生連合ならではの魅力がある。
第103回大会は2027年1月2日に往路、3日に復路が行われる予定だ。
【2027年最新メンバー】チーム枠10校と個人枠6選手を一覧で紹介
関東学生陸上競技連盟は2026年10月22日、第103回箱根駅伝の関東学生連合チームについて、選手・スタッフ一覧を公表した。
今回の選考では、チーム枠10校と個人枠6選手が明確に分けられている。
注意したいのは、チーム枠の10校は発表済みだが、各校から実際に選ばれる選手の氏名はまだ発表されていないことだ。
チーム枠10校の一覧2026年10月17日に行われた第103回箱根駅伝予選会で、総合11位から20位となった大学が対象になった。
| 予選会順位 | 大学名 | 選出枠 |
|---|---|---|
| 11位 | 国士舘大学 | 1人 |
| 12位 | 武蔵野学院大学 | 1人 |
| 13位 | 立教大学 | 1人 |
| 14位 | 明治大学 | 1人 |
| 15位 | 東京国際大学 | 1人 |
| 16位 | 駿河台大学 | 1人 |
| 17位 | 麗澤大学 | 1人 |
| 18位 | 筑波大学 | 1人 |
| 19位 | 拓殖大学 | 1人 |
| 20位 | 日本薬科大学 | 1人 |
この10校にはそれぞれ1人の選出枠が与えられる。選手の人選は各大学が行い、氏名は2026年12月10日のチームエントリー時に発表予定となっている。
個人枠6選手の最新一覧個人枠は、予選会で総合21位以下となった大学に所属する選手のうち、個人順位が上位の6人を選ぶ仕組みだ。
第103回大会の個人枠には、次の6選手が選出された。
| 選手名 | 所属大学 | 学年 | 予選会個人順位 | 記録 |
|---|---|---|---|---|
| 成沢翔英 | 慶應義塾大学 | 3年 | 27位 | 1:02:48 |
| 木村楓斗 | 流通経済大学 | 4年 | 61位 | 1:03:18 |
| 尾島樹 | 上武大学 | 3年 | 69位 | 1:03:34 |
| 有川紘樹 | 一橋大学 | 4年 | 79位 | 1:03:43 |
| 橋本将汰 | 立正大学 | 4年 | 88位 | 1:03:49 |
| 髙橋歩夢 | 明治学院大学 | 4年 | 109位 | 1:04:00 |
記録は2026年10月17日の予選会におけるハーフマラソンのタイム。
特に注目したいのが、成沢翔英、有川紘樹、橋本将汰の3選手だ。
成沢翔英(慶應義塾大学)は個人27位で、今回の個人枠6人の中では最上位。1時間2分48秒という記録で選出された。
有川紘樹(一橋大学)は個人79位、1時間3分43秒で選出。一橋大学にとって、関東学生連合の選手として初めての選出となった。母校の箱根路への新たな一歩としても注目される。
橋本将汰(立正大学)も個人88位、1時間3分49秒で選出。立正大学にとって初の関東学生連合選出という節目を迎えた。
これらの選手は、所属大学の総合順位だけでは測れない個人の競技力によって、箱根駅伝への道を切り開いた存在だ。
なお、16人の選出枠は本大会の出走者10人と同じ意味ではない。実際のレースでは10区間を担当する選手が決まり、16人全員が走るわけではない。
【選考方法を解説】11位から20位と21位以下で何が違う?
2027年大会の選考を理解するには、予選会の順位によって選出方法が異なることを押さえる必要がある。
関東学生連合の16人は、大きく分けて2種類の枠から構成される。
① チーム枠は予選会11~20位の大学から選ぶチーム枠は、予選会で本大会出場を逃した大学のうち、総合11位から20位までの10校に与えられる。
特徴は、個人順位の単純な上位順ではなく、大学ごとに1人の選出権があることだ。
例えば、予選会11位の国士舘大学と20位の日本薬科大学は、チーム順位に差があっても、それぞれ同じ1枠を持つ。
各大学は、自校の選手から代表を選出する。
この方式によって、予選会であと一歩届かなかった大学にも、個人の箱根駅伝出場を目指す機会が生まれる。
② 個人枠は21位以下の大学から6人を選ぶ個人枠は、予選会で総合21位以下となった大学の選手が対象となる。
条件は次のとおりだ。
- 予選会の個人成績が上位であること。
- 同じ大学から選ばれるのは原則1人まで。
- 上位6人が個人枠の対象となること。
- 本大会の出走経験が2回以上ある選手は対象外。
- 外国人留学生は対象外。
この仕組みの特徴は、大学の総合順位が低くても、個人の走力によって選出される可能性があることだ。
例えば、2027年大会で個人枠に入った成沢翔英の慶應義塾大学は、予選会のチーム順位が30位だった。
一橋大学は41位、立正大学は27位だったが、それぞれ有川紘樹と橋本将汰が個人枠に選出されている。
つまり、大学の順位と個人枠の選出は別の評価軸で判断される。
③ 出走経験2回以上の条件とは?今回の選考で間違えやすいのが、本大会の出走経験に関するルールだ。
第102回大会から、過去の箱根駅伝本大会での出走経験に関する上限が変更された。
変更前は、大学単独チームまたは連合チームで1回以上出走した選手は対象外だった。
変更後は、本大会で既に2回以上出走した経験がある選手を対象外とする。
つまり、次のように整理できる。
| 過去の本大会出走回数 | 選考対象 |
|---|---|
| 0回 | 対象になり得る |
| 1回 | 対象になり得る |
| 2回 | 対象外 |
| 3回以上 | 対象外 |
ここで重要なのは、単独大学での出走と学生連合での出走を別々に数えるわけではないことだ。
両方の経験を通算して判断する。
例えば、大学チームで1回、学生連合で1回走った選手は、合計2回の出走経験があるため対象外となる。
また、この変更は外国人留学生の選考対象外という従来のルールを変更するものではない。
【制度変更の理由】なぜ学生連合は10校枠と個人枠に分かれた?
今回の選考方式の変更は、2025年6月19日に関東学生陸上競技連盟が公表した「箱根駅伝に関する新たな取り組みについて」に基づいている。
第102回大会から適用され、第103回大会でも継続されている制度だ。
変更前と変更後を比較従来は、予選会で敗退した大学の選手から、各大学1人ずつ個人順位の上位16人を選ぶ方式だった。
しかし、この方式では個人順位の高い選手が所属する大学に選出機会が偏りやすく、予選会で敗退した大学のチーム内での競争を十分に促せないという課題があった。
そこで、関東学連は次のように変更した。
| 比較項目 | 変更前 | 変更後 |
|---|---|---|
| 選出人数 | 16人 | 16人 |
| 選出方法 | 個人順位上位16人 | チーム枠10人+個人枠6人 |
| チーム枠 | なし | 予選会11~20位の10校 |
| 個人枠 | 16人すべて | 予選会21位以下から6人 |
| 出走経験の制限 | 1回以上の経験者は対象外 | 2回以上の経験者は対象外 |
| 外国人留学生 | 対象外 | 対象外 |
関東学連が示した目的の一つが、予選会終了後も大学内で競争が続く環境をつくることだ。
以前の方式では、予選会の個人成績が選考の中心だった。
新方式では、11~20位の大学に1枠が与えられるため、各大学の選手は予選会後も代表の座を目指せる。
大学全体としては本戦出場を逃しても、個人として箱根駅伝を目指す余地が残る。
変更理由2:下位大学の選手にも可能性を広げる個人枠6人を残したのは、多様性の確保が目的だ。
大学の総合順位が下位であっても、個人の実力が高い選手には出場の機会を設ける。
これは、予選会で上位10校に入るためのチーム力と、個人として優れた能力を持つ選手の評価を両立させる仕組みである。
変更理由3:出走経験の幅を広げる出走経験の上限を1回から2回に変更した背景には、箱根駅伝を通じた選手強化という目的がある。
一度本大会を経験した選手にも再びチャンスを与えることで、経験の共有や競技力の向上につなげる考え方だ。
ただし、同じ選手が何度も選ばれ続けることを防ぐため、2回以上の出走経験者は引き続き対象外としている。
単に選考枠を増やしたのではなく、出場機会の公平性と競技経験の蓄積を両立させる制度設計になっている。
【順位と記録の真相】学生連合はオープン参加で何位になる?
箱根駅伝学生連合について、特に誤解されやすいのが順位と記録の扱いだ。
学生連合は本大会に出場するものの、通常の大学チームと同じように総合順位を競う正式参加チームではない。
オープン参加という扱いであり、チーム記録・個人記録は参考記録となる。
総合順位に正式には算入されない例えば、学生連合が通常の大学チームより速いタイムでゴールしたとしても、正式な総合順位に入るわけではない。
同様に、各区間で大学チームの選手より速いタイムを記録した場合でも、正式な区間順位や区間賞とは区別される。
そのため、テレビ中継やスポーツニュースで「学生連合は○位相当」と紹介されることがある。
これは、学生連合のタイムを通常の出場大学と比較した場合の位置づけであり、公式順位ではない。
シード権も獲得できない箱根駅伝のシード権は、通常の大学チームの総合順位に基づいて決まる。
学生連合はオープン参加であるため、仮に10位以内に相当するタイムを出しても、学生連合としてシード権を獲得することはできない。
また、学生連合に所属する選手の大学が、その記録によって翌年のシード権を得るわけでもない。
ここは通常の出場校との大きな違いだ。
参考記録でも選手の走りには価値がある参考記録だからといって、選手の走りが評価されないわけではない。
例えば、第102回大会(2026年)の関東学生連合は、公式記録上、総合タイム10時間57分35秒を記録している。
順位欄は「参考」となっているが、実際に走ったタイムは記録として確認できる。
つまり、学生連合の走りを評価する際には、公式順位と実際のタイムを分けて考えることが大切だ。
【歴史と名称の違い】関東学連選抜の最高順位は4位だった
現在の関東学生連合には、前身となるチームがある。
それが「関東学連選抜」だ。
両者はまったく別の制度というわけではなく、箱根駅伝における混成チームの歴史を引き継いでいる。
関東学連選抜から関東学生連合へ関東学連選抜は2003年の第79回大会で初めて編成された。
その後、2007年の第83回大会から2013年の第89回大会までは正式参加として扱われ、総合順位も付与された。
2014年の第90回大会では編成されず、2015年の第91回大会から「関東学生連合チーム」という現在の名称に変更された。
この名称変更とオープン参加への移行は、関東学生陸上競技連盟が2014年3月に公表した方針にも記載されている。
歴代最高順位は第84回大会の4位混成チームの歴史で特に有名なのが、2008年の第84回箱根駅伝だ。
当時の関東学連選抜は、総合4位・11時間12分25秒という好成績を残した。
監督を務めたのは、後に青山学院大学を箱根駅伝の強豪校へと成長させた原晋氏だった。
当時の記録を見ると、往路5時間36分25秒、復路5時間36分00秒で、両方の成績をまとめて総合4位に入っている。
ただし、この4位は正式順位が認められていた時代の関東学連選抜の成績である。
現在の関東学生連合はオープン参加のため、同じ意味での正式な総合順位は付かない。
この違いを理解しておくと、「学生連合の最高順位は4位」という情報を正確に読み取れる。
【プロの結論】2027年の学生連合は何に注目して見るべきか
2027年の関東学生連合を観戦するうえで注目したいのは、単なる順位やタイムだけではない。
今回の制度では、異なる大学から選ばれた16人が一つのチームをつくる。
特に注目したい要点は3つある。
1. チーム枠10校から誰が選ばれるか国士舘大学、武蔵野学院大学、立教大学、明治大学など、予選会11~20位の大学には、それぞれ1人の選出枠がある。
各大学の選考によって、どの選手が箱根駅伝の舞台に立つのかが決まる。
12月10日のチームエントリーは、2027年大会に向けた重要な発表となる。
2. 個人枠の選手がどの区間を担当するか成沢翔英、有川紘樹、橋本将汰らの個人枠選手は、予選会で個人として結果を残した選手たちだ。
特に、慶應義塾大学、一橋大学、立正大学という異なる大学から選ばれた選手が、合同チームの中でどのような役割を担うのかは見どころとなる。
ただし、選出されたことと実際に本大会を走ることは同じではない。最終的な区間エントリーにも注目したい。
3. オープン参加という制度を理解する学生連合は、正式な総合順位を獲得するためのチームではない。
しかし、箱根駅伝という舞台で個人の力を示し、所属大学の枠を超えた経験を積めるという点で、大きな意味を持っている。
観戦するときは、公式順位だけでなく、区間ごとのタイムや各選手の走りにも目を向けたい。
学生連合の価値は、順位表だけでは測れない部分にもある。
箱根駅伝学生連合に関するよくある質問(FAQ)
Q1:2027年の箱根駅伝学生連合メンバーは何人ですか?
A1:選考枠は合計16人です。予選会11~20位の大学から選ぶチーム枠10人と、21位以下の大学から選ぶ個人枠6人で構成されます。実際の本大会では、その中から10区間を担当する選手が決まります。
Q2:2027年のチーム枠10校の選手はいつ発表されますか?
A2:2026年12月10日のチームエントリー時に発表される予定です。2026年11月4日時点では対象大学10校までが公表されています。
Q3:学生連合は過去に2回箱根駅伝を走った選手でも選ばれますか?
A3:いいえ。本大会で既に2回以上出走した経験がある選手は対象外です。過去1回の出走経験であれば、その他の条件を満たすことで選出対象になります。
Q4:学生連合が箱根駅伝で優勝や10位以内に入ることはできますか?
A4:タイム上は通常の大学チームを上回ることもありますが、オープン参加のため正式な総合順位には入りません。したがって、優勝やシード権を正式に獲得する制度ではありません。
Q5:関東学生連合の歴代最高順位は何位ですか?
A5:前身の関東学連選抜が第84回大会(2008年)に記録した総合4位です。現在の関東学生連合はオープン参加のため、正式順位の対象外です。
2027年の第103回箱根駅伝に出場する関東学生連合は、予選会敗退校の選手たちに箱根路への機会を与える特別なチームだ。
今回の編成では、予選会11~20位の10大学に与えられるチーム枠と、21位以下から選ばれる個人枠6人の合計16人が選考対象となっている。
個人枠には慶應義塾大学の成沢翔英、一橋大学の有川紘樹、立正大学の橋本将汰らが名を連ねた。
一方、チーム枠10校の代表選手は12月10日の発表を待つ段階だ。
また、本大会の出走経験が2回以上ある選手は対象外となること、学生連合はオープン参加で正式順位やシード権の対象にならないことも要点である。
歴代最高の総合4位を記録した関東学連選抜の歴史を引き継ぎながら、現在の関東学生連合は新しい選考制度のもとで活動している。
2027年大会では、所属大学の枠を超えて集まった選手たちが、どのようなたすきリレーを見せるのか。 12月10日の最終的なチームエントリーと、2027年1月2日・3日の本大会が大きな注目点となる。