2026年2月8日投開票の第51回衆議院議員総選挙で、杉田水脈氏は自由民主党公認候補として大阪5区から立候補した。小選挙区と比例代表近畿ブロックの重複立候補だったが、いずれも議席を獲得できなかった。
大阪5区の選挙結果は次のとおりだ。
2026年・大阪5区の確定開票結果
| 候補者 | 政党 | 得票数 | 結果 |
|---|---|---|---|
| 梅村聡 | 日本維新の会 | 93,472票 | |
| 杉田水脈 | 自由民主党 | 48,051票 | |
| 前田英倫 | 国民民主党 | 24,018票 | 落選 |
| 大石晃子 | れいわ新選組 | 19,867票 | 落選 |
| 松山恵子 | 参政党 | 18,421票 | 落選 |
| 湊隆介 | 日本共産党 | 15,854票 | 落選 |
出典:TBS NEWS DIGの2026年衆院選開票結果。開票率100%。
杉田氏と梅村氏の得票差は4万5,421票。杉田氏の得票率は約21.9%、梅村氏は約42.5%だった。大阪5区の有権者数は43万2,748人、投票率は53.92%である。
梅村聡氏は日本維新の会の前職で、地元大阪5区での選挙経験を持つ候補者だった。対する杉田氏は兵庫県出身で、これまでの主な政治基盤は比例代表中国ブロックにあった。異なる政治的背景を持つ2人の対決となった。
比例代表での復活もならず杉田氏は小選挙区だけでなく、自民党の比例近畿ブロックにも重複立候補していた。しかし、小選挙区で敗れた後、比例代表での復活当選も果たせなかった。
比例近畿ブロックで自民党が獲得した議席は10議席。杉田氏は議席に届かず、衆議院議員への復帰は実現しなかった。
つまり、2026年の選挙結果は「小選挙区で2位」という成績であり、「比例代表で当選した」という結果ではない。この2つを混同しないことが大切だ。
【選挙歴・当選回数】2012年の初当選から自民党での比例当選まで

杉田水脈氏の国政選挙での当選回数は、衆議院議員として3回。2012年に日本維新の会から初当選し、その後、自民党へ移籍して2回当選している。
特徴的なのは、3回の当選がいずれも比例代表によるものだった点だ。小選挙区での直接当選を重ねてきた政治家とは、選挙基盤の成り立ちが異なる。
杉田水脈の選挙年表出典:首相官邸の経歴資料、国会議員白書、選挙結果資料などを基に整理。
杉田氏は兵庫県出身。鳥取大学農学部を卒業後、民間企業への勤務を経て1992年に西宮市役所へ入庁した。地方自治体での勤務経験を持つ政治家である。
2012年12月の第46回衆議院議員総選挙では、日本維新の会から立候補。兵庫6区の小選挙区では敗れたものの、比例近畿ブロックで議席を獲得し、初当選を果たした。
このときの当選は、杉田氏の政治家としての出発点となった。地方行政の経験を国政に持ち込む立場から、保守的な政策や国家観を前面に出す政治活動へと進んでいく。
2014年:次世代の党で落選2014年には次世代の党の結党に参加し、第47回衆議院議員総選挙に立候補した。しかし、この選挙では議席を確保できず、国会議員としての活動はいったん途切れた。
その後、自民党に移り、2017年の第48回衆院選では比例中国ブロックから出馬。ここで2回目の当選を果たす。
2021年:第49回衆院選で3回目の当選2021年10月の第49回衆議院議員総選挙でも、自民党の比例中国ブロックから出馬して当選した。これが衆議院議員として最後の当選となった。
2022年8月には第2次岸田改造内閣で総務大臣政務官に就任。選挙での当選だけでなく、政府の役職を担う立場にも進んだ。
一方、政治活動をめぐる批判も強まり、2024年以降は政治資金問題や過去の発言への評価が選挙戦の大きな背景となっていく。
【落選理由を検証】杉田水脈が大阪5区で苦戦した4つの背景
2026年の落選を理解するには、杉田氏個人への評価だけでなく、大阪5区の選挙事情、自民党と公明党の関係、対立候補の強さ、過去の政治的問題を分けて考える必要がある。
1. 大阪5区に地元の政治基盤がなかった最も大きな構造的な課題は、杉田氏が大阪5区に地盤を持たない候補者だったことだ。
杉田氏は兵庫県出身で、過去の当選は比例近畿・比例中国ブロックが中心だった。大阪5区で長年活動してきた地元選出の政治家とは異なり、短期間で有権者との関係を構築する必要があった。
TBS NEWS DIGの選挙取材でも、杉田氏が選挙区を突然打診された経緯や、地盤のない地域で活動する難しさが報じられている。本人も選挙区を党本部から提示された経緯を説明していた。
選挙では候補者本人の知名度だけでなく、地域の後援組織、支援者との継続的な関係、自治体や地域団体との接点が票につながる。こうした基盤の不足は、短期間の選挙戦では埋めにくい。
2. 大阪5区は公明党の地盤だった大阪5区は、大阪市の此花区、西淀川区、淀川区、東淀川区を含む選挙区だ。長年、公明党が候補者を擁立し、自民党は選挙協力の関係から独自候補を立ててこなかった。
2026年の選挙では、自公連立の解消など政治情勢の変化を受け、自民党が約30年ぶりに候補者を擁立する構図となった。
しかし、長く公明党を支持してきた有権者が、そのまま自民党候補に投票するとは限らない。党同士の関係が変われば、従来の支持基盤も自動的には引き継がれない。
つまり、杉田氏は単に新人に近い立場で選挙に挑んだのではなく、従来の選挙協力の仕組みが変わった地域で、自民党の新たな支持基盤を構築する必要があった。
3. 梅村聡氏の地元での実績と知名度当選した梅村聡氏は、日本維新の会の前職。2024年の衆院選でも大阪5区で当選しており、2026年は現職として再選を目指す立場だった。
今回の得票数は9万3,472票。杉田氏の4万8,051票に対して、ほぼ2倍に相当する得票を獲得した。
梅村氏にとっては地元での選挙経験があり、杉田氏にとっては新たに知名度と支持を獲得しなければならない戦いだった。この現職と新規参入に近い候補者という違いも、選挙結果を左右した重要な背景と考えられる。
4. 裏金問題と過去の発言をめぐる批判杉田氏の選挙戦には、政治資金不記載問題と過去の発言をめぐる批判も影響する政治的背景として存在していた。
2024年1月、杉田氏の資金管理団体は、2018年から2022年までの政治資金収支報告書に記載されていなかった1,564万円について訂正を届け出た。旧安倍派の政治資金パーティーをめぐる還流分と報じられた問題である。
自民党は2024年4月4日、杉田氏に対して党の役職停止6か月の処分を決定した。政治資金の透明性が問われるなか、杉田氏の説明や責任の取り方は政治的な評価の対象となった。
また、2016年のブログ投稿をめぐっては、アイヌ民族や在日コリアンの女性らに関する表現が問題となった。2023年には大阪法務局などが人権侵犯と認定したことが報じられている。
2018年には、同性カップルを念頭に置いた「生産性がない」という表現も批判を受けた。こうした過去の発言は、多様性や人権を重視する有権者との間で、政治姿勢を評価する際の論点になってきた。
これらの問題が何票に相当したかを直接示す選挙データはない。ただし、地盤の弱さや対立候補の強さに加え、過去の政治活動に対する評価が選挙戦の争点として残っていたことは見逃せない。
【評判と政治活動】杉田水脈への支持と批判はなぜ分かれるのか
杉田水脈氏の政治家としての特徴は、保守的な政策主張を明確に打ち出す姿勢にある。憲法改正、安全保障、外国人政策、伝統的な国家観などを主要な政治テーマとしてきた。
2026年の大阪5区での選挙活動でも、外国人による不動産取得への対応や、食料品の消費税をめぐる政策などを訴えた。高市早苗首相との政治的な近さをアピールした選挙戦も特徴的だった。
支持する側から評価されてきた点杉田氏を支持する人々にとっては、保守的な政策を明確に主張することや、外交・安全保障、憲法改正などについて一貫した立場を示すことが評価の対象となる。
また、国会議員時代の質問や政治活動を通じて、自身の主張を発信し続けてきた点も支持者にとっての判断材料だ。
批判する側が問題視してきた点一方、批判する側が特に問題視してきたのは、マイノリティーに関する過去の発言や投稿、政治資金の不記載問題である。
政治家の発言は個人の思想にとどまらず、社会的に弱い立場に置かれた人々や少数者に対する政治的姿勢として受け止められる。そのため、政策への賛否とは別に、発言の適切さや説明責任が厳しく問われてきた。
2026年の衆院選では、こうした過去の問題を抱えたまま、杉田氏がどのように新しい地域で有権者の支持を獲得するかが課題になった。
選挙結果から見えるのは、保守的な政策を掲げることだけでは、地域の信頼や幅広い支持を自動的に獲得できるわけではないという現実だ。
【杉田水脈の現在】2026年11月は議員ではなく政治活動を継続
2026年11月4日現在、杉田水脈氏は国会議員ではない。2026年2月の衆院選で落選し、比例復活もできなかったため、現在の肩書は元衆議院議員となる。
ただし、落選によって政治活動そのものを終了したわけではない。本人の公式サイトでは、講演会や動画配信、視察報告などの活動が掲載されている。
2026年の選挙後の主な活動公式サイトに掲載された情報では、2026年7月には大阪で開催された憲法に関するトークライブに登壇。10月にはパラオ視察の報告動画や台湾有事に関する解説動画を公開している。
また、10月30日には政経セミナーが案内され、11月28日には札幌市での特別講演会が予定されている。国会議員という立場ではなくても、講演やインターネットを通じて政治的な発信を続けていることが分かる。
現在の杉田氏を理解するうえで重要なのは、国政選挙での落選と、政治家としての活動停止を同じ意味に捉えないことだ。議席を持たない状態でも、政治的な主張を発信し、支持者との接点を維持することは可能である。
今後、再び国政選挙に挑戦するのか、講演や情報発信を中心に活動するのかは、本人の政治的判断と所属政党の候補者選定などに左右される。
【プロの結論】杉田水脈の選挙結果から読み解く政治家としての課題
杉田水脈氏の選挙歴を通して見えてくるのは、比例代表での当選を重ねてきた政治家が、小選挙区で地域の支持を獲得することの難しさである。
2012年、2017年、2021年の衆院選では比例代表で議席を獲得した。一方、2024年の衆院選は出馬を辞退し、2025年の参院選では比例代表で落選。2026年には大阪5区で4万8,051票を得たものの、当選には届かなかった。
この経緯から、今後の政治活動を評価する際には、次の3つの視点が重要になる。
第一に、地域との関係構築である。比例代表で全国的な支持を得ることと、小選挙区で地域住民から継続的な信任を得ることは別の課題だ。大阪5区での敗北は、地盤のない候補者が短期間で地域の支持を集める難しさを示した。
第二に、政治資金の透明性と説明責任である。1,564万円の不記載問題は、単なる過去の会計処理の問題ではなく、有権者が政治家の信頼性を判断する材料になった。今後の政治活動でも、説明責任をどう果たすかが問われる。
第三に、政策主張と人権への配慮の両立である。保守的な政策を掲げること自体と、特定の属性を持つ人々への表現が適切かどうかは、別々に評価する必要がある。政治家には、自身の信念を発信すると同時に、多様な有権者に対する説明責任も求められる。
2026年の48,051票は、杉田氏への一定の支持が存在したことを示す数字である。しかし、当選した梅村氏との差は45,421票に達した。今回の結果を政治的な再起の成功と評価することはできない。
今後の焦点は、落選後の活動をどのように国政への復帰につなげるのか、そして過去の問題に対する説明と地域社会からの信頼回復をどこまで進められるかにある。
【杉田水脈の選挙】に関するよくある質問(FAQ)
Q1:杉田水脈は2026年の衆議院選挙で当選しましたか?
A1:当選していない。2026年2月8日の第51回衆院選で大阪5区から立候補し、48,051票で2位となった。比例近畿ブロックでの復活当選もできなかった。
Q2:杉田水脈の衆議院議員としての当選回数は何回ですか?
A2:3回。2012年に日本維新の会から比例近畿ブロックで初当選し、2017年と2021年には自民党の比例中国ブロックで当選した。
Q3:杉田水脈が2024年の衆院選に出馬しなかった理由は何ですか?
A3:旧安倍派の政治資金問題が背景にある。資金管理団体の収支報告書に1,564万円の不記載があり、自民党から党の役職停止6か月の処分を受けた。その後、2024年10月に衆院選への出馬を辞退した。
Q4:杉田水脈は2025年の参議院選挙にも出馬しましたか?
A4:出馬した。2025年7月の第27回参議院議員通常選挙で、自民党の比例代表候補として77,040票を獲得したが、当選には至らなかった。
Q5:2026年の大阪5区で杉田水脈に勝ったのは誰ですか?
A5:日本維新の会の梅村聡氏。93,472票を獲得し、48,051票の杉田氏に45,421票差をつけて当選した。
Q6:杉田水脈は現在も政治活動をしていますか?
A6:している。2026年11月現在、国会議員ではないが、公式サイトや動画チャンネルを通じた情報発信、講演会、視察報告などを続けている。
杉田水脈氏の選挙歴は、2012年の初当選、2017年・2021年の自民党比例中国ブロックでの当選、2024年の衆院選出馬辞退、2025年の参院選落選、そして2026年の大阪5区での敗北という流れで整理できる。
2026年の衆院選では48,051票を獲得して2位となったが、梅村聡氏に及ばず、比例復活も実現しなかった。衆議院議員としての当選回数は3回であり、現在は元衆議院議員として活動している。
落選の背景には、地盤のない選挙区への擁立、従来の自公協力の変化、維新の現職候補の強さ、政治資金問題や過去の発言をめぐる批判など、複数の要素が重なっていた。
杉田氏の今後を判断するうえでは、単純な得票数や支持者の反応だけでなく、地域との関係、政治資金への説明責任、政策の実現可能性、そして有権者からの信頼回復という観点が欠かせない。2026年11月以降、政治活動をどのように展開するのかが注目される。